主人公の若いジーンと同じく、2人の恋の行末が気になって仕方がなくなります。
広い世界を見たいと願うジーン。保護者として、恋人として、それを応援したいと思いながら、かけがえのない人を失う悲しみに、時に潰されそうになるトレヴァー。
このまま夢を諦めてトレヴァーのいるNYに留まることになったら、後味悪いなあと思っていたら、やはりの吾妻先生。そんな安易な持っていき方にはされませんでした。
2人には辛い選択だったかもしれないけど、やはりこれしかなかったと思う。
そしてラスト。
これからどういう関係になるかも彼らに、そして読者に委ねられます。それが一層余韻を残し、忘れられない作品にはなりました。
ジーンの名前の伏線も見事に回収されて、これ以上の完成度のストーリーないのでは?というくらい感動しました。
ラムスプリンガ〜のシリーズ作品。ですがこちらだけで楽しめます。
あちらのカップルがカメオ出演しているので既読の方はニヤリと出来ます。
さて、仲の悪い叔父の家に滞在することになったジーンの話から始まります。
使っていない部屋の片付けを頼まれたジーンですが、そこには叔父さんの秘密の日記があって。。
堅物でとっつきづらい叔父の、隠された熱いラブストーリー。
そこには自分と同じ名前の青年と、叔父との交流がしるされていた。
若いジーンの視点で見つめる、昔の恋物語。
故郷を捨てたジーンと、クローゼットゲイであるトレヴァーの、一つ一つ手繰り寄せるような恋。そしてそれが、かけがえのないパートナーとなっていく、涙なしには読むことが出来ない心温まるストーリーです。
間違いなく傑作です。
幽霊とタイムスリップが合体したお話です。
最初から幽霊として登場するので、いつかは別れが来るんだろうな、と悲しいエンドを予想しながら読み進めました。
しかし。。。
主人公は、その場かぎりの体の関係だけを続ける節操なし。
そこへ、未来の恋人だという幽霊がやってくる。
最初は相手にしていなかったが、あまりにも健気に一途に、ときに迷いながらそばにいる彼の存在がどんどん大きくなっていく。
いつかは消えてしまう幽霊。
それが時間を遡り、出会う前の恋人と交流することで、未来は変わってしまうのか。
そのあたりが気になるところですが、主人公がすっかり別人になり、幽霊の予告通り本当の恋に出会うプロセスは感動的でした。
やっぱりハッピーエンドでよかったと思う。
上下巻は終わりまでが分かっていてよいですね。
もちろん完結の下巻です。
発電所の技師として、発注者の軍誘致の思惑とは別に、村に送電して電気を灯したいと願う佐伯。それを支えるエドのお話。
発電所の建設が進むも、軍ありきで村にはメリットがないのでは、という噂が飛び交い、工事の士気があがらないなか、エドのリーダーシップでよい方向に動きます。
仕事のパートナーとしてかけがえのない存在となる二人。
また、発注者の一人であった中原と佐伯との関係も、良きパートナーを得た佐伯の自立によって新しいステージへ。
仕事と恋愛のクライマックスが全く同時に描かれてラスト盛り上がります。
エドが研鑽のために東京に出ることをあきらめたのは残念ですが、二人で仕事も恋も成就していって欲しいです。
タイトルにあるように明治時代という設定。
西洋帰りの佐伯は、電気の灯る街をつくろうと技師として発電所設計に携わっている。
そんな佐伯の住む街に、長髪で身なりも整わない青年が住んでいた。言葉を話さず馬鹿だと思われているが、その行動には思慮深いところがあって。。
その青年はエドワードといって、異国の青年で街になじめていないだけだった。
佐伯はエドを引き取り、読み書きを教えつつ共に暮らすことになる。
成長したエドは佐伯の仕事を手伝うようになる。
という設定なのですが、上巻ではエドが次第に佐伯に心を寄せる一方、ゲイである佐伯は昔愛人となっていた地元の有力者に、現在は仕事の上で発注をされるという関係になっていた。
なんとか初Hまでたどりつくも、お仕事と恋愛の行方が下巻でどうなるのか楽しみです。
さて、8-9巻と、シゲの所属会社社長とその姪によって仕事もプライベートも何かと邪魔をされている2人。
10巻では、シゲがずっと慎にも何も言えなかった背景が明かされます。
社長は二人の関係をつかんでいて、それをネタにシゲを脅している。
そこまでするメリット?という疑問がわきおこるものの、シゲが慎の仕事を奪わないために抱え込んでいる苦悩が明らかになります。
あれほどまでに慎に執着しているシゲだからこそ、今後どうするのか、目が離せない展開です。
シゲマネがそのうちキーパーソンになりそうな予感。
しかし、共演した役柄でのHとかおいしすぎる!(前巻)と思っていたら公式パロでてましたね。
共演することになった2人。なんとその現場にシゲの所属会社社長が現れる。そして慎にだけ名刺を渡して去って行く。
どんどん伸びてきている慎を獲得しようという仕事上の思惑と、姪の恋路を応援するという2つの動機がありそうです。
私としては、作者さんが気にされている「嫌な社長」よりも、この姪の方が嫌なキャラに思えます。慎に告白して、好きな人がいるからと断られているのにもかかわらず、それを突き止めるために探偵をやとって調査するなど、本当に相手を思いやる気持ちなどないただの自己満足に思えます。
ともあれ、どの巻にもつきあってとんでもなくHになってしまった慎が乱れるHシーンが自然にかつふんだんに盛り込まれていて、さちもさんさすがです。