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表題作月を抱いた

了,情熱激愛追い詰め愛なリーマン,24歳
直樹,罪悪感を抱え煩悶な花屋さん,24歳

あらすじ

恋人だった了のもとから逃げ出して四年―。
直樹は住む所を転々とし、まるで逃亡者のような生活を送っていた。
自分が幼い頃に犯してしまった罪を了にだけは知られたくない。
ばれて軽蔑され、嫌われるのが怖い。
そんな直樹の思いとは裏腹に残酷な運命は二人を再び引き合わせてしまう。
四年前と少しも変わっていない了の甘く激しい求愛と、決して知られてはいけない罪の意識に、直樹は次第に追いつめられてゆく…。
妖しく危ういセンシティブラブロマンス。

作品情報

作品名
月を抱いた
著者
夜光花 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズ文庫
発売日
ISBN
9784812416235
3.7

(69)

(20)

萌々

(17)

(28)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
18
得点
255
評価数
69
平均
3.7 / 5
神率
29%

レビュー投稿数18

紙一重の執着・・・

夜光花さん・・・デビュー作から素晴らしいです!!!

直樹(受け)はある事故をきっかけに了(攻め)に対し罪の意識をもつようになり、つらい毎日をすごす。
そんなことを知らない了は直樹に告白。
負い目から、断れない直樹は付き合うことに。
しかしついに耐えきれなくなったため逃げるように了の前から姿をくらました・・・。
それから4年後、偶然再会してしまったため、今度こそ逃がさないとでも言うように(実際言ってますが 笑)直樹を強く束縛します。 萌え!!
直樹の隠す秘密とは何なのか・・・読み応えのある作品ですよ♪♪

エッチ:★★★★★  夜光花さん特有の濃いH。また裏表紙のHしてるイラスト・・・すごく好きです!! 執着度かなり高いです♪♪

4

最高です!執着攻め!

夜光花先生の初めて読んだ作品です!そしてたまたまデビュー作でした!

この本で夜光花先生に魅了されてここからすっかり先生の大大大ファンに…!

もうこの話は攻が受の事をずっと思ってるのが本当に最高です!執着!!

受から連絡くるようにあえて引っ越ししなかったり、やっと会えたときについ叩いちゃう所とか…妹さんに嫉妬する所とか…本当に読んでてこんなにも好きなシチュエーションがつまった本があるんだ…とキュンキュントキメキがとまりませんでした。

何回も読み返しております!最高です!

2

優しさも、激しさもある執着攻め

攻めがとても理想な性格でした!優しくて穏やかそうなのに、一途で良い意味でとてもしつこくて(笑)かと思えば激しい一面もあってときめきました。
そしてそれ以上にお話の展開の仕方が上手く、このあと一体どうなってしまうのか?これは、あのことと関係があるのか?と、ハラハラしながら読めました。とても好きなお話でした。

--(以下ネタバレ・感想を含みます)--
話は受け・直樹の視点になります。彼は小さい頃から人付き合いが苦手で、人から言わせると掴みどころがなく、どこかにふら~っと消えてしまいそうな放っておけない感じの人です。
いつも直樹はどこかへ逃げたしたくなる癖があり、それは「ある出来事」が関係していて、自分が何かに夢中になったり・楽しむことが許されないと感じてる気がします。

そして彼の幼馴染の攻め・了は、明るく周囲と上手くやれる人で、いつも直樹を気にかけ側にいてくれます。そんな了に告白されて付き合うことになるのですが、直樹は了との関係が深く長くなればなるほど、苦しくなり、大学時代に遂に自分の家族にも誰にも告げず逃げ出します。

それから4年偶然、攻めの了に出会う直樹。初めは怒りを見せる了ですが、すぐに穏やかに優しくなり、「本当は俺の元を去った理由を知りたい。でも問い詰めたらお前はいなくなるかもしれない。それだけは嫌だ。」「何も言わないから、俺のことを嫌いじゃないなら傍に居て欲しい」と苦しそうに、縋るように告白する了。

そんな姿を見て直樹は思い悩みますが・・・どうであれ、昔から自分は了の言うことは絶対に逆らえない理由がある。了と、再び関係を持ちそうになりますが「ある出来事」が関係して、また姿を消すことに。了は今まで抑えていたものが爆発したかのように激昂し、無理やり直樹を抱きます。

特にぶわっと来たシーンが実家に戻ることになった直樹と両親のやりとりです。
突然何も言わずに失踪し、また突然帰って来た直樹。子どもの頃は、親は過干渉気味で重く感じていて、何を言われるだろうと思っていたら、両親は責めることはせず。
戻ってきたことが、ただただ嬉しくて、直樹の好きな料理をたくさん作る母親。夜中にそっとノックをして、直樹の存在を夢ではないと確認したいと言う姿。これから起こることを想像すると余計に切なく、また親という存在の暖かさに泣きたくなりました。

