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エキスパートレビューアー2024

女性Lily2022さん

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愛情深い二人

虐げられ生きてきたΩ・碧が、良識あるα・英明に救われ、人間としての尊厳を取り戻して真の愛を掴むという、わりと王道な展開のオメガバース作品です。

αの英明は過去に他のΩ・要を愛し、番になる約束もしていましたが、要が「運命の番」と出会い、本能に抗えず身体の関係だけ持ってしまった事で、関係は破綻してしまいました。
心は英明にあるのに、身体は運命の番を求めてしまう。
矛盾した心と身体を抱え、要も辛かったと思います。
だけど気持ちが英明にあるのなら、物理的に運命の番から離れるなどして欲しかった。
肉体的に何度も裏切られ続けた英明もキツかっただろうし、要に酷い言葉をぶつけてしまうのも仕方なかったと思います。

結果的に要は自死を選び、その事が英明を深く苦しめるのだけど、碧の前向きで頑張りやな性格に英明が少しずつ救われてくれて良かった。
碧も英明に出会う前はαから散々嫌な目に遭わされたけど、ようやく英明という信頼のおけるαに出会えたし、トラウマによってキツく当たってきた英明を包み込む優しさを持った碧は本当に愛情深いなと思いました。

最終的に英明と碧は番になり、ラブラブなところもたくさん見られて満足♪
英明も愛が深くて執着しがちなαでした(笑)

オメガバにありがちな悲惨なシーンはほぼ無く、初心者さんでも読みやすいオメガバ作品かなと思います。

イリヤが真の意味で幸せを掴んだ一冊

大河ロマンのようだった「后宮のオメガ(上下)」、待望の続編!

上下巻までのお話は・・・
貧しい小国ロメリダールから、海を隔てた大国ハヌに政略結婚として嫁いだオメガのイリヤ。
年下の王ハーリドは、一度は兄に王位を奪われ失脚し、イリヤとも離れ離れになるも、8年後に奇跡の再会を経て、イリヤと共に戦い国と王位を取り戻した。

続編となる『雪花の章』は、イリヤとイリヤの父・兄との関係を深掘りしたお話でした。
イリヤの祖国はオメガの地位が低く、生まれた瞬間から蔑まれ差別されるような国。

父王が病に倒れたとの報せを受け、ハーリドの勧めもあり、イリヤは祖国へ里帰りしますが、当然居心地の良いものではなかった。

物語が進むに連れて、幼い頃のイリヤと父王の関係性や、イリヤがハヌに嫁がされた真意などが描かれており、また、イリヤと父王との関係も改善され、イリヤが父王の本当の気持ち・愛情を知る事が出来た場面は感動的でした。

今回の里帰りはイリヤとロメリダールにとって大きな転換点となったわけですが、その裏には、ハーリドの多大なる貢献もあり、ハーリドのイリヤに対する底無しの愛情にも胸を打たれます。
これからのロメリダールはきっと、時間はかかってもオメガへの偏見の無い、素晴らしい国になっていく事でしょう・・・。

ハーリドとイリヤの愛虎・タルジュにもお相手が現れ、本巻終盤ではイリヤとハーリドの子供たち、タルジュの子どもも見られて感涙っ・・・!!

上下巻では苦しく辛い展開が長く続き、読んでいるこちらも終盤まで暗澹たる気持ちでしたが、雪花の章は苦しくもこの先にある明るい未来を信じながら読むことが出来ました。
続編によってイリヤもロメリダールも救われ、見事な大団円!

こんな素晴らしい続編を描いてくださった露久先生に感謝です。

ドラマチックな異国情緒あるBL作品がお好きな方は、ぜひ上下巻と合わせて読んでみてください♪

運命ではないけれど、運命的な二人

通常のαよりずっと特別な「特級α」の礼と、彼を特別視しないΩの司。
二人は偶然出会い、惹かれ合い、少しずつお互いが特別になっていく。

この作品では「運命の番」について深く触れられておらず、礼と司が運命の番だという描写もない。
だから、α・Ωという性別こそあれど、二人はαとΩだから惹かれ合ったのではなく、ごく自然にただの人間として恋に落ちたのだと感じられました。

高校生だった二人は訳あって離れてしまい、10年後に再会するのだけれど、初めて会った日から今に至るまで、ずっとずーーーーっとお互いしか好きじゃなかった。
「運命の番」でなくとも、礼と司は『運命的な』二人だったのです。

