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女性ポッチさん

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攻めさんがカッコよすぎて。

犬飼さん×みずかねさんという素晴らしき組み合わせの今作品。ということで、発売日を心待ちにしていました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公は孤児院で暮らすトキハ。
親はなく、しかも同じ孤児院の桜からの嫌がらせを受け続けている薄幸少年だ。
孤児院の学園長も桜の味方で、食事を抜かれることもお風呂に入れないことも日常的に行われるという過酷な日々。

それには理由があった。
トキハは、この国で不吉と言われ、忌み嫌われるオッドアイを持ち生まれてきた子どもだった。しかも片方の瞳は、これもまた不吉と言われている紫。己の不運を嘆きつつ、でも粛々と受け入れ日々過ごしている。

そんなトキハの楽しみは、時々篤志家たちから寄付される本を読むこと。
そして、その本を寄付してくれているシュアンと呼ばれる男性とはじめて言葉を交わしたトキハは、シュアンに淡い恋心を抱くようになっていく。シュアンに触発され、勤勉に学び大学に行くことを目標に掲げるが―。

とにかくトキハという男の子が薄幸で泣ける。
どこに行っても彼の拠り所はなく、まだ7歳という年齢で彼は己の不運を受け入れている節がある。そんなトキハは、シュアンに出会い夢を抱くが、それも打ち砕かれ…、と話は続きます。

あまり書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうのですが、トキハの味方になり優しい言葉をかけてくれたシュアン。そのシュアンそっくりな男性に、トキハは無理やり抱かれてしまい―。

はたしてシュアンはいい人なのか、それとも…?という謎解きを孕むストーリーです。

とにかくシュアンがカッコいい。
その一言に尽きます。スーパーダーリンなシュアンを、みずかねさんが描いてくださっているという眼福さも相混じり、ヤバいくらいカッコいいです。そんなシュアンは実は悪い人なの?どうなの?とハラハラしつつ読み進めましたが。

あー、なるほど、そうきたか!

という展開でした。
読み進めるごとに少しずつ点が線になっていくストーリー展開はさすが犬飼先生といったところか。

ただ今作品は、少年と言える年齢の子が性的な暴力を受けるという側面を持っているので苦手な方は注意が必要かもしれません。無理やりとか、媚薬とか、卑怯な手が使われているところにもちょっぴり萎え萎え。

とはいえ、シュアンたち(どういう意味かは手に取って確認されてください)のカッコよさに悶絶し、みずかみさんの描かれた美麗イラストに萌え滾り、そしててんこ盛りのシリアスさと甘々な恋の行方の絶妙なバランスに翻弄され続ける、そんな1冊でした。

異世界トリップもの

鈴倉さんの描かれる可愛らしい絵柄が大好きでして。
今作品も、そんな鈴倉さんの描かれた表紙にフラフラと吸い寄せられるようにしてお買い上げしました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公はプログラマーの末永。32歳。
彼が作成にかかわったゲームの売り上げが芳しくなく中止が決定された。ゲームそのものも、そして作中登場するキャラも、彼にとっては渾身の出来だったが、それ故に中止が決まり傷心中。そしてそんなさなか、彼は事故に遭い死んでしまった。

はずだった。

が、目が覚めた彼は老人と出会い、そして彼の指示に従っていった先は「カーテルモント聖王国」。そこで神子として召喚されたのだった。召喚されたはいいが、けれど末永にはそこで求められていた能力はなかった。がっかりする面々に申し訳ない気持ちになりながら過ごす末永だったが、ただ一人、彼の護衛のためについてくれている騎士団長のリーンハルトだけは優しくて…。

最近、異世界トリップもの多くないですか?

