来るもの拒まずのクズ(とはいえ、事前に了解を得ての行動だからそこまでクズ呼ばわりされる筋合いはない)の逢見先輩が子犬のような楓くんに告白されて、どんどん人間味を帯びた上に、本当に人を好きになる気持ちを体得という成長譚。
2人の距離が縮んでいく過程が素晴らしいです。
どんなにクールにカッコつけてても楓くんに対して気になる気持ちがはどんどん膨らんで、自分に嘘をつけない状態に。でも、そんな先輩のモヤモヤ葛藤はちょっと鈍い楓くんにはなかなか伝わらず、最後には恥ずかしいくらいのド直球で自分の気持ちを曝け出します。
気持ちが伝わってからの2人は甘々でとても幸せそうでホッコリしました。
先輩の友人が結構いい人なのと、あかりちゃんの存在もスパイスとして弱めだけどしっかり効いてて、面白さを増しています。
エロいシーンはほとんどないけど、指の先まで痺れるようなドキドキが要所要所に仕込まれてて、結果、悶絶しながら毎日読みたくなる作品です。
全然共鳴できなかった。
大好きな作品だっただけに、とても残念。
灰賀くんの家族。
同性愛者ってわかってて招いたのに、微妙に打ち解けられない感じって。
理解できないなら呼ばなきゃいいし、両者にとってメリットないよなあ、と思った。
あと、帰省部分は説明臭い台詞が多い。前から説明台詞は多かったけど、もう少し会話寄りにした方が自然な気がする。
そして実家で発情するのもエロというよりは理性が勝つだろうから、常識的(何が常識かと言われると困るけど)にちょっと…。
次の展開、いくらNo.2だからって3年前に辞めたバイト先からもう一度働いてくれって連絡、普通来ます?社員ならまだしも2年かそこら勤めていただけなのに不自然だなあ…と。
さらにストーカー対策に店に関係ない素人使うって危なすぎるでしょう。
それでモヤモヤ抱えたままホテル入って欲情、しかもメイドコスプレでのプレイ。
情緒も何もなく、勃つに任せてヤるのは全然ドキドキしなかった。
結果何とか無事だったけど、助けてくれた人がマキさんの元彼だとして、そこからどう話を繋げるのか…。
BLは女子の妄想をふんだんに取り込んだ現実的ではない展開の作品も多い。
道端でホストを拾う・幼馴染・先輩後輩・先生生徒とか、王道の展開はもう認知されているので、道にホストは落ちてないかもしれないけど「あ、この展開か」と、すんなり入って来る。
けど、この作品は「ハァ?」と思うことだらけで、無理矢理展開を捻り出した結果、エロを受け止める前に「大丈夫か?」という気持ちになるので入り込めない、相手を思い合う愛情の前に非常識が立ちはだかってしまい、せっかくの2人の尊さが台無し、誰も得しない話に落ち着いてしまった感がある。
次巻は不自然さが減ってるといいな。