renachiさんのマイページ

レビューした作品

エキスパートレビューアー2024

女性renachiさん

レビュー数53

ポイント数253

今年度42位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • 映像
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

文章がキレイ。

情景が浮かぶ描写が素晴らしく、古書店にまつわる過去ストーリーも素敵。BLとしては、最初から恋愛対象内だった二人が出会い、するするっとくっつく。人の縁を感じる数々のエピソードがとても良く、BL部分は刺さらなかった。

古書店を舞台に、淡々と進むお話。静かな世界に浸りながら読める感じで、文章から醸し出される空気が心地良い。ただの客でありながら店を継いだ小鳥と、先々代経営者の孫である宗一。この二人の出会いをきっかけに、古書店の過去が明らかになっていく。

開業から十年間、古書店で二人暮らしだった宗一の祖父と先代店主。そんな二人の小さな思い出の欠片を拾い集めていく宗一と小鳥。そうしてゆっくり見えてくるものは、その時代の匂いと切なさで、時を経て今を生きる二人に繋がるのがとても良い。

BLに関しては、宗一は最初から思わせぶりでぐいぐい迫り、小鳥はストレートにときめいている。さらっと恋人になり、何もない日々を過ごしていたのに、いきなり“死ぬまで”“死んだ後も”“永遠に”と激重感情をぶつけてきて驚く。

宗一自身にそこまでに至る経験があるなら分かるが、感化された結果の言葉なら薄っぺらいと言わざるを得ず、一瞬で冷めてしまった。過去の悲恋エピソードが良かっただけに、宗一と小鳥のBLが残念。

心に響く心理描写は恋愛以外のところばかりだったので、別ジャンルの作品があれば読んでみたい。文章がとても好き。

キラキラあまあま芸能人BL

唐揚げが食べたくなるお話。他にも出てくるおかずが全部美味しそうでお腹がすく。ストーリーは全部が驚くほどするするっと上手くいき、ストレートにくっつく。ノーストレスで読めるし、たまにはこんなのも良いかな、という感じ。

日向太は弁当屋でバイトする大学生。俳優としてブレイクした学生時代の友人がバイト先に訪れて再会し、流れるようにBL展開へ。ハウスキーパーとして雇ったり濡れ場の練習をしたりお忍びデートしたりと、定番エピソードの詰め合わせ。

嫌な人は出てこず、テレビスタッフは事前連絡しっかり配慮も完璧、炎上もなく記者に見つかることもなく、空気の読めない友人は忠告一つで大人しくなる。所属事務所も応援モードで、二人は何の障害もなくいちゃいちゃいちゃいちゃ。

何かが起こりそうな気配が見えても、芽が出る前に潰されていき、とにかく平和な日常が続く。お互いに誤解もすれ違いもなくカップルとなり、後出し情報のやりすぎ感がすごかった。両想いをここまで甘くできるのか、という衝撃。

萌え重視作品として見ると、一城のギャップが良いのかな。クールな印象で売り出して以降、常に求められるキャラを演じてきた俳優が、日向太の前でだけワガママな甘えん坊になる。プラスめちゃくちゃ顔が良い芸能人、肩書きは最強。

口絵の唐揚げが大きすぎて笑った。あの唐揚げレシピ、炭酸をビールに変えた小森母バージョンで作ってみたい。美味しそうなおかずのレシピが印象に残る作品だった。

一人の天才に囚われた町の話

特に匂うとも思えなかったが、ちるちるに登録される要素はどこなんだろう。一人の天才を伝説にするためだけに十五年をかけた男、というのが萌えポイントだったのかな。でもその点も含めてすっきりしないお話だった。

スケボーの天才アラタを生み、専門施設があったりと、スケボーが盛んな町が舞台。その町は分かりやすい悪役の竜玄が仕切っている。事故死したアラタを憎む竜玄の周りには、黒い噂がいっぱい。

主人公の爽羽はアラタに憧れる転校生。アラタが建てたスケボー施設から、アラタ信者であるという理由で追い出される。その後、同じように竜玄に目の仇にされている仲間たちが集まる廃墟で、スケボーの練習をすることになる。

竜玄一派のクラスメイトに避けられてからは、グラフィティアートの才能がある友達ができたり、堅物教師が実はアラタの弟でスケボーの練習を見てくれたりと、少年漫画のよう。アラタの死の真相を探り、疑惑がいっぱいな展開も面白い。