とかなんとか思いつつ読み進めました。

末永くんは(彼は作中、国の人々から「アキ」と呼ばれますが)、プログラマーなのですが、でもゲームオタクでもある。見目麗しいリーンハルトを見かけて思わずSSRだ…、と言ってしまったり、ちょいちょいゲームぽい感じが盛り込まれていて全体的な雰囲気はコミカルな様相を呈しています。

アキは現世では32歳ですが、神子として召喚されたときは少年のようなビジュアルをしていて(表紙のハイソックスがけしからん可愛さです)、それが序盤面白さをアップさせるのですが、終盤に向けて、その「少年のような見た目」という部分がリーンハルトとアキの恋の行方に大きく関わることになっていて、そのストーリー展開の秀逸さに舌を巻きました。

正直に言ってしまうとストーリーとしては既視感ありありというかよくあるお話ではあるのですが、とにかくドツボだったのがリーンハルトという攻めさん。努力家で、優秀で、アキを守るために奮闘する。そして、幾ばくかの執着心がまた良い。

視点はアキとリーンハルトの交互で描かれているので、読んでいて二人の心理面が理解しやすく読みやすいのも高ポイントでした。

そして、最後にこれだけは言いたい。
鈴倉さんの描かれたリーンハルトがカッコよすぎて悶絶しました。

温泉、最高ですよね。

作家買い。
シビトさんの新刊は温泉をテーマに描いた作品。終盤に単話が1話収録されていますが、ほぼ表題作の二人のお話です。



イケメンでモデルをしている律。
が、売れないモデルで、しかも動画を配信しているが登録者数も少ない。そんな律にマネージャーが指示した仕事は、温泉での町おこしイベントだった。そこで律は、温泉好きな恋人・朝陽を誘い、温泉旅行へと赴くが…。

シビトさんと言えば、耽美感漂う美麗イラストで紡がれていくほんのりダークな雰囲気が付きまとう作品。を描かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品はめっちゃ可愛いです。

温泉、というバックボーンに絶妙にマッチする、ほっこりほのぼのなお話でした。
高校生の時に出会い、恋をして、ずっと温め育ててきた愛情。すでに恋人同士という二人を描いた作品なので、とにかく甘いしほのぼのです。

いや、でもシビトさん作品だからして。どこかでガツンと何かが来るんじゃないの?と、そう思いつつ読み進めました。

この二人の恋の軌跡の行方は、どうぞ手に取って読んでみてください。

もう一つ、単話「イルカに乗った青年」。
「イルカに乗った青年」?
なんかどこかで聞いたような…、と思いつつ読み始めました。

主人公は25歳、売れない動画配信者の丈。
その日も海で釣りをしながら動画撮影をしていたが、そこで彼はテトラポットに引っ掛かり動けなくなっているイルカを見つける。慌てて救出に向かう丈だったが、海に飲み込まれてしまい―?

丈は、自分が助けたイルカに「みちる」という名前を付けます。
自分が「じょう」だから、イルカは「みちる」、という理由で。

ちょっと待って?
シビトさん作品でこんなに笑ったのは初めてかも。

「イルカに乗った青年」に、じょう、に、みちる。
お若い方には意味不明かな。が、このシビトさんらしからぬ(と言ったら失礼か?)ギャグ色に腹筋が崩壊しました。

とはいえ、です。
1話完結の短編なのでページ数は少ないのですが、この少ないページ数で、萌えとエロと笑いを描き切れるシビトさんはやっぱり天才だなあ、としみじみ。

シビトさんらしいダークさとかシリアスさはほぼなしの今作品。
そういったものを読みたくて手に取られる方には若干肩透かしを食らう作品かもしれません。かくいう私も、読み進めて、ンン?と思ったことは否めない。

が、寒い冬が到来した今日この頃。
心まで温かくなるホンワカ、ほのぼのな1冊。
ジュネットさんらしいエロも満喫できる(何しろ温泉エッチ満載だ)、そんな作品でした。

美麗な絵柄に古代中国という設定が最高な一冊。

表紙の美麗イラストとあらすじを拝見して購入。
ピッコマでも読めるようですが、そちらは未読。作家さまのお名前とか、タイトルから推測するに中国BLでしょうかね。

この美麗表紙に偽りなく、本編もとにかく絵が綺麗です。
しかも中国BLということで衣装も麗しくってそれだけでも高ポイント。中国BLというと私が真っ先に思い出すのは『魔道祖師』ですが、魔道祖師と同じく古代中国を舞台にした感じ。そして、今作品もファンタジーものです。

美しい絵柄ですが、それだけではなくって全編オールカラー。色遣いも綺麗で眼福ですが、お値段1000円越え。ちょっとお高いかなあ…。とかなんとか思いつつ。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は名家・沈家の長男、清軒。
ある日、彼は毒蛇に噛まれてしまう。このまま死を待つのみ、という一刻を争う状況に陥ってしまう清軒だったが、彼の前の前に現れ救いの手を差し伸べたのは、当の彼を噛んだ毒蛇でー?

