『背中を預けるには』で完全に惚れ込んでしまった小綱実波先生の待望の第二作!
もう冒頭から面白い。グイグイとものすごい吸引力で読者の私達を神々が君臨する世界へと引きずり込んでいきます。藍と悠斗が否応なしに異世界へと飛ばされたのと同じように。
途中から暴走し始めるニキアスの溺愛ぶりや、藍の自我の変化(アンブロシアとしての本能が目覚めていく)や憎むべき相手だったはずのニキアスへの愛情……色んなものが渦巻く中、ニキアスがヘロスマキアへと旅立っていったその直後……!!!なんと!あやつが!藍を!!!うわあああああっ、という感じで上巻は終了。早く続きを読ませてほしい。切実に。
ただ、あまりに壮大すぎる世界観ゆえに、一度読んだだけでは理解できない(小綱先生が悪いのではなく、完全に私の読解力の問題。つまりアホなんです)部分もそれなりにあったので、下巻が出るまでに何度か読み直して、物語の世界観や、キャラたちの言動、その息遣いまでもを己の読書脳に染み込ませようと思います。めっっっちゃ楽しみ!!!
そして、円陣闇丸先生のイラストが本っっっっ当に素晴らしすぎる……表紙、登場人物紹介、そして挿絵……確実にこの作品の魅力を引き上げている大きな要因になっていると感じます。
『背中を預けるには』と同じファンタジー小説ではありますが、世界観は全く違います。一口にファンタジーといっても、本当に様々なんだなと学びました。そして小綱先生の博識ぶり、神への理解度、物語の構築度の高さに感嘆しました。
さすがです。小綱先生。下巻を心待ちにしています。
最高です!!!!!!!!!!!!
Xでフォロワーさんが「最近話題のこの作品を読みました」とつぶやいているのを見かけ、話題なら読まねば! と思い、いそいそと購入。
初見でビックリしたのは、バスケのダンクシーン。もはやスラムダンクやん……と、呆気にとられ、あまりの迫力に圧倒されました。これはBL? と疑うほどにかっこいいです。何度見ても鳥肌が立ちます。
もちろん、画力だけじゃなくてストーリーもキャラも素晴らしいです。
何度も読めば読むほど面白くなり、キャラの魅力に気づいていき、どんどん沼にハマって、最終的に全ページ最高となります。
読み終わって、「これは……最高だ……」となって、また最初から読んで「最高だ……椿くん尊い……」となり、また読み直して「兜くん最高。椿くんとずっと一緒にいてくれ」となり、「駄目だイビツ君かっこよすぎる……死んだ目が最高に好きだ」となり、とにかく最近はずっとモンスターアンドゴーストに萌え狂っています。
とにかく読んだことない人はまず読んでください。とりあえず読みましょう。最高なので読んでください。
今年のBLアワードでは確実に上位にランクインすると思います。私の中ではダントツNo.1です。
このFRAGILEは、ちるライブで木原音瀬先生の特集をしていたとき、白米さんが紹介していました。とても興味唆られるプレゼンだったので、購入して読んでみることにしました。
うまく言葉にできないのですが……もう色々しんどい、やばい、って感じです。
〜以下、ネタバレあります〜
ぶっちゃけると、前半部分(監禁、ドックフード生活、暴力)などは全く平気だったのですが、後半の後半からの怒涛の展開に、頭がクラクラしてしまいました。
私の場合は、途中から攻めの青池に感情移入してしまい、彼の大河内に対する愛(クソデカ感情)を知ると、めちゃくちゃ切ないというか複雑な気持ちにさせられ、後半にかけて、徐々に二人の距離が縮まって和やかな雰囲気になると、「こ、このまま結ばれてくれ……!!!」と心の中で必死に願っておりました。
けれど、さすが木原先生。
大河内が手紙に書いた二文字は、衝撃しかなく、その後の青池の自サツ未遂や、ラストまでの流れが、本当にエグい。これはやっぱり木原先生にしか書けない物語だと確信しました。
特にラスト。これは何エンドなの? ハッピーエンド? バットエンド? いや、違う。これは『木原エンド』だと思いました。木原先生にしか描けない終着点、二人の歪な関係性。この二人はこれからどう続いていくのだろう。大河内はいつか青池のことを愛するようになるのだろうか、青池は大河内に対しての感情を変わらず持っていられるのだろうか(大河内の関心がいつまでたっても自分に向かないことに、いつか発狂してしまうんじゃないだろうか)……その後の二人の行く末を考えてみると、どう転んでも、もう地獄やん……と頭を抱えてしまいました。
読了して一晩経ち、今このレビューを書いているのですが、胸のモヤモヤが残っていて、まだFRAGILEの世界に気分を残しています。この、後を引く妙に陰気な読後感……これもやっぱり木原音瀬先生の成せる技だと思います。
木原音瀬先生作品は今まで何冊も読ませて頂いていて、そのどれもが素晴らしく、唯一無二の存在で、心の底から崇拝しているのですが、うん、やっぱりすさまじいお方だと、今回のFRAGILEを通して思いました。
これからも先生のことを追いかけるので、先生にしか書けない地獄の世界を、ぜひ見せてほしいです!
