これは面白い‼︎
私は基本ギャグが苦手なんだけど、このテイストはいいわ…
ヤンキーの「漢の友情」に憧れるメガネ男子・小出が主人公。
もう出だしから面白いよね。
自分からヤンキーに突っ込んでいって、誰かヤンキー来てくれ!っていうところ。自分の読んでるヤンキー漫画なぞってるわけ。
で、対になるヤンキーなんて存在するの?っていうと、これがいるんですよ。惚れっぽくて、でも告白もできずに撃沈するイケメン・恋次郎が。
恋次郎のキャラも面白い。フラれるとツレにシャツに刺青風刺繍をしてもらってんの。非常に斬新ですよね。
ひたすら漢の友情を欲する小出に、速攻惚れ心発動の恋次郎。このすれ違いが笑いを生んでいます。
ところが、読んでいくと小出の本当の姿が見えてくる。
そして、惚れた腫れたばかりだった恋次郎が、その恋心ゆえに自分の恋を封印する…
正に「漢」じゃないか!
そうなってから小出の方も…っていうのはここまでの斬新さからすると少し凡庸なBL展開かなとは思うけど…ラストにあんなモダモダが来るのは再びの斬新さ!
そして、2頭身や岩鬼(?)やドット絵を出すという漫画ならではの荒技も、唐突とも思わず読んでしまう。
「俺はこれから彼(恋人)を寝取ります」
これもね…笑います。
SNSで大反響、っていうのわかりますね。おバカでエッチ、下ネタ満載。
主人公はほんとネジの外れた男なんだけど、夏秋くんの方ももっとヒネってほしかったかな。あ、十分ヘン?
2作品合わせて「萌x2」で。
「疾風に恋をする」の関連作。「疾風〜」にちょっとだけ名前が出た作家・間宮のターンで、舞台は同じく関東大震災あとの大阪。
主人公は、間宮の著作が大好きで全ての作品を読み込んでいる大阪の小さな出版社の社員・扇屋梓。
震災で避難してきた間宮に是非我が社で連載を!と滞在している茶屋に通う梓。
梓は元々間宮ファンだから会えるだけで嬉しいんだけど、間宮の初登場シーンはサイアク…
パワハラ、セクハラ、不機嫌ハラスメント野郎ですよ…
ところが梓は健気というか無垢というか。酷い要求を出してくる間宮に誠実に接するのです。
まぁ、間宮も本気でセクハラしてるわけじゃなくて、自分に誰も近付いてこないように強めな予防線を張っているわけですが。
だから、梓に参っちゃうわけです。
と言っても視点は梓なので、気難しい先生がわたいと会って少しでも気が晴れたら嬉しい、みたいな純情さです。
もうとにかく梓という人間がキモですね。
可愛らしくて、純粋で、素直で、透明で、心が綺麗で。自分はそんな自分の魅力を知らない。
梓の自分への想いを知った間宮が、一転ド溺愛野郎に変貌するのも必然ですね。
勝手に勘違いしてフキハラしたりかなり勝手な男だけど…梓を大切にしてるからいいか…
梓の柔らかなことばが特にエロシーンで凄まじい破壊力を発揮しています。「萌x2」で。
関東大震災あとの大阪が舞台の、映画黎明期BL。
久我先生お得意の大阪ことばが沁み入ります。
主人公は、東京の映画業界が復興するまで大阪で活動することになった若手俳優の英介。
これからの映画は現代劇だ、と考えているのに今は大阪で旧劇ばかりやらされて…という不満が顔にも態度にも表れている。
そんな英介でも温かく目をかけてくれているのが旧劇の人気俳優・半次郎だった…
…という2人の出会いがあり、英介の住まいの長屋で火事があった事で半次郎の家に居候することになり。
そこに、半次郎の出自〜上方歌舞伎の名家の妾腹の子〜が絡んだお家騒動的な波乱が絡みつつ、英介に半次郎への恋心が芽生え始める…的なBL展開で進んでいきます。
正直…元は2人ともノンケ、というか恋愛に重きを置いてない人たちの感じなのに、同性への恋心や愛情の高まりがちょっと急に思えます。
本作の魅力はやはり「強気受け」としての英介かな。
俳優として美形だけれど優男では全くなくて、物の考え方は現実的で実は武闘派。
でも半次郎には…みたいなギャップあり。
映画黎明期の不安定さや先見の明を持つ者達の動き、戦争へ進む前段階の検閲への眼差しなども興味深い。
下巻。
復讐と贖罪で結びついたいびつな3人の関係性。
桜はますます残酷に。
桔梗は見守りつつも桜側。
カズマはいつまでも内に篭もり。
桜がなぜこれほど相手の忠誠を求めるのか、の元になる過去も明かされるけれど、やはり病的な部分があると思う。
桔梗といて安定した心が、カズマの登場でまた不安定になる。そんな緊張感を感じる。
カズマへの性的なプレイはますます過酷。
そんな日々を続けるうちに、カズマは苦しさだけではなくて確かに快感も感じ始めるようになり…
一方桜もエスカレートしていく自分を自覚して「復讐心からの痛めつけ」から「可愛いから構いたい」という心境に移り、やっと「仲良し3人」が戻る?