正直言えば、過去のある辛い体験から司を救い出すために、礼が取ろうとした行動には若干の違和感を感じました。
また、側から見れば分かりやすく両想いなのに、なかなか想いが通じ合わない事にもモヤモヤしましたが、想いが通じ合ってからの二人の描かれ方は愛があって穏やかで、好きでした。
礼は、司に対してはとても愛情深く、司溺愛なのが微笑ましかったです。

終盤、礼が司の髪を切ってあげるシーンがあって、出会った頃のような髪型に戻った司は可愛らしく、失われた10年なんて無かったんじゃ?と思えるような、爽やかなシーンでした。

神波先生の作品を読んだのは本作が初めてですが、台詞のないコマの使い方が上手く、絵で時間経過や心理描写を表す力がある作家さんだなと思いました。

スタイリッシュだけど、良い意味でオシャレになり過ぎず、程よいノスタルジックさも感じられて、ああ、良い作品を読んだなぁ・・・としみじみ思える読後感でした。

もっとラブラブな礼と司を見てみたいし、二人の子どもや子育ての様子も読んでみたいので、続編が出たら嬉しいです。

ハイテンション・セルフ突っ込み

ギャグ多めのラブコメを描かせたら!な羽毛先生の最新作!
元推し活男子・辰巳と、元メン地下アイドル(今は子持ち)こたろーの、再会ラブコメです。

推しが突然辞めちゃうのもショックだし、ましてや子持ちになっていたとか相当ショックな出来事だと思うんですけど・・・

こたろーがアイドルを辞めても、辰巳はめげずに、こたろーを忘れるために仕事も自分磨きも頑張って、前向きに生きようと努力するんですよね。

そんな中でこたろーに再会しちゃうし、こたろーが同じ会社に中途入社なんてして来たりするものだから、そりゃもう辰巳からしたら最高にサプライズでドラマチックなわけですよ。

こたろーの息子・慎太郎も可愛くて、気遣いの鬼だし優しさもあって、よく出来た幼児です・・・。
人当たりの良さと甘え上手なところは親(こたろー)譲りかな。
美味しいご飯を食べる時はリスみたいに頬をパンパンにして食べていて、それもまた愛らしい。

全体的に辰巳(受け)の心の中のハイテンション・セルフ突っ込みが多くて、ギャグテイストは満載。
笑いの中に、瞬間的にシリアスなシーンを入れて作品に奥行きを与えるのが羽毛先生の作風だと感じていますが、本作もそうでした。

ただ今回は、こたろーが辰巳を好きになる過程の説得力がちょっと弱かったかなぁ。
女性と子どもまで作っちゃうくらい、どノンケなのに、辰巳を好きになるのは無理があるかなーと思っちゃいました。
面白いんですが、個人的にその点が気になったので、⭐︎4つで。

溺愛攻めとツンデレ受け

「凸凹フィット・ラブ」で興味が湧いた岩峰先生の短編作品です。
先生の個人SNSで公開されていた、シリーズものですが、本作は、葵(攻め)とともちゃん(受け)のお付き合い2年目編です。

葵はとにかくともちゃん大好き!!
愛情表現はストレートだし、スキンシップも激しいし他人様にも無遠慮に惚気るし(笑)
なんか平和な惚気テロです(笑)

ともちゃんは照れ屋で、愛情表現も淡白。
本当は葵のこと大好きなんですけどね。
恥ずかしさが優っちゃって、しっかり愛を伝えられないタイプなんです。
でもある日、飲み会の席で、隣席のグループの女の子が「愛情表現に応えてくれないなんてサイテー」と騒いでいるのを耳にして、己の普段の態度を反省するんですよね。

そこからまぁ、すったもんだあって、最後にラブラブ・分からせっ久に突入するのですが、今までずーーっとニコニコ優しく笑って愛を伝えてくれていた葵の隠れた一面が見えちゃいます。
普段温厚な人が見せる一瞬の厳しさ・冷たさって、破壊力が凄まじい・・・。

こういう人物の両極端な一面とか、陰陽が使い分けて描かれていると、作品として面白みがグッと増しますよね。
絵柄も一瞬だけガラッと変わり、岩峰先生の隠された癖(ヘキ)を感じます。笑

短編だけど読み応えがあり、サクッと一本面白い作品を読みたい方にオススメです!

