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表題作初恋にさようなら

速水修司,17歳,高校生,バレーボール選手
恵那千尋,27歳,神経内科医

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

研修医の恵那千尋は、高校で出会った速水総一に十年間想いを寄せていたが彼の結婚が決まり、失恋してしまう。そんな傷心の折、総一の弟の修司に出会い、ある悩みを打ち明けられる。高校三年生の修司は、快活な総一と違い寡黙で控えめだったが素直で優しく、有能なバレーボール選手として将来を嘱望されていた。相談に乗ったことをきっかけに、毎週末修司と顔を合わせるようになったが総一にそっくりな容貌にたびたび恵那の心は掻き乱され忘れなくてはいけない恋心をいつまでも燻らせることとなった。修司との時間は今だけだ―。そう思っていた恵那だが、修司から「どうしたらいいのか分からないくらい貴方が好きです」と告白され…?

作品情報

作品名
初恋にさようなら
著者
戸田環紀 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344837836
3.9

(41)

(15)

萌々

(17)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
8
得点
156
評価数
41
平均
3.9 / 5
神率
36.6%

レビュー投稿数8

受け・攻め双方の気持ちに胸が締め付けられる

昨年12月発売の『熱砂の相剋〜獅子は竜と天を巡る〜』で戸田環紀先生を知り、好きすぎて再読した後、先生の作品を探して読んでみた、こちら。

素晴らしかった…開始数ページで物語に引き込まれました。

年齢差(10歳!)×年下攻め。
最近、年下攻めでも「アンタ」呼びする作品を続けて読んでいたので、敬意を忘れず、最後まで丁寧に話す年下攻めっていうだけで、もう胸キュン。

切ない二人のすれ違いに、ぎゅっと胸が締め付けられる現代もの作品でした。

前半は、受けの恵那→攻めの兄である総一への叶わぬ片想いに。10年の夢破れ、結婚が決まった報告を真っ白な頭で聞く恵那の心境が痛いぐらい伝わってきて切なかった。。

中盤では、攻めの修司の、嫌われることを怯えながらのストレートな告白に胸を打たれて…

後半は、恵那が好きだったのは兄の総一であったと知った修司とのすれ違いに苦しむ恵那の姿に。

高校時代から10年も好きだった相手の弟から、本気で「好きだ」と告げられたらー
だんだんと修司に惹かれていく自分に気付きつつも、どこかで「身代わりにしているのではないか」と恐れてしまう恵那の気持ちにぐっと共感してしまって、読みながら苦しくなったりしました。

総一・修司どちらも素晴らしく好感の持てるキャラだったのに加え、彼らのお母さんとのエピソードもね。。良かった。。涙ぐむ恵那と一緒に、うるっと来ました。

お母さんの震える両手と、紡ぎ出される温かい言葉。
実の両親には認めてもらえず、”治療”と称され連れ回された辛い過去があるからこそ…お母さんの気持ちがどれほど恵那の心に響いたか。思い出すだけで、今ちょっと泣けてきた、、

初めて読んだのはファンタジー作品で、そちらも文句なく素晴らしかったのですが、現代ものってよりリアルに身近に感じられて、心を揺さぶられる気がします。

しっとりと世界観に浸ることのできる、素晴らしい作品でした。
戸田先生の作品、他のものもチェックして読んでみようと思います。

0

かわいい弟

戸田さんのデビュー作なんですかね、読みやすく、BL初心者さんでも大丈夫な気がするストーリーでした。

ずっと、高校の頃から同級生に思いを寄せていた恵那。その親友の総一が結婚すると聞いて引導を渡される。高校の頃にも告白して振られていたが、それからは変わらず親友としてのポジションで、人知れず思い続けていた。
なのに結婚式でそっくりの弟に出会ってしまう。

