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表題作はだれ恋 ~拾われ男の妄想~

八尾貴文,旧車専門の修理工場の社長,妻帯者
白石了,17歳→25歳,家出少年→修理工場社員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「帰るとこねぇんだろ?」
そう言って、家出少年だった白石了(しらいしりょう)を拾ってくれた八尾貴文(やおたかふみ)。八尾の家や職場でともに過ごすうちに、白石はどうしようもなく彼に惹かれていく。しかし、その想いは決して叶わない、そして伝えることさえできない、ある『理由』があった。八尾の無骨な手で触れられることを夢見て過ごす日々。だが、思いもよらない出来事が二人の均衡を大きく崩してしまう。
「お前、俺としたいのか?」
秘めていた想いが引き摺り出されて!?

作品情報

作品名
はだれ恋 ~拾われ男の妄想~
著者
中原一也 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズ文庫
発売日
ISBN
9784801907072
4

(56)

(19)

萌々

(24)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
14
得点
228
評価数
56
平均
4 / 5
神率
33.9%

レビュー投稿数14

切ない恋心に萌えました

中原さんは個人的に当たりはずれのある作家さまなので購入をためらっていましたが小山田さんの美しすぎる表紙につられ購入。内容はすでに書いてくださっているので感想を。

男に入れあげ、息子をネグレクトしていた母親。その母親の連れてきた男に無理やり関係を持たされ、それが母親にばれて『泥棒猫』となじられた記憶を持つ了。
無償の愛情を受けたことのない彼は、優しく温厚で、自分を受けいれてくれた八尾に片想いしていますが、八尾には深く愛している妻がいて。
想いを告げることのできない了は、八尾の代わりに一夜限りの相手を探して…。

という既視感のあるお話。
なのですが、出てくるキャラたちの感情が丁寧に綴られていて、感情移入しやすかった。

ネグレクトされ、愛情など貰ったことのない母親ですが、それでも母親に投げつけられた『泥棒猫』という言葉に深く傷つき、妻のいる八尾を愛してはいけないと自戒し続ける了が健気で可哀想で泣けました。

八尾も妻の医療費のために困窮し、それでも会社の社長として社員を大切にするナイスガイです。
そして、一途に妻を愛し大切にしている彼がカッコいい。

八尾の妻・芙実もすごく良い人で、ゆえにすごく共感できました。彼女が懐の広い、優しい女性だったのがこの話にあっていてとても良かった。

脇を固めるキャラたちもみんないい味出してました。
八尾の会社の社員の面々。
了が逃げ込むバーのママたち。

了と関係を持つ男たちは酷い男たちが多いですが(了が不特定多数の男と関係を持つので苦手な方はご注意を)、それでも了を取り巻く人たちはみんな暖かく優しい人たちばかりで、だからこそ了の八尾への想いが罪悪感を生み出しているのがすごく切なくてよかった。

ただ、八尾の、了への想いの変遷が分かりづらかった気も。
妻亡きあと、ただ息子の様に可愛がっていた了への感情が恋愛感情へと移行していくのが急すぎた感があったのが少し気になりました。

個人的に誰とでも寝てしまうビッチさんてあまり好きではないのですが、この作品は了の、八尾への告げられない、それでいて深い愛が根底にあるので彼の切なさが読み取れてとても良かった。

そして今回も小山田さんの挿絵はとても素敵でした。小山田さんの画集を出してほしいなあと切望しています。

9

最愛の妻を持つ相手への抑えられない感情が切なくツラい(;///;)

まさか泣けるとは思わなかった…(;///;)

ラヴァーズ文庫なのでエロ特化してる側面もあるんですが、
抑えられない性的欲求がますます恋心を拗らせていく描写につながり、
拗らせた恋心がキューッと切なくてとても良かったです(;///;)

しっかし、なんでこんなサブタイつけたんだろ?
確かに妄想シーン多かったけど。
良い意味で裏切られたのもグッときて良かったけど。
(正直タイトルだけならそそられなかったです;)
(中原さんのネームバリューと小山田あみさんの美麗イラストのおかげ♪)

