深窓の令息は、夜に啼く……。

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表題作その脚の白き誘惑

梁瀬哲志,29歳,親友の依頼でリハビリ医師を演じる
宇田川槐人,事故で脚が動かない旧家の青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

親友の依頼で、百億の負債を抱える没落寸前の旧家を訪れた梁瀬は、有名なリハビリ医師だと身分を偽り、事故で脚を動かすことができない槐人に接近する。だが、マッサージと称して触れた美しい脚に、すっかり魅了されてしまう。遊び慣れた梁瀬にとって、ほんの気まぐれのつもりの淫靡な施しに、恥じらいながら悶えていく槐人。その姿が健気で愛しく思うようになるにつれ、本気で彼の脚を治してやりたくなった梁瀬は……。

作品情報

作品名
その脚の白き誘惑
著者
火崎勇 
イラスト
周防佑未 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048659703
2.4

(5)

(0)

萌々

(0)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
10
評価数
5
平均
2.4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

攻めの恋愛観が独特

攻め・梁瀬の一人称「俺」で進行する物語。
タイトルから脚フェチの話かと思いきや、そこはあまりフィーチャーされない比較的真面目なお話でした。

ゲイの梁瀬(攻め)は、悪友の依頼でリハビリ医と身分を偽り、元華族の旧家を訪問。
交通事故で脚が動かなくなった美青年・槐人(受け)のリハビリを手伝ううち、彼に惹かれていき…というような話です。

脚フェチではない梁瀬ですが、マッサージの際あらわになる槐人の美しい脚に欲情し、更に彼の素直で芯の強い性格も気に入って、彼を好きになっていきます。

しかし槐人を甘やかすわけではなく、彼が独り立ちできるよう教育しようとするのがこの主人公の面白いところ。
借金まみれの家に暮らす槐人に経営学の基礎を叩き込み、将来どうすべきか彼自身に考えさせる等、自己啓発系のセミナー講師か何かのような気合の入り様です。

そうして彼を精神的に成長させ、その上で、彼自身の意志で自分を選んでほしい…というのが梁瀬のスタンス。
それは、度々登場する梁瀬の悪友(槐人の姉を口説こうとしている)の恋愛観ともリンクするところがあります。
全体として「仕事にも恋愛にも精力旺盛な男の美学」のようなものが描かれており、ラブ展開そのものよりも梁瀬や悪友のキャラクターの方が興味深く感じました。

ただ、梁瀬は口ではカッコいいことを言いつつも、リハビリ医の立場を利用して無理やりフェラするわ、槐人の家の会社を買い取るわで、肝心なところでは槐人のを尊重せず独断でコトを進めてしまうあたりややダブスタな印象。
恋人に自立心を求める一方で、自分の支配下におきたいという願望も捨てきれない…というのはなかなかリアルな人物像ですが、萌の観点からいくとややマイナスでした。

梁瀬がリハビリ医でない、と知った槐人の反応があまりに鈍いのも拍子抜け。
騙されていたことにもう少し腹を立てるべきだし、梁瀬は梁瀬で、バラすタイミングが遅い上悪びれないのは人として少々ダサいと思いました。
※梁瀬の本当の職業はラストまで明かされませんが、ある程度予想はつきます。

先生生徒のような関係なので甘さには欠けますが、こういう年の差カプ物もたまには良いかもしれません。
攻めの尊大さと説教臭さ、ちょっとしたセコさが鼻につくのが難点ですが、現実にもこういう人いるよな〜というリアリティはあり、そういう意味では面白い作品でした。

7

スペックの高い攻めが主人公

1冊すべて表題作の長編です。

梁瀬(攻め)が主人公。彼の視点でストーリーは進みます。
柳瀬の正体(職業)はラストで明かされるのですが、重富重工の御曹司とも引けを取らない物慣れた様子に、容姿だけでない格好良さが序盤から伝わってきます。

作品のキーポイントとなる柳瀬の性格は、かなり強気ですが、ワガママではなく、主義主張がしっかりとしたものです。上手に考えを書かれているので、私は「コイツ何様」という反感はなかったですが、好感を持ちもしませんでした。

ストーリー自体も柳瀬の主導ですべて展開していく感じです。
槐人(受け)にもベタ惚れというより、自分の理想とする恋人像と一致するからという風でした。
遊び慣れた攻めが、純粋な受けにメロメロで甘いという作品を期待されると拍子抜けかなと思います。

タイトルとも関連する槐人の足は、他の者と違って魅力的、触れたい!という衝動が沸いたというより、事故で動かないのを何とかしようという考えが強く思えました。あと女装はさせなくても良かったのでは。そこまではクールで思慮深い柳瀬だったのに、その場面だけ浮いて感じました。

柳瀬の友人・重富も同様なんですが、自分たちの理想の恋人を探すために試すような場面があって、私はその辺がちょっと気になりました。自分たちが常に「選ぶ側」という優位がそのままだったので、もっと恋人の登場で動転したり慌てたりする姿が見たかったかなと思いました。

強気で仕切っていく攻めと、突然現れた攻めに戸惑う年下受けがお好きな方にお勧めだと思います。
イラストは繊細なタッチで作品の雰囲気に合ってると思います。表紙の柳瀬の手つきとかエロいなって思いました!

1

私にはわかりにくかったです

 梁瀬は女に夢を持つ親友の付き添いで、その運命の人がいるかもしれない家に行き、その女性の弟――槐に興味を抱く。
 槐は梁瀬の好みの見た目をしていたが、自己主張と覇気に欠けていた。
 友人に付き合いながらも、リハビリ医として槐の足に触れ、槐の中にあるひたむきさを引き出そうとする梁瀬だが……

 という話でした。
 なんというか……言いたいことはわかる! でもわからない!! って感じの話でした。
 書きたいコンセプトはわかるんですよ。
 女に夢を抱く親友と梁瀬はよく似ていて、それぞれの理想に夢を抱いている。でも、親友の恋愛対象は女だけれど、梁瀬の恋愛対象は男。だから好きになる対象が被ることもないから友情が続けられた。
 そして、友人が運命の相手を見つけるのと同時に、梁瀬も運命の相手を見つけることができた! っていうのが書きたい! っていうのはわかるんですけど。
 文章が説明臭い……
 しかも、やろうとしてることはわかるんだけど、結果がわかってるのに何でそんなことをするのかわからないことをやっているし、「理想のタイプ」ってのが先立ちすぎて、「それをするかどうか?」みたいな試し行動多すぎて、読んでて疲れました。おまけにその試し行動が高尚すぎるので、ちょっとついていけませんでした。

 この作者様の本でこんな気持ちになることはあまりないので、少し困惑していますが、それが正直な感想でした。
 私がわからないだけですかね?

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