そしてスケボーの才能は平凡っぽかった爽羽が、実はすごい技を習得できる可能性を秘めていた、という流れに。で、いよいよコンテスト当日というところで、竜玄を追い詰める。

話のオチは正直あまり納得できなかった。どんな思いがあったにせよ、竜玄はやりすぎたと思う。冒頭で爽羽にやったことが危険すぎて、肯定できるものではない。

終わり方も爽やかさを醸し出してはいるものの、どうなるかは読者の想像に任せる感じで、竜玄へのモヤモヤも読者側で処理しなくてはならない。ストリートカルチャーであるスケボーの背景とのリンクのさせ方も中途半端に感じた。とはいえ、グラフィティアートの活かし方と三島のキャラはとても好き。

スケボーメインで見れば面白いが、人間模様やミステリ部分を見れば微妙。匂い系としてのおすすめは難しい。漫画や実写など、視覚的に派手な演出が映える作品だと思う。

BLとしては良く言えば安心

途中で脱落しそうになった作品。女児向け雑誌に載ってる漫画っぽい。メイン二人ともにドン引きしてしまった。相手の気持ちが見えすぎるので、BLとしては良く言えば安心して読める。芸能界ものとしてはナニコレって感想。

悠太は幼なじみに誘われて劇団に入り、後に演技の才能を開花する。だが自分の練習より櫂に付き添うことを優先したがり、芸能活動にやる気もない。ネガ思考で、櫂の気持ちを憶測で決めつけ、勝手に距離を取ろうとしたり。

櫂は好きアピールが分かりやすく、気付いていないのは悠太だけ、という状況。ストーカーに直接対峙し、説得するなんて最悪の手段を取ったシーンにドン引きし、その際のセリフの幼稚さに驚いた。あれをカッコ良いと褒める悠太にも同じくドン引き。

プロ意識や演技論を語っても、上辺の言葉が流れている印象で、読んでいて恥ずかしくなる。キャラが年齢に見合う中身でない気がした。

最後にバタバタくっついたような

既婚者に惚れてしまった不憫受けのお話。途中で逃げてあっさり時が過ぎ、最後にバタバタくっついた感じがちょっとモヤる。話としては面白かったが、八尾には白石以外と幸せになって欲しいと思ってしまった。主人公に悲恋エンドを願った作品。

白石は八尾夫婦に拾われ、初めて幸せを知り、当然の流れで八尾に惚れる。リアルでも妄想世界でもエロにまみれており、感情より肉欲を強く感じる。それを男らしさと言うかのごとく、男なら当然~、男として〇〇といった表現がそこかしこに散りばめられている。

こうした文言の多さは、白石の内心か作者の観念かは知らないが、男性性への主観を強く主張しているようであり、無用のこだわりを感じる。ついでに、何事もしつこく書かれすぎると読みづらさにつながってしまう。

八尾はものすごい善人だと思う。一昔前、もしくは田舎の社長っぽい気質。土下座して支払いを待ってもらっている状況で、従業員にボーナスを出す経営者。妻に先立たれた後に、白石に手を出す人間とは思えない。

結果としてそこには妻の願いがあったわけで、芙実の言葉を勝手に誤解していた白石を、手紙に後押しされた八尾が追いかけてくっつく。芙実と白石の性別が逆なら総叩きになっていたであろうお話で、話の筋は良くても納得感はあまりない。

出て来た当初から、八尾は幸せになって欲しいキャラだと思って見ていた。そしていつからか、白石には八尾を解放して欲しいと思ってしまった。
社長である八尾が、従業員かつ拾った子供である男に手を出すほどの魅力が白石にあったのか、私には分からなかった。

変なチンピラ達の印象が強くて

バーテンに惚れた弁護士が、断られてもしつこく粘って同居に持ち込み、なんだかんだでノンケを落とすお話。鈴が自分の気持ちに気付くシーンがあまりにオカシすぎて、何を読まされているのか状態。変な話だった印象。

最初は生活感あふれる雰囲気で、価値観の違いによるすれ違いが発生。にしても、洗濯物を外に干したいだとか夕飯を手作りしたいだとか、言っている内容が細かく視野が狭い。うるさい女に男が譲歩or諦めて落ち着くカップルみたい。