さて。あらすじに書いてある通り、
受けは幼少時より愛情といえるようなものをかけられず、母親の男に性的虐待をうけ、17歳になったころには母親(とはとても呼べない産んだだけの女)に家を追い出され。受けが行くアテがない家出少年だった頃に攻めと出会いました。
攻めは家に連れ帰り、温かい食事と寝場所を与え、職を与えて仕事を教えます。
今までまったく知らなかった"ごく普通"のことは、受けが攻めに焦がれる理由としては十分すぎました。

しかし攻めには最愛の奥さんがいて、受けにとっても奥さんは大切な恩人でもあります。
受けは奥さんを裏切るような罪の意識を抱きつつ、せめて片想いだけでも許されたいと苛まれています。

攻めに抱かれたいという願望と罪の意識がごっちゃになり、行きずりの相手に攻めの代役をお願いして手酷いセックスをされると堪らなく興奮を覚える受けー。同時にセックスが終わればどうしようもない虚しさを抱えて生活をしていました。

攻めの奥さんは病を患っていて入院しており「奥さんが亡くなればーーー」と一瞬よぎってしまった考えがますますマイナス感情へと走らせ…。そんな折りに奥さんの容態が急変しーーーと展開します。



・「最愛の妻がいる攻め」
・「攻め妻にも恩がある受け」
妻も含めた3人の関係性からしてBLになるのかな?と思いました;
攻めが心変わりするとは思えないし離婚するなんてあり得ないくらい温かな夫婦なのです。

だから…、まぁ、うん、そういう形になっちゃうよね。
奥さんが攻めに遺した手紙には号泣しました。
こういうの弱いんだよーーー。゚(゚´Д`゚)゚。

後半になると、一気に数ヶ月後に飛んだり、半年飛んだり、1年飛んだり
時系列がバンバン進むのでちょっと飛ばしすぎじゃない???と思ったんですが、
最終的に奥さんが亡くなってから3年の時間が置かれたのは良かったです。

完全ノンケで妻一筋だった男が
喪失感から立ち直り、回りを見る余裕が出来て。
弟のような息子のような存在の受けを"恋愛相手"として意識をする。

そう簡単にはいかないですもんね。
3年という時間が短いかどうかは分かりませんが、
奥さんの手紙が後押しになったという点も後味の悪さがなくて良かったです。
受けが長年雁字搦めになってた罪悪感がようやく消えてホッとしました。

個人的にめちゃくちゃ泣いたのは
受けが攻めの元を立ち去ったあとからのシーンです。
離れても尚、恋心を募らせている受けの孤独感や痛々しくて切なキュン(;///;)
それを見守るゲイバーのママやベンガルさんの優しさが沁みて泣けるッッ!!!

攻めが受けを探し回ってるくだりは、もぉぉ~~!!!(;///;)
萌えるし泣けるし萌えるし泣けるし感情大忙し。
攻めが受けを探し当てた理由も(前半が既に伏線だったのか)説得力があって良かったです。

また舞台になってるのが旧車の専門業者というのも萌え的にヒット。
つなぎの作業服・滴る汗・腕の筋肉、どれも大好きです///
中原さんの男臭さを表現する文章は色気がつまってるから更に良し◎
これを小山田あみさんの美麗な挿絵で見られるなんて!!
最高としか言えない+゚。*(*´∀`*)*。゚+

余談ですが、
挿絵で登場しなかったゲイバーのママやベンガルさん。
『ラブコレ 12th』小山田あみさんの漫画(3P)でお姿が見られます♪
ママは性格だけじゃなくお顔もイケメンで惚れるし、
ベンガルさんの筋肉質な脚と黒ハイヒールが美しい+゚。*
(おっさん攻めのキス待ち顔は笑えますw)

