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目まぐるしく、鮮やか

上海という街をかけて勢力争いを続ける、ストリートキッズ達のチーム「翔龍記」と「都蘭」。七夕の夜に偶然に出会った翔龍記の大武と都蘭の雪は、お互いの素性も知らずに惹かれ合っていく。二人の出会いによって壊れていく「翔龍記」と「都蘭」、それでも離れることの出来ない二人の行く末。

大武と雪に関わる人々の交錯する想い、チームへの裏切りだとわかりながら秘密を重ねることを止められない二人。一つしかない終わり方だとわかっていても夢中で読んでしまいました。
ラストは行き止まりの愛を抱えた彼らの、来るべき結末がストンと描かれていました。虚しく空虚で、どこまでもリアルに思いました。

かなり古い作品ですが、その雰囲気も合間ってなんだかとても切なさが尾を引いています。

凶暴だー

私立探偵の陣内×美貌のやくざ・天海の話。
まず設定だけでありがとうございます状態。こういうカップリング設定が好きな方は買って損はないと思います。
このお話の最初は「腐れ縁」の天海が、厄介な仕事を陣内に持ってくるところ。陣内を殴る蹴る脅す、ドアを破壊する…、断ると更に厄介で、しかも報酬は破格とくれば引き受けてしまう。このように始まっていきます。
天海は強い人間です。冷徹で、富も地位もあり、望めばなんでも手に入るでしょう。そんな彼がなぜ陣内と腐れ縁なのか。いじらしいなと思いました。
天海の男前なところがすごくいいなと思いました。男前というよりは自分を守る砦だとか、蓋といったほうがいいのかもしれませんが。結構重い背景があるのですが、彼の性格によって読み手側としてはあまり気落ちせずに読めました。
卑猥な言葉で攻を翻弄してしまう受。いわゆるへたれな攻。それに付随するストーリー。おもしろかったです。

千の花 コミック

依田沙江美 

節々に溢れるお互いの気持ち

何年も一緒にいるからこそ、情熱的な日々を超えたからこその二人の雰囲気。これが素敵に描かれています。むしろ淡白っぽくも見える二人なのに、ふとした瞬間に「この人のこんな所を好きになったのだ」と思い出す。そして、結局お互いのことを考えてる二人。いいなーって思います。本当に。お互いがどんな人間か(嫌な部分も含めて)分かっているから、二人だけの空気が流れているように感じます。それは会話の節々から伝わってくるのです。荒い口調だったり、言い回しだったり。通じ合ってると思わせます。

(JUST LIKE)STARTING OVER内の昇さんの言葉で、涙が溢れました。この人、勇気のことが好きなんだって。陳腐な表現で恥ずかしいですが。
この千の花は二人の恋愛が一つ区切られたんだと思います。これからまた違う形に変わっていく始まりの話でした。

二人共大人だし、二度目のお付き合いだし、だから付き合ってからを描いてもエロばっかりになっていないし、仕事や恋愛以外の私生活も描かれていて素敵なんです。
ヨリサエさんは素敵だなあ…いつもビターチョコみたいな作品を読ませてくれます。

同級生 コミック

中村明日美子 

はじけるレモンスカッシュ

高校生二人がゆっくりと、酸味の効いた恋をします。
同じクラスにいながら話をしたことはなく、片や優等生、片やヤンチャ系イマドキバンドマン。お互いあまり良い印象は持っていなかったはず。そんな二人がとあるきっかけで親しくなっていき、恋へとかわるその描写を、作中の言葉を用いれば「炭酸がはじける」ように描いています。
嫉妬したり進路で悩んでケンカしたり、熱くも青い恋愛で読んでいる私までドキドキします。
この作品を一言でまとめるならば「さわやか」そのものです。このさわやかさ、ピュアさが良かったです。輝く白さ。

精巧で緻密な線が美しい!惚れ惚れします。全体的に白い画面が、照りつけるような日差しや、はじけるようなさわやかさを連想させます。

キスとか背中を触るとかが、とてもいやらしくかかれていました。丁寧かつさわやかな展開なだけに、余計に。たまに顔を見せるいやらしさがリアルです。さすが男子高校生。あと、佐条くんの仕草がいやらしいです。

表紙に一目惚れして、発売から2ヵ月経ってようやく購入した記憶があります。第六勘が当たると嬉しいです。今更のレビューとなりますが、もし未読の方がいましたら。このお話の中に明日美子さんといったらエログロの片鱗はありません!個性的な絵柄ではありますが、同級生は割りと抑え目な気がするのである程度は平気かと思います。