色んな意味で、すさましい作品でした!!! ありがとうございました!
ちるライブで白米さんが紹介していたことをきっかけに読みました。
今まで何冊かファンタジーBLを読ませて頂いていて、そのどれもが面白かったですが、こちらの作品は、世界観のスケールがとにかく壮大で凄まじいな……!!! と感動しました。
多種多様な人種、土地、町や村の人々……一見現実離れした設定ながらも、本当にこんな世界があるのかもしれないと思わせられるほど描写が徹底されていて、作者さまの脳内で繰り広げられているものを作品を通して見せて頂いて感謝感激です……!!!
特に印象に残っているのは、エルンストの為政者としての気質です。彼は、皇太子として様々な教育を受け、緻密に勉学を重ねてきてはいますが、そのバックボーンと、彼の才覚が化学反応を起こし、メイセンという貧しい辺境地に、大きな変革をもたらします。
彼の懐の広さや度量の大きさ、また、大局的に物事を見て今何が必要なのか、また何を切り捨てて何を選ぶのか――エルンストが語る言葉の数々は、現代を生きる私たちにも刺さるものばかりでした。彼の何気ない一言に、考えさせられたり、はっと気付かされることもたくさんあり、エルンストの帝王学に感銘を受けました。
また、特質すべきなのは、作中で流れる年月の長さです。クルベール人の寿命が200年ということもあり、数十年、数百年単位で物事が語られていて、それがまた物語のスケールの大きさを物語っています。
そして、何と言ってもラストですよ……!!!!
もう、BLでこんなに泣いたのは生まれて初めてです!!!!
作中で度々触れられている、ガンチェとエルンストの寿命の差が、こんなにも胸を締め付けるなんて。。。エルンストが本能的にその未来を恐れているのと同様に、読者の私も恐れていました。最初から分かっていたことではあるけれど、いざその瞬間に直面すると、心がこんなにも苦しくて切なくなるのだな、と思いました。『ガンチェの満月』ではティッシュを何枚も取り出して、延々と流れ続ける己の涙を拭っていました。それでも流れ続けました。
そして、本当のラスト。エルンストが死去した後の世界が、モノローグ調で語られている場面、ここでも泣きました。600年の時を経て、侵攻してきたリュクス国を返り討ちにできたのは、エルンストがリンツ谷に橋を架けることを陳情し、グルード国と協定を結んだからです。エルンストがきっかけを作り、種を撒き、植えたものが、600年という長い時を経て、強く逞しく芽吹き、その真価を発揮する。彼の為政者としての功績は、600年後の今もなお輝き続けている。エルンストが積み上げてきたものは、メイセンを永久に守り続ける。エルンストという命は、メイセンという彼が愛した土地で、永遠に生き続ける。そんな気がしてなりません。
こんなにも壮大で美しい物語を生み出して下さった作者の月夜様、そして、一番最初に『お気に入り』を押してくださった読者の方、雪原の月影という作品を世に送り出してくれた出版社の皆様、本当に、本当に、ありがとうございます。
エルンストとガンチェの長い一生を、彼らの生きた証を、こうして一つの形にして残してくださりありがとうございます。
雪原の月影に出会えたことを、幸福に、そして誇りに思います。
胸がぎゅーっと締め付けられ、苦しかった。
たとえ数日だったとしても、たとえ一瞬だったとしても、いつかは元に戻らざるを得ない運命だったとしても、あの逃避行の時間は白木にとって文字通りかけがえのないものだったんじゃないのかなぁ、と彼の心情を想像しながら読み進めました。
