雪の下のクオリア

yuki no shita no qualia

雪の下のクオリア
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神96
  • 萌×240
  • 萌28
  • 中立10
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
23
得点
734
評価数
180
平均
4.2 / 5
神率
53.3%
著者
紀伊カンナ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics CRAFTシリーズ
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784813031147

あらすじ

草木が好きで人嫌いな小林明夫。同性と一度きりの関係を繰り返す大橋海。
二人は同じ大学で同じ学生寮だった。
海が明夫に懐き、明夫も少しずつ海に気を許すようになっていく。
だが、ある日、海は明夫に「先輩は寝なくても一緒にいてくれるから優しいです」と言う。
明夫はそんな海のことが理解できなくて……。

好きになった相手に愛されたい。そう思っているのはどちらだったのか?

表題作雪の下のクオリア

小林明夫,草木が好きで人嫌いな大学の先輩 ?
大橋海,同性と一度きりの関係を繰り返す大学2年 ?

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数23

「友情」?それとも「ずっと離れない」?

ジブリ映画や細田守監督作品のような雰囲気の作画に、心温まるストーリー。
大好きな作家さんです。

愛に奔放すぎる父と、そんな父を愛するがゆえに追いかける母。
愛に翻弄される両親のせいで、人と距離を置くように生きてきた明夫。
そんな彼が出会った同じ下宿に住む海は、誰とでも寝るような子で…。

紀伊さんの絵で見ると、ビッチもピュアっ子に見える不思議。
明夫が植物を扱うときのエプロン姿にも萌える。

下宿のお向かいさんで、同じ大学の院生(たぶん)と学部の2年生。
緩い接点しかないところから、一緒に住むようになるまでの時間をゆっくりじっくり描いてあります。

2人とも心に傷があって、人付き合いに難あり。
両親に置いて行かれた明夫は教授に心配されるほど植物にしか興味がなくて、でも父が吸っていたのと同じ銘柄の煙草をもくもくと吸っています。
父の置いていった煙草は、明夫にとってもらえなかった父の愛の残り滓のようなものだったんだろうなあ。
かなりのヘヴィースモーカーなのは、それだけ愛に飢えていたからという風に読めました。
だからこそラストの一言で、「ああ、もう飢えてないんだな」って思える。素敵。

海は行きずりの相手と1回だけの関係を繰り返している子。
本当の名前は教えず、姉の名前を語っては、次を望む相手を袖にする。
そうなった理由は初恋にあって、深く1人と関わってしまうとまた裏切られるのが怖いから。
初恋相手には「中学生相手に何やってんだー!?」と思うけど、心と体全部で恋をした出会いがあって、恋なんて…と思った時期があったからこそ、海の「好きだけどしなくていい」という台詞が重みを増すように感じました。

明夫にとって因縁のあった海のお姉ちゃんや、明夫のお姉ちゃん、教授もみんな優しい。
そんなひとたちに囲まれた中で、無理に相手を変えようとか、自分を変えようとしないで、自然な流れで少しずつ気持ちや考え方に変化が出てくるのが良いんです。
そうやって一緒にいるのが当たり前になっていくのが素敵なんです。
そんな2人を見ていると、明夫のお姉ちゃんが言う「人の事はひとりでいちゃわからない」という台詞がじんわりと沁みてきます。
海を宥めるために、父親が自分にしてくれて嬉しかったことを明夫が海にしてあげるのもいい。

簡単に言ってしまえば、全部いい。

最後に出てくる「ニリンソウ」。
花言葉を調べてみたら、レビューのタイトルの2つが出てきました。
明夫の父親の「好きな子が出来たら…」という台詞からして、きっと「ずっと離れない」という花言葉をimplyしてるんだろうなあ。にやにやしてしまう。

優しい気持ちになりたいとき、誰かに優しくしてほしいとき、ぜひこの本を開いてみてください。
温かい優しさに包まれますよ。

2

閉ざした「箱庭(情景の記憶)」と「赦し」

★過去の書評は好き嫌いの二極、「エトランゼシリーズ」より辛目評価が多いです。
「分かりにくい」と嫌う書き込みが多いのが、残念過ぎる。心理療法を意識して書いたとしか思えない作品。

