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感情が、揺さぶられる

遼一が不穏な顔を見せ始めた敦也の回想で幕が引かれた上巻からの続き。
遼一との愛だと思っていたものが愛とは違うことに気づいた洋二は弱々しく敦也について行き、一線を超える。
洋二を抱いた敦也は「洋二、今、誰が見えてる?」と問いかける。初めて抱かれた洋二は「あつ、や」と答える。
初めて互いが互いの名前を呼び合う。
洋二は遼一の呪縛から解かれ始め、敦也に小さく好意を示す。敦也ははっきりと洋二への好意を口にしないものの、洋二に男物の靴を作ってやる約束をする。
抱き合えて、ほのかな安らぎが得られた直後に敦也に降り掛かる出来事から、ラストスパートまでの凄まじいエネルギーは読者の感情や情緒をぐちゃぐちゃに振り乱す。ここまでの重たく暗い空気を一瞬で爆発させたかのような展開はどうしてもネタバレせずに読んでほしい。冒頭の状況が分かった時の、すべてに合点がいくような感覚は他の商業BL作品ではまず味わえないものだった。
全てが終わったあとの、やっと触れ合えた2人の渇望と多幸感と、どうしようもない切なさがとても愛おしい。洋二が敦也を待っている間1人でしていたといういじらしさに萌えてしまう。
先生が洋二は尽くすタイプだとTwitterで仰られていたが、そういう目線で見ると遼一の苦悩を助けたくてその気持ちに付け込まれてしまったという不憫さや、敦也とまた触れ合えるまでにどれだけ敦也のことばかり考えて彼の身体のことばかり心配していたか、そして敦也がその想いにどれだけまっすぐに応えてくれたかと考えるとあまりの健気さに涙が出てくる。
敦也は年長者として洋二の世話を焼き、また、職人気質としてか洋二からの見返りを何一つ求めず、遼一との因縁を捨てきれないところがありつつも決して洋二を遼一の代わりにしなかったところに本当に好感が持てる。また、最後の最後に洋二が遼一と同じところに落ちないように守ったのもまた敦也であり、洋二への強い愛を感じる。敦也と洋二の強い想いがあのラストをもたらしたのだと感じさせられる。
良質なサスペンスストーリーであり、長編映画を観終わって映画館に座っているような、そんな読了感。最終回時点では手放しのハッピーエンドではないのかもしれないけれど2人の目に強い光があり、最高に幸せな未来を感じさせる。
過去作「メトロ」も映画的であり、あちらは余韻をたくさん残して2人の未来を無限に想像させるようなつくりであったが、今作はすべて見たいものを見せてもらったような、満足感と充実感に満たされたような作品だった。
描き下ろしは情事のあとの2人。幸せな時間に涙がこぼれてしまう洋二と、笑わせようとする敦也のイチャイチャ愛。

本郷地下先生の真骨頂

「メトロ」の本郷地下先生最新作。
上巻は冒頭の状況どころか部屋で話し始める2人の関係も謎のまま回想が語られる。
実兄・遼一を恐れつつも愛している大学生の洋二は兄弟2人だけの秘密であったはずの関係を知る、遼一の同級生を名乗る靴職人の男・敦也と出会う。
敦也は遼一への苦い記憶から、洋二に手を出すが彼に触れた瞬間に創作意欲が湧き、興味を持つ。
一方の洋二は敦也を強く拒絶しつつも遼一に振り向いてもらえない寂しさから、遼一と寝ていたと言う敦也を遼一の代わりにする。
上巻では一線は超えず、ゆるゆるとお互い触れ合うだけの濡れ場。気怠げな、まとわりつくような不快感とも違う重たい空気感が印象的。触れ合う時、洋二の目からは敦也は見えておらず、洋二は遼一に触れられているつもりで敦也に身を任せている。
敦也は洋二に触れながら靴のデザインを考える。指が食い込む洋二の尻がなめし革のような質感を感じさせて印象に残る。
やがて敦也は工房で洋二が自分の作った靴を履くのを見て、目を奪われてしまう。
ヒールを履いてそっと立つ洋二と、強い衝撃を受ける敦也。「お前は俺のミューズだ」
その日から敦也は洋二から目が離せなくなってしまうが、同時に洋二が遼一から支配され、虐待されていることを察し、なんとか洋二の目を覚まさせようとする。
洋二が飲まされている薬の正体は何か、なぜ頭痛が起こるのか。
そして敦也が遼一との過去を洋二に語るところで上巻は締められている。
回想の冒頭が母からの電話を取る洋二で入るところや、回想からさらに回想へ入る時の人形劇や、街の広告から場面が切り替わるところなどかなり独特の表現がされており、とても映画的。
登場人物が息を詰まらせているのを表現するのが先生は本当にお上手で、遼一から受ける行為の畏怖と愛情のせめぎ合いに苦しむ洋二の表情と浅い呼吸にこちらまでが喉に詰まりを感じてしまうほど。
この仄暗い空気感の表現が先生の作風で一番好きであり、真骨頂だと個人的には思っている。
近親で一線は越えていないものの、抜いてもらったり咥えさせられていた描写あり、直接的な表現はないものの刺したり虐待の描写があるので苦手な方は注意。
上巻だけでは状況は掴めず。下巻を必ず読んでほしい。下巻のラストはハッピーエンドなので下巻あっての上巻。
描き下ろしはとある情事のあとの2人。年長者として面倒見の良い敦也と捻くれた洋二のデート未満の語らい。洋二のポケットに入っていたソレが下巻のとある場面で使われる。