毒蛇、と言ってもBL作品ですから。
にょろにょろとした蛇さんのビジュアルではないです。伊墨という名の蛇妖で、しかも美形という眼福な蛇さんなのです。

伊墨が清軒に救いの手を差し伸べたのは、ある理由があって…。

と話は続きます。

清軒という青年はですね、幼少期のとある出来事から足が不自由で言葉も話せないという人物。さらに蛇に噛まれ死の淵をさまようという、かなりの薄幸青年でもあります。身体的なものだけではなくて、彼の家庭環境もなかなかなものでして、なので清軒が伊墨にどんどん惹かれていってしまう、その過程に納得。

タイトルに(1)とついているところからも分かるように、1巻完結のお話ではありません。
伊墨×清軒の関係も一筋縄ではいかない展開ですし、沈家のこれからという部分に関しても、また蛇妖である伊墨の思惑も、今後どうなるのか現段階では未知数な内容になっています。

絵柄は綺麗ですし、ストーリーも独創的で面白いのですが、んー、なんて言うのかな。ストーリーの動かし方がちょっと微妙、というのか…。

モダモダと同じことを繰りかえしている、かと思えば、急に話が変わったりするので、え、どゆこと?と思ってしまうシーンがそこそこあって読んでいて戸惑ってしまいました。これから次巻を読み進めていくうちに繋がってくる部分はあると思いますが、清軒の伊墨への恋心とか、かと思いきや彼が女性と…、とあまり書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうので詳細は書きませんが、え、なんで?と思う展開が続く感じ。続巻が待たれます。

原作ありきのお話なんでしょうかね。
登場人物たちの感情の詳細が描かれていないので(故意になのかページ数の問題で省いているのかは不明)今一つ分かりかねる部分もあって、でもそこがミステリアスさを生んでもいるので、これからどうなるのか気になります。

設定としてはかなりシリアスなお話だと思うのですが、シリアスに振り切らずコミカルさも加えて描かれているので、その辺りは好みによるのかもしれません。がっつりドシリアスな作品を読みたい方にはやや不向き、けれどシリアス過ぎたり痛すぎる作品は読みたくないなあ、という気分の時には甘辛のバランスがちょうどいい作品かと思われます。

お値段でやや腰は引けつつ、でも続きが読みたい。
ということで、次巻を楽しみに待っていようと思います。

安西さんらしいほのぼのさと温かさに満ちた一冊。

作家買い。
作家買いですが、安西さん×Cielさんという豪華な組み合わせで、これは期待値も上がってしまうというもの。ということで、発売日を心待ちにしていました。





マハヤーディ王国、という国が舞台。
この国の国王・ラシード王は9歳の時に国王である父親を亡くし、以来国王として君臨してきた賢王だ。

そして、彼の王宮で厨房で働くアーシェ。
優しく働きものの彼は、ある日ラシード王の後宮で働くように言われる。それは、彼の働きぶりもあったが、主に彼の幼い見た目からだった。後宮でラシード王に仕えてきた執事(のような存在)の高齢化に伴い、新たに手伝う人材が必要だった。が、王に仕える愛妾が住まう後宮で、「男」の存在は問題がある。という理由で、働き者で実直、けれど幼い見た目のアーシェに白羽の矢が立ったのだった。

早速後宮で働き始めるアーシェだったが…?