逆に連れ出した黒川には罪悪感が未だに残っていて……黒川の気持ちもよく分かる。でもできることやれること(行動範囲や金銭問題)が限られている中でも、黒川が白木を連れて行動を起こしたことは、やっぱり間違いだとは私は思えませんでした。黒川の真っ直ぐな思いが根底にあったからこそ、白木も黒川のことを憎んだり嫌ったりせず、かけがえのない思い出として静かに胸に秘めていたんじゃないでしょうか。
半分あげる、というタイトルも意味が分かるとじんと染みてきます。
願わくば、白木が、黒川が、この二人がずっと笑っていられる、永遠に幸福な未来を送ってほしい。
もっと二人のことを見ていたかったです。すごくよかった。ありがとうございました。
最終巻まで読んで、やはりイイモ先生は素晴らしいストーリーテラーだと感じました。
山男の正体や子供が死んだ事件の真相、小島の日本人らしからぬ外見について、散りばめた全ての謎が最終巻の四巻で綺麗に回収されていきます。
私は元々ミステリーが好きで、BLでも、CPやキャラ属性より、ストーリーそのものがどれだけ魅力的かどうかが、私にとって、作品を『面白い』『素晴らしい』と感じる指標になるのですが、イイモ先生はそんな私にとってドストライクの作家さんです。
今のBL界で、こんなにもストーリーを丁寧に面白く物語っていく作家さんはイイモ先生以外いないのでは……!?と思うくらい素晴らしい作家さんだと思います。
ぜひこれからもイイモ先生らしい作品を生み出していってほしいです!!
以前、ちるちるのYouTubeで木原音瀬先生の特集したとき、アンリ54世さんがこちらのCOLDシリーズを激推ししていたことをきっかけに、作品を知り、読みました。
これまで、木原音瀬先生の作品は何冊か読んでいました。その中でも、(自分にとっての)殿堂入りの傑作があったりするぐらい、木原音瀬先生は私にとって特別な作家さんなのです。……が、だからこそ、読む前から期待は高いし、ハードルもぶち上がっていたのですが、また……超えてきました。あぁ、もう、やられちゃいました。すごかったです。本当に。木原先生、本当にありがとうございます。
ラスト3行、特に一番最後の藤島の台詞『行けないから』に、この作品の全てが詰め込まれているように感じました。愛って何だろう?その答えがこの台詞に凝縮されている気がします。
一言では言い表せない、決して綺麗でも美しくもない、ずるくて、醜くて、子供くさくて、筋道が全然通っていなくて、でも、手放せなくて……3巻の透は、見ていて痛々しいと感じると同時に、すごく人間臭いなぁ、と。ずるかったり、矛盾したり、思っていることを素直に言えない。終盤、公園で、いきなり子供に戻ったみたいに、魂をむき出しにしながら慟哭するシーンが、とても印象的。もう、いろんなものが限界だったのだなぁ、と。
逆に、6年間の過去がバレてから、透から容赦なく降り注がれる暴力に、藤島はただひたすら耐えます。普通だったら逃げ出すよ、ってぐらいひどい暴力にあてられて、でも必ず透のそばにいる藤島。かつての幼い透にいけないいたずらをしたり、自分の心の弱さのせいで助けてやれなかった罪滅ぼし的な感情もあるのでしょうか……?いつか、記憶喪失の透が過去を思い出すかもしれない、それでも彼のそばにいる、と覚悟を決めたときにはもう、ある意味で、二人の行く末は決まっていたのかもしれません。
また私にとって特別な一冊と出会ってしまいました。出会えてよかった。これを読まずに人生が終わらなくてよかった、と、本気で思います。
そして、これからもたくさん木原音瀬先生の作品を読みます。木原先生、愛してます。