キリスト、心臓

この物語はトーマが自殺をすることから始まります。
誰からも愛されるアイドル的人間だったトーマ。そうして、トーマと同じ学校の優等生・ユーリの元に彼から遺書が届く。そこには「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」と記されていた。

遺書の意味、トーマが死ぬことの意味、ユーリに遺書を送った意味。それが物語が進むにつれて明らかになっていきます。
ユーリは深い苦悩を抱えていますが、優等生であることがそれを増幅させています。自分が犯した罪の意識に苛まれること。誰にでも潜むはずの自分の二面性を認められないこと。別の二人の人間に惹かれていくこと。キリスト教の教えと自分の気持ちとの葛藤。
そして、物語の終盤になってユーリは自分の想いに気づきます。

この物語は段々強く首を絞められていき、最後には窒息してしまうようでした。愛とはこんなに深いものなのかと、こうまでして人を愛するものなのかと、それはまるで絶望のようでもありました。
魂を救済したトーマは天使のようです。神の遣いというか。自己犠牲も厭わずにユーリに気づかせようとした。

私はこの本をユーリと同じ年齢の時に読むことが出来ました。友達のお母さんが10代の頃に感銘を受けた作品の一つだということで、「ポーの一族」と共に貸してくれたのです。
その頃は、どうしてトーマが死ななければならなかったのか、頭では理解しても、辛くて納得ができませんでした。というかその点ばかりを見ていました。
この作品が漫画であることの意味はすごく大きいのではないでしょうか。私のような人間でも絵のついた流れによって答えをくれるのでわかりやすい。
読む年齢によって感じ方が変わってくる作品です。今、思春期を迎えている方はもちろん、大人の方でも、昔読んだことがある方も、響くものがあると思います。

この作品は私の中では別格です。「神+」でお願いします。

きれいで透明な世界を圧倒的文章力で描いた超作品!

とても綺麗でボーっとした男・魚住と、大学時代からの友人・久留米が主軸になって話が動いていきます。メイン二人だけでなく、どのサブキャラに至るまで生き生きと、リアルな性格で描かれている。魚住くんは割と浮世離れしていますが、そういう人、たまにいますよね。キャラ一人一人が、「こういう性格のヤツいるよなー」と思わせます。それに付加する設定が少し小説なだけで。

魚住くんは不幸に見舞われた人生を送ってきました。というか結構、現在進行形で。生まれた時からそうだったといっても過言ではないかもしれない。
彼は感情表現が欠けています。0に近いぐらい。魚住くんはそれを今までの人生の中で落としてきてしまったんです。
魚住という非リアルな、異質な存在が、リアルな登場人物の中にまぎれこんでいる。だけど、魚住くんの中に初めて制御不可能な感情を植え込んだ久留米によって、魚住はだんだんと現実世界の人間になっていきます。
久留米と魚住が、お互いにどんなふうに見えているのか、どんなふうに惹かれあっていくのか、それをゆっくりと的確に私たちに見せてくれます。一つ一つの出来事を通して彼らが近づいていく様がありありとわかる。魚住にとって久留米がどんな存在なのか、積み重なっていく出来事が教えてくれます。

この作品は文章力があってこそ成立します。なのに読みやすいです。難しい言葉を使わずに等身大の言葉で書いてくれています。

表紙の魚住くんを見て「魚住くんだ!」と本当に思いました。ぴったりです。儚げで気だるげな表情、白のタンクトップ。手を伸ばしたって届かないような、フィルターの向こう側にいるような。

こちらが焦らされるようにじわじわ進展していく恋、魚住や久留米のお互いの気持ちの高まりに、続きが読みたくてしょうがなくなります。

割と永遠に近い存在、でも儚いもの

このシリーズは植物、春夏秋冬が人になっています。でも妖精みたいなものだと思います。人間との交流もあり、季節との交流もあります。

人間と妖精の場合、お互いに触ることができなかったり、人間は年を取ってしまうけど妖精は少年の姿のままだったり…
どこか切なさが漂っています。

ほんわか+切ない。粗めのトーンが多様されていて、画面がキラキラしています。ポップ?でも普通のキラキラ系と違うのは、主線だと思います。細い線を重ねて粗っぽいところ。

