「狼国王の溺愛オメガ ~異世界でお子様ランチを作ったら幸せ花嫁になりました!?~」の続編かつコミカライズ作品です。
前作では、巻末にランヴェルト(攻め)と奏多(受け)の間に双子が生まれた…というところまでは分かっていたのですが、名前などは不明でした。
それが今作では!!「シオン」「ルーチェ」という名前つきで大活躍!!
奏多の作ったお子様ランチを頬張る姿も、元気に積み木遊びする姿も、お母さんを元気付けたくてこっそり夜ベッドを抜け出してしまうところも、全部がかわいいです…(´;ω;`)
あと、ランヴェルトが口一杯にお子様ランチを頬張ってるところがハムスターみたいで可愛くてめちゃくちゃにやけました。前作ではクールキャラだったランヴェルトですが、奏多への溺愛度が増していてより愛おしさが募ります。
あす先生の絵はあたたかみがあって、読んでいるとほっとします。
全てのキャラに関して、この子たちの魅力を伝えたい!という熱い思いが各コマからひしひしと伝わってきて、ああコミカライズがあす先生ご担当でよかったなあとしみじみ感じます。
どんなに小さなコマでも、見切れながらかわいいことをしている双子や執事らがいて、ああ〜かわいい〜癒される〜〜( ´ ▽ ` )ってなります。
かなり気になるところでおわったので、早く2巻が出ないかな〜と楽しみにしています。
「忘れな草」という魔法使いは、人の悲しい記憶を消してくれるーーそんな世界でのお話です。
執事のキオと、癇癪持ちの若主人ロシェル。ロシェルに婚約者ができたことで、キオは「忘れな草」にロシェルへの恋心を消してほしいとお願いしにいきます。
もう本当に、本当に切ない。キオのロシェルへの恋心を「忘れな草」は、恋ではなく「最愛だ」と表現します。
小さなキオの体いっぱいにつまった、ロシェルへの恋心。なによりも尊い想い、最愛。それをロシェルの幸せのために手放そうとするキオのいじらしさに涙が止まりません。
しかも、実はキオの過去には本人さえ覚えていない知られざる秘密があって…。
それを知った時、あまりの苦しさに嗚咽が抑えきれませんでした。
最後の最後までどんでん返しがある物語です。
ただ優しい、切ない、甘いだけではない、読者の心の痛みに寄り添い、そっと優しい花をたむけて去っていってくれるような…どこまでも優しい読後感でした。
素晴らしい名作です。
小石川先生の作品は、心を掴んでじわじわと揺さぶるような、深い根を張った優しさと寂しさがある。
誰も真似できない、圧倒的な個性。
限りなく優しくて、温かくて、悲しい。優しすぎてたくさん傷ついてしまう人たちを、静かに描く。
冬に初めて降る雪のような、春に降る温かな雨のような、そんな、読者の心を静かに包む優しさに溢れた作品だった。
ウルの愛情はひたすら慈しみに満ちていて、太郎の心と体をひたひたと満たしていく。初めて読んだ時は、なんて心温まる描写だろう…と思ったのだけれど、再読時にはその限りなく優しいウルの姿に涙が止まらなかった。
いずれ手放すと分かっていても愛さずにはいられない、そんなウルの愛、孤独の深さに胸をえぐられる。
とにかく読んでほしい。素晴らしい作品。
親友に恋する地味な高校生と美しい幼馴染 ゲイ同士のお話。
読みながら何度も声を抑えきれないほど嗚咽した。すさまじい衝撃の作品だった。
エイズが憎い。たった一度の過ちが、輝かしい青年の未来と最初で最後の恋を根こそぎ奪っていった。
これほど、感動のあまり言葉が出てこない作品にはもう巡り合えないかもしれない。素晴らしい名作。
短編とは思えない、重厚なストーリー、繊細な情景描写、そして表現の美しさ。どれが素晴らしい。
痩せ細ったパトリック(親友)を陶器に喩えるシーン、エイズにかかったと分かってもなお燃え続けるパトリックへの恋心を「彼こそが、彼だけが俺の恋」と心のうちで呟くシーン…このほかにもたくさん、ロマンティックで美しいシーンがある。
