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大人向けの絵本のようなBL小説を書かれる、伊勢原ささら先生。
本作も絵本のように優しい言葉で綴られつつも、展開はとてもドラマチックで、何度も泣かされました。
最後は大団円なんですが、あまりに幸せなラストすぎて、読み終えた後も涙が止まりませんでした。
素敵です。これからも何度も読み返したいな。
Amazonkindleで読了。
Amazonでも評価が高低割れてますけど、これ、BLファンタジーですから。
顔を見てはいけない上客は 超美人の引き籠り
書店員の反町顕人は、女性にもてるタイプだけど実はゲイ。
謎の得意客・佐倉こうの美しい顔をうっかり見て、一目惚れ。
こうと付き合いたい顕人は、待ち伏せして切っ掛けを作り、通い詰める。
最初は、店員と客。次第に私的な付き合いに、顕人は付き合いを深めていく。
こうの生い立ちを 顕人が聞き出すその都度に、こうは泣いて一人になりたがる。
幼稚園で怪我した足の不具合。それで学校で虐められたこと。
浮気相手と再婚した父、新しい家族からネグレクトされていた。
亡くなった母と花火を見た時、「花火を見て思い出して」と言われたことを忘れていた。
・・こうが、顕人に話すまで封じていたこと知るにつれ、辛くなっちゃう。
こうが顕人へ渡すお礼は、人気キャラのグッズ。
それしか知らない世界に生きていることがわかる場面なので、悲しくなる。
一目ぼれした顕人のお節介が無ければ、こうは変われなかったと思う、親元に行っても良い展開は期待できない。
こうは、感情を捨て人生を諦めて外部遮断をして感情を封じ込めたお人形。
顕人は、はじめはこうの美貌に惹かれただけ。
でもこうの生い立ちを知るにつれ、損得抜きの本気になって、母親代理を申し出る。
こうが蝶を怖がる場面が有ったけど、
美貌のこうが引き寄せた虫が顕人、蜜=こうの笑顔を見たくて通う顕人。
こうが人形のような病んだキャラ設定だから恋愛に至った二人。
リアル社会だと、今後が心配な二人、生活力あるのかな?
ある意味、伊勢原さんらしいタイトルだなとも思ったりします。
庭が自然の風景を模したものなら、箱庭はその庭を模したもの。
こうくんの風景は決して外に広がって行かないのですね。
で、敢えて「それでもよい」と言っているんだと思います。
正直に書きますが、家から一歩も出ずに近所の本屋に定期的に大量の本を配達させる『子ども』が近所にいたら、私は好奇心が疼きますね。
「どうして?」って思いますもん。
こうくんに関わる人って、みんなそんな感じなんじゃなかろうかと思うんですよ。
で、配達に行った本屋の反町はたまたま見ちゃった顔が、もろに好みだった、と。
まぁ、ある意味、恋なんてそんなもんですよね。
こうくんに対する反町の好意の表し方とか、虐待している父親からこうくんを守ろうとするやり方とか、反町のやっていることはあまり上手く行かなさそう。
でも、そこに「こんな風になったらいいのになぁ」という幼い善意を感じます。
純で稚い、箱庭でのままごとなんだと思うのですよ。
だからハッピーエンドなのに物悲しい気持ちです。
本屋のバイトくん(25)x上得意の引きこもりで顔を見せない謎なお客様(21)
反町顕人x佐倉こう
普通の小説の半分ぐらいの量の電子ノベル。
伊勢原ささら先生の作品は切なくて、泣かせる作品が多いので作家買い。
その先生の作品からしたら、今回は軽めなジャブぐらいな感じ。
サクサク一気に読めるし、うるってくるところもあって、悪くない。
萌評価にしたのは、短編なのと、展開があっという間で、
萌えまでの沸点よりは下だったかなと。
