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表題作緑陰 たったひとりのあなたへ

榊原秀一郎、受様の美術館の美術顧問もする美術評論家
佐保雅和、美術館でヨーロッパ絵画を専門にする学芸員

その他の収録作品

  • 愛しさの名前

あらすじ

偶然発見した幻の名作「幻影」に強い印象を受けた美術館学芸員の佐保雅和は、顧問の榊原秀一郎の助けを得て、作品全手の収録に乗り出す。しかしそれは佐保が自ら封じた過去の記憶を呼び覚ます鍵だった!!

作品情報

作品名
緑陰 たったひとりのあなたへ
著者
春原いずみ 
イラスト
あさとえいり 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576010403
3

(5)

(0)

萌々

(0)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
15
評価数
5
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

雰囲気が良かったです

落ちついた静かなお話で、登場人物もどこかリアルでない上品な感じがしました。落ち着いていながら、ストーリーは不思議系ミステリーです。
謎の結末が知りたくて、駆け足で読んでしまいました。

主人公の佐保は美術館で働く学芸員ですが、昔交通事故にあって過去の記憶の一部がありません。
とある画家が描いた幻の絵が偶然出てきて、それが連作であると知った佐保は、美術評論家の榊原の力を借りて全ての絵を集めようと奔走します。しかし絵を集めるうちに過去の記憶が蘇ってきて…という、絵と自分の記憶に何の関係があるのかを解き明かしていくミステリーです。

そんなにややこしいことはなく、すごく静かな、という感じのお話でした。結末は意外なもので予想外で面白かったです。
ですが、ラブストーリーとしてはあんまり熱くなることもなく、わりとトントン拍子でうまくいってしまっています。ドキドキハラハラはなく、ストーリーが静かなのは良かったのですが、恋愛部分も同じように静かなのは、私には少し物足りない感じでした。

お相手の榊原ですが、美術評論家という職業柄か、年上紳士なのですが、本当に紳士という感じです。
佐保の記憶の謎にも気長に付き合ってくれて、優しく温厚で理性的です。
佐保に対しても始終敬語を崩しません。
なので、攻めキャラとしてはちょっと大人しいというか、「謎ときに付き合ってくれる優しい紳士」という感じで、もう少し存在感があったほうが楽しめたかも。
一応、歳の差カップルなのですが、二人とも落ち着いた温厚な性格なので、歳の差カップルという感じがあまりしなかったのも残念でした。

本格ミステリーという感じではなく、ミステリ調、という感じです。
雰囲気ミステリーが好きな方にはオススメです。

1

穏やかで優しい

2000年に雑誌で前後編で掲載された作品に書き下ろしの『愛しさの名前』が追加されて1冊に纏められています。
美術界を舞台にしたちょっとミステリー要素のある作品で、その謎の部分がどう明かされていくのかが気になって一気に読めた作品でした。
ミステリーといっても犯罪が起きるような作品ではなく(でもある意味かなり近いところまでいくのですが)、ある画家の謎の作品とそれにまつわる人達に関わるミステリーです。
美術館でのお仕事シーンもよく登場するので、美術館が好きな人には興味深いと思います。
学芸員の佐保視点で描かれているのですが、私は美術評論家の榊原が好きでした。
佐保よりかなり年上だと思われるのですが、紳士的で穏やかな外見の下に内には炎を宿しているようなキャラです。
しかも榊原の想いがかなり一途で、佐保との最初の出会いの仕方がすごくロマンチックです。
春原さんの表現は控えめですが、榊原の佐保に対する態度は限りなく優しく甘々。
一方とても切ない部分もあり、それを思うとやるせないのですが、甘々な部分と切なさのバランスがいいかなと思いました。
穏やかで優しい雰囲気の作品がお好きな方にはお勧めです。

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