というお話。

国王の後宮で、多くの愛妾たちに囲まれ働かされるアーシェ。
しかもその愛妾たちを差し置いて、国王の寵愛を受けるようになるアーシェ。

という、もしかしてシリアスベースのお話?
と思いつつ読み進めましたが、その予想をいい意味で裏切るほのぼのなお話でした。安西さんらしい、と言って良いかと思います。

アーシェが多くの愛妾たちから可愛がられ、そしてラシード王からも一目置かれるようになる「理由」がありますが、この「理由」がほのぼので面白い。しかも終盤ではその「理由」が切なくもピンチに陥った人々を、そしてアーシェをも救う因子になっていきます。

この温かさが、安西さん作品の大きな魅力の一つか。

そして、そのほのぼのなお話に華を添えるのがCielさんの美麗イラスト。アラビアンな世界観を、それは美しく、美麗に描いてくださっています。

終盤アーシェはピンチに陥りますが、ベースとしてはシリアスさはほぼ無く全体的には温かさとほのぼのさに満ちた一冊。安西さんらしい、そんな作品でした。

絵柄がビューティフォー

うみれさん作品は、誤解を恐れずに書いてしまうと、非常に少女漫画ぽいっていうのかな。

キラッキラのビジュアル。
ちょっと強引で、でも優しい攻めさん。
意地っ張り、でも中身も見た目も可愛らしい受けさん。

今作品もそんなうみれさんらしい作品だったように思います。
しかも今作品はうみれさん作品でお初となる芸能界もの。キラッキラに拍車がかかっています。麗しいです。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




イケメンで実力・人気共に高い昴はゲイ。
恋人は作らず、一晩限りの関係を楽しむという青年だ。

そんなある日、一人の青年・海帆と出会い、いつものようにワンナイトの関係を楽しんだ昴だったが、撮影中のドラマに役者仲間として新たに加わってきたのはその海帆でー?

という、既視感ありありのお話です。
途中当て馬くんが登場したり、芸能界ものあるあるのスキャンダルに巻き込まれたり、どこまで行っても、ザ・王道のお話でした。

アッと驚く展開をお求めの方や、二転三転するストーリーが読みたいとか切ない恋のお話を読みたい方には、若干不向きな作品と言えると思います。

が、反対に言うともう甘々。糖度120%でございます。

海帆はどこまでも一途で、昴一筋。
イケメンで人気モデルという、そのバックボーンをフルに生かしたスーパーダーリン。そんなパーフェクト男子が一途に昴を想い続ける姿は、読んでいてモダモダしてしまうくらい可愛い。

そして昴の方も。
うみれさん作品の受けさんてまっさらさんが多いイメージですが、今作品の受けさんは経験豊富な大人の男性。色香たっぷりで、傅きたくなる、そんな美しい受けさんでした。

しいて言うと、昴がワンナイト限定、恋人はいらない、という理由が少し甘かったかなあ、という気はしました。タイトル、そして昴。そこから推測するイメージとちょっと異なってしまったかな、と。

とはいえうみれさんの描かれる美麗イラストで紡がれる芸能人もので、とにかく綺麗です。眼福です。それとうみれさんらしい汁っ気たっぷりのエロも健在。

甘くて、優しくって綺麗で。そしてエロも満喫できる。
多くの腐姐さまの共感と萌えを集めそうな、そんな1冊でした。

王道。

作家買いですが、ワタクシ、八千代さんの絵柄が大好きでして。
さらにあらすじも面白そう!ということで、発売日を心待ちにしていました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





良家の子息である清正。
彼が5歳の時に、家の前に置き去りにされていた幼子を発見する。
我儘を言わない清正の、初めてと言える主張がその幼子をうちで育てたい、というものだった。

その幼子を引き取り、禄之助と名付け、時は過ぎ清正は26歳になった。
子どもの時から仲良しだった清正と禄之助だったがー。

弟を溺愛するお兄ちゃんと、早々に己の恋心に気づいて兄ちゃんを手に入れたいと願っていた弟くん、という、王道のストーリーです。

が、うーん。
王道、って悪いことではないのですが、どこまで行っても王道のそれでしかない。

と感じました。

禄之助が(というか、はじめは清正にきたものですが)受けることになったお見合い話も、清正の友人の存在も、捻りがないというか既視感ありあり、というか…。反対に言うと痛い展開にはならないですし、二人のすれ違いとか勘違いもハラハラはしますが可愛くってほのぼの。個人的にはもう一捻り、二捻りある方が好きなのであっさりしすぎていた感は否めませんでしたが、八千代さんの可愛らしい絵柄も相俟って非常に可愛らしいお話なので、こういう展開がお好きな方は多いんじゃないかなと思います。