だけどそれはやっぱり表面上。
桜と桔梗は落ち着いた。でも今度はカズマがいつの間にか変容しているんだなぁ。
罪と罰、贖罪の日々がカズマの心をある意味突き抜けてしまったのだろうか、カズマの本心の中に「殺されたい」という欲求が生まれている。
光と見せかけて最大の闇が生まれてしまった。
復習は解けない。結局解けなかった…のか?それは復讐が溶けなかったからなのか?
上巻は「萌x2」、下巻は「萌」、トータルとして「萌」で。読後感が暗い。
なぜ平仮名なのかな、と考える。
まぁすぐに思うのは「復讐」。でもそれ以外のダブルミーニングあるの?と考えて「復習」。その2つしか思いつかないけど。
でもこの上巻を読んでやっぱり復讐と復習はかかってると感じた。
まず事件を作ってしまったのはカズマ。
中学の時、ボッチを救ってくれた大好きな友達の桜と桔梗が付き合ってる事を聞かされて、自分がまた独りになると思い詰めてある事をしてしまう…
さて、そのまま疎遠になってからの偶然の再会で、この3人が関係性の復習をするお話と言えるのかな。
桜と桔梗、特に桜にとっては殺したいほどの「復讐」なんですよね。
だから、カズマの罪悪感と怯えにつけこんで(?)、性的お仕置きみたいな、無理矢理な3P行為を強要する。
ほとんどSMみたいな描写が続きます。カズマは許しを乞うてずっと泣いてる。
桜は薄笑いを浮かべて…
罪と罰の共依存的な薄暗い世界観。
しかし、上巻の最終盤にカズマに他の友人関係ができる?という匂わせがあって、3人の救いのない閉じた世界が変化する可能性を見せて下巻へ。
電子限定番外編。
イアソンが任務で数日間居住地を離れている間、リキが夜の外出をしようとする。
イアソンは急ぎ戻ってきて、自分と一緒ならば許可すると言ってリキと植物園に向かう。
リキが見たがっているのは、数年に一度、深夜にだけ咲く夜来香の花…
他のブロンディたちも希少な植物の見学にやってきているが、その開花の時、皆の前でリキが発情し始めてしまう…!
イアソンは勿論リキを誰の目にも触れさせたくない。
イアソンの「愛」はいわゆる愛とは随分と違うし、リキもイアソンを「愛」してるとはいえない。いわば「愛憎」。
ただ、2人の間には2人にしか起きない化学反応のようなもの、がある。
それはまるで目の前で開き始める希少な花のよう。
番外編SSとして、あのラストに行き着く前の少しは甘めな空気感を感じました。
Boy’s ピアスによるニッチなアンソロジー。お題は「特殊性癖」。
5作品収録。
以下、収録順にざっと。(作者様敬称略)
【首絞め】「窒息性愛、気絶するほど愛されたい。」えりまるす
元々SMクラブでボーイとM客として出会った明貴と瑛太。
昼は公務員の瑛太の家に居候し、世話してもらう。ただし夜は…
…という感じで、明貴はドMな瑛太の性的ファンタジーに応える日々です。
瑛太の要求は「言葉責め、拘束、イラマチオ、首絞め」。明貴はSじゃないから首絞めは怖いんだけど、瑛太のために何とか頑張ってます!
絵柄はスッキリだけど、擬音は多め。プレイはかな〜り激しい。
【喉姦】「ラブ・欲望・バカンス。」りりく旅行
まず口絵からすごい。口に嵌める器具が何ともおどろおどろしい。
幼馴染の玲以と水可。水可はドMで玲以におねだりを聞いてもらっている。
今回のおねだりは、口に器具を嵌めて喉に指や性器を突っ込む事。
水可の本当の欲望は、玲以に壊される事なのです。
これ、調べてみたら「ホワイトヘッド開口器」?初めて見ました。見た目もプレイも怖いわ…窒息死しそう。
【異種交配】「発情ネコの甘いしたたり」れの子
獣人差別の時代を経て、騎士団に入団したネコ系獣人のアルク。
急な発情期に助けるために抱いてくれた隊長のジェイク(人間)に恋している。
これは特に特殊とも思わないけど、隊長の方も独占欲でアルクに射精管理のリングみたいなのを付けてます。両片想いのラブラブ。絵柄も好み。
【足フェチ】「足の先まで愛してる。」牛☆丼子
主人公は駆け出しのカメラマン・莉央。22才の誕生日に風俗デビュー。
すると、バニーボーイがちょっと気になってた下着モデルのジュンだった…!
ジュンのストッキングの足を舐めたり、足コキされたり。もう忘れられない!
てな感じで、ジュンのソフトだけどムチムチの色っぺー雰囲気がイイ。
足指に手で恋人繋ぎするの初めて見ました。いいかも。
【着衣姦】「紳士はスーツのままのSEXがお好き。」楓夜ノラ
彼氏は紳士服店の店員さん。
その彼の性癖が、相手にスーツを着せてそのままHする、というもの。
いつもされる側なので今日は相手にもスーツを着てもらって、と思い、ネクタイをプレゼントしてデートをしようと誘うと…
Wスーツでの着衣Hに燃えるラブラブな2人でした。
BLも読み慣れてるとよっぽどでないと特殊と思えなくなりますねぇ。
そんな私でも「開口器」には驚きました。
絵柄が好みなのはれの子先生。全体に愛があるのでどんな性癖でもいいんじゃないでしょうか。