心の一部が、甘く崩れていく音がする。

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表題作愛しのいばら姫

久保田浩二
新鋭デザイナー,27歳
美山靫彦
トップモデル,27歳

その他の収録作品

  • yes
  • あとがき

あらすじ

美貌のモデルでありながら、自身に価値を見いだせない美山。新鋭デザイナーの久保田は、そんな美山を朗らかに受け止めてくれて…。

作品情報

作品名
愛しのいばら姫
著者
凪良ゆう 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
365+1
発売日
ISBN
9784829625866
4.4

(317)

(199)

萌々

(75)

(29)

中立

(6)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
41
得点
1388
評価数
317
平均
4.4 / 5
神率
62.8%

レビュー投稿数41

ツンとふんわりのギャップ

「365+1」に登場したモデルの美山靫彦を主人公にした物語。
時系列的には「365+1」よりも後なので、そちらのメインだった綾野と紺が仲良くやっているらしいのがぼんやりと見て取れます。
それよりも主人公の美山です。
なんて、なんって魅力的なキャラクターなのでしょう。ため息しか出ません。
断片的に要素だけを記せば、ネグレクトな母子家庭で育ち、母は出て行って行方不明、ティーンの時にファッション業界の大ボスに拾われて愛人になり良きも悪しきも様々叩き込まれ海外でも評価されているトップモデル、本人の自己評価は低い、不眠、神経質、片付け嫌い、好き嫌い多し、意地っ張り、等等等、ちょっとてんこ盛り過ぎます。
なのにこの魅力的なことはどうでしょう。要素が喧嘩しません。
ツンとふんわりのギャップと、頑なに意地を張る陰で悩んだり悲しんだりしているのが、どうにもこうにもやるせなくツボでした。
助けてあげたいけど、こちらは傍からぼんやり行く末を眺めることしか出来ません(あたりまえだ)。くやしい。
で、このめんどくさい美山が二度目に本気で好きになった人が、新進デザイナーの久保田です。
当初割れ鍋に綴じ蓋かと思ったのですが、でもよくよく考えるとそういうわけでもなくて、お互いがお互いを尊重して努力してなりたっていくカップルでした。
本書の3分の2くらいまでは目が離せなくて、美山が好き過ぎて気がかりで、読みながら私のモヤモヤが募り、彼をどうにかして差し上げろとグルグル唸っていたのですが、4分の3を過ぎた頃から、でもこれ実は灰原とよりを戻すのでもよくない?と思い始めてしまって、その分、その後の展開に気持ちが今ひとつ乗らなくなってしまいまして。勿体ないことをしました。
灰原は牙城だったので、なんの武器も装備していない一兵卒が大ボスから姫を取り返す暴挙を、手放しで賞賛できなかった。ここで盛り上がれたらよかったなあ。
作ってもらったカメリアを大事にしていたり、カメリアがあれば深く眠れたり、そういう美山が本当に可愛かったです。

0

スピンオフ

前作「365+1」のスピンオフです。前作を読んでない方はぜひ読んでから、こちらを読むことをおすすめします。この作品の美山靫彦というトップモデルが他人から見たらどんな人なのか、よくわかると思うので。

前作で紺と綾野を引っ掻き回して、結果的に2人を元サヤに収めてくれた靫彦ですが、なかなかに寂しくて辛い生い立ちをしていました。そして本気で好きになった男性と、その後についても詳しく書かれています。本気の恋を手酷い振られ方をしたことで人を信用しないように生きている靫彦。

そんな靫彦のお相手は…と言うとちょっと意外な人物。こちらも前作から登場の紺や綾野と同郷の先輩、デザイナーの久保田でした。クリエイターにありがちなプライドの高さはありながらも決して傲慢ではなく、靫彦をまず1人のトップモデルとしてリスペクトしているところがとても良かったし、そこが靫彦にも響いたんじゃないかと…。

とにかく面倒臭い靫彦を深い愛情で包み込んでくれる久保田の愛し方がとても好みでした(個人の感想です)。また、靫彦のあしながおじさん的存在の当て馬さんも最終的には嫌な奴じゃなくなって全体的に丸く治まって最高のハピエンだったのではないかと思います。

また個人的な好みの話になりますが、口が悪くてツンツン女王様なんだけど実は寂しがりで甘えたな受けちゃんと、受けのお世話をしっかりしてくれる攻め様が大好物なので、大変よく刺さりました。

1

恋すると人は変わるよね

スピンオフ作品だそうですが、先に読んでしまいました。
「365+1」も買ってあるのに〜。
でも全く気にならずに読めたので結果オーライ。

素直じゃない美人受けがノンケに恋しちゃう、少し切なくも幸せな物語でした。
16歳の頃から年上の金持ちに囲われていたり、夜遊びもそれなりにやってきて、でも前の恋愛で大失恋をしたユキが、叶いそうにもない恋に落ちてしまうんです。
頭では分かってても、止められない恋心。
そして自分の操縦がきかなくなる…それが恋ってやつよね。
相手の一言や態度で、天にも昇るし地獄にも落ちそうに悩むユキが可愛くて微笑ましかったです。

攻めの久保田もノンケでありながらユキをほっておけない気持ちから好きになってしまって、同性に恋をしてしまった戸惑いが隠せないのもよく伝わってきました。
久保田目線の部分があったらなぁ、と思いました。

モデル、服飾業界のお話としても楽しめます。
凪良先生の作品はそういう部分もしっかり書かれているのでラブ以外の部分も楽しいんですよね。

スピンオフ元を読むのも楽しみです♡

0

ノンケと美男

いばら姫、とは、超絶イケメンの美山。実はスピンオフだと知らずこちらから読んでしまいました。
元作品を読んでいたら少し印象が違ったかな?

美山はモデルとしてプライドがあり、実際に一線で活躍している。しかし幼少期に家庭があまりうまくいっていなかったせいで、人間として愛情に飢えています。
一方の久保田はデザイナー。こちらはノンケで、あまり策略を巡らすタイプではなく、明るく面倒見がよく人タラシな感じ。

包容力の高い久保田にだ惹かれる惹かれる美山ですが、相手がノンケだけになかなか恋にならず。。

実際はこんな感じなのかな?ノンケさんとの恋というのは。。
なかなか恋にならないので、美山がむしろ不憫でした。
でも終わりよければすべて良しかな?

美山のパトロンだった灰原さん。こちらも包容力という点では抜群で、美山をひきとってトップモデルにしただけでなく、最後は久保田に譲るなど、ちょっとできすぎの感じがありました。

久保田がなかなか自覚しないので、読んでる方もじれじれしてしまった。
面白かったけど今ひとつ乗り切れず。。ごめんなさい。

0

良い話だった

「365+1」のスピンオフ
紺の家に、電気を止められる都度にホテルの代わりに泊りに来る
美貌のトップモデル。

棘で素の自分を防御した隙のない「いばら姫」が、
棘を隠して、素の自分、白いカメリアが似合うユキちゃんに成れる
全部を理解して包容する、久保田を受け入れることができてよかった。
というより、粘り強く愛を捧げる久保田の献身愛に感動した。

ユキちゃんは、傷つきやすい繊細な人。
それを見抜いた久保田の目は確かで、慈愛に満ちている。

久保田の白い花を見て、ユキが母のお手玉を思い出す場面や、
「恋をしているせいで、秋の訪れが・・」のくだり、とかの言い回しが素敵。

凪良先生の作品の中で、一番捻じれていない恋物語だと思う。

0

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