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エキスパートレビューアー2025

女性muuebaさん

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「毎日が人生で一番幸せなんだ」

突然変異で性別が変わってしまい、自分自身の体調の変化、環境の変化に翻弄され、苦しみ、乗り越え、お互いを求めあい、両想いになった2人。

まず表紙の2人の表情がとても柔らかいのが印象的です。
本編でも2人の雰囲気がとても柔らかくなっています。

番になって1年、突然変異前とは違うけれど、それぞれの職場で今の性別で成果を出している2人。
番になって一緒に過ごしているし結婚はしなくてもいい、と思っている雅が素敵です。
少しはお前に見合う男になっただろう、とプロポーズする望が素敵です。

結婚の挨拶をしに、雅の父親の家を訪ねる2人、近所の子どもたちに勉強だけでなくいろんなことを教え、地域の子どもたちのお父さんのようになっているαの雅父、と、その雅父の自慢のαの息子が帰ってきたということで、地域の人たち、子どもたちは大騒ぎとなる様子に、とてもハラハラし、苦しくなりました。

雅の父に、性差別をする意識はないけれど、妻とのつらく苦しい過去、息子への期待と誇り、によって、意図せず、型にはまった意識と感覚を持ってしまっていて、それが息子への愛情とともに描かれているのが、とても切なく、そして情感豊かでした。

毎日が人生で一番幸せなんだ、と笑顔で言えた雅が素晴らしかったです。

αじゃなくてごめん、と言わずにいられない息子と、言わせてしまった父親、がとても切なかったです。
2人とも間違っていた、間違っているわけではなく、仕方がない、といえる状況でした。
誰のせいでもない、突然変異による性別の変化、が原因なのですから。
そこでちゃんと反省して息子に向き合えた父親が、素晴らしいです。
どんな性別でも幸せなんだ、と、別々の場面で、父親と番が同じ気持ちを抱いていることに感動しました。

父と子、父と子の番、番同士、それぞれの愛情と思いやりが情感豊かに描かれていました。
きれいな絵、きれいな言葉がたっぷりの素敵な2巻でした。

巻末に描き下ろしが2編。

描き下ろし
結婚式を終えた夜の2人の甘い時間、結婚式の動画を見ながらのエッチはちょっと癖の強いプレイのようでしたが、2人がとても幸せそうでほっこりしました。

電子版限定描き下ろし
2人のお食事事情のお話から、2人が最初と比べて、本当に表情豊かになって、楽しくし幸せにともに生きている様子がわかり、幸せな気持ちになりました。

恋ってそんなにドラマティックなものばかりじゃない


初読み作家さんで、無料配信で3話ほど読んで興味を持って購入したのですが、大当たりでした。

おんぼろアパートで隣同士の部屋に住む、ホストの御子柴と、警察官の向島。
ふとしたことで出会って、交流するようになって、同衾するようになった2人。
それぞれの職場、仕事中に出会う場面もあり、この気持ちはなんだろう、と考えたり、考えなかったりする様子が、重すぎず軽すぎず、描かれているのがとてもよかったです。

創作物で漫画なのですが、恋ってそんなにドラマティックなものばかりじゃない、こういう日常の中でふんわり生まれて育っていくこともあるんだ、ということを、甘やかすぎずに描いているのも素敵なところでした。

デビュー作ということを読後に知り、絵柄やストーリーの見事さに驚きました。
次作も購入してみようと思います。

ずっと一緒にいて、同じベッドで寝て、両想いにもなるけれど、キスまで、で、身体の関係まで描かれなかったところも、個人的にはとても好きでした。

天国で地獄 電子 コミック

滝端 

とっても甘い

いかにも元が同人誌だということが伝わる、甘さ全開、お楽しみ満載の短編でした。

クライアントの無茶ぶりで疲労困憊の望が、愛する雅を今すぐ求めたいけど、と自慰をしているところに、最近、お疲れの愛する望を労わりたいと早く帰宅した雅が見つけてしまい・・・

あんな様子もそんな様子も、こんな様子もどんな様子も、とにかくお互いが愛しくてたまらないんだ、ということが強く伝わってきました。
とっても甘くてかわいい2人のいちゃいちゃを堪能しました。

初期の2人の様子、言動、表情を思い出して読むとより一層、萌えます。

安定してて甘くて幸せ

番になり、事実婚状態なのに、いまだに隣人同士のままの2人の短編です。

2人とも一緒の時は同じ部屋で寝起きしているのに、麻川が出張になると、寂しいからと自宅に戻り、1人になるとさらに寂しくなってしまった恒吉のかわいい行動にきゅんきゅんします。