凸と凹が上手く噛み合ったらこうなる

超いじめられっ子の侑玖(たすく)は、いじめの一環で超絶ヤンキーと噂の田宮にケンカを売りに行くことに。
対面した田宮は、侑玖がいじめられているのを悟り、助けてくれるどころか、その日以来昼休みも放課後も一緒に過ごすようになり・・・。

一見すると田宮の方が体も大きく目付きも鋭いので、今度は田宮が侑玖を良いようにしちゃうのかな・・・と心配しましたが、実際はまったく逆!
逆というか、ほとんど田宮が侑玖に一目惚れで、最初っから溺愛って感じでした。
(田宮は同性愛者)

普段はいかつい田宮が、侑玖が好きな余り甘えたモードになったり誘い受けモード全開になるのがめちゃくちゃ可愛かったです・・・❤️

侑玖が冒頭でいじめられてるシーンはけっこう悲惨で、本当かわいそうでした。
お母さんに心配かけまいと、顔は殴らないでくれと懇願したり、母を手助けするために自分でお弁当作ったり・・・とっても優しくて健気で良い子。

最初は自分に自信がなくてオドオドしてたけど、田宮に愛され大事にされ、少し自信が付いてからは良い顔するようになって安心しちゃった。
何より、侑玖の方が「抱く側」ってのが良かったです。
普段は体格良い方が抱く側なのが好きだけど、本作では逆が許せました。

あと、何気にこの二人はDKらしく、割と頻繁に盛ってます。笑
お互い(というか田宮が)好きで好きで仕方ないんだろうねぇ。
眩しいなぁ、、

本作がデビューコミックスとの事で、作画はたまに荒さも感じますが、総合的にとてもハイレベルな一冊でした!
溺愛・ヤンキー誘い受け・体格差が好きな方はぜひどーぞ!

自分を愛せることの大事さ

エリートリーマンが金欠で困っている貧乏な青年に「恋人の振りをしてくれたらしばらく家もお金も面倒見るよ」と持ちかけ、一緒の時間を過ごすうちに、やがて愛が生まれるお話。

最初はポップな感じの始まりからだったので、このままコメディタッチで進むのかな?と思っていたんですけど、読み進めたら唯の抱える過去が案外重くて、なんだかしんみりしてしまいました。

唯はいろんなバイトを掛け持ちし、体も売りながらお金を稼いでいるけど、稼ぎの多くを親に仕送りしてる。
親とはいがみ合っていたわけじゃなく、ただ唯が親の期待に上手く応えられない自分に対して自信が持てなくて、距離を取ってしまったんですよね。
唯は人より物事の習得に時間がかかる子で、唯の両親は彼らなりに愛情を持って一生懸命に唯をサポートしていたんだろうけど・・・

親の期待に応えられない事が唯にとってプレッシャーになってしまったのは不幸だった。
確かに双方愛情はあったはずなのに、すれ違ってしまって。
唯の仕送りを、両親はどんな気持ちで受け取っていたんだろう?と思うと切なかった。

一方の理一は、厳しくて子を褒めることをしない父親と、父親の言いなりな母親の元で育ったため、彼は彼なりに親の温かな愛情に飢えていた。
価値観の合わない両親とは永遠に分かり合える事は無いだろうと、理一は理一で親と距離を置きましたが、これもまた切ない事ですね。

唯はとても優しく穏やかで、親と疎遠になっても親の愛情に感謝し、仕送りまでしてしまう子。
唯の素直さや優しさ・愛情深さに、理一は人として惹かれていくわけですが、理一は何せ感情が分かりづらいし愛情表現も分かりづらい。笑

二人の想いが通じ合うまで、本当ヤキモキしました!
言葉が足りなすぎるよ理一。笑

唯と両親との再会シーンは、家族のわだかまりが解けてとても良いシーンでした。
唯と両親が分かり合えて良かった・・・。

唯と理一のエチシーンも、唯がたくさん愛されているのを実感出来るようなエチで、胸が温かくなりました。
唯はきっとこれから、両親や理一からの愛情を糧に自分に自信を持つ事ができるようになっていくんだろうな。
大事な事ですよね、自分を愛せるって。
理一も両親と分かり合えたら良かったけれど・・・。

タイプ的には王道のシンデレラストーリーかつハピエンで、どなたでも読みやすい作品だと思います。
BL初心者さんにもおすすめ。

終始ラブラブでした

前作が面白かったので、続編も購入。
服飾専門学校に通う千明と、同級生で実は超人気モデル・アイ(=江永)。
前作は二人が恋人同士になるまでのお話。
今作は恋人同士でラブラブ真っ只中のお話。

