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エキスパートレビューアー2025

女性Sakura0904さん

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策士なようで、案外真っ直ぐな攻め

 またこの2人の掛け合いを読めて嬉しいです。塩野が異動になってエリート街道を昇りつつある中での遠恋。仕事で来ている時に多古井に冷たいのはプロ意識がなせる業なのかなと思いきや、ただの痩せ我慢だったと知り微笑ましかったです。現実の警察組織はまだまだホモソーシャルな部分も残っていて同性愛に寛容ではないんじゃないかというイメージですが、こちらは皆フラットな態度でいてくれて温かい空気が素敵ですよね。周りに筒抜け過ぎやしないかとも思いますが、そこはお愛想。起きる波乱もリアリティはありませんでしたが、なんやかんや最後に2人の絆が確かめ合えるので気付いたら楽しんでいました。年上でおじさんな見た目の多古井がちゃんと可愛いのはすう先生のテクニックと塩野の愛のおかげですね。また続編が読みたいです。

ちょっと不思議で、なんか可愛い

 萌2に近い萌評価です。掴みどころのないふわふわした緩い男・巴田と、冷めているようで真面目な警察官である三澤。出会い方も唐突で、巴田のアタックも唐突で、まさにタイトルどおり非日常的。さらに巴田の過去の拗らせ話が、軽そうな見た目に反して結構ヘビーでまたよく分からなくなる(笑)。そういう経験を踏まえて今の彼が出来上がっているんだろうけど。でも、綺麗でノリが軽い男が案外一途に好意を表すところに萌えましたし、硬そうな三澤が彼に絆されそうな隙を見せるのが可愛いなと思いました。続くようなので、もっとお互いに踏み込んだ2人を見てみたいです。

相手と同じ場所に立って

 律の症状は強迫性障害というものなのかな。あまり詳しくないので断定はできませんが。生まれ持ったものではなく、幼少期の生活環境が原因のようなので、素人としては何かをきっかけに少しでも改善されればなぁという思いがつい頭をよぎってしまいますが、彼の叔父も一護もそのままの彼を受け入れて、そういう性格の人間として最後までフラットに接しているところが印象的でした。そうだよね、そんな簡単に治せるものではないよね、と。律のルーティンを理解し、その生真面目さや正直さを愛おしく思い、たくさんの決まり事からはみ出た衝動的な言動に胸を熱くする。そんな一護だからこそ、律が安心して身を委ねられるのだなと思いました。

孤独を分かち合うにもぴったりのバディ

 表紙の雰囲気どおり、ホラー要素多めの除霊BLです。私はホラーが得意ではありませんが読めたので、ホラー苦手な方でも読みやすい作品だと思います。除霊からBLに発展するトリガーはいろいろパターンがありますが、こちらはそもそも霊が煌河の精気を吸い取ろうとするので、天丸がそれに対抗しようとすると必然的にそういう行為になるという感じ。

 お互い別に筋金入りのゲイというわけでもないだろうけど、体の関係から始まって共に修羅場をくぐり抜けるうちに相手を受け入れていくのは自然な流れに思えました。天丸の方は最初から煌河を気に入っていたみたいですが。確かに煌河は筋肉もしっかりある男らしい体つきで、行為中も表情が蕩けすぎることもなく、最後まで男性らしさを崩さないところが魅力的な受けでした。

理想のカップル

 前巻を読んだ日から間が開いてもすんなり2人の空気感に馴染めるのは、日常系BLのいいところですよね。あまりテンションは高くない2人ですが、今回も冒頭からじんわりとした甘さがずっと漂っていて、何度も萌えました。やっぱりなんといっても、受けの秋貴のビジュアルと言動が本当に可愛らしい。長い前髪で隠れがちな表情ですが、仁の言動に対し静かにいろんな反応を見せてくれるところがたまりません。仁が沼るのも分かるなぁと。福岡に1か月の出張となった秋貴に会いにくる仁も、愛を表に出すことを微塵も惜しまないところが本当に素敵だなぁと思いました。