山場近くなると、塚本に振られたヒステリー女が登場。殴られた時点で警察に突き出して欲しいがそんなことはせず、後日鈴は拉致られる。このときの心理描写はある意味衝撃的。

塚本が自分より鈴を選んだと激昂し、正気を失い、犯罪に手を染めた女の姿に感化され、彼女ほど彼を想っているかと自問自答し始める鈴。塚本でなく鈴を狙う時点で歪んでるのに、どれだけ本気か伝わってくる、なんて呑気に考える鈴に感動も共感もない。

拉致の実行犯もまたおかしなチンピラで、頭の悪い会話を延々続けて漫才かって感じ。このシーン、真面目に書かれたものなのかな、と居た堪れなくなった。
受け誘拐事件の解決は、例によってバーンと攻めがやってくる。安易。

一度は同性と付き合うのは無理と振った塚本への気持ちに気付くタイミングが、あの変な場面っていうのがものすごく微妙。また、終始鈴の思考回路が女性的すぎて合わなかった。

“ツレ”の意味にちょっと感動

割れ鍋に綴じ蓋カップルってこういう二人?と思った作品。本編はとても面白く、続く別視点も心に刺さり、ここまでなら神。綺麗に終わったかに思えた物語はさらに続き、それによって一冊としてのまとまりが微妙になったように感じた。

積極的に命令されたがる“犬”と傍若無人な“初代様”。やりとりだけ聞いていると、亭主関白やパワハラ/モラハラといった言葉が浮かんでくるが、犬の喜びっぷりのおかげで楽しく読める。

犬は陰キャと陽キャの捉え方が面白い。コミュ障で卑屈ではあるけど、結構なメンタル強者だと思う。全裸土下座すら惨めに見えないのは、その性格ゆえの強み。人だと思って見ると居た堪れなくなる性質も持っているため、“犬”呼びが功を奏した気がする。初代様に付き合えるのはこの子しかいない感。

本編はとても面白かった。巻き込まれてあんな結末を見せられる勇者パーティーの仲間たちは気の毒だけど、これで魔王が大人しくなれば丸く収まるのかな。初代様は素直な気持ちを口にできるようになってて良かった良かった。

初代様視点で飛んだ場面を振り返っていく続編もとても好き。犬がいなくなってボロボロになり、闇落ちしていく初代様。一つの定番だけど、やっぱりこういうの好き。“ツレ”の意味にはちょっと感動してしまった。

その後再度犬視点になり、死を迎えた現代世界に生身の体で戻るのはモヤる。本編でも時間移動があったのに、さらに今度は時間と世界を移動して、生きていたときに戻れるなんて。なんでもアリの中に現代まで含まれるのはちょっと。ゲーム世界への帰り方も雑で残念。

三本目以降のお話は無理やり継ぎ足したのかと感じる内容。一応名前のくだりは本編内でもあったので、一つの回収作業ではあるのかもしれない。でも正直最初の二本だけで良かったな、と思った。

悪魔と取引した初代様は寿命の枷を消したけど、犬の寿命はどうなってるのかな。まあ初代様がどうにでもしそうなところは安心できる。二人のキャラにだんだんハマっていくお話だった。

gift 同人電子 小説

冬木真魚 

忍耐力を試されているような

千尋と並木、すでに六年付き合っている二人のお話。両視点で、並木視点では浮気二股に至る様子が描かれる。千尋視点から始まり、千尋に感情移入しやすい構成なので、並木視点は忍耐力を試される読書になるかも。結末が気になりすぎて読むのを止められなかった。

千尋はBLだと健気受けといわれそうなキャラ。多くを望まず、常に先回りして並木の希望を叶え、従属的で都合の良い彼氏になっている。そうした性格に育つ背景まで描かれており、人物設定に厚みがある。二股の末捨てられても黙っていなかったのは良かったが、壊れっぷりはあまりの痛々しさで辛かった。

並木は今までもずっと優柔不断で二股状態も珍しくなく、他人への興味が薄い。だが春山に出会って自身の変化を自覚して、心理描写は初恋を知ったときのよう。千尋が身を引いていれば彼女に転がされていただろうし、千尋の指摘がなければ、気付いたときには子供できて結婚してそう。

