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2009年8月3日に起きた事故。
タイムワープして、白崎君を事故から救う主人公。
白崎君に起きた事故、事故で負った怪我を何とか軽くしてあげたい
という祈りが、奇跡を起こす。
実際にそういうことが起きるのかと言えば、無理だと思うけど、
もしあの日、あの時のアレが少し違っていたら・・とやり直したい事は誰にでもあると思う。
この物語は、そんな小さな奇跡を書いた物語。
白崎和人:26歳,高次脳機能障害を持つ青年
一ノ瀬優:27歳,和人の担当介護士
二人の間に恋愛感情はなく、介護士の過剰な思い入れがあるだけ。
もし二人に何かが起きるとしたら、事故に遭わずに済んだ違う未来だと思う。
違う未来で、二人が出会えるのかは、謎。
正月から切なくて辛くて可哀想なお話読んでしまいました。冒頭部分いきなりタイムスリップのような状況から物語がはじまり、だんだんその理由がわかっていくというスタイルです。
交通事故で記憶障害を起こし、毎日14時間分しか新しい記憶を上書きすることができず(事故前の事は憶えている)日々絶望を繰り返している患者と患者に誠意を込めて寄り添う介護士のお話。この中盤の病院での部分がリアリティがあって丁寧に描かれていて涙を誘います。ここまで1人の患者にのめり込むのはどうなの?とはちょっと思いましたが。この脳障害、一般作の映画や他のBLでもロマンチックに取り上げられていますが実際になったとしたらかなりハードで辛いなと思います。
中盤だけリアルで冒頭とエンディングはSF的でファンタジックな感じになりますが、BL作品として成立させるには仕方がないのかなとも思いました。患者と介護士として出会っていつのまにか恋に落ちていたという設定はロマンチックでした。
体が結ばれるまでには至ってないので受け攻め断定はできませんが、雰囲気的に介護士の方が攻め。しかしBL設定なくても読み応えあるストーリーだと思います。もしBL要素がなかったとしたら暗いだけで救いのない話になってしまいそうですが。
この物語は「一ノ瀬優」と「白崎和人」の物語で、そこに男だからとか女だからというものはありません。たまたま二人の性別が男だっただけの、人が人を懸命に真っすぐに想い愛する物語です。劇中に「男同士なんだからそんな意識しなくても」的な描写はありますが、BLによくある「男同士故の葛藤」はないです。この物語でいうBLのLはそういうときめきやヤキモチやドキドキという恋ではなく『人が人を想う愛』の物語だと思いました。
ハッピーエンドが好き、暖かい物語が好きな人は読了後じんわりと心があったかくなると思います。ただエッチシーンはないので過激なものを求めている人には物足りないかも?個人的に嬉しかったのは周りのサブキャラやモブキャラも優しい人たちばかりで悪役がいないことでした。当て馬キャラが出てくるとそっちが可哀想になってしまうのでこの辺も安心して読めます。
ちなみにタイムスリップものだというのはあらすじに書いてあります。それが残念って言う人は何がきっかけでこの本を読もうとしたんだろう…?とちょっと首を傾げちゃいますね。
WEB小説とBL出版社が組んだ新人小説家の発掘プロジェクトの受賞作です。
終盤までリアリティーに溢れる素晴らしい内容だったのですが、最後にまさかのファンタジー展開に力が抜けました…。何故ああいう結末にしたのか、非常に残念です。
ただ終盤までは非常に読み応えがあります。考えさせられる事が多い作品です。
すごい題材を取り扱った作品だなーと思いました。こういう障害があるんですね。。
病院でなく、介護施設が舞台という点で治療の施しようの無い現実を感じ、読んでいて辛かったです。介護は良くなる見込みがなかなか無いので、介護の仕事は根気がいる仕事だと実感しました。
それでも白崎さんと一ノ瀬との関係はヘレンケラーとサリバン先生に近い関係に感じられ、試行錯誤の末に一歩一歩心を通わせる二人の姿に心から応援する気持ちで読み進めました。
同じ毎日を繰り返していても、全く同じ一日はなく…。これは大きな事だなーと感じました。
読んでいて哀しかったのは、他の人と違う毎日を営む白崎さんと向き合えるのは、家族でも友達でもなく、施設の人、つまりそれを仕事とする人だった事です。家族は愛情ゆえに心が折れてしまうので致し方無いのだけれど、やり切れない話です。
奇跡的に良くなる事が無い以上、ハッピーエンドにしようとすると、こういう結末にしか出来なかったのは分かります。
ただ後遺症のある人は逃れられないんです。軽く扱わずにとことん現実と向き合った結末が欲しかったのが本音です。リアリティーに拘るのなら、最後まで徹底して欲しかったです。
逆にあのまま毎日が続いていたら、二人はどうなっていたのか。途中で一ノ瀬の心が折れて違う担当に変わっていたのか…。そちらを想像する方がずっと文学的に感じます。
ヘレンケラーやキング牧師の伝記のように高い壁がそびえ立つ現実の中での一歩の力強い前進が人々に感動を呼び起こすものです。ちょっとした一歩が、、。それなのに全て無かった事にされてのハッピーエンドは残念すぎました。タイムリープものに最もそぐわない話だと思いました。そこだけ話が浮いてしまって、違和感しか感じなかったです。辛口意見になりましたが、無理ない結末であれば、感動作になっていたからこそ、です。 次作は最後まで拘りぬいた作品を大いに期待しています。
疑問なんですけど、あらすじに十年前にタイムスリップした一ノ瀬と書いてあるのに「まさかのタイムスリップ」とか「途中からファンタジー」という表現になるのでしょうか? 私が読んだ「八月三日」と違うものを読んでいるのかしら? 悪意があるとは思えないコメントなので不思議に思いました。
BL好きの腐男子です
今回読ませていただいて、率直に思ったのは「BLに初めて触れるにはこれがいい!」です。
というか、作品の内容についての感想は他の方が話しているのでそちらを参考にしてください。
BL自体に興味はある…もしくはアニメなどの二次創作でBLに触れた事がある方で、こういった小説を読んでみたいと思う方はぜひおすすめしたいです。
ドロ甘な絡みの性描写などはありませんが、純愛で心理描写がとてもわかりやすく、見ていて疲れません。なおかつ作品の設定自体は軽いものではないので、読みごたえは抜群です。一気に読み進める事が出来るのでBL小説としての括りだけでなく、一つの小説として素晴らしいと思いました。