▶あとがきに「クオリア」とは、箱庭の意味、と作者が描いています。
著者が選んだtitle「雪の下の箱庭」の意味を掘り下げると、筋書きを追いやすくなると思います。
「雪の下のクオリア」:「雪の下の箱庭」
=「閉ざして見えない情景(記憶)」
「潜在意識の中の忘れたい情景」を思い出して「赦す」浄化の一連を雪解けの自然描写に沿って描いた作品。

★閉ざしていた箱庭(古い情景の記憶)を観て、「その時の「その人の精一杯の愛」だった」のだと「赦す」。
これが、他人の観察を介して無意識のうちに自発的に行われていく。←ココ大事。
同居人の観察から 自分自身の内観を無意識に行う。
過去の記憶が氷解して記憶の中の情景が浮かび、俯瞰する。故意に触れなかった古い辛い経験の捉え方が変る。
二人の無意識に起こる心の変化が、秋~冬~春、景色が春に向かい雪解けしていく情景の変化に合わせて描写されています。

▶二人は「好きになった相手に 愛されたいって思ってる」のが共通点。
他人に関心を持たないアキが、一人で寝られない海に興味を持ち、海のトラウマを癒そうと行動していく。
★先輩:草木が好きで人嫌いな小林明夫は、家出した大嫌いな父が吸っていたタバコ、エコー(やまびこ)を何故か愛飲する。
★後輩:同性と一度きりの関係を繰り返す大橋海。本気で愛した人が居た。辛くて一人で寝られない。「先輩は、寝なくても一緒に居てくれるから 優しいです。」と言う。

▶結末
桜の樹の下で寝転ぶと、アキは父に肩車されて散歩をした時の言葉を思い出します。この日の後、父は戻らなくなった。
花を海が摘んで来て、寝転ぶアキに名前を尋ねます。
海の耳元でそっとアキが教える。・・花の名前は「ニリンソウ」4~5月に白く可憐な花を咲かせる多年草。
花言葉は「友情」「協力」
明るい未来を感じる場面で終わります。

▶この作者の描き方は、履歴が示す通り他の漫画と少し違います。アニメ化を意識した、と書けば分かりやすいかな。アニメの絵コンテ/コマ送りの手法と似ています。
アップテンポのイケイケ作品の後に読んだら、焦れて本を投げたくなるかも。

私は、面白いと思ったので、神評価。
---
▶深読みしすぎかも?・・「箱庭療法」
景観を構成する様々な要素のミニチュア庭園=「箱庭」には、心理療法の一技法「箱庭療法」
=遊ぶことを通して行う心理療法があります。
作者の言う「クオリア」は、この心理療法の箱庭も指しているのかも。
独: sandspiel therapie、英: sandplay therapy

★★内容濃い作品のレビューは難しい、くどいこんなレビューですが、読みたくなってもらえたら嬉しいです。★★

0

No Title

『好きな人がいなくなったらかなしいよな。それでちょっとおかしくなったとしても仕方ないかもな』

背景がほとんど建物の中と雪景色です、そのせいで静謐な空気が漂ってますがエトランゼシリーズで大事な人を失くした実央と同じ苦悩を二人を背負っています(エトランゼも名作)。

一見小林は内にこもって大橋は外に向かってますが実際は逆だとわかります、性に関する以外の他人との関りを断っている大橋に対し小林は植物の世話の片手間に大橋の面倒を見ます。

春になって関係が半歩進みますがその後二人がどうなるかはわかりません、印象的なラストでした。

1

優しくなれる

心が荒んだ時に読めば間違いない作品です。

0

緩やかな二人

紙本
修正…なし
カバー下…なし
カバー折り返し部分…なし
あとがき…あり

0

北国の自然と恋と

二人の関係がじっくりと書かれていますね。

北海道が舞台でしょうか。格安下宿のお向かいさんとして出会う後輩の海。一度限りの関係を繰り返す。
先輩の明夫、草木が好きで人間や女には興味ない。

二人の過去から今の二人が形成されたんだろうなあとわかります。
最初は海が明夫に懐き、つきまといますが明夫も嫌ではなさそうで。しかもルームシェアまでする!海は明夫が寝なくても一緒にいてくれるから優しいですと言いますがもうそんな言い訳はいらないくらい好きになってますよね。

お互いに相手のことをよく見て言葉を掛け合い過去のわだかまりを溶かして前を向いて生きていけるようになったみたいで。明夫の心の距離も縮まって。

明夫がゲイビ見たけど俺には無理だと言ったり、自分から海にキスしたり、海と付き合おうとしてるのかな?

