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kiminohakoniwahahutarinorakuen
ある意味、伊勢原さんらしいタイトルだなとも思ったりします。
庭が自然の風景を模したものなら、箱庭はその庭を模したもの。
こうくんの風景は決して外に広がって行かないのですね。
で、敢えて「それでもよい」と言っているんだと思います。
正直に書きますが、家から一歩も出ずに近所の本屋に定期的に大量の本を配達させる『子ども』が近所にいたら、私は好奇心が疼きますね。
「どうして?」って思いますもん。
こうくんに関わる人って、みんなそんな感じなんじゃなかろうかと思うんですよ。
で、配達に行った本屋の反町はたまたま見ちゃった顔が、もろに好みだった、と。
まぁ、ある意味、恋なんてそんなもんですよね。
こうくんに対する反町の好意の表し方とか、虐待している父親からこうくんを守ろうとするやり方とか、反町のやっていることはあまり上手く行かなさそう。
でも、そこに「こんな風になったらいいのになぁ」という幼い善意を感じます。
純で稚い、箱庭でのままごとなんだと思うのですよ。
だからハッピーエンドなのに物悲しい気持ちです。
大人向けの絵本のようなBL小説を書かれる、伊勢原ささら先生。
本作も絵本のように優しい言葉で綴られつつも、展開はとてもドラマチックで、何度も泣かされました。
最後は大団円なんですが、あまりに幸せなラストすぎて、読み終えた後も涙が止まりませんでした。
素敵です。これからも何度も読み返したいな。
タイトルや表紙から受ける印象とは違って、可愛くて前向きな片想いものでした。
えーと、書店員である攻めが、得意客である引きこもりの青年に恋をする。
彼と恋人になる事を夢見て、ひたすら前進あるのみで突き進むって感じのお話でしょうか。
少ないページ数ながら上手に纏められてますし、ストーリー自体も前向きで元気を貰えるものだと思います。
このへんは、すごく伊勢原先生らしさが出てて素敵だと思います。
素敵なんですけど、今回、攻めのキャラがもうペラペラなんですよね・・・。
いや、まず序盤から、その空気の読めなさとか軽さに眉を潜めたくなっちゃって。
そもそも、主人公である顕人が「絶対顔を見ない事」と言う奇妙な条件を出す得意客・佐倉の担当になった事から始まるお話。
で、驚きなのが、顕人の職業倫理と言うものの無さ。
佐倉がどんな人物なのかと言う事を噂話大好きパートに尋ね、仕事上必要な個人情報以上のプライバシーを侵害する。
これね、顕人に限らず客のプライバシーをベラベラ噂し、ヒッキーとかって渾名で呼ぶ従業員達ってどうよ?
賭けの対象にして喜んでるアホどもって、どうよ?
こんな店、絶対行きたくない。
また、ここから始まる顕人の一人劇場。
引きこもり青年である佐倉に対して、悩み事があるなら相談に乗ってあげよう!的な。
人間はハートだぜ!的な。
こう、何だろう。
彼はビックリするほど人間が薄っぺらい。
まだね、高校生とかなら納得が行くのです。
でも、25歳の社会人経験有りの男ですよ。
人にはそれぞれ事情があるし、何が本人にとって幸せかは分からないと思うのです。
なのに、上っ面の情報で勝手に同情したり、したり顔で「助けてあげよう!」って。
自分がどれだけ素晴らしい人間かは知らないけど、そんな人を救える力があるのねと。
えーと、そんな顕人の成長が見処なのかもしれないと読み進めたんですよね。
が、彼は最後まで変わらない。
非常に幼稚なまま。
彼は最初に佐倉の顔を事故で偶然見てしまうんですよね。
で、佐倉から完全に拒絶される。
すると顕人は、何度も佐倉の元へ商品を持って通う。
これ、仕事としての責任感でなら彼の株は上がったんですよ。
でも、仕事どうこう以前に、彼の頭にあるのは一目惚れした佐倉にもう一回会いたい!と言う非常に個人的な動機ばかり。
ちょっ、職業倫理は??と。
また、好きになった佐倉に対しても、「そばに居てあげよう。(母親の代わりに)愛してあげよう」みたいな。
何で、全て上からなのよ・・・。
そもそも、脳筋族のこういう所が嫌いなのよ。
家にずっと引きこもってるのは健康に悪いよ!太陽の光を浴びてたくさんの人と関わろうよ!的な。
そんな人生寂しいよ!!的な。
いや、一人で家で本を読んでるのが幸せなんだよ!
めちゃくちゃ人生充実してるんだよ!!と、(自分と比較しちゃって)余計な苛立ちまで沸いてくる。
腹立つわー。
こいつの一挙一動に腹が立って仕方無いわ!