隠しておきたいあの出来事、自分を責め続ける直樹、必死に追いかけて何に怯えているのか、直樹の真意を知りたい了。子どもの頃の思い出と了の妹の百合。

途中で決定的な部分がわかりますが、その中でさまざまな思いが交差し、全てがわかったあと、最後にみんなが選んだ道は・・・?この流れが私的に絶妙でラストの挿絵が、また話を綺麗にまとめた一枚になっており、読み終わった後の切なさの余韻が素敵でした。

個人的に妹の百合がすごく好きでした。人間味溢れたというか酷いようで、繊細で、優しいようで・・・こう書くと他のメンバーも皆、繊細だったり不器用だったり、勝手な部分があったり。そういう意味ではどのキャラクターにも感情移入がしやすく、読みやすかったです。

6

贖罪と混沌の果てに…

夜光花さん…これがデビュー作とは恐るべし!

誰にも何も告げずに姿を消した直樹(受)が、かつての恋人:了(攻)と再会してしまう偶然から始まります。

了は変わらない恋情をぶつけ直樹も躊躇いつつ流されるように交流を保ちますが、ある日、直樹たちの故郷で自然保護運動がおきていることを知ります。

直樹が了から逃げ出す原因となった『秘密』を抱えた山。

直樹は再び了のもとから姿を消そうとします…というミステリー仕立てなんですが、直樹目線なので『悪夢』っぽい味わいでした。

序盤から度々、差し挟まれるイメージヒントによって『秘密』は何となく予想できてしまいます。

でも、直樹の心情で展開されるので強迫に近い不安がちらつかされて、了同様に、すぐそこにある『秘密』と直樹の苦しみに手が届かないもどかしさに焦れるー!

了がとてもイイ男に描かれています。

突然、理由もわからず大切な人に姿を消されるという残酷な経験を抱えつつ直樹を理解しようとする。

確信はないけれど直樹の態度に『何か』を感じる洞察力、無理強いをしない思慮深さを備えていますが、ただ懐の深い男ではなく、また訪れるかもしれない理不尽な喪失を恐れて独占欲に任せ抑圧的な態度をとったりします。
再度、置き去りをくらった時には暴力的に直樹を軟禁してエロく苛めるし!

完璧な男じゃない、さじ加減がいいんですよー!

中盤、直樹は自分の心の迷路に分け入っていくように全ての『始まり』となった山へ向かいます。

タイミングが合わず思い通りに事が進まない直樹の息苦しさと焦燥感が積み重なって駆り立てられるように読むスピードも上がります。

そして罪悪と贖罪の混沌の果てに明かされる真実…は呆気ない(笑)
うん、そうだと思ってたよー。みたいな。

ここまで憎々しげだった了の妹も、あっさり印象を変えます。
筋立てにも少々、無理があります。
真相が当事者に近い立場だった直樹の耳に入らないわけないよな、とか。
そういう突っ込みどころも含めて楽しめました!

直樹も初めは罪悪感から了の想いを拒めなかったように描かれていますが、それだけで続けられるものではないですよね?

誰よりも嫌われたくなかった了への想いこそが直樹が掘り起こした『秘密』で、それを手にしてからのふたりは甘々で嬉しかった~。
全体通して濡れ場、多し、軟禁エッチは長かったw

タイトルだけが腑に落ちなかった…どうしてこのタイトル?


2

明かせない罪の意識

サスペンス調というか、内に籠った受けがトラウマとして残る過去をどう決着を付けるかに引き込まれた。

子供の頃の明かせない罪の意識にさいなまれ、了の事が好きでいながらも思い詰めた挙句、逃げ出した直樹。
逃げ回っていても心が晴れる事のないまま暮らしていた所に、偶然にも了とまさかの再会を果たしてしまう。

直樹としては了の好意を受け止めたいのに、心を開いていないまま抱かれているせいで何だか痛々しい。
段々と自身が抱えている秘密がばれる事の恐れが大きくなっていき、自らを追い詰めていく切羽詰まった描写が見事だ。

一方の了は、十代の頃から好きだった直樹と恋人になれたと思っていたのに、突然姿を消されたせいで再び居なくなってしまうような不安が消えない、いっそのこと直樹を自分の元に閉じ込めたいとまで思わせる気持ちが充分に伝わる。

この話が合うかどうかは、読んだ人が登場人物の負の感情を受け入れられるかどうかによるかも知れない。
話は受けの行動を追う形で進行していくが、攻め側の受けに対する一途さにも充分感情移入できる。
執着攻めで危ないというよりも、『受けを愛するが故にひたすら一途に想い続ける』というのが書かれた秀逸作でもあると思う。

2

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