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-雪が溶けたら何になる?
-水
-雪が溶ければ春になりますよ
これは、作中の主人公たちの会話なのですが
この作品を表すのにぴったりな、とても好きなシーンです。
男にも女にも興味がないと言い切る草木・花好きの明夫と
ゲイで、恋愛において一度限りの関係しか築こうとしない海は、
それぞれの過去に、暗く寂しい影を宿していた。
そんなふたりが出会い、少しずつ心触れ合っていく内に
根雪のように覆われた冷たく悲しい傷が心地良く溶かされ、
次の季節、春へと向かっていくお話。
紀伊さんご自身はこの作品について
”話も萌えも地味”だと、インタビューで仰っていますが
(加えてとても難産な物語だったようですね)
わたし個人としては、すごく好みのお話でした。
物語の舞台が北海道がということで、
長くつめたい雪国の季節感と日常を交ぜながら
雪の下にしっかりと宿っている春を
ふたりの主人公の心情と共に丁寧に描き綴られています。
はじめはへらへら笑顔が目立つ奔放な海が
明夫と関わるうちに、ふてくされた顔を見せたり
明夫の心境の変化に驚き顔になったりする姿や、
眉間の皺が定位置(笑)の明夫の表情が
少しずつ解されるように柔らかくなっていく過程が
ごくごく自然で、非常に好感が持てました。
草木や花、動物、食べ物等の描写もたくさん出てきますが
さすが紀伊さん、画力に関しても言うことなし。
又、脇役たち、殊に毎度ながら女性キャラたちの逞しい、
男気溢れる感じも健在で、紀伊さんらしくてポイントが高い。
萌えに関しては、やはり明夫の表情や仕草の軟化でしょうか。
実家に帰る明夫が、鳴き止まない猫にキスをしたり
クライマックスで見せる、海に向けた優しい表情と笑顔には
胸に温かさが広がるようなキュンの連発でした♡
ふたりがキス止まりなところもイイ!
又、『雪の下のクオリア』というタイトルが
物語や作画と同じくらい素晴らしい。
あとがきによれば、紀伊さんは”クオリア”を、
”箱庭”の意味でつけられたそう。
調べてみると”クオリア”には、”~のようなあの感じ”という
心象的な感覚を表す意味があるようです。
”雪の下で眠る春のようなあたたかい、あの感じ”
といったような意味にもとれて、とても素敵です。
評価は、タイトルを含めひとつの作品として素晴らしかったこと、
草木や花、雪といった個人的に大好きなモチーフが
ふんだんに使われていることから、持ってけハート泥棒の”神”評価です!
最初読んだ時「かわいいけど…どういうこと⁈」ってなりました笑
紀伊カンナ先生、海辺のエトランゼでもだったんですが何回か読んでセリフとセリフの意味をつなげないと最初は全然わかりません‼︎笑 でも、ちゃんと読めたときの心に沁みる感動はこの人しかかけないんじゃないかなーと思います。
なんか、先生にひどい振られ方してショックなら逆に他の人と誠実に付き合おうとしろよ!みたいなこと言ってる方いますが、海くん(受け)自身が「不誠実だと思ってても1人じゃいられなかった」って言ってますよ。
好きだった人になにも言われず裏切られたと知ったら、きっと誰かを好きになることは怖くなるでしょうね。純粋だったからこそ海くんは裏切られたショックで恋愛に対して不誠実になっちゃったんですね〜でもほんとはさびしい…っていうのが垣間見えてきゅんきゅんしました!
先輩(攻め?)も男らしいというか、ばっさりして、でも優しくてかっこいい。古風な考えの男!って感じですね。これからもっと受けにほだされてほしい……
深読みしたくない人、エロ目的には向きません。ほんわか、男の子の切なげな表情、セリフと表情からキャラクターの心情の機微を読み取るのが好きな人にはとってもおすすめです!エトランゼもクオリアも続編出てほしいなー(*^^*)
心に沁みる優しい作品です。
紀伊先生の作品はどれも1ページ、1コマの絵の描き込みが多く、映像美が素晴らしいという印象です。とても柔らかく、優しく、どこか懐かしい気持ちになる、そんな温かみのある絵です。
内容ですが、ものすごく大きな起伏があるお話というわけではなく、エロもありません。しかし、繊細な表情や台詞の意味などを感じながら読んでみると、映像美も相まって、読み終えた時に映画を一つ見終えたかのような幸福感を感じることができました。
この一冊ですとんと腑に落ちる感覚と、素敵な作品を読むことができたという幸せを感じることができ、読み終えた後は心穏やかな気持ちでした。
流し読みしてしまうには勿体ない作品だと思います。一冊この本を手に取って、夜にゆっくり読んでみてほしい、そんな作品でした。
がつがつしてないところがいい。
しっかりBL!主張する作品ではないのですが
それが逆に心をほっこりさせてくれました。
トラウマを抱えつつ険悪するのにそれを捨てられない。
好きな人を作るのを恐れているが一人ではいられない。
そんな二人がじわじわ近づいている距離感がすごくいい。
春夏秋冬季節が流れて、いつの間にか。
自然と笑顔がこぼれ、自然と唇を重ねる。
驚いた表情がすごくかわいくて、その先に見える未来を想うと
ほおが緩んでしかたがない。
もう少し先の未来、ずっと先の未来。
もうすこし見ていたいと思うお話しでした。
きれいな表紙にひかれて購入しました。
あっさりした絵柄ですが、線がとても綺麗で、読みやすかったです。
本サイトのインタビューや、あらすじなどを見て、ちょっとエロイのかなあなんて期待したのですが、いい意味で期待を裏切られました。Hはしてないのに、ひとつひとつの仕草がなんかエロくて、バタバタしながら読んでいました。とても楽しかったです。
異性も同性も興味ない主人公の小林君が、ゲイでいろんな男と一夜限りの関係を築く大橋君になつかれ、最初はそっけない態度をとるも、どんどん大橋君にひかれていき、最後は…という話です。
最初から最後まであまあまなのに、なんかせつない、一回読んだだけじゃよさが、あまりわからない。そんな感じで、誰にでも進められる感じではないです。
癒されたい、という方にはあまりお勧めはできません。
でも、私はめちゃくちゃドストライクでした。久々に当たりの本に出会えてうれしいです。