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表題作左近の桜

あやかし達
桜蔵
「左近」の長男、16歳

あらすじ

武蔵野にたたずむ一軒家。じつは、男同士が忍び逢う宿屋である。この宿「左近」の長男で十六歳の桜蔵にはその気もないが、あやかしの者たちが現れては、交わりを求めてくる。そのたびに逃れようとする桜蔵だが…。著者のデビュー二十年を記念する新シリーズ第一作。

作品情報

作品名
左近の桜
著者
長野まゆみ 
媒体
小説
出版社
角川書店
発売日
ISBN
9784048738279
3.7

(18)

(9)

萌々

(2)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
64
評価数
18
平均
3.7 / 5
神率
50%

レビュー投稿数8

私のBL バイブル

図書館で偶然見つけて、武蔵野、とかあやかし、などのワードに惹かれて借りて以来、この世界観にすっかりはまってしまい、日本家屋に憧れて引っ越すことまでしてしまった。BL とか、男同士ということが全然わかってなくて、それでもこの話が男女の恋愛だったら、ここまで素晴らしい作品にならなかったと思います。
主人公の桜蔵をはじめ、父の柾(血が繋がってない)、その他の男たちや女性の登場人物、全てがもう、魅力的で時に幻想的で、いい意味で戸惑います。
もう、100回位読んでると思います。旅行行く時は必ず携帯していきます。情景描写や人物像が素晴らしく、すぐ左近の桜の世界観に引き込まれます。
でも、BL 設定じゃないと成り立たない、つまらなくなる話だと思うので、私的には絶対BL バイブルなんです。
この作品に出会えて大変感謝なんです。
続きの、さくら、うるわしが早く刊行されないかと、ずっと心持ちです。
長野まゆみ先生、どうぞ最新刊が読めることを、心よりお待ちしています。

5

艶、桜色。

舞台は「情宿」

儚い美少年・桜蔵(さくら)
彼を翻弄し通り過ぎていく、美しく強引で淫靡なひとではない男たち

「女」として扱われることを、最初は躊躇いつつも、徐々に順応していく桜蔵


どこか懐かしく、美しい。
作品全体に散りばめられた、美しく趣き深い言葉たち。
まるで、作品全体が宝石箱のよう。

一話一話のタイトルも丁寧につけられている。
「空舟(うつおぶね)」
「白雨(ゆうだち)」 「梅花皮(かいらぎ)」 (咲くや、この花より)
など。


純粋と魔性が共存した、淡いようで濃い桜色の物語。

3

幻想的な物語に隠された仕掛け。

幻想的にしてほどほど耽美。文章のキレがよく、不思議な物語なので、つい繰り返し読んでしまいます。

数度目の再読で、ふと気になったワードをググってみたら、


……え!?

こ、これは……!?

まじか!?!?!?

謎のワードの意味をひとつひとつを調べていくと、驚きの答えが浮かんできます。

これ以上言うとネタバレになっちゃうので言いませんけどw

既読の方で、単行本や文庫本をお持ちの方は、ぜひ調べてみてください。あー!! ってなりますよw

1

NoTitle

長野まゆみさんらしくない妖しい一篇。
和製ホラーが好きな方にもお勧めしたいです、独特の湿り気のある雰囲気でいつものキラキラした世界観は控えめ。

好きな方には物足りないかもしれませんが、より心理描写に重点を置いた作品になっていると思います。
短編集のような内容で様々な登場人物が訪れては消えてゆくストーリー作りなのでラストまで飽きずに読みきれます、初めて長野作品を読むような方でも抵抗無く読めそうな作品です。

1

素晴らしき情緒、唯一無二の世界観

角川文庫版を読了。久しぶりに長野まゆみさんの作品を読んだら、文章が変わっていて驚いた。初期のインパクトが強すぎて。
醸し出す雰囲気には情緒があり、世界観にどっぷり浸かれる心地良さは健在で良かった。

ほんのりホラー風味な短編集。1章から12章までは同一の世界線で、1章ごとに何かが起こる。特に1章が魅力的で、一気に引き込まれた。
古風な風景の描写と謎の男と少々流されタイプな主人公。期待しない方が無理、と言いたくなる始まり方。

主人公の桜蔵は、毎回男にいろんな目に遭わされる。章を追うごとに、そのエピソードに遠慮がなくなっていく。後半はほぼヤられていたような……。
印象に残っているのは9章の終わり。相手は人ならざるものだけじゃないのか、という衝撃と、ふわっと表現した後に次章(柾のセリフ)で決定打を与えてくれるスッキリ感。内容はさておき、こういう匂わせが読みたかった!

次々起こる不思議なことは、理由が分かるもの分からないもの等さまざま。そもそも桜蔵がなぜ頻繁にソレらを引き寄せるようになったかも分からないまま終わるので、全体的にふわふわしている。独特の空気をそのまま感じ取るだけで良いのかな。

付き合っている彼女も幻夢(?)の世界に引っ張り込まれる展開があり、その境界線は超えないで欲しかったと思った。夢か現か、を彷徨う桜蔵にとって、真也は現の象徴のようなキャラであった方が読みやすかったな、と。

残念だったのは、最初に惹かれた羽ノ浦があまり活躍してくれなかったこと。後半はほぼ名前しか出てこない。読み始めから期待を煽られ、気になるキャラだっただけに、物足りなさを感じた。

ストーリーより、作者の作り上げた世界そのものを楽しむ作品という感じ。長野まゆみというジャンルを確立してしまいそうな、唯一無二の味わい。
さらっと書かれた会話の中に、羽ノ浦の背景につながりそうな興味深い点があったため、さらにここが深掘りされることを期待して次作も読みたいと思う。

1

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