内容も、うまく行き過ぎ感があって、そこまで感情移入できなかったのもある。
イラストが表紙だけだったのも残念。
次回は多分、この後の話も入って、書籍で発売されると思う。
いや、絶対にそうして欲しい。
二人のその後が見たいし、こうの成長とツンの中にある健気さも見てみたいから。
タイトルや表紙から受ける印象とは違って、可愛くて前向きな片想いものでした。
えーと、書店員である攻めが、得意客である引きこもりの青年に恋をする。
彼と恋人になる事を夢見て、ひたすら前進あるのみで突き進むって感じのお話でしょうか。
少ないページ数ながら上手に纏められてますし、ストーリー自体も前向きで元気を貰えるものだと思います。
このへんは、すごく伊勢原先生らしさが出てて素敵だと思います。
素敵なんですけど、今回、攻めのキャラがもうペラペラなんですよね・・・。
いや、まず序盤から、その空気の読めなさとか軽さに眉を潜めたくなっちゃって。
そもそも、主人公である顕人が「絶対顔を見ない事」と言う奇妙な条件を出す得意客・佐倉の担当になった事から始まるお話。
で、驚きなのが、顕人の職業倫理と言うものの無さ。
佐倉がどんな人物なのかと言う事を噂話大好きパートに尋ね、仕事上必要な個人情報以上のプライバシーを侵害する。
これね、顕人に限らず客のプライバシーをベラベラ噂し、ヒッキーとかって渾名で呼ぶ従業員達ってどうよ?
賭けの対象にして喜んでるアホどもって、どうよ?
こんな店、絶対行きたくない。
また、ここから始まる顕人の一人劇場。
引きこもり青年である佐倉に対して、悩み事があるなら相談に乗ってあげよう!的な。
人間はハートだぜ!的な。
こう、何だろう。
彼はビックリするほど人間が薄っぺらい。
まだね、高校生とかなら納得が行くのです。
でも、25歳の社会人経験有りの男ですよ。
人にはそれぞれ事情があるし、何が本人にとって幸せかは分からないと思うのです。
なのに、上っ面の情報で勝手に同情したり、したり顔で「助けてあげよう!」って。
自分がどれだけ素晴らしい人間かは知らないけど、そんな人を救える力があるのねと。
えーと、そんな顕人の成長が見処なのかもしれないと読み進めたんですよね。
が、彼は最後まで変わらない。
非常に幼稚なまま。
彼は最初に佐倉の顔を事故で偶然見てしまうんですよね。
で、佐倉から完全に拒絶される。
すると顕人は、何度も佐倉の元へ商品を持って通う。
これ、仕事としての責任感でなら彼の株は上がったんですよ。
でも、仕事どうこう以前に、彼の頭にあるのは一目惚れした佐倉にもう一回会いたい!と言う非常に個人的な動機ばかり。
ちょっ、職業倫理は??と。
また、好きになった佐倉に対しても、「そばに居てあげよう。(母親の代わりに)愛してあげよう」みたいな。
何で、全て上からなのよ・・・。
そもそも、脳筋族のこういう所が嫌いなのよ。
家にずっと引きこもってるのは健康に悪いよ!太陽の光を浴びてたくさんの人と関わろうよ!的な。
そんな人生寂しいよ!!的な。
いや、一人で家で本を読んでるのが幸せなんだよ!
めちゃくちゃ人生充実してるんだよ!!と、(自分と比較しちゃって)余計な苛立ちまで沸いてくる。
腹立つわー。
こいつの一挙一動に腹が立って仕方無いわ!
で、最終的にはおままごとかい!的なオチ。
これ、早々に二人の生活は破綻すると賭けてもいいです。
佐倉がしっかりしてるタイプならなんとかなるだろうけど、彼もフワフワしてるから。
まぁそんな感じで、今回どうにも攻めにイラついてイラついて仕方なかったんですよね。
う~ん・・・。
顕人視点で無く、佐倉視点だったらまた感想が違ったかもしれないですけど。
でも、ストーリー自体は嫌いじゃ無いので「中立」で。