で、最終的にはおままごとかい!的なオチ。
これ、早々に二人の生活は破綻すると賭けてもいいです。
佐倉がしっかりしてるタイプならなんとかなるだろうけど、彼もフワフワしてるから。
まぁそんな感じで、今回どうにも攻めにイラついてイラついて仕方なかったんですよね。
う~ん・・・。
顕人視点で無く、佐倉視点だったらまた感想が違ったかもしれないですけど。
でも、ストーリー自体は嫌いじゃ無いので「中立」で。
本屋のバイトくん(25)x上得意の引きこもりで顔を見せない謎なお客様(21)
反町顕人x佐倉こう
普通の小説の半分ぐらいの量の電子ノベル。
伊勢原ささら先生の作品は切なくて、泣かせる作品が多いので作家買い。
その先生の作品からしたら、今回は軽めなジャブぐらいな感じ。
サクサク一気に読めるし、うるってくるところもあって、悪くない。
萌評価にしたのは、短編なのと、展開があっという間で、
萌えまでの沸点よりは下だったかなと。
内容も、うまく行き過ぎ感があって、そこまで感情移入できなかったのもある。
イラストが表紙だけだったのも残念。
次回は多分、この後の話も入って、書籍で発売されると思う。
いや、絶対にそうして欲しい。
二人のその後が見たいし、こうの成長とツンの中にある健気さも見てみたいから。
作家買い。
電子のみの発売だったので電子でお買い上げ。ページ数はP115ほどの、若干短いお話でした。
んー。
伊勢原さんといえば薄幸受け、切ない系、のお話を得意とされる作家さまのイメージが個人的に強く、さらに読みやすい文体で紡がれていくストーリーに感情移入してしまうことも多々ある大好きな作家さまなのですが、うん。
ごめんなさいね、バッサリ言ってしまうと全然ツボらなかった…。
ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意を。
主人公は顕人。
大学を卒業して入社した会社が1年で倒産。困っていたところに声をかけてくれたのが全国チェーンのDVDレンタルショップ「辰巳屋」の店長さん。辰巳屋に就職し、忙しいながらも充実した日々を送る顕人だったが、ある日、店長に不思議な仕事を頼まれる。
それは、お得意さんの家に注文品を届けること。
仕事の内容自体はごく普通のそれだったが、配達した際に注文してきた依頼人の顔は絶対に見てはならない、という注釈付きで…?
というお話。
得意客の名前は佐倉こう。
辰巳屋のスタッフからは「ヒッキーちゃん」と呼ばれているくらい、家を出ない生活を送っているらしい。商品を届けた際、顔を見ないように気を付けていたがアクシデントが発生しこうの顔を見てしまう。が、そのお顔が顕人のドンピシャの好みのビジュアルで、顕人は一目惚れしてしまう。
こうに恋してしまった顕人の恋の行方は?
と、その点を軸に進むストーリーなのですが、序盤、非常にコミカルな雰囲気で進むストーリーでありながら、バックボーンとしてはドシリアスに分類される作品でした。
その理由は、こうの家庭環境にあります。
とにかく、薄幸。もう虐待の域に達しているほどです。その過酷な家庭環境ゆえに、こうは普通の生活が営めない。金銭の心配はないのですが、たった一人でマンションに住んでいるんですね。
そしてさらに、こうには外出しない理由があってー。
一目惚れしてしまったこと。
そして、そんなこうを可哀想に思ったこと。
顕人は、グイグイと距離を近づけていくけれど。
んー。
バックボーンとしてはドツボな作品なんですよ。薄幸受けちゃんと、そんな受けちゃんを溺愛する攻めさん。
が、今一つ萌えきれなかったのは顕人の想いと行動が子どもっぽいっていうのかなあ…。上っ面をなぞっただけな感じがするんです。顕人が高校生くらいなら仕方がない気がするんですが、25歳なんですよね。その年齢で、その行動か。みたいな。
こうが可哀そう、保護したい、何とかしたい。
その想いだけでなんとかできるほど、こうの境遇はなんとかできるものではない気がするのです。おままごとのような、あるいは茶番のような…?
それと、こうも。
彼の境遇はかなり劣悪で、ゆえに彼の絶望とか、孤独とか、哀しみとか、そういうものは理解できます。でも、こうも21歳なんですよね。いやいやいや。それじゃダメでしょ…。
年齢が、それぞれあと5歳くらい若かったらこのストーリーがしっくり来たような気が、個人的にはしました。
ページ数が少ない作品で、もしかしたら、この続編というかその後の彼らが描かれるのかな?けれど、現段階でこの結末は、25歳×21歳の成人男性が迎える結末にしてはあまりにもお粗末な感じがしました。
こうの薄幸ぶりと、そんなこうを支えたい顕人の一途な想いに萌えもあったのですが、終盤に向かうにつれ尻すぼみした感が残念。
ぜひとも続きを描いて、その後の彼らの姿を補完していただきたいなと思いました。