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神作品

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女性ポッチさん

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色々素晴らしすぎて悶絶。

作家買い。
めっちゃ良かった…。
あとがきで池先生も書かれていますが、池作品がCharaコミックスで刊行されるのはお初。Charaコミックス、ということもあるのかな?池先生にしてはエロ度はやや低め。

それでいて、漏れ出る深い愛情がきちんと描かれているのはさすが池先生といったところか。エロが少なくてもこれだけ萌える。素晴らしいです。

偉大な魔術師・シルヴァンが営む「魔術師シルヴァンの店」を舞台に、2つのCPが登場するオムニバス形式のストーリー。





序盤は、シルヴァンの店で働くティムのお話。
もともと奴隷で、瀕死の状態になりながらも逃げてきたところをシルヴァンに助けられ、以来シルヴァンの店で働くようになった青年です。

ティムはシルヴァンが大好き。
元奴隷で教養もない自分がシルヴァンに愛されるなどという奇跡が起こることはない。シルヴァンを愛した自分が、彼の傍にいていいはずもない。

だから、出ていく前に一度だけでいい。
シルヴァンに愛してもらえたら―。

そんな思いに駆られたティムは、シルヴァンの作った「一晩だけこの世の誰よりも魅力的に見える薬」を飲んで、そしてシルヴァンのもとに向かうが―。

もう1CPは、金貸しを営むエーリクと、彼のもとで働くヨハンの恋のお話。
ヨハンに恋してしまったエーリクは、ヨハンが座る「椅子」になりたいと望み―。

シルヴァンの作る魔術が込められた薬を介して進むストーリーなのです。

えっと。
まず初めにこれを言いたい。

美しい…!

さすが池先生。
ビジュアルも、筋肉美も、圧倒的な美しさです。

そして、そんな彼らが秘める恋心も良い。

バックボーンとしてはドシリアスにも振り切れる展開なのですが、ストーリーは意外なほどコミカルです。彼らがシルヴァンの魔術を使って望む、その行為がすんごい可愛らしいからかな。シルヴァンは強すぎる魔力を持つ偉大な魔術師、なので、望めばおそらくどんな願いも叶う。けれど、ティム、そしてエリークが望むのは、好きな人に、少しだけ触れたい、という想い。

自分が卑怯なことをしていることを理解したうえで、でも溢れる想いをほんの少しだけでいい、叶えたい、と思っているから。

彼らの可愛らしい恋心とともに、もう一人、重要なキーパーソンがいます。

シルヴァンの店で、守銭奴さながら客に様々なものを売りつける「蜘蛛猫」。
その名の通り、蜘蛛のような身体を持ち、頭は猫、という一見不気味な姿をしていますが、この子がめっちゃキュート。で、この子の正体も。

シルヴァンは常にマスクを着けていますが、マスクを着けている理由がいい。
けれど、その「理由」とか「過去」とかについてちょっぴり描かれているだけ。

シルヴァンの過去とか読んでみたいですし、続編がいくらでも作れそうなナイスなバックボーンを持つ作品なので、ぜひとも続編を描いていただきたいと切望しています。

素晴らしかった。
文句なく、神評価です。

王道のストーリーでありながら

初読みの作家さまでしたが、電子で序盤を読んで、そのままお買い上げ。
切なくて、けれど真摯な深い愛情が胸を打つ、深い深い愛情を描いた作品でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は落ちぶれた貴族の嫡子・レオン。
彼の家が没落したのには理由がある。彼の父親の存在だ。

色ボケした、色狂いの傲慢な爺・オワイン。
もともと高貴な家の出でありながらその放蕩ぶりが目に余り田舎に追いやられてしまった。そんなオワインは周囲の人たちから好奇の目にさらされているがそんなことは気にせず今日も色事にふける。

そんな父親を嫌悪しているレオンは父親を反面教師とし日々過ごしているが、父親が森に建っている古小屋で犬を飼い始めたという話を聞く。興味本誌でその小屋を訪れたレオンは、褐色の肌を持つ少年を抱いている父親の姿を見てしまう。

まるで獣の要だと嫌悪する一方で、その少年・ノエを欲する気持ちが沸き上がってしまい―。

というお話。

オメガバースものですが、今作品はオメガバースという性が確立していない世界が舞台。発情期を迎え、人を惑わすΩは魔女として人々から忌み嫌われる存在として描かれています。