二輪草の名前を耳打ちで教えるの意味があるのかな?

明夫が植物の名前を覚えたらお父さんに会えると思って必死に覚えたのかなあと思うと切ないです。
今では殴りたいのに思い出は大切にしてて。
親子の縁も感じます。

エロはないけど映画のようなお話でした。

0

時間をかけて雪は解けていく

 大学の先輩後輩で、恋愛に後ろ向きな考え方の者同士が徐々にお互いの存在を受け入れていく、そんなストーリーでした。先輩の小林は、大好きだった父親が不特定多数の女性と遊んでばかりでほとんど自分を省みてもらえなかった過去があり、今でも一夜限りの付き合いが多かったり誰とでも寝たりするような人間には抵抗感を持っています。後輩の海は、初恋の男性が結局女性の方に向いてしまい、それ以来自分を好きになってもらうことは端から諦めて、寂しさを紛らわすため不特定多数の男性と後腐れない関係を持つようになります。

 相容れない存在の2人ですが、ふとした相手の言動から相手に抱いていた印象が変わったりして、距離感が少しずつ縮まっていくところが素敵でした。ただ小林が、妻と子供を放ったらかしにしていた父親と、相手とも同意の上で誰にも迷惑かけずにいろんな人と寝ている海とを同一視するのは、ちょっと違和感がありましたが。父親は責任ある立場ですから責められて当然ですけど、海は誰も裏切ってないですからね。まあどうしても思い出させるのは仕方ないのかもしれません。でも、そんな小林が分かりやすい言葉は口に出さずとも、ゆっくり時間をかけて海の魅力に気付いていくのが、表情や接し方の変化から見て取れるような描写はとても良かったです。ストーリー展開と雪が解けて花々が満開になる季節感の描写もよく合っていました。

0

人情の機微が丁寧に描かれた作品

エトランゼが好きで、こちらも購入!
正直、エトランゼよりも好きになりました(╥Д╥ )

他の方が言ってるように、BLって感じは少ない…かな?
痛みや傷を抱えた者同士の優しい触れ合いです。

私は明夫の抱える痛さに引っ張られる部分も大きかったから、海に対する感情の揺れとか変化を暖かい気持ちで読めたけど、そういうのがわかりにくい!ってコメントも納得は出来ます。

直木賞よりは芥川賞にノミネートされるような作品…。
エンタメ、というよりは純文学!

途中、涙が出たりもしたけど
痛い・苦しい。じゃなくて、
自分の内にある硬くなってる部分が許されて解けていくような、
浄化の涙?が流れました。


BLの設定にありがちなアダルトチルドレンだけど、だからこそ痛みに覚えがある方には是非に…とオススメしたいです

1

何度も読み返したくなる作品でした!

クオリアってどんな意味なんだろうと、手に取った時に思ったのですが、日本語だと感覚質と呼ばれ、とても言葉で説明するのが難しい人が感じる感覚の意味らしく、意味を調べた時に困惑したのですが、あとがきにさらっと箱庭という意味と書かれていて、ちょっと拍子抜けしたのが1番の私の感想です(笑)
エッチシーンがないので思ったよりも、受けの海くんが一度きりの関係を繰り返す割には淫乱っぽさがないところや、キャラの個性や、動物たちの可愛さ、ご飯がとても美味しそうで紀伊カンナ先生おなじみのほのぼのだけど、ちょっとしんみり感が出ている作品でした。
どちらも、それまでの人生で心に闇を抱える経験をしており、過去を思い出し、涙する海くんを明夫くんが抱きしめ、優しく言葉をかけてあげるシーンでは思わず、うるっときてしまいました…。そして、一度寝た相手に無理矢理トイレに連れ込まれたシーンで海くんを明夫くんが殴ったりするような荒々しく、心の動きが表れてる描写がすごく好きでした。
この2人は、これからも体の関係を持つことなく、2人で寄り添い生きるんだろうなと思わせるような終わり方で、恋人でも友達でもない2人の関係にひたすら、暖かい気持ちになりました。
これからも2人が仲良く暮らせたらいいな〜と思います…!!

