ちるちるのこのページからRenta! のサイトに飛んでサンプルを見たのですが、買って読み始めたら「あれ、出だしが違う」。でも少し読み進んだらサンプルの箇所が出てきました。販売サイトによって、サンプルのページ数に多い少ないがあることはよくありますが、切り取り箇所が違ったのは、私にとっては初めての経験だったので新鮮。そしてこのレビューを書く前に、もしやと思って別のサンブルも確認したところ、最初のページからのサンプルを出しているサイトもあり。
たしかに冒頭の8ページがグッとくるところなので、そこを見せてしまうか、出し惜しみするかは考えどころですね。あの「ちくしょう......」は、西さんでなくてもズギューンとやられてしまいますもん。
ストーリーもしっかりだし、受と攻の会話のやりとりも絶妙で、さすが深井先生!という1冊でした。深井作品は全部読んだつもりだったんですが、うっかりしていて、もっと早く読めばよかった。 サイン会もあったんですね、行きたかった、残念。
表題作は、これから何回も読み返す作品になりそうです。ほかの方も書いていらっしゃいますが、ぜひ続編を。
あと、今回、竹書房の日にありがたく半額で買わせていただいたのですが、深井先生の作品以外も買いもらしのないように竹書房さんの作品をバーっとチェックしていくと、今までに読んで大好きな作品が本当にたくさんあり。あらためて竹書房さんって素晴らしいなと思いました。
すでに皆さまがレビューしていらっしゃる通り、セリフの主がところどころわかりにくい以外は、本当に愛らしい王道BLで、最後までうっとり切なく楽しめました。
ただひとつ気になったのは表紙。構図とか浮遊感とかが、『酷くしないで 小鳥遊彰編』の口絵をすぐ思い浮かべちゃうんです。中身の里谷くんと彰さんとは似てないんだけど、表紙の里谷くんの髪型や顔立ち、視線と半開きの唇なんかが彰さんに似ているので。
まあ、ねこ田先生の方の、表紙を開いて、あの息を呑むような静謐なイラストが飛び込んできたときの感動が、あまりにも強すぎるせいでしょうか。
作品は、攻がミステリアスで魅力的で、いったい何やってる人なんだろう? って、受くんと同じように気になりつつ読み進めました。里谷くんちに来てるのに、テレビ番組の最終回を見たいとかって、「もしかして、その番組をつくっているプロデューサーの人か?」と思ったけど違ってた(笑)。いずれにしても、余裕のある年上の恋人っていいですよね。
物語の中で、二人がずっとそれぞれシングルのジェラートを頼んでいたのに、離れてからは互いに相手の好みのジェラートを選んでいたこと。そして最後の「extra chocolate」が終わったあとのページには、ダブルにスプーン2つのイラストがあったりと、ジェラートを通して二人の気持ちが細やかに表現されていたのも効いてました。
次にどんな作品を描いてくださるのかすごく楽しみ。期待しています。
『リトルウィング』
孝一と悠二、京一と隆二で、それぞれ別々の兄と弟を想いながらの
「好きだよ.... ゅーじ...」だったんですね。
それを知って読むと、ヤクザ京一兄さんの表情、心抉られます。
あとがきと、ぴえぴえ3号さんや茶鬼さんのレヴューがなければ気が付きませんでした。
ヤクザ兄が弟を回想する絵とかを安易に出してこないところが、またニクい(でも、それがないから、このマンガだけじゃ気付かないよ~!)。
深井先生の作品、今どきのフワフワ雰囲気BLマンガとちがって、ホント、
ストーリーに手が込んでて、たまらない。
BLに何を求めるかは人それぞれ。ほかの方も書いていらっしゃる通り、この1冊、どれもけっこう死人が出たり題材もダークだけど、どのお話も希望の光が差し込むエンディングなので、私の読後感は「晴れ」でした。
BL 歴3か月で、『男の上手な泣かせ方』を読んで以来、深井結己祭りです。数々の受けキャラクターの可愛さと、短編でも「おっ、そう来たか!?」と唸らせてくれるストーリーの意外性にハマっています。
多くの本が何年も前に出版されているので、今ドキのランキングには深井先生の作品はあまりあがってこないのでしょうが、なんかもう、BLの萌えの要素のほとんどは十何年も前に深井作品の中にあるって感じで、温故知新。出会えて幸せです。
けれど、多くの本が、中身の人物はすごくキレイなのに、表紙がもっさこい感じで(先生ごめんなさい!)、なんかすごく損してる気がします。
この本も、深井コンプリートを目指す私でさえ「ちょっと、このヒゲづらのは....」と読むのを躊躇していました。でも思い切って読んで良かった。これ、最後の方の晃太VISIONの天使が表紙でもいいんじゃないでしょうか。
荒塚先生が襲われたあとの4人の心理描写、絶妙でした。