少し受がプロトタイプ気味ですが(申し訳ありません。)、私は話を読む上で問題はありませんでした。素敵な設定に惹かれたら読んでみて間違いないと思います。

クマとインテリ コミック

basso 

召しませ、イタリアン

主線は太く荒々しくも的確。トーン使いも同様のことが言えると思います。全てにおいて男らしい。なのにどこかに紳士的な匂いを紛らわせている。それは表情・動作の1つ1つがキッチリ描かれているからかも。
モノローグは無に等しく、表情で全てを読み取るのです。口で語るよりも美しく真実が表れていますから。
激情を抱える時期は過ぎたからこその、小粋な恋が主です。

「コンテ」はいつまでも熱い男と、若くヤンチャな男の話。これからの2人は大人の恋愛が始まるんでしょうね。

「ジェラート談義」で立てられたフラグを受けての「昼下がりの部屋」。いやらしかった。長年一緒にいる人たちの、奔流のような恋ではなく、ゆっくりとした、溶けそうなジェラートって感じですね。受の表情が素敵でした。裏表紙を見てヨカッタネ!と思いました。

最近の流行からは一線を画した、洒落っ気溢れる作品です。華やかな恋愛でお腹がいっぱいになったら是非、こちらを!

成川理也、「彼ら」の行く道。

シリーズ完結編。
私はこの巻で香坂が大好きになりました。今まではよくわからない人だと思っていましたが。

思春期において、失恋は割とありふれた出来事ですね。だけど、香坂先輩にとっては白理也への想いが初恋だったのでは。白理也も最初は香坂がわからなかったと思います。次第に香坂の強引さの中の優しさに触れていくようになりました。
ニ巻の途中に黒理也と香坂先輩が初めて出会うシーンがあるんです。その時に香坂が、黒理也に言った言葉。その言葉を白理也が知るのは、黒と統合してからでしたね。
香坂先輩も白理也も気づくのが遅すぎたんです。
多分、白理也にとって、香坂に恋をしていると気づいたその時には、この恋は終わってしまっていたのではないでしょうか。黒との統合、篤志の存在によって。
二人の恋は全てが遅すぎたんです。

香坂は単に不器用だったんですね。
香坂にとって、白理也はいつまでも消えることのない鮮やかな痛みとなって残り続けるんだと思います。幼かった自分を悔いるかもしれませんね。青春時代の恋愛として語るには、切なすぎるかも。

二重人格が1つのメインテーマになっていますが、純真な自分は強引で野性的な香坂に惹かれ、生意気な自分は温厚で包容力のある篤志に惹かれている。「理也」は全く別のタイプの2人の男性に惹かれています。彼は二重人格者ですが、これは私たちも持っている二面性のようにも感じました。
他の作品を引き合いに出すのは申し訳ありませんが「トーマの心臓」ではこの二面性が1つのテーマになっています。こちらを読んでG猫を読むのも楽しいかと思います。

線の繊細さは変わらないですが、画面が華やかに。
素敵な作品です。是非どうぞ。

初期の宮城さんだからこその雰囲気

宮城とおこさんの絵柄が好きです。
線が細くて繊細な絵柄、あまりトーンを使わない白黒の画面。
私はこの雰囲気にやられちゃいました。

へたれというかお人好しというか、そんな性格の篤志は、家の前で血を流して倒れている少年を拾います。
少年の名前は理也。高校生。彼はバイオリンを持っていました。
この子がいいんですよ。気が強いんですけど、それは弱い自分を隠すためというか。篤志が作中で言うんですが、「理也が俺より全然ちっこいことに気づいた」。
理也は、気を引きたいから困らせてしまう、振り回してしまう、わがままを言ってしまう、そういうタイプなんです。

あともう1人。俺様?強引な理也の先輩・香坂。
でも、香坂の知る理也は、上記のような人物じゃないんです。ほんわ~としていて、でも芯が通っていて、守ってあげたくなるような。それが香坂の知る理也。

それが理也の秘密です。

この秘密ゆえの理也の(消えてしまいそうな)危うさが作品の儚さを底上げしているように思えて…。2巻が出るまでの間に窒息してしまいそうでした。どっちが、どうなってしまうのかと!これはどんな作品なのかと!

この作品は私が初めて手にしたBLです。多感な時期でしたので、思い出補正がかかっているのかもしれません。私情も入ってしまっているのかもしれません。ですが、この雰囲気に今だに酔っている私は、この評価をつけるほかありえない。
繊細な絵柄から流れ出る雰囲気。理也の秘密、儚さ。切ない美しさ。幼い頃を懐かしむような、あの気持ちにも似ています。