スイッチ性を持ったSub、見た目も性格も男らしく強いSubというのが魅力的なDomSub作品なので、続きが読めて嬉しいです。恋人になったからといってマサがすっかり甘えたになったりもせず、今までどおり芯の強い男のままで、Domであるオトを振り回すくらいのSubなのが楽しいですね。ただ、1巻でも感じましたが結構さらっと読めてしまうというか、濃い濡れ場があるかどうかということに関わらず、まだお互い探り探りなところがあるからかもしれませんが、2人のDomSubとしての強い繋がりを感じるまでには至りませんでした。なんというのかな、親友感がまだ抜けきらないというか、濡れ場よりもわちゃわちゃを楽しんでいる感じというか。設定の斬新さはそのままに、DomSubらしい関係性も拝みたいなと思います。
九条はなんとなく悪い人ではないだろうという予感をさせる男でしたが、まさかこういう繋がりになるとは予想していませんでした。彼の真の目的が分かり、真藤化学も一枚岩ではないことが分かりましたね。大きい組織になればなるほど、社員の意思統一は難しいし、当然善人も悪人もいる。自分の目でしっかり見極めることが必要です。情がないから必要以上に非道になったり向こう見ずな行動をとったりすることもあれば、情が湧いていざという時に正しい判断ができなくなったり自己犠牲的な行動をとったりすることもある。これから獅郎には後者の機会がさらに増えるでしょうけれど、一狼と一角、田口や莉音の手も借りて、なんとか苦境を乗り越えていってほしいです。
この巻でビル爆破事故の件は一旦落着します。東がずっと抱えてきた罪悪感から解放されることを選び、国民に向けて自らの言葉で訴えかけたことに一狼も少しは救われたのではないでしょうか。現実世界ではなかなかこう上手くはいきませんが、真相を話して責められることと、死ぬまで隠し通して1人で罪を抱え続けること、必ずしも前者の方がより辛いとは限りません。彼女は元々乗り気ではなかったですし、少しでも酌量の余地があればと思います。若干結末があっさりしていて本当にこれですべて終わったのかな?と疑念もありますが、一狼の気持ちが落ち着いたのなら何よりです。また新しい事件での2人の活躍を期待しています。
今回は別荘への潜入シーンがほとんどなので、甘さは控えめ。過去の爆発事故の真相も明かされ、犯人なりの独善的な正義や世間あるいは権力への訴え、はたまた復讐などがきっかけであれば許されるわけではないけれど、まさかこんな幼稚な、考えなしの子供の遊びの結果だったとは想像しておらず、一狼のことを思うとただただやりきれない気持ちになりました。しかもその幼稚な心が何の成長もしておらず、当人は自分のせいじゃないと繰り返すばかりで、罪に向き合う姿勢もなく、絶望した一狼の表情に胸が痛くなりました。そんな彼の気持ちを言われずとも瞬時に理解し、肩の荷を半分持って下ろしてあげた獅郎は、もう彼の人生も共に背負う覚悟ができているのだなぁと感じました。