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花の魔法使いは御前試合で愛される

hana no mahou tsukai ha gozen jiai de aisareru

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表題作花の魔法使いは御前試合で愛される

エリオ、13→23歳、騎士
リュカ、8→18歳、花を咲かせる能力を持つ花術師

その他の収録作品

  • 王子様の初恋
  • あとがき

あらすじ

美しい花を咲かせる能力を持つ「花術師」と呼ばれる魔法使いたちが作った国・フェルディアンは、花という存在自体がない他国に花を売って栄えている。この国に住むリュカは黒い髪と黒い瞳を持つ花術師だがその容姿から「黒の花術師」として遠巻きにされ日陰の者として生きてきた。幼なじみのエリオとカミーユという二人の美しい青年に後押しされ、王室主催の花術大会に出ることになったリュカは、神出鬼没の謎の花術師「ファントム」に挑む! 花咲き乱れるハッピーなシンデレララブ!

作品情報

作品名
花の魔法使いは御前試合で愛される
著者
伊勢原ささら 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344854123

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3

4.5

(22)

(15)

萌々

(5)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
98
評価数
22
平均
4.5 / 5
神率
68.2%

レビュー投稿数7

「こうなる」を楽しむ

パッと目を引く派手な形でも印象に残る鮮やかさでもなく、庭や道端にそっと咲いているような、素朴でありながら親しみやすくかわいらしい花。
そんな印象を持った恋のお話でした。

魔法ものは数あれど、花を咲かせる能力に特化した魔法使い設定はあまり見かけず面白かったです。
花が存在するのも主人公たちが暮らす国のみというのも面白いですね。
あたり一面に花を咲かせる魔法描写が素敵で、いったいどんな花でいっぱいになるのかなと想像してはわくわくしました。
私にもこんな能力があればなあ…と何度思ったことでしょう。

ストーリーや展開に関して言えば、設定以外は王道中の王道ど真ん中ですし、最初から最後まで「多分こうなるんだろうな」と予想がついてしまうんです。
「きっとこうなる」と頭の片隅で思いながら、答え合わせをしつつリュカの成長と本編の展開を追うのがこちらのお話の楽しみ方なのかもしれないなと思います。
とっつきにくい設定もありませんし、何よりすごく読みやすいので、BL小説やファンタジーものが初めての方でも楽しめる作りになっているのではないかな。
先述の通り、ページをめくりながら花と魔術に彩られたリュカの成長譚にわくわくしてしまうんですよね。

思わず応援したくなる主人公に、胸躍る再会とその後の気持ちの良い展開。
テンポの良い話運びで読了まであっという間でした。
個人的にはもう一捻りほしかったところではありますが、読み心地はリュカが咲かせる花のような柔らかさでとても良かったです。

5

創る花達に想いを託して

今回は花術師でもある騎士と
黒の魔法使いの1人息子のお話です。

父の死で王城を追われた受様が
攻様に助けられながら花術師大会優勝を目指す本編と
過去回想を含んだ後日談短編を収録。

受様の生国・フェルディアンは
美しい花を咲かせる花術師と呼ばれる魔法使いが
作った国です。

受様の父は豊かな才能で王宮つきの花術師となりますが
千年以上も前、黒髪黒瞳の強力な魔力を持つ種族が
国を滅ぼしたと言う伝説に固執し

黒髪黒瞳の受様の父は黒の魔法使いと呼ばれ
周りの人から怖がられ、避けられていました。

黒髪黒瞳の受様も同じ理由で
貴族の子が通う花術教室に通えずにいましたが
城の外れの原っぱで2人の年上の少年に出会います。

2人は見るからに高貴な家柄の子息でしたが
受様が黒の魔法使いの息子と知ると受様の父を絶賛し
一緒に花術の練習をしようと言ってくれるのです。

受様は2人と術を磨く時間を楽しみにしますが
受様の父は彼の才能と出世に嫉妬した重臣により暗殺され
受様母子は城を出ることになります。

しかし地方でも黒髪黒瞳へ民の目は厳しく
働き尽くめだった受様母は身体を壊して亡くなり

受様は地方の小さな村の片隅で
怪我をして保護したコウモリキツネを良き相棒、
唯一の家族として細々と暮らしていました。

そんなある日、
王宮にいる騎士のようないでたちの青年が
受様を訪ねてきて・・・

王都を離れた受様と受様を探し続けた攻様の
ファンタジックな恋物語になります♪

花は優しさの象徴だと思います。
本作は花を生み出す花術師という存在が軸なので
沢山の花が登場します。

受様達が咲かせる花達は実際の花をモチーフにしていて
想像もしやすくたいへん楽しく読ませて頂きました。

受様を探しにきた騎士は幼い頃に城の原っぱで出会った
少年の内の1人で今回の攻様でした♪

攻様は出会いから怯えたウサギのようだった受様を
笑わせてあげたい、守ってあげたいと思っていましたが
まだ少年だった攻様には受様母子が白を離れる事を止められず
受様親子をずっと探し続けていたのです。