非常に可愛らしいお話ではあるのですが、この二人は割と早い段階から身体の接触はあります。可愛い+エロ、という組み合わせのお話でもあるので、甘エロな1冊かと思います。

血のつながらない兄弟もの。
弟攻め。
両片想い。

と、お好きな方には堪らないバックボーンてんこ盛りの一冊でした。

シリアスとほのぼののバランスが絶妙。

作家買い。
寺崎さんの新刊は、竜が登場するファンタジーものでもあり、Dom/Subものでもあるという、1冊で何度も美味しいストーリー。ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





神竜と呼ばれる竜がいて、彼らは天候をつかさどっている。
神竜が機嫌を損ねると天候が荒れ、なのでときどき生贄を捧げている、という世界観のお話です。

クロウは黒髪に黒い瞳を持つ18歳の青年。
彼の住まう村は、人々は銀色の髪に青い瞳を持って生まれてくる。ゆえに、黒い髪に瞳を持つクロウは「呪われた子」と呼ばれ村人たちから忌避されていた。しかも、魔力を使うことで人々は火や水を扱えるがクロウにはその能力はなかった。両親はすでに亡く、孤独と飢餓に付き纏われながら生きてきたが、そんなクロウに告げられたのは、神竜の生贄になれというものだった―。

クロウが可哀想で、でも薄幸受けちゃん大好物なので序盤から一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれる形で読み始めました。

とはいえ、神(正確には神ではないですが)に捧げられる薄幸受けちゃん、ってBLではテッパンな設定でもあって、よくあるお話かな?とも思いつつ。けれど、今作品はその王道なお話とは一線を画す展開です。

その理由の一つが、Dom/Subという因子。
が、私が知っているDom/Subものとも、少し違う設定でした。あとがきで寺崎先生も書かれていますが、オメガバとかDom/Subものは、作家さま、あるいはその作品ごとに細かい設定がちょいちょい異なります。それが面白さでもあるのかな?

神竜・バラウルとクロウは出会ってすぐに惹かれ合いますが、その理由は…、と続きます。

寺崎さん作品らしいファンタジー要素を盛り込みつつ、二人が少しずつ心通わせていく展開で、序盤から推測したようなシリアスさはほぼありません。この二人のやり取りが非常にハートフルだからして。

が、ほのぼのなだけでもない。すれ違い、勘違い、そしてクロウの過酷すぎる過去の環境などが加わり、切なさも甘さも加味されて、そのバランスが秀逸でした。

この二人はとある理由から早々に身体の接触をするに至りますが、これがまたエロい。ただ、Dom/Subものだからか?バラウルの口調が命令口調だったのが個人的に萎えポイントでした。バラウル自身は非常にナイスガイなので、あくまで「その時」だけではあるのですが、まあ、この辺りはお好み如何といったところでしょうかね。ただ、SMとかDom/Subものは、二人の信頼関係や深い愛情あってこそ身体的な痛みすら昇華する、というものだと思っているので、今作品のキーポイントである「Dom/Subもの」という部分に今一つしっくりこない感がありました。

が、クロウの過去や、二人のすれ違い、終盤に巻き込まれるトラブル、を経て、最後の二人の姿にほっこりするやら笑えるやら。最高な終盤でした。

そして挿絵を描かれているヤスヒロさん。
初めてお見掛けする絵師さんでしたが、絵柄がとっても綺麗で、作品のイメージにもぴったりで、めっちゃ良かった。

王道のそれに、寺崎さんのエッセンスが加わった、優しく温かな作品でした。

糖度120%の、完結編。

『死にぞこないは愛に啼く』の2巻目にして完結編。
1巻のネタバレも含んでのレビューになります。ご注意ください。






家族に愛されることのないまま、失意のどん底の中で死んでしまったレイ。
自分は死んだ、と思ったのに意識が戻った時には異世界にトリップしてしまっていた。が、その世界でも彼は過酷な環境に置かれたまま。「奴隷」という身分だった。

そんな彼を買ってくれたのがドレイク。
今まで愛された経験のなかったレイに衣食住を与え、温かな感情を向けてくれるドレイクに少しずつ心を開いていくレイだったが、なぜか身体が透けだして―?

