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  • あの夏の夜、恋をしていた。

あの夏の夜、恋をしていた。

anonatsu no yoru koi wo shiteita

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表題作あの夏の夜、恋をしていた。

川郷仁誠,幼馴染みで元恋人,28歳
成沢惣,田舎町の美容師,28歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

田舎町で美容師をしている惣は、十年ぶりに地元に帰ってきた元恋人の仁に再会する。幼い頃から誰より惣の近くにいた、ずば抜けた容姿で人気者だった仁。彼が東京の大学に進学を決めたことで二人の関係は拗れ、焦れた仁が惣を無理やり抱こうとした夜、全てが終わったのだ。未だ想いを引きずる惣はつい仁を意識してしまうが、それを知ってか知らずか、仁は「東京から恋人を連れてきた」と残酷な事実を告げ――。

作品情報

作品名
あの夏の夜、恋をしていた。
著者
夏生タミコ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778116248
2.9

(24)

(1)

萌々

(11)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
4
得点
61
評価数
24
平均
2.9 / 5
神率
4.2%

レビュー投稿数4

こういうの、好きです

初読作家さんです。
タイトルと表紙絵に、橘の好みの“静かにウジウジ”した内容を想像できたので求めてみました^^

いつもべったりだった幼馴染みが、あることがキッカケで別れたままで10年経ち…の再会もの。
主人公の惣(そう)は、生まれ育った田舎町から数駅だけ離れた町で美容師をしている。
母子家庭で育ち、姉が嫁いだ後も母と暮らしていたが、そこに姉が姉家族と共に帰ってきたのを機に家を出て、美容学校時代の友人(直美)と住んでいる。
ある日、久し振りに帰った実家の駅で、親友以上だった幼馴染みの仁誠(じんせい)と10年振りに再会、「こっちに戻ってきた」と笑顔を向ける。
そして、仁誠の恋人(都築・パティシエ)の存在を知り…

夜空のエピソードの黒や月の白、田舎の夏の眩しさや山の防空壕跡のカシカシ落ち葉の音…こういうの好きなんです♪
夏生先生は説明好きなのかな?色や音が広がってきます。
裏寂しい田舎のロケーションや過去はこうなっていたとかが、訥々とこれでもかと。
自分はうるさい位説明して貰いたい方なので、この作品の冒頭から、頭の中でうんうん♪と地図や絵を描いてました^^
そして、人物達ですが、それぞれが大人で温和なので、嫉妬や勘違い・すれ違いは普通にありますが、嫌な部分が見えなかったです。
そこがもの足りないと思う読者もいるかも知れませんが、コレ位が普通一般じゃないかと思うんです。

ノスタルジー3割、田舎ロケーション2割、戸惑いと嬉しさも2割ずつ、ハメ外し?1割の、人物達が静かにウジウジ進行する話、予想が当たって嬉しいかった~v
yoco先生の雰囲気のあるイラストも本当に良かったので、できたら手に取って見て下さいv

3

風景描写も素敵でした!

表紙と帯で切なさ満載だろうな!と
わくわくしながら夏生さんを初めて読ませていただきました。

小さな田舎町で幼馴染と共に過ごした日々、
二人だけの秘密の場所、二人だけの思い出、
防空壕跡の土の匂いや潮のかおりまでもが漂ってきそうな感じで
世界観に浸れました。

お互い同じ想いのはずだったのに、
仁は高校卒業後東京へ行くから惣も一緒に行こうと勝手に決めてしまっていて
今まで大事にしてくれていたのに
未遂でしたが惣を力づくで抱こうとした仁が悲しかったです。
それぞれの感情と未来が行き違ってしまって
でも十年たっても忘れられないし、仁以上に好きになれる相手も出来ず…。

ようやく再会できたというのに、
今度は「もうおまえを友達以上だとは思ってない」という苦しい事を仁に言われ
駄目押しかのように「恋人と東京から帰ってきた」だなんて!(泣)
きっついなぁ……。

でも支えてくれる、惣の同居人・直実が優しくて
直実にも幸せになって欲しくなりました。

仁の恋人(ということにしていた)都築が、
惣からすると(読者もw)ちょっとだけ嫌な印象でしたが
仁を好きであるがゆえ、彼も懸命だったんだなと
読み終わった後は思ってしまいました。

仁には仁の事情があって、
惣とどうしても離れたくなくて
結果的に勝手な事を言ってしまった過去と
惣を怖がらせた後悔で警戒して欲しくなくてついた嘘は
明かされたら「そうだったんだ…」となりますが
実際離れて、再会しても先手で“ただの友達”を強調してしまったら
簡単には告げられませんものね…。
そんなの惣は知る由もないだろうし。

十年経ってようやく体も重ねたシーンでは
はぁ…気持ちが伴うHってやっぱりいいなぁ…としみじみしつつ
早く繋がりたくて思わず自分から仁に乗っかっちゃう惣がエロ!!!
仁にしてみたらたまんねーわな!!とニヤつきましたですw

すれ違う気持ちも、相手が好きなのを諦められない想いも
とても丁寧に書いて下さっていて
九月の満月を、大事な誰かと手を繋いで眺めたくなりました!!