麻川が恋しいがためにすることが、恒吉らしからぬ、時間も手間もかかってる、そのギャップがとても愛らしいです。麻川まみれ作戦とか、名前がかわいすぎて、読んでいてにやにやしてしまいました。

恒吉がヒート時期でないのに、巣作りして、大事なところをむき出しで眠り込んでしまう無防備さ、が、番がいることで安心、安定、幸せでいるということが伝わってきました。
2人がちゃんとお互いに気持ちを言葉にして伝えあえるようになっているのが素敵でした。

絵もストーリーもだけど、言葉遣いが深く美しい

父親に、周囲に、期待され、それに応え、努力をしてきて、自他ともに認める優秀なαだった恒吉が、ある日、突然、突然変異でΩになってしまい、会社から追われるように帰宅したところで遭遇した隣人、麻川に、一時的な処理、をしてもらうのですが、その麻川も突然変異をしたαだった、という複雑な設定、関係です。

2人とも、言動が固く、とがっている印象がありました。
それは2人のこれまでの育ち、経験、それから、突然変異によって急変した環境への戸惑い、苦しみが原因でした。

「こうして、あっけなく俺の人生は終わりを告げた」
αでなくなり、Ωになったことを、恒吉はこう表現します。
この世界の感覚であり、恒吉の生まれ育ってきた環境においては、人生が終わったに等しい変化だったことを強く感じさせられました。

言わば、格下げになった恒吉に対し、逆の立場、βからαになった、格上げになったはずの麻川ですが、恒吉以上にバース性と、それを取り巻く人々の思惑、環境に振り回されている様子が、苦しく切なく感じました。
「お前は他人を恨まないんだな。腹が立たないのか、バース性なんていうものに振り回されて」
麻川が恒吉にかけたこの言葉は、αがΩに向けるものとしては、不適切かつ無神経にも思えます。しかし、それだけつらい過去を経験してきたということが伝わってきました。

突然変異で性別が変わり、生活も、環境も変わり、戸惑い続ける中、恒吉から麻川に積極的に関り、少しづつ打ち解けていき、穏やかで優しい交流が生まれていく様子は、心温まるものがありました。
「半端者」だと周囲から向けられる視線、自覚をし、その半端さに向き合っていこうとする姿勢が、お互い教え合う、のではなく、お互いがお互いの生き方、考え方からゆっくり吸収、学んで、馴染んでいく様子が、心に優しく染みました。

邪な思いを持つ恒吉の元同僚による性犯罪を防ぎ、救った麻川。
きちんと自分の気持ちを整理して、たくさんの言葉を重ねて、告白する様子が、とても素敵でした。
両想いになってからの、お互いへ向ける視線、言葉、全てに情感がたっぷりになっている変化も素敵でした。

巻末に描き下ろしが2編。

描き下ろし
ヒートで巣作りした恒吉が、真っ赤に顔を染めてるのがとても愛らしいです。
ふたりが待ち焦がれたであろう番になるための交わり、たくさん強い愛が伝わってきて胸が温かくなりました。

電子限定描き下ろし
番になってから、その次の発情期が近付いてきた時期の、2人の柔らかくて優しい会話が楽しめました。

描き下ろし2編とも、一読して楽しんでから、最初のころの2人の様子を思い出してからもう1回読むと、より味わい深いです。

後味が悪いような、良いような。強烈で迫力のある物語。

原作未読。

何年か前に聴取済で、久しぶりに聴いたら、その迫力ある内容に、ちょっと鳥肌が立った作品。

特筆すべきは、メイン3人を演じる声優さんたちの声と演技がものすごくはまっていることです。

気弱げで、強気な相手に振り回されて、人が良くて、そして、心の奥底に秘めた強い気持ちがある永江俊一を平川大輔さんが演じています。
薄幸そうで、同級生やその弟にいいように振り回されても怒らずに相手している、複雑なキャラクターを見事に演じられています。
これ以上でもこれ以下でもない、絶妙な匙加減、素晴らしいです。

永江俊一の同級生、利己的で傲慢な葛原祐介を、鳥海浩輔さんが演じています。
最初から最後まで、一貫して利己的で傲慢で嫌な男を、見事に表現されています。
鳥海さん演じるいい人キャラクターの印象が強かったので、この演技はちょっと意外でした。ちゃんと嫌いになれる嫌な奴っぷりでした。

大学受験を控えた祐介の弟で、俊一に家庭教師をしてもらう葛原育美を、鈴木達央さんが演じています。
お金だけはかけてもらっていて、親や家族からの愛情はかけてもらっていない、世間知らずのわがまま、純粋なところもあるお坊ちゃま、という役柄、鈴木達央さん以外の声優が演じたら、もっと嫌な奴になったり、子どもっぽくなっていたのではないかと思います。
ものすごくはまり役でした。