もうね、Ωの人たちに対する周囲の人たちの接し方が非常に胸糞で、読んでいて胸が痛いです。ただΩというだけで身体を蹂躙され、魔女だと言われ、迫害され。

そして、序盤から多くの読者の予想通り、レオンはαだしノエはΩなわけですが、自身の父親の行動を懺悔し、ノエに紳士的に接するレオンがクソほどカッコいいです。

そして今作品にはもう一人キーパーソンが登場します。レオンの腹違いの弟のエリオット。

このエリオットの存在が、今作品において非常にいいスパイスになっているんですね。オメガバースものとしては王道のストーリーではありますが、エリオットの存在があるがゆえに王道のそれらとは一線を画す作品になっていたように思いました。

詳細を書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうので詳しくは書きませんが、彼らの感情の機微が実に秀逸です。憎しみと愛情が紙一重。その感情の変遷の流れも良い。

レオン×ノエ、そしてエリオット。
彼らを取り巻く周囲の人たちの外道さが切ない。けれどだからこそ、と言って良いでしょう。彼らの間に育っていく深い愛情。そして自分の愛する人を守りたい、ただそれだけのために奮闘する三人の愛の行方にめっちゃ萌えました。

今作品はかなりページ数の多い作品なのですが、その厚さに見合った内容。が、この厚さでありながら、もっとページ数を増やして詳細に描いてほしかったなと思う部分も多い。

レオンの母親やノエの父親のエピソードはもっと読みたかったし、そして多くの外道たちに鉄槌が下ってほしかったし。

オメガバースものらしい、って言って良いかな。Ωが酷い目に遭うシーンはてんこ盛りです。
痛い描写も、子どもが大人の欲望のはけ口になるシーンも、結構たくさん出てきます。そういうシーンが苦手な方にはお勧めしづらい作品ではあります。

が、だからこそ、愛情だけで繋がり、信じあうレオン×ノエの深い愛情に思わず落涙しました。

しいて言うと、レオンがノエを愛するようになった、その経緯が若干甘いと言えば甘かったかな。

そして、最後の終わり方。
いや、幸せな日々を送っているのだろうとわかる終わり方でとても良いんです。余韻があるっていうか。

が、できれば二人が○○(これ、ネタバレになっちゃうので伏字にします)も含めて幸せになっている姿が見たかった…!

そして、エリオットも。
彼も、幸せになってほしい。
最後の彼の姿を見ると、幸せになるんだろうな、と思うんですけれど、実際に幸せになった姿が見たかった。

ということで、続編を心からお待ちしています。

めっちゃ良かった。文句なく、神評価です。

こんなに可愛い淫魔、初めて見た!

作家買い。
電子で2話まで読んでいましたが、紙媒体になって刊行されたのでこちらもお買い上げ。

田中森さんて同人誌で刊行されることも多くありますが、同人誌ってちょっとお高いんですよね…。でも、そのぶん自由度が高いのか、田中森作品の表紙っていつも可愛いの。今作品も文字がキラキラで可愛いです。

ということでレビューを。






主人公は淫魔のレム。
淫魔は精気を吸わないと生きていくことができませんが、レムはその「生きるため」の享楽的な関係を結ぶことを良しとせずにいまだにDT(年齢は書かれていませんが、おそらく20歳前後かと思われる)。

が、精気を吸わないために力が出ず、元気もない。

なぜレムが頑なに精気を吸わないのかというと、子どもの時の初恋が関係していて。子どもの時に出会った「さくらちゃん」。名前の通り、桜色のほっぺをして、優しい、その可愛い女の子に淡い初恋をした。さくらちゃんに「好きな人としかちゅうしない」と言われたことをいまだにかたくなに守り、いつかさくらちゃんと再会出来たら、彼女と恋人になってキスやそれ以上のことをしたいと思っているから。それがかなわない夢であることも、分かっているけれど。

が、そんなレムに業を煮やした双子の弟・リリとララにクラブに連れていかれるが、そこでレムは力尽きてしまい―。

というお話。

田中森さんといえば、ダークで、ドシリアスな作品も多く描かれる作家さまですが、今作品はピュアピュアです。可愛いです。

淫魔なのに一途で、処女でDTなレムの恋の行方は?