メトロ コミック

本郷地下 

痛いくらいに美しい

何度も読み返しては何度も噛み締めてしまう。
身体に傷のある闇を抱えた忍と、母から抑圧を受ける水葵が歪な出会いをし、静かに関係が絡み合っていく。
抑圧を受けたために性的なものを強く畏れながらも抗えない水葵が忍に翻弄されるシーンは痛ましいが、不思議ととても静かである。水葵はしなやかな身体を惜しげもなく忍に晒し、忍も淡々と彼を抱く。絵面としてはとても扇情的だが非常にドライであり、熱を感じない。しかし、いけないものを覗き見ているような背徳感だったものがいつの間にかとてつもなく美しいものを見ているような気持ちに変わっていく。
一線を超えて水葵の心が解放されるにつれて少しずつ溢れ出す忍への好意。忍がふいに見せる優しさ冷たさに触れるたびに感情が揺れる水葵のいじらしさ。忍の手を取り、そっと口付ける水葵の不器用な愛情表現は神聖さを感じさせるほど。水葵のピュアな想いはやがて忍の止まってしまった心を動かしていく。しかし忍は戻ってくる感覚に苦しみ、苛立ち始める。そして迎えるクライマックス。読み手の心臓までもバクバクさせるほどの畳みかけるようなラストシーンは、この作品を読み始めたときには想像もつかないものである。
読み返すたびに堪らない気持ちになるほど忍と水葵の関係が愛おしい。傷を負い、苦しみ抜いた日々の分だけ幸せになってほしいと願わずにはいられない。

ぽ太が可愛すぎて...

BLとして取り立てて好きな要素は無かったものの、試し読みでぽ太が可愛すぎて誘惑に負けてしまい購入。
この作者さんの描かれるどうぶつマスコットキャラクターの笑い顔が可愛くてこちらまで口角が上がってしまいます。デフォルメされてますがしまいわすれた舌と肉球のぽこぽこ感がリアル柴犬を思い出させて癒されます。ときめき可視化モードでぽ太からポワッとハートが出た時などは思わず ギャッ と声が出たほど。紛れもなくぽ太萌えです。
BL部分の方はギャルゲー世界に迷い込んだ主人公と、好感度MAXの幼馴染が織りなすストーリーです。どこかで観たことあるようなギャルゲーのお約束展開のあるゆるい世界観にクスッとするようなギャグも加わり、幼馴染の嫉妬もかわいらしく、癒しBLと言って良いです。濡れ場もありません。BLといえばドロッとした暗めの作品を選びがちの人間ですがこういう可愛い作品も良いなぁと思いました。ほっこり...

にいちゃん コミック

はらだ 

くやしい...

