HOT FASCIO

10年愛

ずるくて小心者で保身に弱い受けがたまらなく魅力的に思える話で、業界物です。
誘い受けが好きな方には、特にお勧めです。
業界の様子がしっかりと書かれているので、業界物好きな私は満足しました。
受けが他の男の愛人をしている、攻めが他の男と関係を持つ等があるので、苦手な方はご注意。

アイドルから俳優へ・麻生顕一(18～28)一途攻め×萬代の愛人兼俳優・砥上炯亮(24～34)誘い受け
ただのアイドルから俳優への転換期のドラマで、炯亮と初めて出会う。
炯亮が脇役で出ていたドラマのファンで、実物は役柄とも違って無邪気で怪しい魅力を持った人だった。
そして、大御所の萬代の愛人ということは事実だった。
実物だけではなく、現場でみた『砥上炯亮』という役者にも魅せられる。
炯亮からの誘い受けで関係は始まり、萬代は愛人で、顕一は恋人と同時進行で進むが、愛人からの横入りで、二人の道は別れること……。

炯亮は萬代の愛人になることで、一足飛びにスターの座を掴む。
それは昔からの生きていく手段で、矛盾はなかった。12の頃から自分の身体を金にかえて生きてきて、その生き方しかなかったから。
萬代は愛人で、顕一は恋人として楽しんできたが、萬代から切られるかもしれないと言うと、顕一の方を捨てられるずるさがある。
保身にたけていて、甘いし弱い。
それでも、砥上炯亮という男はそれでもいいという魅力があるのが恐ろしいです。

HOT FASCIO２では、10年後の話です。
正に下剋上で、10年前とは全く違う立場に顕一は登りつめていて、片や、炯亮はただのホームドラマのトレンディー俳優で、所属事務所は借金でボロボロ。
復讐してもいいぐらいの目に顕一は合わされるのですが、根底にあるのは『砥上炯亮』というカリスマ俳優への愛で。
単純な復讐譚ではなくて、10年愛が根底にあって、業界の描写もよかったです。
ガッツがあって健気な年下攻めものとしての見どころもあります。
10年経っても、炯亮は自分には甘くてずるい男で、それでも好きだという顕一のべた惚れ振りがとにかくたまらなかった。

エロ：★３　初な顕一を誘い受けして、関係を持つ初めがよかったです。立場逆転の後編もいいです。
総合：★５　業界物としてのがっつりした読み応えと、二人の濃密な関係がよかったです。