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とろけるくらいに僕を甘やかすくせに、あなたはいつも、他の誰かと恋に落ちる―――。
地方都市を舞台としたほのぼのラブストーリー。
八方美人×人見知りというから健気受けの話かと思いきや…?
意外にもヘタレな攻めを受けが粘ってその気にさせるような、隠れ強気男前受けを楽しめる一冊でした。
あらすじ:
昆虫について学ぶため地方の大学を受験した陸(受け)。
亡き祖父の家で出会った拓真(攻め)は同じ大学の4年生で、近所に住む祖父と親交が会ったと言う。
何かと面倒を見てくれる拓真に惹かれていくが……
陸は大人しいけど意外と内弁慶?
初めての恋になりふり構わずな姿が可愛いです。
彼女を切らさない拓真に嫌味を言ったり、後輩の立場を利用して一緒の時間を作ったり、身体だけの関係でもいいと誘ってみたり……
優等生的ないい子ではなく、したたかさも含め自分に正直なところに人間的魅力がありました。
拓真への告白の途中からカブトムシの繁殖について熱く語り出す等、ちょっと天然でマイペースなところも面白かったです。
拓真は優しくて面倒見のよいイケメンですが、流され体質で女性に振り回され気味。
二股をかけられたり、友人と勢いで寝て責任をとるため付き合い始めたりと、カッコいいだけじゃない情けない一面に愛嬌がありました。
陸に告白され絆されるところは早!って感じでしたが、最後まではなかなかやらないし、田舎で男同士で付き合うリスクも考えているあたりは大人だなと思いました。
祖父の思い出話をしたり、
大学でサークル活動したり、
拓真の家でご飯を食べたり……
ゆる〜く一緒の時間を過ごす二人が、
ゆる〜くすれ違ってゆる〜く和解して
最後はラブラブに。
展開展開の決め手には欠けますが、キャラクターと舞台設定の魅力からくるのんびりした空気感が心地よいお話でした。
全編ほのぼのという訳ではなく、
幼い陸が川で溺れた際の家族の対応や
昔の拓真の田舎暮らしへの反発など、
人間関係の難しさやシビアさも描かれているところが良かったです。
アットホームだけど世間体に敏感な田舎特有の空気感も丁寧に描かれていました。
この田舎町で今後二人がどう付き合っていくのか、もう少し先の話も読んでみたかった気がします。
評価は萌×2寄り。
八条ことこ先生の本を読むのは二冊目です。
面白いタイトルだなぁ~と本屋さんの棚から選んだら、先生の作品でした。
前読んだ作品は、8年ぶりの同級生との再会ものでしたが。
今回は初対面ですが、祖父を介した繋がりの相手でした。
田舎と都会の行き来の中で。
家族や親戚の人間関係が絡むお話です。
物語は主人公、陸(りく)視点で進みます。
向井陸(むかいりく)は東京が実家で。
伯父の住む町近くの大学に学びたい学科があり。
伯父と久しぶりに交流しながら、大学近くのアパートに一人暮らしをはじめます。
伯父の家と同じ県内の田舎町にある、祖父が一人で暮らす家。
そこにずっと預けていた、大切にしていた沢山のものを取りに行きます。
祖父に久しぶりに会う事を楽しみにしていた陸ですが。
大学受験の直前に祖父は他界してしまいました。
陸は大学近くのアパートに引っ越し後、祖父の家で預けていたものを探し回り。
やっと見つけて持って帰ろうとした時、陸の様子を不審に思った榎本拓真(えのもとたくま)に声をかけられます。
榎本は二軒となりの家に住む、同じ大学の四年生でした。
陸が向井家の孫と知ると、急に親切になり…?
子供時代は毎年夏休みに、伯父やいとこ達と集合する祖父の家。
伯父達や父もその家から巣立ち、祖父だけになってしまった倉のある大きな家。
陸にとっては、お祖父さんや親戚との想い出が沢山詰まっていて。
大好きな虫取りと事故の辛い思い出が一緒に甦り、様々な感情が駆け巡る場所でした。
私も陸と同じ様に夏休みは田舎に毎年親戚が集合して、とにかく賑やかだった子供時代の田舎。
懐かしい風景と、同じ様に過疎化が進む現在を思い、ジンとなりました。
陸とお祖父さんの距離がある関わり方は、外孫ならではで、よくわかります。
お祖父さんにとって、田舎の家が大好きな陸は、ちょっと特別だった気がします。
陸はとても面白い人物でした。
姉とどうにも気が合わない話や、親族や友人に関する感想など。
ただの人見知りで大人しい青年では無く、頑固だったり我儘だったり。
そんな自分を客観的にわかっていたり。
とても人間味豊かなキャラクターで。
恋愛に関しては、腹をくくるともう、猪突猛進過ぎるくらい突っ走ります。
ここら辺は見習いたいくらい潔い。
対して相手の榎本は。
転勤族の家庭で育った為か、人との関わり方が広く浅いイメージ。
自分から相手を好きになった事がないところなど、恋にも友情にも執着心が陸より薄そうです。
すごく優しくて親切で、何かあると駆けつけてくれて。
それでも友人も家族も恋人にも、薄い壁が存在する感じの人でした。
大学四年生という事もあり、色々と周囲の事や先の事も考えていて。
でも結果、考えすぎてまとまらず、流されている気がします。
田舎暮らしの窮屈さや息苦しさ。
陸とは違った形で祖父への後悔の念が強く。
今の、人の良い雰囲気とはまったく別人のような思春期を過ごした人でした。
八条ことこ先生のお話は、こういう何とも人間臭さがたまらないキャラクターに魅力を感じます。
ただ、榎本の最後のほうの迷いは、どうにも掴み取り辛かったなぁ。
陸が前のめり過ぎる分、榎本の感情が遥か彼方のように遠かった。
何だかよくわからないまま、最後にはカップルになっていた感じでした。
榎本の考えも、陸の暴走?もわからなくは無いのですが。
あんなに気持ちがすれ違っていたのに、そんな簡単に受け入れちゃうの?!
