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エキスパートレビューアー2023

女性ぱるりろんさん

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絵柄も内容も繊細


侑は牧緒と公園で知り合い、会社の帰りに公園のベンチで時々話す。二ヶ月くらいたったとき、牧緒が記憶喪失だということを知る。公園から家に場所を移して交流は続き、少しずつお互いのことを知っていく、というお話。

表紙が美しく購入しました。表紙のみならず本編も、とても繊細な筆致で綺麗な絵柄です。
内容も同じく繊細でした。侑の抱える問題と牧緒の抱える問題。二人とも過去に他人から言われたこと、されたことに傷つき、それらを自分のせいだと思っています。お互いがお互いに惹かれ、会うごとに気持ちが強くなっていくのに、この気持ちを知られたら関係が終わってしまうとか自分にそんな資格はないと押し隠すので、なかなか進展しません。進展しないながら、前述の過去のできごとや、相手への募る思いや、自責の念が描かれるので、きっかけさえあればなあ、と見守っていました。お互いが向き合って一緒に居ることを認め合えれば、共依存の関係に近いくらいに引き合う二人です。

読みづらいのが難点でした。1話は侑視点、2話は牧緒視点、3話は侑視点、4話が混在、5話が牧緒視点、最終話が混在、と視点が変わるせいなのか? (でも他の作品でも視点変わりはよくあるので、それらと何が違うのかはちょっと分かりません。視点変わりのせいではないのかも) モノローグがどちらのものか、時々分からなくなったり、二人の悩みが似通っている部分があるので読みながら混乱しました。
また、サブキャラの位置づけが曖昧で、勿体なかったです。侑の元恋人(侑は幼馴染みと称してますが)、牧緒の父、牧緒の祖母、関わりが濃いようで意外とあっさりというか、二人にとっての思い出は濃いのに、濃さがあまりこっちに伝わらず、作中の登場が少なくて輪郭がぼんやりしている感じでした。

鮫は桜に恋をする コミック

 

昔の少女マンガみたい

理屈なしに楽しんでしまいました。
ちょっと陰のある強面のイケメンのヤンキーが、まじめで地味な子に恋をするお話。
バイク二人乗りとか、理人の淋しい生い立ちとか、果てはガラの悪い取り巻きに絡まれたりとか。
大昔どきどきしながら読んでいた往年の少女マンガに通じるものがあり、とてもなじみ深い作品世界でした。
とはいえこちらはBL。淳の笑顔に一目惚れしたという可愛いエピソードの裏では妄想をオカズに抜くシーンもあるし、キスもあっという間に奪われるし、結構がっつりお布団のシーンもありました。そういう意味では盛りだくさんなのかも。
年齢も1歳違いで、攻めの子が年下というのもポイントでした。(まあ、年下感はあんまり無いんですが)
ただ、途中までは自然だったのですが、卒業式まで全然会っていなかったという設定で、「この日が来るのを待ってた」と二人の仲がいきなり再燃するのは、展開が強引に感じられました。その会っていなかった間、淳が友達の尾田くんと楽しそうに過ごしていて理人への思いがあまり読み取れなかったから、一足飛びに感じたのかも。
ほかはよかったです。晴れて恋人同士になり、理人が好きな淳の笑顔がたくさん見られる毎日を送れるといいなと思います。
(エッチしてる最中の声やら音やらを電話越しに聞いてしまった尾田っちが気の毒でならない)

MODS コミック

ナツメカズキ 

光を知ったからこそ闇に閉ざされる

事情でまとまった金が必要になり割の良い運転のバイトに応募したら、デリバリーホストの送迎だった。
男娼のシロは売れっ子で、信虎は付き人として毎日ホテルに送り届けるが、たちの悪い客もいてシロを助ける。
自己肯定感が低く自虐的でもあるシロを見守り助けるうちに、信虎は彼を好きになっていくというお話。