2009年発売の作品ですが、ストーリーはさらにもっと昔の時代にあっていそうな、古めかしさがあります。
禁忌エピソード、多く盛り込まれていて、聴いていて、おお、おう、としんどくなることもあるほどです。

面倒な性格の兄弟に愛された男の切ない物語か、と途中までは思っていたのですが、そんな甘さはなく、後半に進むに従って、どんどんしんどさが増していきます。

聴取中に、何度も、驚きの声をあげていましたが、最後の最後での種明かし、最も大きな声をあげてしまいました。
ハッピーエンド、と表現していいのか、と戸惑うラストでした。
「2人は末長く幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」とはかけ離れたラストではありました。

後味は悪いような良いような、何度も複雑な気持ちになります。
迫力のある物語、演出、そして声優の皆様の演技でした。

キャストトークはメインお三方が楽しそうにわちゃわちゃしています。
なんと7Rをこなしたそうで、平川さんの舌がまわっていない話しぶりから、その壮絶さ、お疲れっぷりがうかがえました。

クズ、チャラ男の更生と成長が楽しい

クズ、チャラ男とまじめであだ名が博士だけどかなり特殊な性癖を持っている後輩男子くんとの最悪な出会いから恋人になるまでのお話。

偶然、秘密を知ってしまってから、いいことしてやるよ、的な展開は、AVやエロ重視の作品にありがちな展開ですが、さすがさがみしか先生、独特な雰囲気と要素がちりばめられています。

クズ、チャラ男が、絵にかいたような、どころか、エピソード追加しまくりでチャラくてクズでな男だったのに、ちゃんと叱られて、ちゃんと反省して、言動を正していく様子に萌えました。

借りを返すという言い訳、楽しさと親しみとで、検証する、再プレゼンする、と、がんばるチャラ先輩と、特殊性癖がばれた相手には感想や分析を言葉豊かに語る後輩、エロいやりとりもありつつの温度差が楽しいです。

若いころは性欲と恋愛感情が結びつきやすいんだろうな、と冷静に分析したりしつつ、それだけではない、お互い、最初はマイナス感情から、徐々に気持ちを向け合っていき(時間差、温度差がけっこうあるのもおもしろい)、そして、それに戸惑ってしまう様子が、性癖を交えてときにコミカルに、丁寧に描かれていました。

告白から両想いになるシーンは、とても盛り上がって、萌えもありましたが、楽しさもいっぱいでした。

巻末かきおろしは電子限定とふくめて2作、エロエロで、2人がまあ、楽しそうでごちそうさま、という感じの甘いショート漫画でした。

エロシーンが多いBL作品はあまり好まないのですが、その他の要素がとても魅力的で楽しいです。同じようにエロ多めはなあ、と思った方にもおすすめします。

運命の出会いと奇跡の再会

原作未読。

優しさと切なさの香りが全編通して漂っている作品でした。

芸大に現役主席入学、芸術を楽しみ、芸術を仕事にした矢野咲。
学生時代の展示会で、自分の作品を熱心に長い時間をかけて見惚れてくれた少年との出会いが思い出に残っています。

デザイナーとして働いていた咲が、ばったり出会った赤い髪の青年、ユウ、おどおどしているようで強引な誘いに乗って、映画、それから一夜を共にしてしまいます。

ロマンティックかつファンタスティックな出会い、展開だと思いました。

土岐隼一演じるユウは、気弱げでオドオドしているようで、芯の強さを感じるところもあり、ちぐはぐな印象がありました。
後半、明かされた子ども時代のエピソード、咲との出会い、咲と再会してから、その変化、落差を、見事に演じられています。

増田俊樹さん演じる咲は、いい意味でも悪い意味でも芸術家肌なところがあるようで、感覚的に動くことが多く、繊細、ときに大胆。ユウと出会い、惹かれていく様子は、そんな芸術家の初恋のように甘くて愛らしいです。

大会社からの初依頼、その際に知ったユウの正体による誤解で、2人の間に大きな亀裂が入ってしまいます。
誤解による亀裂から、2人がお互いの気持ちを打ち明け合うまでの流れがとても綺麗で素敵でした。

また、今作は、綺麗で素敵な台詞が多くて、聴いていて耳から心が清められるような感覚がありました。
ストーリーを楽しみつつ、いい台詞だあ、と感じ入りながら聴取しました。

最後の再会前の演出が原作未読者にはちょっとわかりにくかったので、機会を見つけて原作を読んでみようと思っています。

遊佐さんのスーパー秘書がいい

原作未読。
遊佐浩二さんのBL出演作を探していて見つけた作品です。

遊佐さんファンにとって大満足の作品でした。

遊佐浩二さん演じる秘書、神谷隆一は、タイトルの通りスーパー秘書です。
後々、詳細が明かされますが、ひと昔前の突拍子のないドラマのすごいヒーローのような、大量の資格とすごい経歴を持っています。