と、そこを軸に進むストーリーですが、うん。まあね、予想通りの展開ではあります。さくらちゃん、彼女の正体は―?

あまりネタバレしてしまうと面白さ半減なので詳細は書きませんが、さくらちゃんの一途さにも萌える。
めっちゃモテるのに、一途なんですよ、さくらちゃんが。

そんなピュアっ子な二人の恋なので、いつもの田中森節はどこへやら、めっちゃ可愛い恋のお話に仕上がっています。ピュアっ子同士の恋だからこその勘違いとか、思い込みがめっちゃ可愛くってほのぼのします。爆笑です。

が、そこは田中森作品なので。
不穏な空気も漂ってくるわけですよ。
お互いに一途で相手を大切にしているからこそ、二人に訪れるであろう試練が気になります。

レムは淫魔ですが、淫魔である、という彼のそのベースが今後どう作用してくるのか気になります。めっちゃ可愛いんですよ。淫魔なのに。こんなに可愛い淫魔って他のいる?というレベルで可愛いんです。

でも、可愛いだけでは終わらないだろうなあ。何しろ田中森作品だからして。

ということで、続編を正座してお待ちしております。

今巻も腹筋崩壊。

ドシリアスな作品を書かれることも多い綺月先生ですが、そんな綺月作品において異色と言って良いでしょう、多くの腐姐さまの爆笑を浚った『沼の竜宮城で、海皇様がお待ちかね』。今作品は、その神シリーズのスピンオフ、というか続編?になるのかな?

海皇神ポセイドンの兄であり、冥界の神でもあるハデスが主人公のお話です。

スピンオフものって前作が未読でも問題なく読めるものも多くありますが、今作品は前作既読の方が絶対に面白いと思うので、未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

前作が面白すぎて、今作品はどうかな、トーンダウンしちゃうかな?と思いつつ手に取りましたが、いやいや、そんな心配は杞憂に終わりました。今作品も面白かった…!

前作含めたネタバレがあります。苦手な方はご注意ください。





この世のすべてをつかさどる最高神ゼウス。
そしてゼウスと仲良しでキラッキラのビジュアルを誇る海皇神ポセイドン。
彼らの兄であり、長男でもあるハデスは、じめじめした性格で(ポセイドン曰く)キノコが生えてくるようなそんな男性。

と、前作『沼の竜宮城で、~』でも描写がありましたが彼が「そう」なってしまったのにはきちんと理由があって。地底で、誰が訪れてくれるわけでもなく、やってくるのは亡くなった人の魂だけ、というなんとも不憫な境遇から彼のネガティブさが爆発した、という描写からスタートするわけですが。

ポセイドンは近畿弁を操る陽気な人物でしたが、ハデスは「オネエ」。
昭和の歌唱ショーに登場する歌手並みのスパンコールのドレスを着こなし、(話す相手がいないから)一人でオネエ言葉をブツブツと話す、そんな人物です。

自分の理想の男性と恋に堕ちたいと、そう願っているなんとも可愛い男性。
そんなハデスは、夜温泉に入るのが唯一の楽しみ。その日もゆっくり温泉につかっていたところ、一人の男性が温泉に入りにやってきた。

イケメンで、綺麗な身体つき、年齢も好みドンピシャなその男性にロックオンしたハデスは、その男性・角崎と一晩を過ごすことに成功するが―?

というお話。

あらすじでは角崎視点で描かれていますが、本作はハデス視点のお話です。

で。
この角崎くん。前作の受け・来人の日和不動産の先輩くんです。イケメンで、有能で、ちょっとした勘違いからポセイドンにあれやこれや致され「神」とか「呪い」に果てしなく拒否感を感じるようになってしまった、あの先輩くんです。

彼らの濡れ場が、めっちゃエロい。
いや、エロいだけじゃない。
めっちゃ爆笑。

前作は沼、というか海?が舞台でしたので魚類がたくさん登場しましたが、今巻はずばり「キノコ」が陰の主役です。いろいろな意味で、そう何からナニまで、キノコちゃんが大活躍です。腹筋崩壊します。

座布団一枚あげてちょうだい!