それからの弟である修司と恵那の心の動きや、変化、そして高校生である修司のひたむきさに萌ました。でも、恵那の方は、総一への想いと、修司のことを身代わりなのかも、と思ったり、修司のことしか出てこない頭に、次第に修司として好きなんだ、と自覚します。けれどもやっぱり総一と混乱しているのかもしれないと不安になったり。

ある日、総一と再会して、その嫁にも嫉妬ではなく単に結婚した相手として見ることが出来ている自分に、ちゃんと修司を好きなんだと思います。なのに、修司に過去、兄を好きだったということがバレてしまい、、、、

恵那自身は、昔ゲイだと自覚した際に両親から病気と言われ、苦しんだ経験があります。しかし、修司のお母さんは葛藤はあるものの尊重してくれます。
恵まれた二人、幸せになって欲しいです。

0

純なお話

高校生のバレー部エース x 神経内科医

攻めは高校生で、受けは27歳のドクター。
攻めの兄が受けの初恋の相手。

『君の瞳に愛をささやく』が良かったので、こちらも読了。

戸田先生のデビュー作ということで、どんな感じなのだろうと楽しみだった。
改めて思うのは先生の文章が好きだということ。
心に刺さるものがあって、文章力がすごいと思う。

現在発行されている3冊全て読んでの感想としては、
文章力が素晴らしく、話の持って行き方も好き。

ただ、評価が神までいかないのが自分自身歯痒い。
これは私の個人的好みの問題。

先生の作品は、最初は攻めから好きと好意を寄せられ引きずられるように付き合うが、結局受けの優柔不断さや、何か問題があって、素直に攻めの愛情を受け入れることができず、攻めが離れていってから、受けが攻めをどれだけ好きだったか気付いて、後から攻めを追いかけるという感じ。
攻めはもちろん受けを嫌いになってなく、ずっと好きなままだから、最終的には受けが縋り付く形でハピエになる。

私が好きな展開は、攻めはどこまでも受けを愛し、包容力があり、受けが離れようとしても、絶対に諦めず、アプローチをやめない、包み込むような形だ。
受けからのアプローチや告白より、攻めからのアプローチや告白で受けが最後は素直になるような感じが好き。

そこが少し自分としては神評価にしきれない所。

攻めはどこまでも受けを信じ、攻め自身も自分の愛を信じてる。
または、受けは攻めの愛を信じ、必ず戻ってくると信じるような展開も好き。
だって、やはり受けはどんな形であれ受け身であり、攻めがいないと生まれない輝きだと思うからこそ、攻めが離れたらダメだと思う。
愛は後悔するものではなく、信じる強さである。そういう所の話も見たい。
戸田先生の文章や展開等が好きなので、そういう作品も今後は期待したい。

2

丁寧な心理描写に萌える

ずっと気になっていた作品。すごく萌えました…(余韻に浸っている)

設定的に萌え満載でした。冒頭はなんだか少し読みにくいというか、うっすらと感傷的に感じる表現にゔッとなりましたが、心理描写が巧みで、ストーリーが進むにつれキュンキュンしながら読ませていただきました。作者の風景や情景描写がとても綺麗で好きです。


中学生の頃にセクシュアリティを自覚し、高校の同級生だった速水総一に10年片思いをしていた恵那。一度は思いを伝えたけれども、友人として側にいることを選び、社会に出て研修医として働く今も友情は続いている。

しかし、総一が結婚することになり、絶望感に打ちひしがれていた恵那は、友人代表スピーチを頼まれてしまう。披露宴で無事大役を果たした後、総一にそっくりな弟の修司と挨拶を交わし、改めて総一に弟がいたことを思い出した恵那だった。


切ないんです…。恵那は自分がゲイだと自覚があるけれど、両親からは認めてもらえなかった過去があります。両親を騙し、片思いしている総一を騙し、自分を騙して大切な恋を守ってきた、孤独な思い。

他方、子供の頃、愛犬のあんこをかわいいといってくれた兄の友人を覚えていて、高校生になってから再会したその人に恋心を募らせていく修司。彼も高校生なりに悩みや重圧、孤独感を抱えていました。