2

気持ちが切り替えられない私が駄目なんです…orz

「雪が溶けたら何になると思う?」

「あ…春になりますね…‼」
「今はどんなに寒くても春はまたやってくる かならず 不思議ですね…」

1999年発行の某コミックの台詞です。
17~18年前とは言え、あまりにも衝撃過ぎて未だ頭から離れないほど本当に大好きな台詞です!…ここに来て被るとは…。
アニメ化して↑の台詞のシーンもあるらしいから、分かる人は分かると思う。

いつ読み返しても泣けてくるくらい良い作品なので、同じような台詞が出てくるのを知っていた雪の下のクオリアはどこでどんな風に出て来るのか、構えて読んでしまいました。
いつかはこういうこともあるとは理解しながらも…うーん…。
しかも、雪の下のクオリアではそれほど深みのある感じもせず、スーっと流れた…。

BL最高!BLしか読まない!BLだらけになーれ☆!な私が言うのもなんだが、丁度映画「君の名は。」がやっている事もあって、絵柄似ているなぁーなんて思いながら、BL設定じゃなかったらストーリーも良いし万人受け最高だったんじゃないか?
キャラの顔も可愛いから煙草も似合わんし、こういう描写も無くせば子どもから大人まで好かれる絵柄だと思う。

同じアパートに住んでいた海と明夫。酔っぱらって帰宅した海を部屋まで運んだ事がきっかけでその日以降なつかれる。
明夫は人と関わりに関心がなく、海がゲイだと知ってもそれ以前に興味が無かったが、「先輩先輩」と寄ってくる海と食事を一緒にしたりするようになる。

「寝る位って相手は誰でもいいのかよ」
「まあ そうですね オレ特定の人とやりたくなくて」

明夫は家族を捨てた父親と海は違うと分かっていながらもこの発言が父親と考えが似ていることで不快に思う。
いくら過去の恋愛がツラくてもこれは聞きたくないわ。

海のちょいちょい出る不謹慎発言に本人は正直素直何だろうが、明夫の立場からしたら「なんだコイツ…。」と思われて当然だぞ。…それにもあんまり気が付いて無さそうだが…。

明夫は最初から最後まで感情に流されないというか、ブレない。
海に好きと言われても顔色ひとつ変えず「飯食え」で終わり。
海の姉(昔明夫の図鑑破いた)に聞かれても付き合っていないときっぱり。

カンナ先生の作品って兄弟が良く出てくるけど、姉ちゃん強ぇのばっか…。
海の姉、明夫の姉共に結構ズカズカと入っていきそうな性格。
明夫姉に至っては「男だよ 今一緒に住んでんの」に対して普通はルームシェアか?くらいで考えるのに青ざめた後、「お前薔薇だったのかー」
お察し良すぎwww
話が早いwww

途中捨て猫2匹を拾い飼うことになりますが、明夫が実家に帰る事になり海が猫とお留守番します。
その出掛ける間際に猫にチュウしながら「あんまり世話かけんなよ」
猫が二人の子どもに見えた!!!!
パパいってらっしゃい\(ФωФ)人(ФωФ)/

一人で双子ちゃん(猫)の世話頑張っている新米ママwww
毛布におしっこされてコインランドリーで洗濯していたところに明夫が帰ってきて、まだ毛布が乾いていなかった。
「半分ずつ使えばいいだろ」
海は過去の恋愛を思い出し、明夫は抱き締めながら父親の事を海に話した。
男前や…何もなかったけどorz

春になって明夫は「ゲイビデオ見てたんだけどさ なんかスゲーな 俺ムリだわ」
あまりにもさらっと言うがどういう意図があるのか分からなかった。
その後明夫の方からキスするし、「タバコ吸いたい」って言った後すぐ「やめる」って言うし、 理由が「お前といると優しくしたくなる」

…?

あぁ、これ、好きになった瞬間とか心理描写とか一切ないんだわ。
漫画特有の鼓動(ドキドキ)とか指摘されて顔真っ赤にしたり、挙動不審になったり。
そんなんだから全て話の流れと空気と雰囲気で読む側が納得していかないとモヤる。

昔花の図鑑を 「好きな人が出来たら教えてあげると良い」と言われて父親に貰った。
海に聞かれて花の名を耳元で囁く。
不思議な顔をする海…聞こえたのは花の名前だけだったのか?////

雪や春風、草木など小道具(?)を上手く使ってとても綺麗な話でした。

初めに戻りますが自分は入りから斜めにして構えて読んでいたので受け入れられず、それぞれの見せ場が薄まってしまいました。
ガツンとした場面もなく、心に染みるようなシーンも…。
本当に綺麗な柔らかいものが通りすぎるって感じでした。






5

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