しかしすみません……細いタッチの絵柄がちょっと好みではないので
萌×2寄りの萌とさせていただきます;;ごめんなさい!
でも表紙は色のバランスといい構図といい素敵でした!!

4

男4人夏物語

表紙買いです。

夜空に浮かぶ4人の男性。
この4人の「手」と「視線」が、作品の切ない四角関係を物語っていて秀逸。
とくに直実(一番上にいる男性)の表情が切ない・・・
本編あってのイラストとはいえ、本編より訴えかけてくるものがあるような・・・w



直実→惣(受・主人公)→←仁(攻)←都築
という関係で、幼なじみで元恋人の再会モノです。

惣も仁も、メインなのに驚くほど魅力を感じないキャラで、
全く応援もできなければ萌も見いだせませんでした;;

惣は、そばにいてくれる直実の好意に甘えているし
仁は、惣に近づく口実に都築を利用するしで
それぞれに打算的なところが、個人的に趣味じゃなく・・・

そのくせやたらと純愛ぶって、
自分だけが傷ついている風なのもいただけません(とくに惣)。
惣が失恋した都築に、仁への愛を熱く語るシーンには
どんだけ無神経なんだと唖然としました。


惣については、
18にもなって進路の決定に恋愛を持ち込んだり、
28にもなってムカデでギャーギャー騒ぎ立てたり、
喘ぎは女の子のようだったりで
ことごとく自分の趣味とかけ離れたキャラクターでしたw

仁は、そもそも何を考えているのかよく分かりません。
惣はそんな独りよがりな仁が好きらしいですが、
なぜそこまで好きなのか、こちらには魅力が伝わらず・・・
とりあえず、濡れ場で「惣、きついね」などと
唐突に女性語を入れてくるのに盛大に萎えました;


田舎のノスタルジックな風景、秘密の宝箱など
小物使いはなかなか良いのですが
純愛の綺麗さよりも、純愛に酔った傍迷惑な二人という
印象の方が強く残る作品でした。

9

物語に入り込もうとしたら弾き飛ばされた感じ

・地元愛が強かったり、母親を一人にできない! みたいな考え方が嫌いなので、高校時代の惣(受)の思考に少し苛立ちました。
 仁(攻)にとっても惣にとっても、赤の他人の爺ちゃん。その爺ちゃんの家に仁が顔を出さないのはそんな気に障ることなのか?
 言い合いになるときの、惣の地元愛強すぎてドン引き……。
 加納に嫉妬するくらい仁のこと好きなんだから、地元とか母親が――って言い訳してないで黙って仁と東京行け。と中々にイライラします。惣はマザコンか??

・仁に片思いしてた加納って女が嫌な女すぎる。

・惣が、仁のことをまだ好きという気持ちは切なくて可愛い。

・高校3年、別れるってなった時に仁が惣を無理やり犯そうとした場面好き。強姦といっても未遂の未遂なんですが。

・卒業後、仁は東京へ。惣は地元に留まる。惣の自業自得なのに、仁が居ないことを悲しむのが理解できない。

・と思ってたら仁もマザコンでした。実の母親が東京で結婚していて、相手と上手くいっていないから息子と一緒に暮らしたい――と。え? 母親は未成年ですか? いい歳してますよね。なんで息子と暮らしたいの? 自立できる歳だよね?

 攻めも受けも、母親推しすぎて気持ち悪かった。
 受けの親は全然マシです。私やお金のことは気にせず好きな大学行けって言っていたから。問題は攻めの母親ですね。

 母親の話とかどうでもいいです。二人だけの思いや気持ちを読ませてくれ……。

・都築はまともな考え方です。惣とは真逆。自分の生まれ育った街を出たって失うものはない。(その通り)
 仕事なんてどこでもできる。(その通り)
 好きな人と一緒にいられないことの方が問題。
 都築がメインの受けの方よかったのでは、ってくらい……。



 途中離脱です。

 文章は好きです。表現の仕方がオシャレ。
 絵もめちゃくちゃ好きなので、読み込みたかった……。
 気が向いたら再読します。

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