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表題作男ふたりで12ヶ月ごはん

その他の収録作品

  • 遠峯パイセンのスイーツコレクション

あらすじ

今日は食べます?
仕事を終えて、気持ちよく美味しい晩飯を食べよう。

芦屋の古い一軒家に暮らす眼科医の遠峯、そこに転がり込んできた高校時代の後輩・白石。
小説家になっていた白石は、スランプだという。
気分転換しに来ましたという彼と突然始まった同居は、なかなかに快適で……。
事情説明の焼肉、男飯な弁当のみそ炒り卵、
誕生日祝いで前菜がメインな中華コース、
脱稿明けの分厚いハムとふわふわ卵の贅沢サンドイッチ、
コロッケが乗った遠峯の「理想のカレー」、
気分転換の単調作業で白菜と豚肉のミルフィーユ鍋、
遠峯の帰省土産ジンギスカン、白石の人生初フォアグラ様、
そうそう、甘党の遠峯はデザートも欠かせない。
くりきんとんにモンブラン、クリームパンに桜餅──。
ご飯が美味しければ、一年なんてあっという間。

椹野先生のお気に入りがいっぱい! 美味しい歳時記。

作品情報

作品名
男ふたりで12ヶ月ごはん
著者
椹野道流 
イラスト
ひたき 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
発売日
ISBN
9784829682081
3.8

(6)

(1)

萌々

(3)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
23
評価数
6
平均
3.8 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数1

もうちょっとで恋になるかも?男二人の楽しいごはん小説

最近、書店さんのツイートで紙本の存在を知り、さっそく購入しました。ちるちるさんのサイトではなぜか「電子専門」になっていました。私のような紙本派の方にも読んでもらいたいので、微力ながら修正を依頼しました。電子版が先行だったのかしら。

物語は、亡き祖母の古い日本家屋に一人住む眼科医・遠峯の元に、高校の後輩で、都会の生活に疲れた駆け出しの小説家・白石が居候することから始まります。自然豊かな芦屋が舞台。

タイトルと帯からレシピが主の作品かと想像したのですが、違いました。アラサーの好男子二人が、気取りない手料理と地元の隠れた名物惣菜やスイーツをモリモリ食べる“ごはん小説”です。恋もエロもありません。でも、美味しい!って食べる二人が微笑ましく、こちらまで笑顔になります。

料理の作り方は、文中にコンパクトに書かれています。イラスト付きのものもありますが、細かな分量はなく、コツを抑えたシンプルなもの(きっと、このコツが肝なんですね)。美味しそうだし、作ってみたくなります。
神戸スイーツも登場しますが、高級グルメ的なものではなく、季節感のある、おそらく椹野さんお気に入りのものが紹介されていて、地元愛を感じます。食べてみたいです。

ドラマティックなことは何も起きないのですが、白石が少しずつ立ち直って新しい小説を書き上げたり、散らかり放題だった遠峯の家が片付いたり。二人の距離も近づいて、読後はほっこり心が温かくなります。“美味しいごはん”は、体にも心にも大切なんだな、元気をくれて、暮らしを整える力があるのだな、とあらためて思いました。

白石は楽しんで料理するし、遠峯も自分がスイーツ好きなので、「相手のため」と気負っていないのが、読んでいて心地良いです。互いへのさりげない気配りがちょうどいい。
それに、二人はいつも一緒に食べるわけではなくて、一人飯の時も食べることを楽しんでいるのが、よかったです。

二人の同居の相性は、とっても良くて、「ラブはないのに相思相愛みたいで不気味だなあ」、「不気味やけど楽しいからしゃーないなあ」、なんて笑っています。
でも、遠峯が数日留守にしたら、白石は寂しくて料理する気にならなくて。遠峯も、他人の気配があると気が休まらないたちだったはずだったのに、白石と暮らすのを心地よく感じています。二人が恋に発展する可能性はゼロではないな、と思いました。

白石が小説の書き出しに試行錯誤したり、気分転換のために無心に料理したりと、椹野さんの執筆活動がほの見える描写も、興味深いです。こうして日々一人で原稿に向かっていらっしゃると思うと、作品を読ませていただくのがしみじみありがたいです。

椹野さんのツイートによると、料理の試作とお店の取材に大変な手間がかかったそうで、今のところ続編はないそうです。残念。
二人のその後が読みたい気もしますが、これから恋に発展するかも?という期待がかえって萌えを感じさせて、ここで終わりでもいいかなという気もします。ショートストーリー、いつか読めたら嬉しいですけど。

ひたきさんの描く遠峯はイケメンだし、白石は可愛いです。お料理とスイーツもすごく美味しそう。私も美味しいものが食べたくなってきました!エリンギ入り白菜ミルフィーユ鍋、作ってみようかな。

4

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