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本郷地下先生デビューコミックス。
男ふたり暮らしのほのぼのBLかと思いきや人外ものでした。
人外と言ってもよくある獣人とかではなく、人間に憧れた貂が山から降りてきて人間に化けて細々と暮らしてるというおとぎ話のようなストーリー。
作者様曰くもともとBLとして描いてたわけではなかったようで、なのでエロ要素は全くありません。でもスナオとマルの間に漂うのは確かに「愛」であり、お互いを何より大切な存在と想い合っているのが伝わります。
マルがスナオに電話するシーン心がギュン!てなりました。
描き下ろしのスナオとマルの出会いの物語がとても素敵です。あれはもう告白だな。
他2作は同人誌を収録。
「予感」の方はちょっと私にはわかりづらい内容でした。
本郷先生初読みです。
本作が初単行本とは味わい深い。渋いですね。
紺色とピンクの2色刷りが世界観にぴったりでほっこり。
2人のなんてことはない日常がとても楽しくて。そんな日々を見せておいてからの、実はこんなドラマがあるんですよな構成もよかった。
マルが子どものような好奇心で無邪気でかわいらしい。
そんなマルを好きであろうスナオ。
スナオは無口だし独白もないしはっきりとした告白はないけど、マルの話を聞きたがり、消えたマルを探すし、テンでも人間でも何でもいい「居なくなるなよ」
が、十分だな…と満たされた気分になりました。
マルもスナオに好きだとか言わないんですよね。
マルが一族の人たちに連れ戻されそうになった時、スナオに電話をして言う言葉
「ちゃんと ごはん食べた?」
これが効いた〜。この作品の真髄、マルのスナオへの気持ちってそこよね〜と痺れました。
マルにもらった小銭を大事に持っていてマルにデンワをしてお別れするように言う三太もいい奴でかわいかった。
マルはスナオと一緒にいることを選び札幌へ。また新生活が始まる2人が楽しそうです。
テンの姿の時のマルがスナオの肩に乗っているのが仲良さげでかわいかったです。
あと、小さいベッドで一緒に寝るのも。
他2本は不思議なお話でした。
これ何色刷りって言うんでしょ?ふくふくハイツ、多分3色刷りなのかな?BL未満の作品が揃っています。
◾︎ふくふくハイツ
マルの実家はどうなるんだろうとか、マルとスナオ(直 助教)では寿命が随分と違うんだろうなとか、ちょっとした悲しさを抱えながら暖かさを感じる作品で。物欲のある人外って可愛い。
絵が繊細でとても綺麗です。
◾︎つぼみ開かぬ金釦
この作品が特に大好きでした。神評価は完全にこの短編に対するものです。
過去に囚われてる人とか、大切な思い出とか、人の死とか、そんなテーマが大好きで。今のデコ(あとがきで名前が出てますね、井出コユキ)はあれからどう生きて、こうして1人で暮らしているんだろうとか、彼がカステラを送ってくることはなかったんじゃなかろうかとか、想像するだに辛い事しか思いつかない。だからこそデコを"呼んだ"んだろうな。ハッピーエンドの多いBL漫画で、始まりもしなかったストーリーがじんわりと染み込みます。
とても素敵な作品でした。
ただ可愛いだけかと思っていましたが、
少し切なくて温かいお話です。
人間の直とテンのマルが織りなす、
日常のストーリーです。
ただ、マルはテン族?の跡取りなんですね。
連れ戻しに来たお付きの者や、母親がいました。
それでも全てを捨てて直の元に戻るマルに、
胸がキュッとなりました。
直もマルの事をとても大切にしていて、
二人の日常がずっと続けばいいなと思います。
それから、同時収録作が二作品とも不思議ワールドでした。
とくに、『つぼみ開かぬ金釦』は素晴らしかったと思います。
とても分かりにくいお話で、二度読んで、
やっと自分なりに解釈しました。
過去の自分を呼び寄せてしまった男の話…と理解しました。
高校卒業と同時に上京する親友・清水。
デコと清水は両思いですが、
デコは清水に付いて行く勇気がなくて…
デコが父として接するのが、恐らく現在の年老いたデコ。
そして、デコの背中を押して旅立たせるのも年老いたデコ。
ずっと後悔していた思いを遂げてもらったのだと思います。
嬉しそうに振り向く清水に抱きつくデコと、
卒業式に清水からもらった金釦をそっと取り出す老デコ…
これだけの短い短編なのですが、
とても切なくて心に残りました…