生い立ちや過去の出来事等が原因で自虐的に自分を投げ捨てるみたいに生きている人が、心の温かい人に出会って包み込まれて恋をして、生き直すような、そういうお話はBLでよくあると思います。
本書もそういうお話なのですが、読んでいる最中はそんなことを一切思わず、作品の雰囲気に飲まれるように読んでしまいました。画力も素晴らしいですがそれ以上に、読者を世界観に溶け込ませるそういう力を感じます。わたしは読んでいる間、シロと信虎のいるこの街に居るような気持ちになっていました。
二人のキャラクターもいいですが、大人組というか春さんも時雨さんもすごくよいです。
特に時雨さんが魅力的だからこそ、シロの心の闇が際立っています。あのときの絶望感が手に取るように分かる。人生で初めて見出した一条の光に、手を伸ばした瞬間に暗闇に閉ざされたのです。もといた闇よりももっと深くもっと暗く感じたことでしょう。
それ以降のシロの日々がどれほど無意味で無機的であったか想像に難くないです。
そこから引っ張り上げた信虎は本当にすごいと思います。信虎に時雨をかぶせて見ている所もあると思うのですが、でもこれから二人でやいやい言いながら暮らして行って欲しいなと祈るような気持ちでいます。
シロの本名、手書きの崩れた筆跡で知れて、ぐっと来ました。
それから本書のタイトルの意味も、最後のページで頭文字だと分かるのもよかったです。
2016年の作品でした。雰囲気もセンスも何もかも、8年も前の作品とはまったく思えません。名作と語り継がれる所以ですね。
スピンオフもあるようなので、そっちも読んでみます。

私は電書で読んだのですが、最後のページに断り書きがあり、帯とカバー下の書き下ろし部分、特典ペーパーは収録してないということでした。御注意ください。(今後変わるかもしれませんが)

勢いにのまれました

黄昏アウトフォーカスのスピンオフ。
映画部の部長である菊地原は、同じ部の2年市川から罵倒され続け、同じ映画監督という立場もあり犬猿の仲。(というか一方的にいちゃもんつけられている?) それが家庭の事情で、自宅住まいの市川が短期間寮に住むことになり、あろうことか菊地原と同室になる、というところから始まるお話。
共同生活をすることでお互いがお互いの違う一面を知り、映画ではない別の共通の趣味が出来て(それがBLなのが面白い)、仲良くなる一方で、こと映画の話になるとやはり罵倒が止まらない、というのが意外性があって面白かったです。
市川くんは頭の回転がいいので、ぽんぽん言葉が出てきて、あまりに軽妙なので読んでいて笑ってしまいます。相手が先輩なのにため口とか、言わなくてもいいこともはっきり口にするとか、問題はあるのですが、マンガだからなのか勢いにのまれるのか、だんだん気にならなくなりました。
むしろ、このクセの強い彼を「案外いいやつじゃん」からよく恋人にまで引き上げられたなと、むしろ菊地原の手腕に脱帽しております。俗に言うケンカップルとも違う、不思議な関係です。
強くて強引で口が悪い市川のようなキャラは描き方によってマイナスに働くことも多そうなのに、子供時代のエピソードを見ていると、一生懸命で理想が高くてかつ繊細で、ただ生きづらそうであり、非凡ゆえかあの性格も仕方ないと思えるのもすごいなと感じました。少なくとも前作を読んだときには、CPの片方になるキャラとは思えなかったので、本作はいろんな意味で意欲的と思います。
それと、表紙にキャラ紹介があって菊地原の誕生日が4月2日牡牛座になってました。牡羊座の間違いか、5月2日の間違いか気になります。イメージは5月2日。
ギョウザマンのクッション、欲しいです。可愛い。

南国の空の美しさ

ラバウルの五連星とも称されるエースパイロットの琴平恒が厚谷六郎とペアを組み複座の戦闘機月光で活躍する様が描かれる本作。
キャラ文庫で復刊されてからのシリーズ3冊目。(元はこれが2冊目)
「天球儀の海」の主役である琴平希のすぐ上の兄なので、希の話題はちらちら出てきますし、ラバウル航空隊の話なので「蒼穹のローレライ」の秋山整備員が出てきます。シリーズものはこの重なっている部分が楽しくもあります。
恒の売られた喧嘩は買う性格や天真爛漫な様子は子供っぽくもありますが、その分怪我をしたとき病気をしたとき愛機が沈んだときとの差が著しくて、気付けば惹かれている自分がいました。
南国の空の美しさと相俟って戦争という残虐で愚かな行為がつぶさに描かれています。
ペアである六郎との信頼関係も、戦況が悪化するなかでの焦燥感も諦念も、なにもかもが鮮明です。没入して読みふけり、BLであることを忘れてしまいます。元のHolly Novelsというレーベルの懐の深さを改めて感じました。
本書は、本編である表題作のほか、「雨のあと」「約束の月」「鳥が還る日」「青のかたみ」の4編SSが収録されています。このうち「青のかたみ」だけ書き下ろしです。
すべてが本編の後日談で、あたたかい良作揃いです。二人の関係性を父と語り合う「鳥が還る日」が印象的です。また、「青のかたみ」では、これからがあるから思い出の品は何もいらないと言っていたのに、あの線香花火だけは別だったというのも、今じゃなきゃだめだと騒ぐ恒の願いをきいて行動する六郎の様子もとてもよかった。
牧先生のイラストも本当に素晴らしいです。途中コミック仕様になっている挿絵があり、コミカライズの一環かと思っていたら、コミカライズは別の作家さんが作画をされるのですね。