と思わず言ってしまいそうな言葉遊びから、彼らのやり取りまで非常にコミカル。ハデスは寂しさのあまりケルベロスを生み出しますが、このケルベロスの姿が…、とここでも爆笑。終始爆笑しっぱなしでした。

終盤に海皇神×来人の幸せなその後の小話も収録されています。来人、ご出産です。おめでとうございます。

おもしろかったんですよ?とっても。

でも、うーん。

まず第一にページ数が少ない。
電子限定なので紙媒体で読んだわけではないのですが、紙媒体だったら思わず持った瞬間に「薄ッ!」て言ってしまいそうなページ数しかありません。

で、角崎くん×ハデスの恋の成就という点ではかなりあっさり。あれだけ見えざるものの存在を怖がっていた角崎くんなのに、ハデスのことはさっくり受け入れてしまう。恋の成就、という軸をしっかり読みたい方には若干肩透かしを食らう展開かと思われます。

そしてもう一点。
挿絵がない…!
私はhontoさんで買いましたが、他の電子書籍さんだったら挿絵があったのかなあ…。小山田さんラバーな私としてはかなりのがっかりポイントでした。

だって表紙を見てください。
この麗しい表紙を。
パリッパリのイケメン・角崎と、彼に差し出されたキノコ(しかもキノコを持ってる手はきちんとスパンコール付きの服を着てるという芸の細やかさ)。
そして下でキャッキャウフフしてる、海皇神×来人の可愛い姿を。

彼らがさー、本編でも拝めると思うじゃないですか…。
なのに無いとか。
ショボーンってなったよ…。

と、残念に思う個所もなくはないのですが、でもそれらをはるかに上回る爆笑と萌えとそしてエロがこの作品にはたっぷり詰まってました。何よりハデスの可愛さと一途さにひれ伏しました。

ということで、萌×2と神で評価は悩みましたが、ちょびっとおまけして神で。

次作はゼウスのお話かな?
と楽しみに待っていようと思います。

ぜひとも手に入れてほしい!

『10DANCE(6)』は、これ単体でも発売されましたが、小冊子付きの『10DANCE(6)特装版』も同日発売されました。

『10DANCE』は今までも特典付きの特装版は刊行されてきましたが、どれもとってもお洒落かつナイスな内容でしたので、6巻も特装版を買うべく早々に予約していましたが、今巻の小冊子もナイスでした。

まず表紙がハードカバー。
お洒落です。デザインもおしゃれですが、装丁がセンスがよろしくって手に取った瞬間にテンションが上がります。

カバーも素敵ですが中身も最高によろしいです。本誌とは別に810円(税別)が必要になる有償特典でして、B6サイズで48P。48Pでこのお値段が高いか安いか、人によるかなあ…。でもめちゃめちゃ素敵な小冊子でしたので、興味のある方にはぜひともこちらの小冊子付きの特装版をお勧めしたいです。

ということで、激しいネタバレになりすぎないように内容を少しレビューします。




収録内容は、

・「and All that Jazz」描き下ろし漫画
・「HOW TO 10DANCE」単行本未収録のショート漫画3篇
・原画展のために描き下ろしたカラーイラストを公開
・本編の扉ページや名シーンをカラー着色したイラスト集(18ページ)
・先生の仕事場、初公開
・書店宣伝物や海外版の書影など
・監修をしてくださっている現役プロダンサーさん厳選イラスト
・ 井上佐藤先生のコメント&サイン

などなど、多岐にわたります。

どれもこれもめっちゃ良かったですが、個人的にツボだったのは描き下ろし漫画の『and All that Jazz』。

酢単打亜土学園に在籍している杉木くんと鈴木くん。ひょんなことから二人の中身が入れ替わってしまって…。という内容。

腹筋崩壊&萌爆発しました。

『10DANCE』は濡れ場がない、というかキスどまりですが、そうそう、これよ、井上佐藤先生の濡れ場と言えば!というお色気シーンもあり。

あと、収録されているイラストの多くはカラーでして、すんごい贅沢感がありました。はじめて二人が躍った時の薔薇が煌めくシーンが笑えるやら美しいやら、なんとも不思議な感覚に包まれました。