やっと見つけた受様の寂しい暮らぶりをみた攻様は
受様に王都で開かれる花術師の大会に参加させるべく
特訓を開始していくのです。

もう1人の少年は稀代の天才花術師となっていて
村一番の花術師と言われる村長の息子や
国の様々な土地で花を咲かせる路上花術師など

受様とは持ち味の違う花を咲かせる花術師と関りながら
受様の花術師として成長と攻様の恋の行方に
ワクワク&ドキドキさせて頂きました (^-^)/

2

安心感のある作品

実は伊勢原ささら先生の作品を読むのは、昨年発売された「ピノと、彼の初戀」が久しぶりでした。そしてその作品が素晴らしかったので今作も購入する事にしたんです。今作もとても素敵な作品でした。

今作の特徴としては読んでいてとても安心感のあるところなんです。良いワクワクはあっても嫌なドキドキは無いという、私の身体にも精神的にも元気を貰える作品でした。

それはひとえにエリオというキャラクターのおかげなんです。とても信頼があって魅力的な人物でした。彼が現れたことでリュカの村の中での立場が変わって行く様子にワクワクしました。理想の攻めでした。

そしてなんと言っても「花術師」が花を咲かせる描写が見事で、あとがきで先生がモデルの花があると書いているのですが、その花が何か想像出来るだけにリュカが次はどんな花を咲かせるのかと予想するのも楽しかったんです。

エリオはリュカにとっては幼馴染みのお兄ちゃんのうちの1人なので最初は恋愛的な要素は皆無なのですが、エリオを慕う歳下の美少年のマキシムが現れたことで彼を意識するようになります。その過程が凄く良いのですよ。今の私の好みにドンピシャでした。

鋭い読者さまならエリオの正体にピンと来ると思います。私の予想も当たってました。ですが飽きさせること無く最後まで楽しむ事が出来ました。流石でした。

麻々原絵里依先生の描かれるエリオもリュカも、もう1人の幼馴染みのカミーユもイメージ通りでした。またリュカの相棒であるレムが可愛いんですよ。

また個人的にはツンデレキャラのマキシムがお気に入りでした。そして「花術大会」の最後にリュカの咲かせた花が見せた光景の描写が見事で私も会場にいた1人になった心地になりました。

2

皆様の好きな花は何ですか?私は金木犀・沈丁花・彼岸花です。

【ほんのチビすけだったときから、俺はずっとおまえだけを想ってた(エリオ)】

エロス度★★★

おやおや、人を傷つけるものではなく花を咲かせて人を幸せにする魔法とは平和的でほっこりしますね。

日陰者として生きてきたリュカに訪れるシンデレララブ。
綺麗に咲き誇る花たちの美しさ。
モフモフなレムの可愛さ。

遠巻きにされていたリュカの元に幼馴染みのエリオが現れたことで、停滞したリュカの時間が動き出し、親友ができたり、恋する幸せを知ったり、花術師として成長していく姿などがたまらなかったです。

リュカの初々しい可愛さやエリオの一途さ・執着・溺愛が素晴らしいスパダリ攻めも最高で、愛の花が尊い。

2

王道だけど、爽快感がある

花を咲かせる魔法使いのリュカ。黒眼黒髪は不吉だと言われ、城を追われて隠れて生活している所を幼なじみの騎士エリオがリュカを探して訪ねて来た所から話が始まります。
エリオの協力によりリュカは花を咲かせる魔法、花術の訓練をして、国王主催の花術大会を目指す、というお話。
エリオはリュカ一筋で、だけど恋愛に関してあまりにも鈍感なリュカはなかなかエリオとそういう雰囲気にはならないです。それでも、幼なじみであり、ずっとリュカを思い続けてきたエリオは友達以上恋人未満位の態度でリュカの花術を特訓したり、大会に出るためにリュカの村人からの推薦を貰えるように沢山力になってくれます。
ストーリーは王道サクセスストーリーですが花術という、魔法で花を咲かせる表現がとても面白いです。
お話の中では、なんの花か名前は出ていません。しかし、実際良く見るお花達をイメージして花の様子が描かれています。リュカがちゃんとお花を咲かせられるのか?そして、一体どんなお花が咲いたのか?それはもうドキドキワクワクしながら読みました!そして、上手くいった時に描かれている花畑の爽快感、達成感、幸福感はとても清々しい気持ちになりました。
リュカが咲かせるお花一つ一つにその時どんな気持ちで、誰の為に、そういった願いが込められて咲いてくれたお花がどんな花だったのか?数種類出てきますが、伊勢原先生のお花の使い方がとても素敵です。お花の見た目という事ではなく、魔法で咲いたお花は人々の心にも魔力の力で咲かせた人の願いが伝わっている。そんな感じで、読んでいて幸福感がありました。
そして、脇役で出てくるもう一人の幼なじみ、カミーユと、リュカの村で友達になってくれたマクシム、「コウモリギツネ」のレム。みんな素敵なキャラクターがストーリーに更に華を添えてくれています。
読んでいると、早い段階でエリオの正体は実は?と思うことがあったのですが、読者はどんどんそのエリオの正体を確信していくのですが、肝心のリュカは最後の最後まで気づかなかったりで、
正体を隠してリュカを恋人にしようとしていたエリオ。そのあたりのエリオの隠れた努力とか、ずっと我慢してる所とか、エリオがかなりのスパダリ様でした。
お花にちなんだ、とても素敵なお話で心が癒されます。

4

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