並木と春山の関係は噂になり祝福されて、千尋は並木にあっさり振られる。ここからの千尋の惨めさには本当に胸が痛む。秋元がいなかったら耐えられなかったかもしれない。

ブチ切れて放った言葉が並木に刺さって改心するのは、正直フィクションだなあ、と思った。三十年近く他人の気持ちを思いやれずに生きてきて、急に千尋にどれだけ酷いことをしたか理解する並木はすごい。

それ以降は、千尋が見ている夢かと思うほどに並木が著しい変化を見せ、行き過ぎた執着と溺愛が始まる。改心パートに入るとカチっとスイッチが切り替わったみたいに二次元っぽく感じ、BLとして楽しく読んだ。

各所に小さなモヤりが発生しても、こちらの感情を超える勢いで処理してくれるので、キャラへの嫌悪感が残らない。始まりがどんなに辛くても、信頼して最後まで読める書き手さんだと思う。全作読破したくなった。

fragile 同人電子 小説

冬木真魚 

お互いに一途すぎる二人

駆け落ち・身分差・再会などなどの萌え要素が盛り込まれ、少々の懐かしさも味わいながら楽しめる作品。序盤の展開が微妙に感じたが、そこだけスルーすれば以降の展開は全部好き。ラブラブな後日談や、脇役視点のおまけもとても良かった。

住む世界が違う、と言われてしまった二人がメイン。瑞穂は大企業の跡取り息子で、まだまだ親の庇護下にいる高校生。航平はアル中母のネグレクトの末、自活している。なんとかして航平に近付こうとする瑞穂だったが、思わぬ事態に。

キレた航平が瑞穂を強姦し、翌日謝罪に来た航平に対して瑞穂は好きだと告白する。ここから切ない二人の物語が始まるわけだが、強姦から付き合うまでの間にもう少し何かあって欲しかったかな。くっつき方が微妙というか雑に感じる。

その後は、高校生という若さゆえの感情コントロールの利かなさだったり、お互いを想い合うがゆえのすれ違いや自己完結があり、子を想う親の気持ちも加わって、二人は離れ離れに。駆け落ちの王道展開っぽく、ほんのり感じる懐かしさが良い。

再会は十一年後。二人ともが相手への強い気持ちを持ち続けていたと分かる流れで、切なさが一気に押し寄せる。航平の成長や、自身の居場所をやっと得られたんだろうと思える描写は泣けた。

巻末の短編はどれも幸せしかなく、瑞穂も航平も驚くほど一途だったことが分かり、二人の未来への不安がない。特に航平は瑞穂以外への対応が徹底しており、誤解を生む行動をしない心がけがすごい。

柿本視点の短編は味わい深い語りで、渋めの切なさがあった。航平の欠けた部分を埋めるのに不可欠だったもう一人の人だと思う。
本編は瑞穂視点で心理描写も瑞穂のもののみだけど、航平の救済が見えるところがとても好き。末永く幸せでいて欲しいカップル。

自称幸福論 同人電子 小説

二一  あいだはるか 

一番刺さったのは元恋人の

亡くなった恋人の店で定食屋を営む十弥と、恋人を捨てて結婚・出産・離婚し独りで生きる曜介のお話。曜介の元恋人が主役で曜介が脇役なら、ボコボコにぶっ叩かれていそうな設定で、このキャラをどう見せるのか興味深く読んだ。

出会いは定食屋の店主と客として。馴染み客ばかりのアットホームな店で新たな常連になるなんて、曜介は人付き合い自体は広げていきたいのかな、と意外なような安心するような。それでいて心に壁を作る様子に、十弥が追いかけたくなるのも分かる。

十弥の方は恋人との死別を受け入れる方向に進むので、十弥視点は比較的爽やか。曜介視点は罪悪感やら何やらでシリアス度が高く、十弥視点はその暗さを中和してくれる感覚。ただ、心理描写重視の内容で視点主がコロコロ変わるのは感情移入しにくかった。

一番刺さったのは元恋人・新の当時の心境が分かった場面。家庭を壊した理由が、捨てられた恨みでなく、戻ってきて欲しかったからなんて。冷静に考えたら無理であろうことをやらせてしまうほどに、曜介は新の心を壊してしまったんだな、と。

多くの人がいろんな人にたくさんの感情の矢印を出しているのが見える作品。簡単に作れる人物相関図にも、矢印の一つ一つに思いが込められていると教えてくれる気がして、温かい気持ちになれた。曜介の子供が幸せであることを願う。