はー、満足。
素晴らしい小冊子が堪能出来て、幸せです。

本誌も良いが、特装版の特典も良い!
という、満足度100%の小冊子でした。

今シリーズの中で一番好きかも。

作家買い。
『つがいは愛の巣へ帰る』→『つがいはキッチンで愛を育む』に続く、「つがい」シリーズの3作目。前作未読でも理解でしますが、前作の登場人物がうっすらとですが出てきますので既読だとより楽しめるかもです。

このモフモフシリーズ、個人的にとっても好きなのですが、今作品が一番好きかも。ちょっぴり切なくて、でも攻めさんの深い愛情に、読んでいて思わず落涙しそうでした。





今巻の主人公は獣人・人外・人間が共存するイルミナシティで調達屋を営むコウ。
幼い時に両親を亡くし、18歳まで孤児院で過ごし、それ以降調達屋を営み金銭を得ている。

人の役に立つことが好きなお人よしの彼の一日は、かつて彼が過ごした孤児院に朝食を運ぶことから始まる。その日の朝も、孤児院の経営者であるサティーヌと、現在そこで養護されているたった一人の狐の獣人の子であるミホシのために足を運んだ。

が、コウが訪れたとき、齢八十を過ぎたサティーヌは天に召されていて。コウは彼女の意向もあり、たった一人残されたミホシの家族を見つけるために奮闘することになるが―。

というお話。

コウが現在住んでいる場所は黒獅子の獣人であるウェイデの家の離れ。とある案件を介し知り合った二人ですが、ウェイデの好意から間借りさせてもらっている。

もうね、スパダリ、受けさん溺愛攻めさんがお好きな、そこのあなた。ウェイデというこの獣人さん、

ここまで突き抜けたスパダリが他にいますか?

という、究極のスパダリ攻めさんなのです。

コウは、仕事のために身体を張ることをいとわない。
それは彼が生き抜くために必要な糧を得る手段であり、さらに、彼は人のために尽くすのが好きという内面による。人の笑顔が見たい。そんなコウの優しさに、思わず胸を鷲掴みにされました。

なのでねえ、まあ沢山痛い目に遭うわけですよ。
ガッツもあるし、ピンチを切り抜けるための知恵とか碗力脚力もある。

が、それでも、彼はその仕事柄から命の危険まで晒すようなことも、あったりします。

そんなコウをまるっと見守るのがウェイデという男性です。
彼は金貸しという仕事柄、たいそうなお金持ちなわけですが、その潤沢な資金をフル活用してあの手この手でコウを守る。まるで真綿でくるむがごときの溺愛っぷりです。

だからこそ、孤児で、一人きりで生きてきたコウが、人に頼ることを良しとせずに自分の足で立とうと奮闘してきたコウが、少しずつウェイデに甘えるようになっていく姿に心から安心とエールを送りたい気持ちになりました。

ウェイデの溺愛っぷりが、もしかしたらプライバシーがないとか、そう感じる方もいらっしゃるかな?でも、本当にコウが嫌がることはしない。個人的にドツボに突き刺さる攻めさんでした。

で。

今シリーズは攻めさん×受けさんの恋の成就、という点だけに重きを置かれた作品ではなく、彼らの過去、そこから起因するトラウマ、心の闇、をいかに克服していくかという点もキモになる作品なのですが、今作品もそのベースを損なうことなく紡がれていくストーリーです。

ミホシの新しい家族を見つける、という共通事項を筆頭に、彼らが巻き込まれる案件を介し二人の心が近づいていく描写が実に緻密に、そして繊細に描かれています。

コウはウェイデに守られることを良しとせず、彼の深い愛情を受け取る事も良しとしませんが、それがなぜなのか、というところを追う形でストーリーが展開していきます。

コウの過酷な過去、そんなコウを愛し彼のために自分ができうることのすべてをかけるウェイデとの恋の行方に、ハラハラしつつめっちゃ萌えてしまった。

そして忘れちゃいけないのがミホシの存在。

もう、この子がめっちゃ可愛いのですよ。
悶絶します。
ギューッと抱きしめてあげたいです。

で、このミホシちゃん。
鳥舟作品の「お嫁入り」シリーズの、え?あの黒狐ちゃんの血族では…?と思いつつ読破しましたが、あとがきで鳥舟先生もそう書かれていて、あ、やっぱり?ってなりました。

なんで?どうした?