最高の女性キャラ

 暁と朱里の関係性はもちろんなのですが、読み終わってみて改めていいなぁと思ったのは朱里と真理の関係性でした。お互い同じクズ男に執着して地獄を経験させられた者同士。ようやくその男に愛想が尽きた時、朱里がどん底だった真理に手を差し伸べたことで強い絆が生まれ、お互いなくてはならない戦友になっていく。堕とされた2人は本当に可哀想だったけれど、新たに誕生した友情は美しい歌舞伎町の夜の物語でした。2人がクズ男の記憶など霞むほど、稼ぎまくって名を馳せたことが心底嬉しかったです。こんな濁りきった街でも本物の愛はあると、再び信じることができた朱里と、彼の一番の親友として見守ることにしてくれた真理、それぞれの表情がまた美しいなと感じました。

幸也の覚悟と行動力に驚き

 ナギの得体の知れなさが前巻よりも少し薄れ、人間味が出てきたように感じました。過去の話を聞いても出生の秘密や、特殊な力の源泉は分かりませんでしたが、とにかく今の彼の幸也に対する想いだけは本物なんだなと、表情や言動からすごく伝わってきたので、BL読者としてはそこさえ信じられれば安心してついていけます。幸也の祖父も、まったく聞く耳を持たないタイプではなさそう。ただ、人を食べる可能性がある以上穏やかに共存していくことは難しいと思うので、今後2人がどのようにそこに向き合っていくのか、見守りたいですね。

特大のジレンマ

 オリジンとの対決はあっさり終わって、前巻の延長のような青春を楽しめました。大人も混じって海、いいですね。すっぴんでもすぐカオルだと気付けるフランケン、やっぱりいい男。あまりメインとなる関係性には絡んでこないけれど、魅力的なキャラだなぁと思います。中盤では今更ながら、蘭丸が李仁の血を飲むことを躊躇う描写も。10代の若者というか、まだ子供とも言える人間の将来を奪うことは罪深いですよ。蘭丸は別に李仁のことも李仁の家族のことも傷付けたいわけではないですもんね。彼に別の選択肢が湧いてくるのか、気になります。

夜は危険かもしれないが、青春でもある

 冒頭の葵、カオル、香3人での女子会は和気藹々としていてとても可愛かったです。全員が李仁に惹かれていることが発覚しましたが皆性格がさっぱりしているので揉める気配もなく、そもそも恋かどうか曖昧な子もいるのでなんだかんだここは平和な展開になりそう。その後のカオル、長可、フランケンでの会話も青春っぽくてよかったですね。カオルがフランケンのダサ可愛いところに新たに気付いて、フランケンの良さを分かってくれる女子が増えたのが嬉しいです。ラストに近づくにつれきな臭い雰囲気になっていきましたが、今回は主に若者たちの会話でほのぼのしました。

灰色狼たちにも感情移入する

 原作を読んだのは遠い昔なのに、あの時の感情が鮮烈に蘇ってくるような2巻でした。レシェイヌの寵愛と執着っぷり、足弱の戸惑いや出自に関する不安、帰郷願望。そして、灰色狼たちの王族への心からの敬意と愛。単なるシンデレラストーリーではない、とても地に足のついた現実と隣り合わせの眩い世界観、そして深い愛情の物語だったなぁと。

 どんなに間接的な証拠を積み上げても、足弱の心の奥底からは自分は本当は王族ではないのではないかという疑問は生涯消えないかもしれません。老人からたくさん教わりながら健やかに育った山での生活も彼にとってはかけがえのないもので、その帰郷願望も生涯消えることはなく、これからもふとした拍子に頭をもたげてくるかもしれません。でも、孤独だった弟王を再び孤独に陥れたくないという想い、灰色狼たちの献身に応えたいという想い、民たちに枯れた土地で苦痛を味わってほしくないという想いは、老人や故郷への想い以上に強く、それが彼を何度でもレシェイヌの元に導くのだろうなと思います。自分の力を信じられない彼が、レシェイヌの言葉で大地に祈りを唱えるシーンに感動しました。