ただの美しい闘病話ではない、苦しみ、もがき、悲しみと戦いぬいた男たちの、生々しい記録。
命の輝き、愛の尊さを痛感する、素晴らしい作品。何度も何度も読み返したい。
DVで声が出なくなった凛が、ガラス工房見習いの士郎と出会って変わっていく恋物語です。
でも、変わっていくのは凛だけではありません。凛との同居生活で士郎は少しずつ人間らしい情を知っていきます。
彼らが少しずつ心を通わせ合う心理描写は繊細で、丁寧で素晴らしいのですが…それ以上に、長野の山奥で暮らす彼らの生活や日々の天気の様子などが本当に美しいです。
しんしんと降りしきる雪、冷たく降り注ぐ雨、全てを飲み込んでしまいそうな真っ暗な夜の闇…そして、虹色にきらめくとんぼ玉たち。
まるで森の香り、雪の音が聞こえてきそうな丁寧な情景描写が、胸に染み入ります。
忙しい日々の中で、(深呼吸できる場所がほしい…)と息苦しさを感じている人に、ぜひ読んでほしい素敵な作品です。
素晴らしかったです。
何度も読みながらしみじみと感動が胸にしみて、泣きました。
中庭先生の作品を読むと、主人公の「この世界にひとりぼっち」という感じの孤独が胸にしみこんできて、その切なさに泣くことがよくあります。
今回も、智弘(受け)のそんな孤独が胸にしみたのですが、それ以外の部分でも感動で泣きました。
アルマの庭の美しさは本当に素晴らしかった。
智弘がぎこぎこと古いママチャリを漕ぐ様子や、アマンダに餌をあげたり話しかける様子…彼らが暮らしている情景が、鮮やかに目の前に見えるようで、本当に美しかったです。その鮮明さに泣きました。あまりに美しくて…。
私は勝手に、情景描写にこそ小説家の先生方の個性が出るなあと思って読んでいるのですが、本作の情景描写は中庭先生の繊細で、丁寧で、儚げな情景描写を堪能できる作品だったなあと思いました。
中庭先生の作品は、他に「片恋のスピカ」「黄金のひとふれ」を拝読したのですが、これまで読んだ作品の中で、一番まっさらな気持ちで先生の情景描写を楽しめた気がします。
「黄金のひとふれ」は、主人公の深い孤独に心が引きずられて、どの情景描写も冷静には読めていませんでした。「片恋のスピカ」も素敵だったけれど…本作のアルマの庭のシーンは本当に本当に美しくて、透き通った飴玉を思い起こさせる咲き誇る花々に心が奪われました。
ここも、ここも、ああ中庭先生っぽい表現だなあ、素敵だなあとたくさんドッグイヤーをつけて読みました。
中庭先生の作品で初めて読んだのが「黄金のひとふれ」だったので、中庭先生のお話はズタボロの受けが苦難に耐え忍ぶお話…という印象があったのですが、本作を読んで、その思い込みは吹き飛びました。
ほどよい切なさの中に、やわらかで繊細な甘さが丁寧に落とされていて、その塩梅が素晴らしくて…。
中庭先生の物語をずっと読み続けたい、と、物語を読みながら涙が出ました。
小説を読みながら作家さんにそんなふうに思いをはせて泣いてしまうのは、初めての経験でした。
中庭先生の表現が好きです。唯一無二だなあと読むたびに感じます。読めば、中庭先生だとわかる文章が好きです。
生きることに閉塞感、苦しさを覚えている主人公の繊細な心の揺れ動き、風の匂いや葉っぱのそよぐ音が聞こえてきそうな丁寧な情景描写。
どちらもが中庭先生しか書けないものがいつも書かれているし、この作品はその最たるもののように感じました。
終わり方も素晴らしかったです。
本編後の短編「たった二文字の甘いもの」は、「おおおおお…」と引き込まれながら読み終えました。この世界はたった二文字でできる、甘いものでいっぱいだ。最後の一文まであまさず素晴らしい物語でした。