と、二人どちらにも思ってしまいました。
恋愛面は、私には何とも腑に落ちない気持ちが残りましたが。
お祖父さんや田舎暮らしの話あたりは、すごく共感出来たし。
二人のキャラも背景も、とても好きなお話でした。
八条ことこ先生の書く人物は、人間味あふれていて楽しいです。
面白いお話をありがとうございました。
大学生の先輩後輩ラブ。
ストーリー的に地理描写が結構重要だと思うので、もうちょっとすっきり描いてくれたらなぁと感じました。人間関係の物理的・心理的距離感を表現するツールとなっているみたいなので…。
受けの一人称がやっぱり独特で、ナレーションを聴いているみたいな感じ。でも、陸のキャラが悪くなかったからか、読んでいるうちに慣れていきました。
物語背景やキャラ造形がとても丁寧なので、今作でめちゃくちゃ好感度が上がったんですけど、、たまにスッと頭に入ってきづらい箇所があったり。
陸と先輩の他愛のない会話がツボでした。お似合いな感じが滲み出ていて、応援したくなる。作者様の攻めは魅力的です。
同性から迫られたらどう反応するか、煮え切らない攻めの態度がズルくてリアルでした。受けは誘いのような襲い型?初めての恋に食らいつく勇気、ケリをつける潔さが男前でよかったけれど、攻めが崩れた後にすかさずつけ込むあたりは結構したたかかも。
クライマックス以降の流れに文字数を割いて欲しくなってしまったのは、気持ちが通じ合った後に迎える現実を作者様ならどう描くのか、むちゃくちゃ興味があったからです。せっかくハラハラさせてくれたのに意外とあっさりで、続編でハッピーエンドになるならバッドエンドでもどんとこいでした。陸の姉がもったいない笑。
まぁ、これくらいの穏やかさがちょうどいいのでしょうか?
あとがきを読んで、もっとBL書いて欲しいと思いました。作者様自前の萌えや性癖を掘り下げていただきたいです。そしてご相伴に預かりたい…
カワイチハル先生の挿絵が年上萌えを盛り上げてくれました。カワイ先生の攻め、とっても素敵なので!
ごめんなさい。低評価です。
とにかくキャラクターに魅力がなく、誰一人共感できませんでした。
心情描写もあまりないのでキャラクターが何を考えているのか、何をしたいのかがさっぱり分かりませんでした。よかったのはタイトルだけで……それもイメージとは違いました。
結局、何が言いたかったんだろう。
よく分からないお話でした。
亡き祖父が住んでいた田舎の大学に進学した陸(受け)は、祖父の家で隣人の榎本(攻め)に出会う。祖父と懇意にしていたという榎本は陸にとても親切にしてくれるが、八方美人で誰にでも親切らしい。彼女が途切れない榎本に、それでもゲイの陸は惹かれていくが…。
田舎の生活や雰囲気は素敵だったのですが、肝心のキャラクターにまるで魅力を感じられなかったです。ヤリチンなくせに「俺は俺でそれぞれの彼女を大事にしてたんだよ」って主張する攻め、その八方美人を好きになって、後輩の座をキープしながら嫉妬の火を燃え上がらせている受け。
本の3分の2が終了するまで、まるっきり受けが相手にされてない。想いを伝える時も、攻めが彼女と別れたのを知って「じゃあ言いたいんですけど、好きです」って。攻めは受けの気持ちに薄々気づいてて、言うように仕向けるというか、カマをかける。それで実際に告られたら「世間体が…男同士だし…」。何だそりゃ、と思いました。
攻めは何がしたいんだかわからないし、受けは攻めのどこがいいのかわかんない。びっくりするくらい萌えられない話でした。カワイチハルさんのイラストがとっても可愛くて、中立にしようかなとも思ったんですが、それだけで中立にするにはあまりにも萌えが足りなかった。
あと結局、世間体については解決されていないんだけど、いいんでしょうか。