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この作品は2003年発行で、発表自体は雑誌でもっと前のよう。
そのせいか序盤に公衆電話という下りがありまして、ん?携帯持ってないの?と思ったら10年以上も前の作品だったという(苦笑
でも、だからこのスローな優しい作品になったのだと思います。
普通なら再会したら『じゃあ、アドレスは〜』というような流れになってしまうと思うので。
小川いらさん自体初読みでしたが、他の作品も欲しくなりました。
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攻めは、36歳ながらここ数年は親の遺産を元に京都で趣味に生きていた、ゲイの大崎。
このたび恩師の依頼で歴史学の大学臨時講師として、東京へ戻ってきました。
受けの由岐也は、傷心で京都旅行の最中に大崎と出会った、美しい大学図書館の司書。
学生時代に自分の性癖を自覚し、そのことを後ろめたく思い生きてきました。
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大崎が京都を発つ直前に偶然出会ったふたりは、その夜関係を持ちます。
由岐也は傷いた心を一時でも忘れ慰められるため、大崎は一目見て惹かれた由岐也に欲情し、その反面労わりたいと感じたからで。
しかし翌朝、由岐也は何も告げずに黙って大崎の元を去ってしまいました。
そんなふたりが再び東京で再会するというものです。
とにかく、じわーっと沁みるお話です。
誘うような仕草をしながらも実は行為自体初めてで最中に怯え泣いた由岐也にはギュッと心が締め付けられましたし、そんな由岐也へ優しく接し、再会後も無理強いせず率直に、そして誠実に相対した大崎も魅力的な男性でした。
大崎は元々がわたしの好きなタイプの大人の男性なのですが、由岐也のえがかれ方がすごく新鮮だったのです。
すごく繊細で恥ずかしがり屋で人付き合いが下手くそで…そんな受けキャラって今までもあったのですが、なんというか由岐也の書かれ方ってすごく押し付けがましさがない。
これは小川さんの筆力もあるでしょうし、人物描写に『わたしの由岐也はこういう子なのよ!』というような、小説作家さんにありがちなクドクドした地の文での説明が少ないというところが理由なのだと思います。
わたし自身が自分で読み取ることが好き、そういう作品が好きというのが根本にあって、そこがこの作品にあったのでしょう。
ゲイであること、不器用なこと、そして自分の気持ちを軽くしたいがために告白してしまった過去の恋人への後悔。
グルグル考える受けの要素は大いにあるのにも関わらずイライラさせられない、不思議な受けキャラでした。
大崎自体も先にも書きました通り年齢だけでなく、押すところは格好つけずに押す、引くところは相手を気遣って引くという大人で、リアルにいたらメロメロになってしまいそうなタイプです(笑
こういう自然体というかゲイであることに気負わないスタイルが、臆病な由岐也には眩しかっただろうなあと。
この作品には由岐也の元彼が当て馬として登場するものの、彼の由岐也への誠実さがとても心地良く嫌味なく書かれています。
彼の当時の苦悩も良くわかりますし、改めて由岐也へ求愛し振られた時の姿も好感が持てました。
女性キャラが一瞬ライバルのような形で出るには出るのですが、由岐也も感じたように恋する女子の牽制としてあるだろうなあと受け入れられましたし、彼女への大崎の対応で大崎の株がまたわたしの中で上がるという(笑
読み出す前は『どうかなー暗いかなー』なんて思っていたのですが、とても大人なBLでした。
やー、久々にこんなしっとりとした作品を読みました。
今市子さんの挿絵も手伝って本当に本当にほんとーに!地味なのですが(今さんは大好きな作家さんですよ!)、大人女子にはこの淡々とした恋の物語が沁みるのではないかなと思います。
ちょっと古い本ですみません。
二人が京都で出会い、その日のうちに身体を重ねて名前も言わずに別れ再び再会するまでと、再会してから過去の傷ついた恋を乗り越え恋人同士となるお話、二編で構成されています。
受けは、過去の辛い恋のせいで臆病になり、攻の優しさに惹かれながらも一歩を踏み出すことができません。
そんな受にさり気なく近づき、お茶に誘ったり、展覧会に誘ったりして緊張をほぐし楽しませてくれる攻。
攻はとても穏やかで、がっつかないアプローチをするんですが、優しい中にも実は結構強引だったりして、受を怯えさせることなく、肝心な時には押しが強くて「否」を言わせない、なかなかの大人のテクニックを披露していました(笑)
特に大きな出来事が起こるわけではなく、とても静かで穏やかですが、優しさと包容力が強く感じられる、しっとりしたとてもいい物語だと思います。
大人な攻がとてもステキでした。
ココナッツ
stella☆さま
再度のコメント、ありがとうございます(*^^*)
あの後、春はなかったので夏を注文しました。
うまくいけば週末までには届くかなあといったところです。
メール便なので気長に待ちますが(^^;;
でもまったくノーマークの作家さんでしたので、こうして合う作品に出会えて幸せです。
stella☆さまはレビュー書かれないということで、こうしてこちらで感想をお聞かせ願えて嬉しかったです。
stella☆
今見てきたらお勧めするまでもなく『夏』が一番高評価だったのですね。
両方読む予定でしたらやはり話の流れも『春』~『夏』ですから・・。でも『夏』から読んでも読めなくはないです。『春』は心情的に主要人物がみんな痛いので、『夏』から読むと、それがわかるので『春』を読むのに少し気になるかもしれません。実は私は、ソレなのです。『夏』だけ先に見つけて読んで、攻めも受けもお話もとても良くて、良かっただけに・・(苦笑。でも『春』も、小川いらさんの筆力で、痛いながらも納得できるお話ではありますね。
長く書き過ぎました~、ともあれ楽しんでくださいませ!
stella☆
ココナッツ
stella☆さま
コメントありがとうございます!
うふふ、わたしも攻め重視ですよ。この大崎もなんて素敵なの!と思いながら読みました。言葉選びの一つ一つが頭の良さや育ちの良さを垣間見せて、ウットリでした。
受けは実はいつも二の次三の次だったものですから、今回はかなり自分でも可愛い人だなあと思うことが出来て新鮮に映ったのです。
でも、そのおかけでstella☆さまも数少ない攻め重視の方とわかり嬉しいです(^-^)b
次回はわたしもそのシリーズにしようと思っているんです。
設定的に気になるのはお勧め頂いた『夏』だったのですが、『春』から読むべきか悩んでおります。
stella☆
ココナッツさま
この作品大好きなので個人的に大変嬉しいです!
前に古いBLをいろいろ発掘していた中で見つけたのですけど、その頃は評価すら一つもついてなかった作品でしたので。
ココナッツさまのレビュー読ませて頂いて、私も久しぶりにとても再読したくなりました。
私はどちらかと言うと攻めが気になる方で、この作品でも攻めが素敵だと思っていて、でも受けも好きなタイプでしたけど・・・
でもココナッツさまは受けのほうにより注目されたようですね。
ココナッツさまのレビューのおかげで私も再読したら新しくまたなにか感じることが出来そうです。(ちょっと表現変ですよね?すみません)
小川いらさん、もし他にもお読みになるのでしたら私的には「夏、恋は兆す」、イチ押しです、ご参考までに。
stella☆