小説部分は攻めと受けの幸せな後日談(+玩具の伏線回収w)になってました。

6

はだれ=まだら 

薄雪の斑を表す春の季語「はだれ」には、寂しい意味合いの和歌が多い。
でも、冬が去り、春が来ていることを示す季語。
寂しく冬枯れしていた主人公の了に、やっと春が訪れる物語。
---
はだれ:
「はだれに」はナリ活用の形容動詞「斑なり」の連用形
雪がはらはらと降るさま。雪が薄く積もるさま。また、その雪。はだら。
〔名〕 「はだれゆき(━雪)」の略。《季・春》
---
斑な恋、という題名。スキマが有るってこと。
冒頭は、主人公の白石了が、片思いの相手の代理=行きずりのその日限りの男と愛し合う場面。

了は、儚げな印象の美形。
ずっと、片思いをしている「八尾」という男性が居るけれど、想いを告げられ無い。
想いを隠して、病身の妻を持つ八尾に尽くしている。
・・出だしから主人公の辛い立場の説明があって、かなり苦しい恋愛を描く作品だと理解できた。

了は帰巣する家族を持っていない根無し草。
了は、家庭の温もりを知らない、自分を癒す巣がない寂しい生い立ち。
八尾の死んだ妻は、優しい母性愛を注いでくれた。
虐待されて育った了の愛する八尾は、男っぽい父性愛が豊かな人。
了が愛を求める方向性に悲しいものを感じる。

幼い頃から、母親の愛人に仕込まれたせいで、了はセックス依存症。しかもドM。
了が愛されたい欲求を消す妄想や自虐行為が増長していく。
了の体の傷を観て、さすがに八尾が気づいて動く。その陰には、妻が遺した手紙があった。
優しかった八尾の妻は、了の気持ちに気付いていた。

了が八尾の会社を辞めて、バー「スイートレモン」で働いていると、八尾が了を探しに訪れる。
・・色々あって、やっと寒い了の心を温める巣と人を得る事ができた。
バーのママたちが、痛みが分かる人達で良かった。

0

切ない思いが成就する時

元々乱れた生活を送っていた了が八尾と出会ったことによって人生が変わっていく、、、、。
ゲイの子にとって、好きな人が女性の人生の伴侶を既に持っていて、さらにその人も良い人で自分を可愛がってくれる。辛いんだろうな。自分の思いは打ち明けられない、そして二人が良い人だけに、離れるのも難い。
そして八尾への思いをダメなこと、悪いことという負のスパイラルに陥ることで、どんどん悪い方向へ向かう受け君。

だからそばにいながら、爛れた私生活を送ってしまう受けが切なくてかわいくて…何とか八尾に振り向いてあげて欲しいと思いながら読んでました。
奥さんが亡くなる際に出張先で側にいることの出来ない八尾から頼まれた了は最期の見取りをするんですが、そこで最後の言葉を聞いて誤解しちゃいます。。。
だから八尾から離れるんですが、奥様がよく出来た人で、八尾への手紙を残しています。

それがあったから、八尾は了を探し出してでも側に置きたいと思う訳で。
最後は了、良かったね、って言ってあげたい。珍しい?形の関係でしたが、これから幸せになって欲しい思うストーリーでした。

他のレビューにもありましたが、八尾の「やり方わからないから教えろ」ってシーンはめちゃくちゃ萌えました。

0

No Title

定期摂取、小山田あみ先生。
初読み作家さんでしたがアンリミのレビューが良くて読みました。

女も抱ける攻め、奥さんいる攻めは基本性癖対象外なんですが、これはとーーってもよかったです♡
奥さんは病気で亡くなってしまい
もちろん忘れることはできず、
ずーっとふたりの間に存在しているのですが
その加減が絶妙でした。
了が想いを持て余してこれでもか!!ってくらい
夜遊びしちゃうのはソワソワしたけれど。
最後、八尾さんがちゃあんと迎えに来てくれ、
エロオヤジな面に笑い、
あったかい気持ちで終わりました^ ^

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