切なく心揺さぶる「永遠の愛」のおとぎ話。

小説

  • ピノと、彼の初戀
マンスリーレビューランキング
66

ピノと、彼の初戀

pino to kare no hatsukoi

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ピノと、彼の初戀

ラウル,パオロの元弟子,送りびと,25歳
ピノ,天才人形師パオロが作った少年型の木の人形

その他の収録作品

  • ピノと、彼の特別な夜
  • あとがき
  • ラウルと、彼の五日の約束~二人の数年後~

あらすじ

ピノは幼い男の子の姿をした木の人形。心と魂を持ち、話したり動いたりできる。突然姿を消した、父親代わりの天才人形師・パオロの帰りを1人で待っていた。
そんな中、パオロの元弟子だという男・ラウルが訪ねてくる。ピノは彼と共にパオロを探す旅に出ることに。
ラウルは、人形から魂を抜いて天へ送る「送りびと」。パオロのような才能がないという彼はどこか暗い影をまとっている。そんな彼に惹かれ、初めての感情に戸惑うピノ。
道中、同じくパオロと縁のあるアンジェロにも出会い、旅はパオロを中心に命・魂・愛を巡る物語へ…

ラウルの苦しみは? ピノの一途な想い、そして人形としての運命とは?
切なく心揺さぶる「永遠の愛」のおとぎ話。

作品情報

作品名
ピノと、彼の初戀
著者
伊勢原ささら 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
ぽん出版
レーベル
虹の色文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784434327735

マンスリーレビューランキング

66

4.6

(95)

(79)

萌々

(9)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
24
得点
442
評価数
95
平均
4.6 / 5
神率
83.2%

レビュー投稿数24

号泣必須の心温まる絵本のような物語

BLアワードランクイン作品からきました。

正直これはBLですか?と聞かれればうーんとはなります。そもそもピノは木の人形だし、ピノはお姫様に憧れアンジェロのこともお姫様みたい!と嬉しそうにしてますし。むしろ姿形とか性別なんて通り越して心と心で繋がる優しい愛の物語だと思います。
ジャンルにとらわれず読んでほしい、そんな1冊です。

この作品の特徴は間違いなくピノです。
明るくて優しくて文字で読んでいても目の前に感じられるほど生き生きしていて可愛いピノ。自己犠牲的な面もあるけどとにかく優しくて、その原動力は全部周りの人には笑顔でいてもらいたいというものです。自分が動かなくなってしまうことをラウルに告げないのはある意味自分勝手というか、ラウルの辛そうな姿をピノが見たくなかったからなんだろうとは思いましたがそれすらも許せるそんなものすごく愛らしい子です。

ピノが眠ってから長い年月をかけなんとかピノを取り戻そうと1人で奮闘したラウル、そして眼を入れてあげることで昔のようなピノが戻ってくる、なんてなんてドールらしい素敵な童話のような夢のハッピーエンドで本当に幸せな気持ちになりました。
柔らかくて優しくて温かい物語、まさに疲れてる時にこそ読んでほしい1冊でした。

1

木の人形故の純粋な気持ちが温かい

魔法の力を借りて、心を持って動く人形のピノが、人間のラウルに恋をする物語。
人形のピノが歌ったり踊ったり、そして童話で読んだお姫様と王子様の恋の物語に憧れ、人間のラウルを好きになって行く様子が、とても初々しい気持ちで、読むことが出来ました。ピノがラウルと出会う前は、ピノを作った製作者であるパオロとずっと一緒に暮らしていましたが、パオロの教育というか、ピノに対する接し方?どうやったらこんな風に美しい気持ちの人形が産まれるんだろう?と、ずっと思いながら読んでいました。
ピノは行方不明になったパオロを探すためにラウルと旅をする過程で、ラウルをどんどん好きになっていきます。そして、病気がちなアンジェロと体を交換する事が出来るようになると、木の人形では出来なかった、ラウルとの交流、普通に会話して街を歩いてみんなの前でダンスして、そういう初めての経験がとてもキラキラとピノを輝かせていました。しかし一方で、身体はアンジェロのものという所で、とっても楽しい場面なのに、心のどこかでチクッとする痛みを伴う恋心が続きます。
このお話を読んだ人はピノとラウルの初戀の初々しさにも惹かれるでしょうが、私は若くないせいか、アンジェロとパオロの関係にも注目してしまいます。必ず誰もに訪れる最期の時をどのように迎えたいか?2人の人生は過酷なものでしたが、人生の終焉はとても理想的な終わりを迎えたのではないかと思います。とても美しい場面なので、是非、本を読んで欲しいです。そして木の人形ピノの体も、、魔力が少なくなっていき、、
ラウルにも辛い時期が来るけれど、辛抱強く眠りに入ったピノを再生させるまで、長い年月努力したラウルの愛情もとても深いと思いました。それくらい、ピノは誰にも変え難い心を持っていたのだと思います。ここはドキドキハラハラしながら、そして泣きながら読みました。
ピノはどうしてこんなにも心が美しい人形で居られたのか?それは、パオロがある願いを込めて、作った為でした。どのような願いなのかまでは書きませんが、そんな美しい心を持ったお人形が経験した初戀のお話。とても素敵な物語でした。