二代目社長のちょっと(だいぶ)おばかで甘ったれなお坊ちゃまを導くためにやってきたスーパー秘書という役どころですが、秘書でありお守りであり家庭教師であり、相手のどんな言動にも余裕綽々で対応し、きゃんきゃんわめく子犬のような二代目社長のお坊ちゃまには、慇懃無礼な対応をするという・・・
遊佐さんの声と演技がとてもぴったりはまっていました。

近藤隆さん演じる橘博之は、前述しましたが、ちょっと(だいぶ)おばかで甘ったれなお坊ちゃま。根はいい子だけど、ちょっと浅はか、熟考して行動することができません。
小憎らしいけれど、かわいい様子、スーパー秘書にいなされて、がんばっちゃう様子を、近藤さんが素敵に演じられていました。

2人が仕事のことでわいわい言い合う様子が楽しく、スーパー秘書により二代目社長が成長していく様子が心地よいです。
BL要素がなくても、よかったくらい、と個人的には思いました。
なぜなら、途中でいきなり安っぽいAVのようなエッチ展開になってしまったからです。
これは原作からドラマCDにする際の演出で、心情表現を省略したのか、原作通りなのかはわかりませんが、だいぶいきなり感がありました。
身体から入る恋愛っていうのはわからなくもないのですが、欲求不満の性処理から入るっていうのはどうなのかな、と。原作未読者の個人的感想です。

二代目社長という身分設定が生きている展開、副社長のおじに暗躍による事件が起きますが、展開といい使われているBGMといい、昔の二時間サスペンスドラマのようで、一気に盛り上がり進んでいく様子が楽しかったです。
後半、おばかさが加速して窮地に陥る二代目社長を颯爽と救いにくるスーパー秘書。
セオリー通りというか予想できた展開でしたが、だからこその盛り上がりがあり楽しいです。
スーパー秘書という肩書が生きた展開でした。

いろんな人間との関り、情が楽しめ、かつ、笑える作品

上下巻の下巻。
表紙の2人の構図の対比が素敵です。

ちょっとした喧嘩から別れたようになってしまう2人。
2人ともちょっと面倒くさい感じにうだうだ、うじうじしますが、その様子がまたかわいいのです。

2人だけでなく、友人、家族、いろんな魅力的なキャラクターが揃っているのもこの作品の素敵なところで、2人の仲直りにもお父さんのおせっかいが効いています。

ようやく両想いになり、お互い男性は初めて同士で探り探り求めあい、初めての共同作業、という感じで初体験を済ませた2人。その後の2人の真逆の様子が、愛らしさもありつつ、とても楽しいです。

葉月の高校時代の友人で、真の雇用主でもあるオネエさんも、2人が結ばれるのに協力したキューピットの1人です。
言葉の使い方も感情表現も豊かで楽しく、頼りがいがあり、優しい友人知人たちに囲まれている2人の様子、楽しくもあり、胸が温かくなります。
BL作品なのですが、いろんな人間との関り、情が楽しめ、かつ、笑えるところがこの作品のすごいところです。

両想いになり初体験を済ませたあとも、相変わらずどたばたしていた2人ですが、だんだんとラブラブ度が増してきて甘い雰囲気になったり、それでもやっぱりおふざけが混じったりしているやりとり、バランスのとり方が上手で愛情深いのを感じます。

葉月が真をラブホテルに誘うくだりも、あまあまな感じがしつつ、笑いもたっぷり。
記憶を頼りに変な名前のホテルを探したら、変な名前じゃなくなっていてつまらない、などというエピソード、恋愛ものにあるまじき、などと思ったりしますが、この2人らしくて、とてもいいです。
他にも、こういう楽しいエピソードでたくさん笑わせてもらえるのですが、とても絶妙な塩梅なので、白けたりすることなく、楽しめます。うすいしっぽ先生は、これがデビュー作というのだから、本当にすごいです。

男性相手に恋愛をすることが初めての2人なので、やっぱり女性相手のほうがいいのでは、という同性同士の恋愛につきものの悩みのエピソードも出てきますが、真のそういう悩みに対し、葉月が「いいかよく聞け、女の方がいいなんて言ってるやつがこんなに***ベロベロなめられるか」と返します。
これまで読んだ全BL作品の中で上位の下品な台詞だと思うのですが、最高に気持ちが伝わる台詞でもありました。

巻末の描き下ろしまで豪華で楽しい作品でした。