この商業BLのあらすじをずっと前から知っていて、試し読みもして、作者の他作品を読んでいて、絵柄も作風も好みから離れていない、読んでみたい、そう思ってもなかなか手が出なかった作品。
導入には鳥肌が立つほどの嫌悪感があるけれどそれでも間違いなくこの作品が刺さることは分かっていた。
思い切って読んでみたが、読了後の感想としては想像していたよりは重くはない。痛くない。けれど登場人物の心理描写は強烈で、毒がゆっくりと回るような作品。
ゆいが大好きなにいちゃんは自分を愛していたのではなく、ゆいを通して自分自身を見ていただけと気づいた時の爪を噛む「くやしい...」という気持ち。にいちゃんもまた、愛していたおじさんが自分を忘れていることを知る。
周りに嫌悪されても愛していた、捧げた相手が自分を本当の意味で愛していなかったことを知るほど理不尽で残酷な話はない。
彼らの虚しさを思うと涙が出てくる。
ゆいは暴走したような熱量でにいちゃんを愛すけどにいちゃんは曖昧な応え方をしているように見えてスッキリとしない。個人的な解釈では全く幸せな終わり方ではない。けれど確実に心を貫いてきた。一生忘れられない作品になった。
最後に、女子のまいこちゃんがとても良いキャラクターだった。彼女がこの作品の重みを軽減してくれた。

運命に惹かれてしまった

オメガバース作品。
α×Ωの恋が溢れる中でこちらはβ×Ωメインのカップリング。
完全に好みの問題だが、私はαの蓮に惹かれてしまった。彼が辛さと孤独を抱えて耐え続け、歩み続けなければならなかった時を支えたのは一度だけ巡り会えた運命の番Ωのまほろ。記憶を頼りに描いたのであろうまほろの絵を何枚も壁に貼り付けて机に向かう蓮の後ろ姿に胸が痛くなる。しかし、運命の番に巡り会うことができないことに気がついた彼は父への静かな怒りを燃やし、やがてそれはその身を灼くほどの激情となる。結果身体を壊し、父と決別して運命から遠ざかっていくことになった。
勝手な願望になってしまうが心身ともに削られた蓮に運命の番を出会わせたかった。運命は万能でもスーパーパワーでも正解でもないけれど彼らが出会った時の世界の輝きはきっと蓮をこの上なく幸福にさせたであろうと想像してしまう。実際は伴侶となった女性と子供と穏やかに幸せに暮らしているのだろうが、女性の姿がおぼろげであり、もう少し蓮との絆を見せて欲しかった。やがて視力を失う彼はこれからも幸せに生きていけるだろうか。まほろのことを知れば未練になると言う彼の言葉から悔いの感情を受け取ってしまった。
まほろは蓮に電話をかける前にβである東馬を選び取り、運命を手放す覚悟を決めて涙を流しているのに、そのシーンで私は蓮を思って泣いてしまった。
その後の東馬とまほろの情事に心が追いつかなかった。
東馬はまほろを引き留めたくて嘘をつくけどすぐに後ろめたくなる...という優しすぎる性格をしており、Ωへのトラウマもそこまで強いものではなく、蓮と比べるとキャラクターが弱く感じた。ただこの弱さは彼がβであるということそのものなのかもしれないとも思う。それだけに運命の番と結ばれたαである彼の兄がつまらない喧嘩をしているのを知って「ちゃんと仲良く生きてろよ」と言う気持ちも非常によく分かる。
先生のあとがきにあるように、生きることには哀しみが付き纏うと感じさせる作品であり、泣ける萌える以上にぐるぐる考え込んでしまった。
書影の構図が裏表紙含めて斬新で目を惹くのと、ページ数にボリュームがあり、紙媒体の方がお得に感じる。