1

童話的世界観とのギャップ

木の人形であるピノが、自身を作ったパオロを探して旅をする話。
パオロを訪ねてきたラウル、旅の途中で知り合ったアンジェロとピノの3人の旅です。
ピノは天真爛漫で元気印の魔法人形。沈み込むラウルを笑顔にし、病弱のアンジェロに活力を与え、いろいろな人を明るい気持ちにしていきます。
設定は寓話的で可愛らしく、イラストもほのぼの。BLであることを忘れるほどでした。
むしろBLであることを最後まで忘れていたかったです。
ピノがラウルを好きになる気持ちも、ラウルが自分を救ってくれたピノを大切に思う気持ちもどちらも分かる。でも、ラウル×ピノは受け入れられない。
なぜならピノが子供らしい人形だからです。
指輪のプレゼントや、手をつないでどきどきしたり、ライトなキスはいいです。でもセックスは厳しかった。
それはピノに限らずアンジェロもそうなのですが、ラウルやパオロが、自分の作った人形であるピノやアンジェロとそういう行為をするというのが、可愛らしかった童話の世界からいきなり現実に引き戻され、しかも冷水を思い切り浴びせられた感じがすごくて、作中しんみりしていた自分の感情にすら泥を塗られたような気になりました。
可愛いお話のままだったらよかったのにと思いました。

ラウルが自分のアイデンティティに苦しんでいるところや、ピノが自分を犠牲にして皆を助けるところ、弱っているところを誰にも気付かれないように振る舞うところは好きでした。

1

めちゃくちゃ面白いやないかい!

数ページ読んで、ああこれは神作だと確信する作品に久しぶりに出会った。ちゃんと最後まで最高な物語でした。


とにかくピノが優しくていい子で健気で…人間の男の子じゃないからわざとらしさがないというか、人形だからこそスッと入り込んできて、こんなにも人を思いやれる彼の優しさにこちらの心が救われたような洗われたような、とにかくあたたかい気持ちになりました。

ラウルはもうね、最初に黙ったピノにすぐ不安になっちゃったシーンで、もう愛しさが止まらなかった。あとから送りびとだから不安になっちゃったのかと気づいて余計に。
わかってたけどどっちも優しい心の持ち主すぎて童話のような物語だったけど、今までになかったストーリーで、ものすごく惹き込まれました。

最後のラブラブなシーンもとにかくピノが可愛くて、ラウルこんなん毎秒可愛いって心の中で思いながら生きてくしかないじゃん…と思うと、読了後も幸せな気持ちになれる終わり方でした。

そして挿絵を担当されたyoco先生。どこでお目にかかっても最高のイラストで作品を彩っておられて……今回も素晴らしかったです。木のピノ人形もめちゃくちゃ可愛かった。yoco先生ほど信頼できる絵師様はいません。

7

美しくあたたかい作品

表紙とタイトルが美しいので思わず買ってみました。
人間と人形の恋だと、寿命の違いなど色々障害あって切ない系かなと覚悟して読み始めたけど、哀しく辛い感じにならないよう、うまく練られて纏まっていると思いました。
無愛想陰キャ攻めがだんだん絆されるの好きです。

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP