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王道だけど。
なんかgateau率高いな…。絵柄とかエロスよりセリフやモノローグのインパクトが残るレーベルです、個人的には。なので何気に読み返し率が高いんですよね。この作品も購入してから何度も読んでいるんですけど、読むたびに人物が発するセリフやワンフレーズにハッとする発見があります。
定番の高校生モノですが、ありきたりに陥らず、わたしは最後の描き下ろしまで新鮮味を噛み締めながら読み終えました。表題作のみの収録です。
高校生の玲二は一コ上の先輩に惚れていて、キスまでは許してもらえているけれど、ホモになるつもりはない！と、それ以上は拒否されている。でも玲二としては、好きだからこそエッチもしたいわけで…。
序盤、玲二は先輩に怪我をさせてしまうのですが、その怪我がさりげなく時間の経過と先輩の気持ちの変化を表す、いい仕事をしているんですよ。加えて、玲二の友人の「石橋を叩いて渡る」阿部。彼は二人の関係を進展させるべく、意外な働きをしてくれるナイスな脇キャラです。
メインテーマは高校生ならではの恋と進路の悩み。このお話ではどちらも同等に扱われているところが「らしくって」イイのだけれど、BLでありながらサラッと同性愛というトピックに言及している点がポイント高いんです。阿部が玲二と先輩の様子を見ていて、お前らもっと石橋を叩けよ！とツッコみ、あるいは卒業式のシーンで、恋愛に男女の区別はないと独り言ちる。描き下ろしに辿り着くと更に明らかとなるネタが仕込まれているのですが、メインカプがBLだからといって簡単にくっついたりエッチしたりという安易さに流れていないところがいい。
サブテーマは好きという気持ちをどう表現し形にしていくかでしょうか。二人の場合、言葉ではなく行動で答えを探ろうと試みます。そこが若さのエネルギーと度胸！先輩の方はエッチに至るまでものすごく悩みつつも、エッチをすることで。玲二は阿部や先生のアドバイスに耳を傾け、進学を決めることで。やはり、先輩のためらいと葛藤の深さはこのお話が男女ものではない所以。彼はかなーり同性同士のセックスに抵抗を示しています。そして玲二の方はどうやってセックスに持ち込むのかばかりを考えている自分を不謹慎だと反省する。そういった描写にも個人的には好感を持ちました。
二人がその後どうなったかが描かれている最終話はちょっと泣けます。描き下ろしには二人が出会った頃が描かれているんですが、先輩と幼馴染みのてっちゃんのサイドストーリーを兼ねています。この二人の関係もBLっぽくて萌えましたねぇ。で、彼らに嫉妬した玲二のお話が冒頭に戻って始まる、という構造になっています。
BLというフィクションであろうとも、ゲイとノンケの区別がない世界観はどうしても違和感を覚えてしまうので、どっかしらにセクシュアリティー情報をコソッとしのばせてくれるとありがたい。だからといって悲恋に終わらず、生涯続くであろう一生モンの出会いを大事に描いたこの作品には、折々に胸を締めつけられつつ、今っぽさを感じて唸らされました。うむ、神にしちゃおう！
大人手前の少年たちととろみソーダ
ストーリーテリングが上手すぎる！
登場人物それぞれの心の動きを、ここまでナチュラルに描き切った作品に出会ったのは初めてです。
ホモじゃない、と言いながら玲二と付き合う先輩。
キスまでしかしないという先輩とどうしたらもっと先に進めるか日々悩む玲二。
先輩が怪我をしたことで物語が動き始めるのですが、その時々に先輩と玲二がどんなことを感じているのかが、逐一モノローグの吹き出しで出てくるのが絶妙。
多すぎず、少なすぎず、本当にこの時期の男子高校生が考えているであろう言葉で淡々と描かれているのです。
飾り気のない言葉だけにリアル感が増すと言うか。
心情の吐露だけじゃなく、ちょこちょこツッコミが入ってくるのも小気味良い。
ツッコミからくる笑いの効果で玲二や先輩に親近感が湧くのです。
しみじみうまい。
読んでいない方にはぜひ読んで体感してほしいです。
先輩も玲二もすごく真面目。
一生懸命、誠実に相手に向かい合ってる。
先へ進むことへの覚悟。
学年が違うことで進路を決める時期もずれる。
当然、別々の生活が始まる。
そういうずれを「すれ違い」にしない手法もさすがでした。
本編8話＋番外編で、本編ラストでは10年後のふたりが見られます。
番外編は出会い編。
番外編を読んだら、玲二ってこんな子だったの！？という驚きが起こるはず。
ちょこちょこネタバレしましたが、本当はネタバレしたくない。
実際に読んでいただいて、ページをめくる毎にふつふつと湧き上がったこの感動を分かち合いたい！読んで！そして語り合おう！！
玲二の親友の阿部がとってもツボでした。
この作者さん、他にも読んでみたいと思ったら、この作品が初コミなんですね。
今後の作品も期待してます！
実は名作だと思う
えっ？これ、隠れた名作じゃない？
すっごいよかった！いや、本当に。
先輩と、先輩の年下彼氏・玲二の凪いだラブストーリー。
静かに静かに進むストーリーです。
はじめ、自分はホモじゃないといって玲二との関係に一線を引こうとする先輩が、ちょっとズルい人に思えました。
でも、読み進めていくとわかる。
先輩も悩んでるし迷ってるんです。
その迷いをふっきって、いざとなったら尻込みする玲二に自分の気持ちをしっかり示します。
とても男らしかった！先輩かっこよかったです^^
すぐに途切れそうなほど弱く感じた関係が、読み終わる頃には強いものに感じる。
この二人は絶対に大丈夫だと思わせてくれる、ストーリー運びや言葉選びが秀逸でした。
10年後、いつもの道を初めて手を繋いで歩くーー
とっても素敵じゃないですか♡胸アツですよ。
付き合う前の二人の出会いの話も最高に切なくて、最高に胸キュンでした。
青春だなぁ〜
後輩×先輩
後輩は先輩にぐいぐい行くタイプの長身のチャラ男、先輩はややツンデレ風味で、「自分はノンケだ」と言い張り、身体の関係を拒んでいます。先輩の大学進学に伴う上京なども絡み、ふたりが対話の中で関係を深めていく、ゆっくりとした物語です。
どちらかといえば優しい先輩とワンコ後輩が好きなので、微妙に嗜好とは異なりましたが、マンガ的な誇張表現、突飛な展開もなく、丁寧で優しいお話でした。
ちなみに、後輩の友人、よき理解者として「阿部」というチャラ男が登場するのですが、彼はのちに妻帯者となる生粋のノンケ。しかし、先輩の卒業式のシーンで男性に告白されています。この男性（おそらく阿部より１学年上の男子高校生）が、健気そうでかわいくて、どうも一時期阿部が彼とのっぴきならぬ関係になったらしいことが作品中で示唆されています。のちに阿部が結婚することを考えると……、切ないです。
本編は個人的な嗜好の問題で「萌」かな？ でも阿部と彼の物語がものすごく気になるので「萌２」評価で！
自分で選んだことが将来に繋がっていく
初めて読んだ山本夜先生の作品です。
山本夜先生のデビューコミックスですが、何度も読み返したい心に残るお話です。
高校2年生の玲二くんと高校3年生の「先輩」のお話。
お話は、玲二くんの視点で進みます。
同じ高校の先輩とお付き合いをしている玲二くん。
先輩には「俺はホモじゃないからキス以上のことはしない」と言われています。
来年に大学受験を控えている先輩
先輩とセックスがしたい玲二くん
等身大の高校生が抱える不安と戸惑いが丁寧に表現されています。
2人は学年が違うので、同じスピードでは大人になれません。
先輩が将来を見据えて進路を考えているときに、自分の頭には先輩とセックスをすることばかり。
そんな現実を突きつけられて、玲二くんは落ち込みます。
「つきあっているのに、どうして俺は片想いなんだろう」
今よりも前へ進む覚悟が出来ている？
悩んで悩んで出した答えは？
最後は、10年後の2人になります。
ここはネタバレなしでご覧ください。
当て馬は登場しませんが、玲二くんの親友 阿部くんがいいキャラです。
そんな阿部くんの座右の銘は「石橋を叩いて渡る」です（笑）
ぜひ、過去に一度危ない橋を渡ったお話をスピンオフで読みたいです。
卒業式の時に告白された先輩ですかね？
でも、阿部くんは結婚しちゃったから、ハッピーエンドにならないんだよな～。
描き下ろし『SO YOUNG』
玲二くんが先輩に告白するまでのお話。
絵柄はまだ粗いですが、玲二くんのモノローグで、世界感に惹き込まれます。
大人と子供の間を揺らめく2人の気持ちと距離感が伝わりました。
先輩が好き
この先も先輩の隣にいたい
玲二くんの一途な想いが叶い、先輩と手をつないで歩く2人の道。
せつなさもあり、幸福感も味わえる良作だと思います。
多くの人に読んでいただきたいです。
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