終始ラブラブ。
とにかくラブラブでした。
当て馬(とは言い難い)のイケメン同級生や嫉妬湧かせ要因の美人同級生が登場したりして、千明とアイがお互い嫉妬プレイを繰り広げるけれど、基本ずーーーーっとラブラブで、まぁ二人の中をより深めるためのスパイスにしかなっていなかったですよね・・・笑

わりと見境なく所構わず盛ってて、若さを感じました。笑

アイのライバルになりそうな謎モデルはちょろっとしか登場せず、次巻で絡んでくると思われます。
二人が思いの外ラブラブ過ぎだったので、次巻は二人の仲が拗れてすれ違っちゃうんだろうな・・・という予感もあり。

全体的に悪くなかったですが、正直この巻だけでは、面白いのかどうなのか判断がつきませんでした。
次巻以降で真価が問われる作品だと感じています。

とは言え、本巻は終始ラブラブでイチャイチャいっぱいなので、光の腐女子さんには特に向いていると思わます。

思いやりと愛の溢れたSM

付き合って2ヶ月の涼太郎と圭。
知り合って、おそらくはちゃんと告白を経て恋人同士になって、まもなく初エッチを迎えようとしている二人。
身体からなし崩しに関係が始まっていないだけで好印象なのに、この二人、ちゃんと真面目に性志向についても擦り合わせしようと頑張るんですよね。

圭は実はSMプレイに憧れがあって、ノーマル性癖な涼太郎にプレイをお願いするんです。
でも決して一方的ではなくて、ちゃんと少しずつ涼太郎の許容範囲を探っていくんですよ。

涼太郎はとても大らかで、柔軟な思考の持ち主。
圭の性癖に驚きつつも、圭を理解したくて要望に応じます。
けれど涼太郎も決して流されっぱなしではなく、ちゃんと自分で考えて、どうすれば圭も自分も満足できるのか?気持ちよくなれるのか?を真剣に追求するんですよ。

この、お互いがお互いを尊重しつつ、自分の望みも諦めない姿勢に、意外にも胸を打たれました。
どちらかが我慢したり意見を飲み込んだりするのではなく、ちゃんと希望や考えを言葉にして相手に伝え、二人にとってどうして行くのが最善なのかを探っていくって、簡単そうに思えて実はとっても難しい。

あと、SMって一歩間違えると命の危険に繋がるし、プレイする者同士がちゃんとラインを分かっていないと、悲惨な結果になると思うんです。
涼太郎はSMの世界は全くの未知だったけど、彼なりに調べて加減を考えつつ圭の望みを叶えてあげようとする姿に愛を感じましたし、圭が何と言おうと危険行為にはNOを言えていたのは頼もしかった。
普段は優しくて柔らかくてふにゃっとしてるのに・・・。
こんな彼氏がいて圭は幸せだろうなー、と、終始思いながら読みました。

SMものといってもハードでは無いし、基本的にお互い思いやる愛が溢れる作品なので、どなたでも読みやすい一冊だと思います。
「SM」というキーワードで躊躇している方にも、ぜひ読んでみて欲しい一冊です!

新しい設定のオメガバース

αの中でも特に強力で、全バース性に影響を与えてしまう優性α「Σ(シグマ)」。
これまで読んだオメガバース作品には無い、新しい設定でした。
ビッチングについては意味は知っていたけど、作品として読むのは初めてなので、期待大で購入しました。

もともと劣性αだった高城は、ラット状態になったΣの葦原と性行為をした事でΩに転換(ビッチング)してしまったわけですが、葦原は以前から高城の事が好きだった模様。
高城は葦原に惹かれてるっぽいのに、どういう訳か頑なに葦原の好意を受け入れるのを拒んでいる。

高城と葦原の恋愛関係は1話冒頭からグイグイ始まっていくのですが、二人の人間関係の深さが良く分からないままお話が進んでいくので、ちょっと置いてけぼり感がありました。

全体的には、オメガバースなんだけどオメガバースらしくない作品という印象で、劣性αとΣの設定が生かしきれていないように感じられたかな・・・。
高城・葦原のフェロモンも当事者以外に影響しているシーンが無く、この世界ではα(Σ)・Ωである事が大きな問題じゃないように思えたんですよね。

悪い人が出てこない、Ωが理不尽に襲われないオメガバースが好きな人は、ストレスフリーに読めます。

絵柄はやや荒削りながらもスタイリッシュで、全体的に白黒の対比が印象的かつオシャレだったので、ストーリーの説得力が増すと一気に化けそうな作家様だなと思いました。
(偉そうな上から目線のコメントですみません・・・)