危機しかないです。

絶体絶命が続きますよねえ。
初ヒートは上下巻でした。2回目のヒートは2巻以降絶賛発動中なのですが、何巻まで行くのでしょう。
といいますか、オメガバース世界が確立されていない世の中で、ヒートになった西央くんとフェロモンを浴びる織人くんを、一体どこのだれが理解してくれるというのか。
初ヒートの時もどきどきしながら二人を見守っていましたが、今回も危険がいっぱいです。
財力さえあれば、ホテル連泊とかウィークリーマンション契約とかで隔離して、部屋にこもってやりまくって嵐が過ぎるのを待てますけど、一介の高校生にそれは無理ですし。
合宿先から帰宅しても、自分の家とはいっても家族の家だから、隔離といっても無理がありますよね。
どのタイミングでお父さんにすべてを打ち明けるんだろうと思っていましたが、ひとまずは宇宙的に度量の大きなお父さんの包容力に全乗っかりでした。
今後も心配です。厄介ですねヒート。
もしも今後抑制剤みたいなものが登場するとしたら、なにで代用するんだろうなと考えてしまいました。解熱剤か?
それにしても一ノ瀬先生の画力が素晴らしいです。ヒート中の二人の、特に西央くんの色気がすごいです。画面から色気が3Dで飛び出してきています。
平面なはずなのに既に立体で既にアニメーションです。
2巻を読み終わったときには今後が心配だと続巻を楽しみにしていましたが、今回もまったく同じ気持ちです。
焦れ焦れするのが苦手な方は、完結してから読まれることをおすすめします。(いつになるか)

髪と罅 コミック

7区 

好きな人の恋を応援

自分の好きな人には他に好きな人がいて、そういう気持ちごと全部を丸呑みしてその人を好きで居るというのが、大好物です。
このお話はまさにそういうお話でした。
国良は子供の頃から幼馴染みの大志のことを可愛いと思っていて、その自分の感情を恋だと認識したかしていないかという状況のときに、大志から「松田のことが好きなんだ」と告白される。
松田への思いを諦めて仕舞い込もうとする大志に焦れて、動画で脅迫するという手段でもって発破を掛け、大志の恋の応援をする国良。
髪の長い子が好き、と言った松田の言葉を信じて、髪を伸ばし続ける大志と、いつか松田とつきあったときのための練習と称してデートを重ねる二人の日々が丹念に描かれています。
もう、国良がとてもいい奴で、読みながら何回も呻きました。
二人ともぴゅあっぴゅあで、こんな可愛らしい二人の恋はとにかく報われるべきだと(大志の恋が報われると国良の恋が報われないけど)祈るようにページをめくりました。
華美な絵柄ではないですが、ふとした瞬間の止め絵に魅力がありますし、丁寧に語られ読ませられます。このときはこうだった、という種明かしも自然で、読み応えがありました。
やさしい作品で癒やされました。
書き下ろしも可愛いです。

大人の余裕でした

上巻では、二人の関係性(オンとオフの切り替え時の違い)が気になっていましたが、下巻の序盤でその不安・疑問は氷解しました。
指名してホテルで会うときにヒロムがあくまでも仕事として慶太に相対することを、慶太はどう思っているのだろうと思っていましたが、割り切っているとか不満に思うとかじゃなく、それ込みで丸呑みしているのだと理解しました。
大人の余裕という奴。だからこそ拗らせていたヒロムも徐々にですが不器用ながらも心を開いたのでした。ああ、なるほどー!なるほどー!
との観点から、そのあとの様々な事柄も腑に落ちましたし、ルームシェア企画が終了したときの淋しさもすごくよくわかりました。
年齢は見た目ほどは離れていないはずですが、もうそんなことは関係ないのだと、それこそゾンビみたいだったヒロムがやっと居場所を見つけたのでした。
ヨシさんじゃないですけど、よかったねえと滝涙です。
9話終わりの、慶太からの指名をスマホで見た瞬間のヒロムの表情がすごく好きです。そのあとの二人の時間も。めっちゃ可愛いです。
で、もう一人のゾンビ、沢木さんですよ。荒んだ官僚であり隠れ暴力男。
難しいですよね。ときどきこうやって大の大人が大人を誘拐し監禁するシチュエーションありますけど、監禁したあと加害者はどうするのか、被害者はどうするのか、助けに行く第三者はどうやって行動するのか、本当に書くの難しいと思います。一般的には、この解決への展開はやっぱり肩透かしに見えるのだろうなと思いますが、沢木さんは結局ゾンビだったんだなと、監禁したところで無気力に変わりないというか、私はそのように解釈しました。
監禁されている間にヒロムはもっと素直になればよかったなと後悔し、慶太がびっくりするくらい発言が変わりましたが、そういうのもありだなと思いました。
下巻のあとがきに、書きたかったけど書けなかったエピソードが載っており、沢木さんの今後が一番意外でした。みんな幸せに。

