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沙野さんの作品は初めてなので、コミックだと入りやすいかも…と読んでみることに。高緒さんは、栗城偲さんの「玉の輿シリーズ」と木原音瀬さんの「FRAGILE」の挿絵で拝見したことがあり、気になっていました。
とても面白かったです!スリリングな展開に、高緒さんの人物の強い目力がぴったりでした。沙野さんと高緒さんのほかの作品も読んでみたくなりました。
物語は、やり手の若手弁護士・周藤啓人の元に、同じ養護施設出身の吾形勲(アガタ)が14年ぶりに現れて…というサスペンス。普通、サスペンスは読み返しても面白さは半減だと思うのですが、本作品は、読み返すほどに面白さを感じました。
アガタの乱暴なキスもレイプまがいのセックスも、実は、父親の虐待で歪んだ啓人の心を満たしてやりたいから。何より、啓人の嘘の鎧を壊してやりたかったからなのです。分かったうえで読み返すと、アガタの啓人への愛が伝わってきて、すごく萌えます。
そんなアガタに抱かれるたびに、啓人が少しずつ変わっていく描写が、とても良かった。アガタが感じていることが嬉しくて、啓人が自分から口づける姿は可愛く、嘘をやめようと決心した仕事ぶりは、これが啓人の本来の姿なのだろうな、と思いました。裁判に負けた啓人を所長さんが励ますのですが、彼がもっと早く嘘の弁護をやめるよう指導してもよかったのに、とちょっと思ったりして。でも、やっぱり、アガタがいたから啓人は変われたのでしょうね。
全てを打ち明け、想いが通じ合った後のセックスでも、啓人が「嫌だっ、強すぎるっ」、アガタが「嘘つけ、大喜びしてるくせに」と相変わらずなのが、可笑しくて。アガタの心から笑顔を初めて見て、キュンとしてしまいました。彼は本当にいい男ですね。
読み終わって一番強く思ったのは、いつか啓人が優しく触れられるだけで満たされたらいいな、ということ。乱暴なプレイがなくても、気持ちよくなれたらいいな。それは、そんなに先でもなさそうです。巻末の番外編小説で、啓人は自分もアガタに何かをあげたくて、「たくさん…キスされたい」という子どものようなアガタのリクエストに愛おしさでいっぱいになって、たくさんキスをします。与えられて、自分も与えて、そんな愛情に満たされたら、きっと啓人の昔の傷も癒えていくに違いありません。ひたすら優しい二人の触れ合いを見てみたいです。タイトルの「楽園」には、きっとそんな意味があるような気がします。
沙野さん作品だったので当然のごとく小説だと思っていたので、手に取って初めてコミックだと知った時は衝撃でした。沙野さんの漫画原作はお初ではなかろうか。
という事でレビューを。
主人公は弁護士の啓人。
小学生の時に父親を亡くし、以来養護施設で育った青年。
啓人は勝利を勝ち取ることが多い敏腕弁護士ですが、その手口はかなり強引。正義や道徳心は持ち合わせていない。
その理由は、彼の生育環境による。
男を作り家を出ていった母親。
母親がいなくなった後は父親に虐待されてきた。
だから、どんな場所でもいい。自分の居場所を作りたい。
養護施設に入所した時から、啓人はそれだけを考えてきた。
そんな彼ですが、仲間もいる。
養護施設で同室のアガタ、孝二、そして郁人。
けれど、アガタは事あるごとに啓人にきつく当たる。そして啓人の秘密を知って、半ばゆする形で身体にも手を出してきたけれど、ある日忽然と姿を消して―。
そして、物語は、アガタが突然啓人のもとに姿を現したところからスタートします。
アガタが疾走し、そして啓人の前に再び姿を現した理由。
反発しながらも、アガタを想い続けてきた啓人の心情。
そして、啓人は弁護士としてどうあるべきか。
そういったところを軸に物語は展開していきますが。
いやー、正直、1冊で完結するのかな、と思う中身の濃さでした。たくさんのバックボーンがこの作品には詰まっています。
が、とにかくアガタという青年の、啓人を想う恋心が一途すぎて切なかった。
アガタ自身、親に捨てられた、という形で養護施設に入所しているので、表現の仕方がひねくれちゃってるんですね。啓人を想う気持ちがこじれ捲っている。
けれど、彼の行動の全ては啓人のため。
その想いを啓人に素直に告げていれば、これほどまでにこじれることはなかったと思うのだけれど、彼にはそうするよりほかになかった。アガタの一途な想いに萌えが滾ります。
基本的にアガタ×啓人、がメインではあるのですが、彼らの友人である孝二と郁人の存在も大きい。
子どものころからずっと啓人を想い続けてきた孝二。
孝二の想いがどこにあるのかを知ってなお、それでも孝二を愛し続けてきた郁人。
彼らのスピンオフも描いてほしいな。
彼らもまた、複雑な内面を抱えている、味のある仲間たちなのです。
小説と異なりコミックはページ数が少ないので仕方がない面もありますが、小説でもっと登場人物たちの内面が読めたら嬉しいと思いつつ、これだけのストーリーを1冊にまとめた高緒さんの手腕にびっくりです。
そして、高緒さんの描く、ちょっと影を残した男たちのビジュアルもこれまた素敵。表紙も素敵だー!
