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表題作猫道楽

あらすじ

学生課で紹介された猫シッターのアルバイトで、一郎は“猫飼亭”なる屋敷を訪れる。「猫飼亭」という風変わりな屋号。土蔵造りの厳しい構え。膝の上に灰色の猫をのせ、喉を撫でつつ煙管を使う若い男。この屋敷を訪れる者は、猫の世話をするつもりが、「猫」にされてしまうという…。家主とその美しい兄弟の奇妙な注文に応えるうちに、彼は不思議な世界をのぞくことになり…庭の桜に誘われた“猫飼亭”を訪れる者たちが見た「極楽」を描く、4つの物語。

作品情報

作品名
猫道楽
著者
長野まゆみ 
媒体
小説
出版社
河出書房新社
発売日
ISBN
9784309409085
4

(15)

(6)

萌々

(6)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
58
評価数
15
平均
4 / 5
神率
40%

レビュー投稿数3

猫は猫でも

長野さんの作品が登録されているのを知って、久々に本棚から引っ張り出してきました。
非BLですが、登場するのは美少年、美青年、美中年のオール美男。
甘美な倒錯の世界を覗けます。

以下、ネタバレしていますので未読の方はご注意くださいませ。




「猫飼亭」というお屋敷に住んでいる猫を可愛がるのが道楽の風変わりな兄弟達と、その館に偶然を装った必然で誘い込まれる4匹の猫ちゃん達のお話です。
「猫」についてはお察しください。

長野まゆみさんの美しい文体で書かれるストーリーには夢と現の境目があやふやになるような雰囲気がそこかしこに漂っていて、そんな浮世離れした屋敷の中で夢見心地に繰り広げられる淫らな行為には「甘美」という言葉がよく似合います。
妖しげで倒錯的。
そして、作中では仄めかされる程度でハッキリとは明かされませんが、登場人物達の関係性にはかなり際どい真実も見え隠れして、イケナさに更なる拍車をかけます。
真実が推測通りなら、兄弟達の父親にあたる「先代」のプレイボーイっぷりはトンデモないぜ!

長野作品の特徴である文体の美しさは、言い換えれば比喩表現の巧みさだと思うのですが、暗喩隠語も飛び交う本作は、「芸を仕込むんですか?」「……それ、駄洒落かよ、」「いえべつに、」に始まり、投げ交わされる登場人物達の会話がなんとも楽しいのですよ。
登場人物達はおかしな珍問答をいたって淡々とこなしていますが、読んでるこちらは笑いを堪えきれずクスクスニヤニヤ。

本物の美猫も沢山登場しますよ。

5

美兄弟による猫飼育

非BLの匂い系小説を読みたくて、こちらを手に取りました。
作者さんの作品は初読み。
それほど読書家ではない上、たまに読む小説も現代物の作品が多いのでこの作品の文体や単語に馴染みの無いものが多く、たまに辞書を使ったりしながら読みました。

猫飼亭という屋号を持つ屋敷に住む兄弟たちと、そこへ誘われる男たちとのオムニバス。
匂い系というのが憚られる程度にはガッツリとした絡みがあります。
しかし直接的な表現を避けて、美しい言葉で紡がれるそれはとっても官能的。
隠語っぽいものも満載で猫はネコですし、個人的には"裏庭"がお気に入り笑

兄弟による「猫の養育」なので、愛だとか恋だとかブロマンスとかではありません。
分かりやすくいうと、妖しい兄弟たちによって身体を開かれちゃったよっていうお話でしょうか。

ただ、1話目と最後の話は同一人物が登場しており、まさかの展開になります。
その2人にはその後がありそうな、そんな雰囲気のお話でした。

1

別の意味でネコ

図書館でも読めるBL小説集の中で紹介されて綺麗そうだなと思い買いました。本当に人前で堂々と読めるそんな表紙なのに、中身は大変なことになっていました…
最初のストーリーでは、猫シッターのバイトに始まり、どこがBLなんだろうか、匂わせる程度で終わるのかな?などと考えていたのですが、バイトの契約と称して突然のキスにバイト中はがっつりと体を重ねていたので読んでるこちらはニヤけてしまい、それを誰かに見られるのではと気が気じゃなかったです…やはり、図書館では読めそうにないですw
この本は短編集ですが、出てくる主人公はみんな様々な理由により猫飼亭に集まっていきます。
どのお話もじんわりと心に染みるような、ちょっと切なくなるような物語なので読んで損はないと思います!特に、私は提灯のお話が好きでした。
雰囲気や、言葉遣いは耽美系だったので読むのは楽しかったのですが、難しい言葉が多くちょっと想像力に欠ける私には想像しにくく困惑するところも多かったかなと思います…

3

この作品が収納されている本棚

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