あまくてかわいい

BLCD視聴初心者です。
ツイッターで本作を知り、ジャケットイラストや設定が好みに引っ掛かったので購入しました。
オリジナルBLCDということで、原作となるコミックスがないので脳内補完が必要な箇所もありますが、同時に登場人物の表情や仕草ひとつにもかなり想像の余地がある作品だと思います。
全体を通して神秘的な、不思議な存在を大事にするようなとても優しい空気が流れていました。演技の方では、受けの侑希がキスをされた時に攻めの澤登さんにされた時は驚きつつも受け入れて、幼なじみの絋之にされた時は過剰なほどに突き放すんですが、この違いがとても明確で印象的でした。
攻めの澤登さんはジャケットイラストだとややクールで冷たい印象ですがとても穏やかで優しく侑希を見守るような演技で、好印象でした。侑希の呼び方を瀧口さん→侑希くん→侑希にちょっとずつ変えていく過程が良かったです。
受けの侑希はとても人懐こくて可愛らしくて、天﨑さんが演じるイメージ通りなキャラクターですが一人称が俺だったり、ヤキモチ妬きだったりで、気性の強さも付与されています。
濡れ場はかなり尺を割いてじっくり丁寧にあまく...という感じで、侑希のくうくうと鼻を鳴らすような演技や事後のあまい声がたいへん可愛らしいです。澤登さんは優しく優しく徐々に激しく...といったあまり最近読んだ商業BLでは見かけないくらい真面目な攻めで、こちらも良かったです。
今作で気になった点があるとすれば、侑希が幼い頃に神隠しにあった話が消化不良に感じたところと、澤登さんの心理描写がもう少し欲しかったと思ったところです。
声優さんや設定にピンとくれば好みにハマると思います。とても癒されました。

ひたすらかわいい笑いと癒しのBL

BLアワードのキャンペーンを機に購入しました。
ひたすらかわいいとてもおばかでえっちなお話でした。飯田と安村、2人の性格のまるこさのようなものが、肩の力を抜かせてくれました。勘違いすれ違いからはじまった関係がいつの間にかお互い心地よくなっていく過程がとても良かったです。恋人なんだけどそれ以上にとても仲の良い友達関係というのが見ていて気持ち良いです。
飯田が安村の妄想をすごい漫画的表現で振り払うシーンがお気に入りです。飯田が心の中でめちゃくちゃツッコミを入れまくったりして安村と勘違いコントが展開されていくようなテンポの良いコマ運びがとても面白くて、BL漫画読んで声出して笑ったのははじめてだと思います。
そして安村はおばかキャラだけどとっても素直でかわいらしい。笑顔と八重歯にやられました。めちゃくちゃにかわいかったです。それから、冒頭で飯田を興味本位でからかったことを後できちんと謝ることができるのがとても好印象でした。
とても丁寧に大事に描かれている作品だと思いました。

原作そのままの静かな美しさと、あたたかみ

BLCD初視聴です。
原作、本郷地下先生の「メトロ」には何度も何度も読み返すほど心を掴まれていて、セリフがほとんど暗唱できてしまうほど読み返していたので、今作のドラマCD化をきいて期待を寄せていました。
全体通してまるで原作をそのまま現実に持ってきたかのようでした。聴き始めて10秒で世界に引き込まれました。BGMは少なめで、ゆっくりと噛み締めるようなセリフ回しや、セリフの間にしっかり間が取られているのが印象的でした。とにかく静かで、ほの暗い。原作の美しさを損なわない、素晴らしい演技と演出でした。
シナリオが進むにつれて少しずつ変化していく忍さんと水葵くんの演技が素晴らしく、とても自然に、けれどはっきりと口調が明るく穏やかになっていくのが、聴いていて心がじわりとあたたかくなるようでした。
特に番外編、追加エピソードはしあわせそのもので。追加エピソードはとても楽しみにしていましたが期待を軽く超えていくくらいにどこまでも優しくてしあわせで、2人の未来はきっとしあわせであたたかいものだと確信しました。

受けの水葵くんの声優さん、水葵くんの若く、内向的な心を表すような初々しくピュアな演技がとても心にささりました。特に最初の濡れ場で忍さんに舐められる時の嫌がる演技が印象的で、水葵くんが長い間受けてきたであろう抑圧の強さが伝わり、興奮よりも先にかわいそうで涙が出るほどでした。
攻めの忍さんの声優さんも本当に素晴らしい演技力でした。言葉が喉につかえているような、空虚で無機質でそれでいて哀しさのようなものを感じる、「感情が死んでしまっている」と第一声から察することができる演技。セリフのひとつひとつに枯れてしまった心が見え隠れするようで、声だけで、さみしくて美しいあの忍さんの姿が浮かび上がってきました。
お2人とも原作を読んで、徹底的にキャラクターや設定に向き合われていると感じる演技でした。原作ファンとしてこれ以上しあわせで贅沢なことはありません。