と、頭の中に?マークが飛び交いましたが、この辺りはおそらく続編で解明されていくのであろうと思われます。

エチシーンは少なめですが、コウを守るため、という大義名分のためウェイデがコウにマーキングするシーンがあります。このシーンもエロいんですけども、二人が想いを通じ合わせた後の濡れ場が凄く良かった。tnkが大きいウェイデを受け入れるために時間をかけてじっくり下ごしらえされるコウ、の描写がエロい…。深い深い愛情と信頼関係が出来上がった状態での優しい濡れ場で、めっちゃエロいのにめっちゃ優しいというパーフェクトな濡れ場で、大変美味しくいただきました。

キャラ良し、ストーリー良し、バックボーン良し、挿絵良しの、文句なしの神作品でした。

10DANCE 6 コミック

井上佐藤 

最高過ぎて。

『10DANCE』の6巻目。

6巻は通常版と特装版が同日発売されましたが、ぜひとも特装版を買ってほしいなあ…。特装版は本誌+48Pの小冊子付きですが、この小冊子が神なのです。

カラーイラストや井上佐藤先生の仕事場(本邦初公開らしいです)などが収録されていますが、見どころはBLらしい萌えがたっぷり詰まった漫画が収録されているから。本代とは別に810円の別途料金が発生しますが、カバーも可愛いし、内容も良いし、興味のある方は是非。

ということで本誌のレビューを。






ヤバい。
めっちゃ良かった。
泣きそうになった。

5巻の終わりで自分の恋心を封印した二人。
その裏で、杉木は鈴木のために手をまわしていて―。

もうね、杉木の鈴木に対する深い愛に涙がこぼれそうでした。

どんなに実力があっても世界選手権で1位を取れない自分。
自分に足りないものは何か。

そんな不条理な思いを、鈴木にしてほしくないんだな、って。
実力だけでは手に入れられないものがあることを痛感している。ずっと一線で闘い抜いてきた彼だからこそ知っている裏の世界を補うために、鈴木に贈りたかったものが、今巻で描かれています。

そしてそれと並行して、杉木が鈴木を世界チャンピオンにしたかった、その理由らしきものもうっすらと見えてきました。

あ、え、そういうこと…?
やだ、その理由にも泣きそうなんですけど…。

恋心を封印して、練習のときも今まで感じていた「何か」を感じなくなった二人。けれど、封印したつもりでも、繋がっている「何か」がお互いにある。大人ゆえ、男同士ゆえ、自分の感情を持て余す二人が、今後どういう展開を迎えるのか非常に気になります。

凄く素敵だなと思ったのは、彼らが深夜の講演で練習していた様を見ていたおっちゃんたちの描写の仕方。

おそらくおっちゃんたちにはダンスの知識なんてなくて、踊っている二人のダンサーが高名なダンサーだということも知らなくて、でも、彼らの踊っている姿が心に残った。それだけ、杉木&鈴木のダンスが素晴らしいものだったのだと。心から楽しんで、踊っていたのだろうと。

そういう二人の心情を描くツールとして描かれていたのだろうと、そう思うのです。

4人での練習も解消し、お互いの恋心を封印した彼らは道を分かつことになりましたが、今作品で新たに登場してきたキャラもいて、今後どうなるのかなと気になります。

読後、6巻の表紙を改めて眺めると、また杉木の心情が胸に迫ってきて泣きそう。

めっちゃ良かった。次巻が早く読みたいです。

攻めさんがツボ過ぎてしんどい。

あらすじを拝見して、買おうかなあ、どうしようかなあと思っていたのですが、本屋さんで実際に手に取って、即購入。

ムクさんの描かれた表紙が可愛いの。

いわゆるジャケ買いですが、個人的にドツボに入る素敵な作品でした。ネタバレ含んでします。ご注意ください。




主人公は亜耶。
貧しい村に暮らす少年。子どもの時の記憶がなく、さらに保護してくれる親もない彼だが、生きていくだけの「糧」は与えられて生きてきた。

それは、亜耶の額につけられた印のため。

森の王の花嫁になる印、なのだそうだ。
だから彼は、森の王の逆鱗に触れることがないよう、暴力を振るわれたり餓死することがないよう村人達から世話を受けている。が、それは表面上のことだけ。小屋に閉じ込められ、自由はなく、村人たちから嫌みを言われる人生だった。