読み応えたっぷりの3作

夜をテーマにしたアンソロジー。
どの作品も読み応えがあり、とても面白かったです。
本のタイトルが「Love Affair」で、恋愛関係という意味なのに、勝手に一夜のアバンチュール?などと思って読み始めたら、作品すべてが純愛だったので余計に心が洗われるような気持ちになりました。

杉原理生先生「甘露の日和」
小学生のとき家によく遊びに来ていた高校生の兄の友達のうち、瀬尾のことが何年経っても忘れられない和巳。
高校を卒業したあとの瀬尾の近況も、兄を通じて聞いていたが、会う勇気は持てずにいた。
大学生になった和巳の務めるカフェに、瀬尾が買い物に来て偶然再会する、というお話です。
子供の頃の淡い初恋と思えば微笑ましいのですが、二人ともきらきらしているのにどうも薄暗さが漂っていて、作品の後どうなるのかがとても気になります。
瀬尾の語り口調がなんとなく理屈っぽいのも影響しているかもです。

名倉和希先生「となりの夜くん」
まさかのダイエット話でした。
それまで自分の外見にこだわらず、食べたい物を食べたいだけ食べていた24歳の大学生が、アパートの隣に住む全身黒ずくめのかっこいい男の人に恋をして、運動して痩せていくお話。
隣人の名前も知らず、勝手に「夜くん」と名付けて、ベランダでの朝の一服を盗み聞きするなどちょっと怖くもあるのですが、夜くんに影響されてウォーキング→ランニング、外食→自炊、体質改善へとわかりやすく行動していく様子に、応援する気持ちが湧きました。
二人の関係はまだまだこれからなので、続きがあれば読んでみたいです。でも、恋愛に発展しなくてもよいかも、などとも思っています。

木原音瀬先生「夜のラビット」
蔦が生えてくる蔦科のsouは、たぐいまれな美しい声を持つ。
主人公は、souの兄の部下である宮本雫。雫は怪我で両目の視力を失い、家族もおらず一人で暮らすことが不自由であることから、部屋が余っているsouの家に住むことになる。
雫とsouは惹かれ合い蜜月の日々を過ごすが、雫が角膜移植手術を受けたところから二人の関係に変化が訪れるというお話。
知らなかったのですが、同人誌「Botanical Love」に掲載されている「夜のラビット」の続編だそうです。そのお話を読んでいなくても十二分に楽しめました。
見えないことでうまくいっていた関係が見えることでここまでこじれる、しかもその理由も納得できるもので、両方の気持ちが分かる。読後に唸りました。
前作の「夜のラビット」も気になるところですが、単体でもまったく問題なく、このお話のその後がもしもあるようなら是非読みたいです。

オンとオフの切り替え

風俗ルポライターの久谷が潜入記事を書くために初めてのゲイ風俗に挑み、人気ナンバーワン売り専のヒロムに陥落。
仕事で行った店には二度と行かないというマイルールも危ぶむくらいにはまってしまい、別の潜入ルポをしていても思い浮かべてしまう始末。
そのヒロムとは、初対面の男二人で3ヶ月間ルームシェアをするという企画で偶然再会、同居することになり、……というお話。

生活を共にすれば当然仕事の時とは違う顔がおもてに出てくるし、ヒロムはそれを隠そうともしていません。久谷はそれでも素のヒロムにも興味を惹かれ、もっと知りたいと思うのです。
ここのキモは、共に暮らすオフのヒロムと、指名して身体を重ねるオンのヒロム、同じ人だけど見せる顔が違う、久谷は気持ちの上でそこのところをどう整理しているのだろうということです。
もちろん同一人物だし、ヒロムは一緒に生活するうちに久谷に心を許すようになってきてはいます。でも、家では甘い雰囲気にはならないわけで、久谷が指名してホテルの部屋にいるときにはお客としてヒロムは久谷を相手にするので、読みながらこちらもちょっと引っかかるものがあります。
ルームシェア企画も配信なので、顔出し大丈夫なのかな、ということも気になります。
とはいえまだ上巻。ヒロムにひどいことをするお客の存在や、二人の今後もどうなっていくのか、下巻も楽しみです。