というのが1巻で描かれていたストーリー。

2巻のキモは、ずばりレイの身体が透けていく、その理由かと思われます。

ドレイクとレイの体格差と、その体格差で行われる濡れ場。
レイの薄幸さと、そんなレイに惜しみない愛情を注ぐスパダリ・ドレイク。
レイに懐く、可愛いドレイクの双子の弟くんたち。
そして、レイの身体が透けてしまうのはなぜか、レイは消えてしまうのか―?

バックボーンは非常に面白い。
王道のそれに加え、異世界トリップとかレイの身体が透けていくその謎ときとか。ぐっとストーリーに引き込まれる「何か」がある。

あるんですけれども。
んー。
もう一声ほしい!といった感じか。
この感想、1巻でも感じていまして。1巻の謎を、2巻で回収していく展開なんですが、今作品は、1巻から感じている謎の理由、というのがはっきりしています。

レイがトリップしてしまった理由、ドレイクがレイを愛で可愛がる理由、レイの身体が透けてしまう理由。その、複数ある理由の根源は、一つしかありません。こういう展開の作品は原因がはっきりしなくて読者に回答をゆだねるものもあったりしますが、今作品は理由がきちんとあります。素晴らしいです。

素晴らしいのですが、なんて言うんですかね。
ああ、そういう…。という感じ。どうなるのか気になってページをめくり続けてきましたが、その理由が。うん。こういう事かー、という。

こういう結末に納得して、萌える方がいるのは理解できますが、個人的にはご都合主義だなあ…、という感想を抱いてしまいました。

薄幸な受けちゃんがスパダリに愛され幸せを手に入れるという、シンデレラストーリーが個人的にめちゃめちゃドツボなのですが、今一つ盛り上がりに欠けてしまった感がありました。この辺りは完全に好みの問題かと思われます。はい。

あと、エロが唐突な気がしました。
こんなにエロが無くても良いかな。
2巻は甘々。そして1巻と同じくエロてんこ盛り。
1巻のあのシリアスさはどこへ…?という、溺愛っぷり、糖度120%の完結編でした。

一生懸命なスーパー攻めさまが可愛い。

篁さんというと、個人的にシリアス系の作品を多く描かれる作家さま、のイメージが強いのですが、今作品はそんなイメージを覆す、コミカルで可愛らしいお話でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





大手企業の代表取締役社長の鳳は、その美しいビジュアル、有能な仕事っぷりで誰もが惚れてしまうという完璧男子。秘書(男女問わず)が全員彼に惚れてしまい仕事にならない。そして鳳の方も、くるもの拒まず。すべての人に愛情を返したい!と思う恋多き男なのだった。

そんな彼が新たに秘書室長として起用したのは如月。
秘書として有能な如月に、またも惚れられてしまうのかな?困った困った。
そんな風に思っていた鳳だったが、その思いとは裏腹に如月は鳳に惚れてしまう様子はなく…?

というお話。

ありとあらゆる人物に好意を寄せられ困っていた鳳。
起用する秘書には、そんな思いは抱いてほしくないなあ、と思っていた完璧男子・鳳が、自分になびく風もなく、有能な仕事ぶりを見せる如月に徐々に惹かれ、何とか自分に好意を寄せて欲しいと奮闘するラブコメを呈したストーリーでした。

んー、面白くないわけではないですし、萌えどころもきちんとあるんです。
あるのですが、なんて言うんだろうな、まあ、それだけ、というのか…。
篁さん作品は割とページ数が多い作品が多いですが、今作品も厚め。が、その多いページ数に見合った内容だったか、と問われると微妙だったな、という感じがしました。

とはいえ、篁さんの美麗絵柄で、スパダリに愛でられるまっさらさん受け、は多くの腐姐さまの萌えを鷲掴みにしそうです。また、今まで本当の意味で愛した人がいなかった鳳社長が、如月さんに振り向いてほしくて、自分を愛して欲しくてなりふり構わず一生懸命になるさまは非常に可愛らしいですし。

良い意味で、王道のそれ、といった体の作品でした。