だから彼は森の王に会ったら、彼をだまし、森を抜け、そして自分の生きたいように生きることだけを夢見て日々の生活を送ってきた。

が、実際に会った森の王・蒼星は亜耶に優しく、甘やかしてくれる。
蒼星の眷属である獣たちも、亜耶に優しい。

今まで感じたことのない幸せを感じ、想像と違う待遇に戸惑いを隠しきれない亜耶だったが―。

というお話。

スパダリ×薄幸受け、ってめっちゃツボCPで、亜耶を丸ごと大切にしてくれる蒼星、という展開に序盤からテンションが上がりっぱなし。

が。
今作品はそこにもう一つの因子が見え隠れします。

それは、亜耶と蒼星の過去。

亜耶の、失った過去の記憶。
蒼星と彼の眷属たちの言動から見える、亜耶と蒼星たちとの温かい過去。
そして蒼星が亜耶に印をつけた理由。

視点は亜耶で、それ故に蒼星の思惑が見えてこない。
蒼星が亜耶を大切にしているのは本当で、だからこそ、読者も亜耶と共に蒼星の本当の気持ちが知りたいと願う。

んー。
あまり詳細に書いてしまうと激しいネタバレになってしまうのでどこまで書いていいのか悩みますが、これだけは言いたい。

健気で一途な蒼星にめっちゃ萌えた…。

一途で発行で、そして健気な受けさんてBLではテッパンですが、攻めさんが一途で健気でしかも薄幸、てなかなか珍しい存在ではなかろうか。

森の王、という紛うことなきスパダリである蒼星ですが、もうスパダリの域を超えている。何から何までこれでもかと萌えツボを刺激してくる攻めさんでした。

蒼星、そして彼の眷属たち。
ストーリーに、そしてムクさんの描かれた挿絵。

萌えツボにド直球に突き刺さる、そんな作品でした。
文句なく、神評価です。

「愛」について深く考えさせられました

作家買い。
沙野作品の『兄弟の定理』で、当て馬として登場した式見が主人公のお話です。前作が未読でも理解できるかと思いますが、できれば読んでいた方が「式見槐」という人物像をより深く理解できるのでは?と思いますので興味のある方はぜひそちらから読まれることをお勧めします。

『兄弟の~』のあとがきで沙野先生が式見視点のスピンオフを書かれると述べられていたので発売を心待ちにしていましたが、表紙がヤバい。

さすが笠井画伯。美しい…。カッコいい…。
はー、としばしうっとり眺めてから読み始めました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は俳優の式見。
彼は見目麗しく、「カメレオン俳優」と言われるほど役に入り込む実力、人気共に兼ね備えた俳優だ。

だがしかし、彼は心に空虚を抱えている。
執着したり、何かを欲したりといった欲が薄く、さらに人の望むものが理解できるがゆえに「人から見た理想の自分」を演じることに長けている。かつて、欲しかった「もの」が他人のものになってしまって以来、その空虚さは埋まることがない。

そんな彼は、ある日一人の男性に出会う。
夜中に、チェロを弾く男に。

一心不乱にチェロを弾くその男に声をかけた式見だが、後日、思いもかけなかったなかった形でその男・弦宇に再会することになり―。

というお話。

『兄弟の定理』で何ともミステリアスな雰囲気を醸し出していた式見ですが、序盤から彼の内面が一気に読者に流れ込んでくることでその理由も見えてくる。その文章力に圧倒されました。

沙野先生は、人気作家さまですからこんな意見は非常に失礼かもしれませんが、とにかく文章がお上手。読んでいて、その風景とか情景がまざまざと浮かび上がる感じ。その文章力でもって紡がれていく「式見」という男性と「弦宇」という男性像の、見える部分とかくされた部分の対比が素晴らしく、グイグイとストーリーに引きずり込まれていきます。