全編通してシリアスムードが漂っていますし、アガタがレイプまがいに啓人を抱くシーンもあったりします。啓人が、子どもの頃に性的虐待にあうシーンもあります(これに関しては詳細な描写はありませんが)。そういったシーンが苦手な方には注意が必要かもです。
が、そういった痛さを乗り越え、そして想いを通じ合わせた二人に萌えが滾って仕方ありませんでした。
小説はあまり読まない、という腐姐さまでも、コミカライズされていて手に取りやすいと思います。これを機に、ぜひとも沙野作品を堪能していただきたい。
沙野さんらしい二転三転するストーリーと、コミックという手に取りやすい媒体で描かれた今作品は、良いとこどりの素敵な作品だったように思います。
めちゃ良かった!
単巻なのであっさりしているのですが、本編後の描き下ろし漫画と書き下ろし小説が萌えの不足分をちゃんと補ってくれてます。
嘘で塗り固められた啓人。
でも、それは啓人の本質ではなく、環境による後天的なもの。
啓人の本質と本音を見抜き、誰よりも献身的に愛してきたのがアガタ。
「一目惚れ」なんて言ってるけど、そんな簡単な言葉では言い表せないほどの自己犠牲と大きな愛を感じました。
多くを語らずアピールもせず、ヒール役をかって出るアガタがとても魅力的でした。
破れ鍋に綴じ蓋とは、まさにこの二人のこと。
お互いの孤独を埋めあえる相手は、他にはいないと思う。
高緒先生の描き下ろし漫画は、雰囲気が変わって一気に可愛くなります。
友人の孝二とユキの話。この二人も好きです^^
小説の方は官能的なんだけど、啓人に甘えるアガタが可愛すぎて余韻がヤバい♡
なんと沙野さん原作のコミックです!作画は高緖拾さん。
なんとも迫力のある絵です。
小学校6年生の時に施設で出会った吾形と啓人。
啓人視点で話は進みますがなんとも辛い境遇です。
後出しでさらに出てくる啓人の辛い過去。
でも彼は自分を責めて嘘で防御して。自分の居場所を見つけるんだって無理して。
吾形は最初からつっかかりますね。性欲をぶつけたり。
高校一年生の時に突然消えた吾形。置いて行かれて悲しむ啓人。
そして14年後突然啓人の家に乗り込んできて。刑務所に入ってたようで…。
でもでも実は今までのことみんな啓人が好きだからだったんですね!
啓人の里親からの性的虐待を止めたり、ネットに啓人の写真を上げられるのを止めたり、啓人のストーカーから守って逆に刺してつかまったり。
刑務所の中で啓人を恨む元被告の親から守るために14年ぶりに姿を現したり。
啓人の法廷デビューからずっと見守ってたんですね。泣けます。
啓人が嘘をつくのを、居場所を得るために手段を選ばないところを止めさせたかったんですね。
本人も自覚があるのにどうしても止められなくて。
吾形が啓人を絶対に殴らないのもちゃんと理由があって。
吾形!運命の二人だよ。人生かけて命懸けで好きな人を守り続けて。
しかしコミックなので駆け足で。
絵がとても迫力があってこちらもハラハラそわそわしました。
やっとお互い素直に一緒にいられて良かったね。
最後に番外編が。
吾形は人の本質をきちんと見抜いてたんですね。
イクくんにしても啓人にしても。
父親に殴られてきた啓人は優しくされるだけじゃイケないんですねえ。うーん、本人同士がそれでいいなら幸せですね。
沙野風結子さん原案、心理描写がしっかり描かれているサスペンス。
イラストは 高緒拾さん。可愛らしいけど、表情にとても色気がある。
養護施設に入る子達の過去は、色々。
啓人は、「親に愛されていた」と語るけれど、
アガタには啓人の辛そうな表情が気になっていた。
父親が自殺をした啓人は、嘘で何事もなかったように繕う癖がある。
アガタは、啓人が好き。
啓人が気になる気持ちを素直に出せなくて、ちょっかいが意地悪。
突然の失踪も、実は大好きな啓人を守る為だと啓人が分かるまでの物語。
啓人は人の好意に随分鈍いのは、嘘で自分を守っていたからかも。
ハピエン。