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1995年に発表されたアメリカのゲイ小説の邦訳。
2005年には「ミステリアス・スキン」として映画化もされた作品です。
※あらすじやWiki等に作品のオチに関わる部分がややネタバレされているので、映画も原作も未見という方は閲覧にご注意を。
事前情報を何も入れずに読まれた方が圧倒的に楽しめるかと思います。
ジャンルとしては青春小説になるかと思いますが、展開にミステリ要素としてちょっとした伏線が仕掛けられており、結末にはなかなか驚かされました。
主人公は二人の少年。
彼らの少年時代から19歳になるまでの人生が交互に語られます。
UFOに拉致されたとの妄想から、オタク趣味に傾倒していくブライアン。
幼くして同性愛に目覚め、やがて男相手に売春を始めるニール。
一見全く共通点のない彼らが出会うのはラスト間近、二人が19歳を迎えた頃。
そこで明らかになる真実はかなり衝撃的。
彼らの接点と過去の出来事についてはある程度予想できますが、その詳しい内容については全くの予想外でした。
それまで語られてきた二人の少年の嗜好、記憶、行動…。
読後改めて読み返してみると、様々な場面に伏線が貼られていたことに気付き感心します。
HIVやホモフォビアといった、ゲイ小説としてはある意味定番の要素を取り入れつつ、本当に訴えたいことは最後のオチまでぼかしておくという手法が非常に上手いと思います。
いささか後味の悪い内容ですが、二人の少年が20歳を目前に自身の過去にケリをつける物語、と捉えればこれも立派な青春小説かと思います。
ブライアンは長年追い続けた自身のルーツを探し当てたことで、ニールは過去を体験した人物と出会ったことで、それぞれ今までとは違った生き方が出来るようになるのではないか。
様々な読み方が出来ると思いますが、個人的にはそう感じました。
萌はありませんが(ニールが色んな男と寝ていますが、ラブラブという感じではないので)、物語の巧みな構成により二人の少年の半生が強く心に焼きつき、いつまでも離れない。
そんな深い余韻の残る作品でした。
著者スコット・ハイムの幼少期の体験をもとに書かれている
【小児性愛とそのトラウマを負った少年たちの物語】
【美しくて不快な物語】
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全くその通りで、たしかにこの作品は、問題作。児童虐待が子供に与える傷を知るために適した傑作だと思う。
それだけに、読んでいて途中で気持ち悪くなって、何度か積読にしました。
▶映画:日本では未公開(多分内容がショッキングだからだと思う)
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ジョセフ・ゴードン/ ブラディ・コーベット主演
『ミステリアス・スキン』
原作 Mysterious Skin 1995年発表スコット・ヘイムの小説(★著者の幼児期の実体験が元。)
<東京国際レズビアン&ゲイ映画祭出展映画作品>
日系アメリカ人監督のグレッグ・アラキが撮影
(★監督の配慮で、俳優は成人、性的虐待などのシーンは、子役の演技は直接的な指示は無しで編集のみで再現/作品の中で「孤独」を印象付ける小道具が沢山使われている)
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▶newsweekのコラムで映画評論家の大場正明さんが、この作品を「ジャンル分けしにくい作品だ」とレビューしています。
「ゲイ・フィクションの枠を超えて広がる物語と世界」https://bit.ly/37Z8It3
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▶「謎めいた肌」 Guilt|Pleasure『FATHER FIGURE』の仔犬養ジンによる翻訳。
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同性愛を禁止するカンザス州の田舎町で、リトルリーグに入団した8歳の少年。
短い契約期間で来たチームの男性コーチは、ペドフィリア(小児性愛)だった。
父性に欠ける環境の二人の児童。自分の子が小児性愛者に性的暴行をされても、母親たちは気づかない。
信頼する野球チームのコーチは「君は特別だ」と囁きながら暴行する。
ニールが一番「誰かに愛されて大事にされた」と感じた時は、虐待された時という皮肉。
・・被害者の少年は、監督から「選ばれた者」である自分の体験は「誇らしい秘密」だと思っていた所がある。
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体験した後の二人。
宇宙人に攫われたと脳内変換して記憶を喪失:ブライアン(著者の投影はこの少年らしい)
父親不在の少年は、体験を忘れられず男娼となり、年上の相手と行為を繰り返す:ニールは愛が分からない。
どちらも、記憶の処理=心の傷が癒せていない。
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児童への犯罪、性的児童虐待の体験が元の内容を、娯楽のBL小説的に解釈するのは、支障あるのでは? 文学的に価値があっても、これは娯楽ものじゃない、著者の体験の回顧録。
著者のサイトを読むと、日本語版と趣旨が異なる解説が書かれています。関連本も出している。https://bit.ly/3kNUJKj
「彼は僕の事、本当に好きだったのかな?」
主人公のニールが暴行された家を訪れる。「君は特別だ」と体に刷り込まれた記憶が「愛じゃない」と気づいて絶望する迄の、淡々とした文調の意味が分かると本当に悲しい。虐待だと気づく迄、自我を失っていた。
映画で流れる曲は、シガーロス(Sigur Ros)のSamskeyti 「あなたはとっても孤独」と繰り返す歌詞。(Samskeyti/アイスランド語で「合流点」)
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この作品で二人は後に出会って、現場の家に行き、体験を語り傷を見せあっても、
トラウマの解決、記憶の処理に向かう途中で「どうしたらいい?」と問題提起しかされていない。
・・「解決できない闇を抱えている」→児童虐待のPTSDの影響は生涯に及ぶ。心的傷の解決法の決定打がまだ無いらしいです。
著者は、この作品を書く事で何かを得たでしょうか?
男児の性的虐待の後遺症は、女児より軽い訳じゃない。このコーチのように、外観でわからないおかしな人を野放しにしていいものか、考えてしまう。
「小児性愛」という個人の嗜好なら、鑑賞や触れ合い程度で納めれば問題ない。この犯人(コーチ)は、立場を利用して、拒めない子供に洗脳を施し、児童の心身に傷を負わせている。
児童虐待は日本でもある問題。子供を持つ親なら一度は読んで、子を守る情報として頭に入れておいた方が良いし、話し合ってほしいと思う。
★著者の回顧録では、リトルリーグコーチの被害者は児童二人だけど、実際はもっと多くの子が犠牲になっていただろうし、今もやっているかもしれない。
★著者は、多分まだ心のどこかでコーチを想っていると思う。(「謎めいた肌」の意は、肌の温もり) 著者は、この著作で怒りを表しているけれど、告発をしていない。
☆☆著者について、掲載訂正を送信したのですが、随分と送信した内容を改竄されていました。ガッカリ。私は、本人が記載した以外の、他人の勝手な評価を認めない信条を持っています。ちるちるの作者紹介は、印象の押し付けが多い、偏向編集のウイキと同じ。
神と萌2の中間。