恵那は、バレーボール選手として将来を嘱望されている修司の体と心の悩みや勉強の相談にのっているうちに、総一へ抱いている思いが揺らぎはじめます。

身代わりものは大好きなのですが、こんなに穏やかな気持ちでぎゅーんとさせられたのは新鮮でした。それは速水兄弟が本当にめちゃくちゃいい男たちだったからかも。見た目は似ているけれど、年が離れているせいか互いのことを尊重していて、とても家族思いなんです。

それと、息子の恋愛に理解を示す速水ママの複雑な心境もとりこぼさず、なおも子供を尊重してあげたいという愛情の示し方も、BLとしてこれからの時代を感じました。愛し合う二人を咎める権限なんて、一体誰に許されているのか?…と。

速水兄弟みたいなイイ男たちを拝めるのがBLの魅力。さらに、恵那が恋愛でダメージは受けても、(身体的にはさておき)メンタルがなよなよしておらず、しっかりと仕事の将来を見据えてキャリアを積もうとしているところもよかったです。

野球ボール、チョコレート、修司セレクションのCDなどの演出も効いていました。こういった小物やモチーフ使いにも作者のセンスがでますよね!

あぁ〜、とっても切ない現実逃避の時間を過ごさせていただきました。電子だったので小椋ムク先生のイラストが拝見できず残念でしたが、カバーイラストでイメージ補完します笑

4

誤魔化せない想いに胸アツ!!

私は年下攻めが大好きなのですが
「これだから年下攻めは!!もう!!!」と
悶えまくった作品となりました。

研修医の恵那は心根が優しく、穏やかな青年ですが
高校時代からの親友・総一へ密かに想いを寄せていました。
ある日総一から結婚すると報告を受け
覚悟していたはずなのに悲しみに襲われますが…。

片想いしていた親友が結婚して
その友人代表スピーチを任されるというのは
正直あるあるかもしれませんが
今作での披露宴が終わった後のシーンはもらい泣きしました!!
総一がどれだけ恵那を大事に思ってくれているのかわかるような仕草やセリフに
胸が苦しくなってかなり恵那に共感しまくりでした…。
そしてその時が総一の弟・修司との再会だったわけですが。

バレー部キャプテンだなんてテンション上がっちゃいますww
ただ、その周囲の期待がしんどくて
悩みを恵那に打ち明けた時の様子ときたら
意外で思わず目を見開きましたよ!!!
DKなんてそれこそ性欲魔人で仕方ないと思うのに
夜も熟睡できない程自分を汚いと思い込んでしまっていて…可哀想。
恵那が言葉を選びながらアドバイスして
どれだけ修司をラクにしてあげられたかって考えると
とてもホッとしてしまいました。

恵那に惹かれる修司、
修司に総一の面影を探してしまいながらも
誠実で健気な態度に絆される恵那、
エピソードに無駄がなく世界観に入り込めました。
景色の描写も美しかったです!

とにかく、修司が優しいんですよ!!!
過去の悲しみと総一への行き場のない気持ちを
全部とっぱらってくれるような言動に
いやー…こんなDKリアルでは多分いないな……。

初Hの時も、そんなに気遣ってくれるなら
恵那も全てを預けられるね!って思いましたが
テーピングつけたままの指で愛撫は…衛生的にちょっと…。
いえ、解す際、ゴムを付けてくれてましたが
修司的には感覚として覚えるならテーピング外した方がいいんじゃないかと
また些末なことを気にしてしまう私の悪い癖です。すみません。
修司の指だってわかるからと恵那は言っていましたけど
初めてだから別に素の指でも良いのでは…。
勝手にこだわっちゃってごめんなさい!!

でも素晴らしいエピソード満載でしたし
デビュー作とはとても思えないしっかりとした作品でした!!
文章にもクセを感じませんでしたし
心優しい年下攻めをお読みになりたいお方に是非!!と言いたいですww

3

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