弦宇は、とある理由から式見を殺したいと願っている。
殺したい、と言うと語弊があるかも。その存在を滅したい、と言った方が正解か。

式見という存在を滅するために、弦宇は彼と映画で共演することにするが。

なんて言うのかな。
見える部分と見えない部分が混在してるんですね。

弦宇は式見を殺したい。
けれど、なぜ殺したいのか、その本当の理由はなかなか見えてこない。

そして弦宇の過去の回想で登場する「カレ」という存在。

それらが何なのか、とにかく知りたくてページを捲る手が止められませんでした。

一般的に、「かれ」と言えば「彼」だと思うんですよ。
それが「カレ」である、その理由。
弦宇にとって、「かれ」は、人ではなかったんじゃないかなー、と思いました。
「カレ」は、弦宇にとって唯一無二の存在で、愛とか、欲情とか、そういった感情を抱いてはいけない存在ではなかったのでは?と。

それが、式見と出会い、彼と関わるうえで、「カレ」が自分の大切な「 」になったのでは、とそう思いました。ちなみに「 」の中に入る言葉はめっちゃネタバレになってしまうのであえて書きません。ぜひとも読んで、確認していただきたいと思います。

沙野作品にありがちではありますが、とにかく甘さは控えめ。
式見と弦宇の関係はまさに闘いです。

殺すか、殺されるか。
抱くのか、抱かれるのか。

でも、ものに執着を見せることのなかった彼らが、そういった感情を抱くその「理由」は何かと問われれば、それはやっぱり愛だったのだと、そう思いました。

あれだけ飄々としていた式見が、自分の身体を張ってボロボロになってでも、それでも弦宇を救いたいと願う。そんな彼の深い想いにも激しく萌えました。

で、この二人を繋ぐツールが「映画の共演」というストーリー展開が圧巻。

無理なく、彼らの素を引き出させるそのバックボーンの繋ぎ方が、さすが沙野さんといったところか。

個人的にはめっちゃドツボに突き刺さる作品で、沙野作品の中でもかなり上位に入る作品ではありますが、んー、結構好き嫌いが分かれそうな作品だなとも思いました。

とにかく痛い展開です。
二人の間に甘さはほぼなし。
しかも「殺す」とか「監禁」とか、物騒なセリフや描写が結構な頻度で登場します。
さらに、攻めさんのお尻もしっかり開発されてしまったりします(リバ、というのとはちょっと違うのですが)。

けれど、この二人の間に流れているのは紛れもなく愛情です。人を愛するって、甘くて優しいものだけではない。そんなビターなお話を好まれる方にはめっちゃお勧めな作品かと思います。

大切なものは、宝箱に入っているのか。
宝箱に入っているものが、宝物なのか。

カタチがあってもなくても、大切なものは失われることはない。

なくしたからこそ、あるいは自分の手に入らなかったとしても。
大切なものを守りたい。そのためなら何を犠牲にしても厭わない。

愛情の形とか、守りたいものの形、というものは千差万別。

しみじみ、深い作品だなあと思いました。
「愛」というものについて深く考えさせられる、そんな作品でした。

あ、あと、登場人物たちが等しく魅力的なのも良い。
彼らは彼らなりの「愛情」で、大切なものを守ろうとする。

そこにあるものも、紛れもなく、様々なカタチの深い愛情でした。

總一郎×要斗の2人が幸せそうなのも良かった。

キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良しの、文句なしの神作品でした。

堂々、完結。

『さんかく窓の外側は夜』の10巻にして完結編。
完結編、ということで、いよいよ「先生」との決着に焦点が当たった巻でした。

ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意ください。

三角くんたちが追ってきた「先生」。
先生、その人物は、三角くんの―。

以下壮大なネタバレがありますのでちょっと下げます。ネタバレ厳禁な方はここで回れ右でお願いします。


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「先生」。
彼が三角くんのお父さんだということを、三角くんが知ることになりました。

「先生」が、三角くん、そして三角くんの母親から離れた理由。
彼が弱かったから。と言ってしまえば簡単なのですが、人間てそんなに強くないよね。彼は彼なりの葛藤を感じ、苦悩し、けれど離れることにした。彼のその決意が客観的には間違いだったとしても、妻に対する深い愛情があったから、ですね。

不思議な力を持つ人ならではの孤独と苦悩が描かれていて、なんとも切なかった。

そして、すべてを知った三角くん。
彼は強い。
愛を知っている人間は、自分を信じてくれる存在があることを知っている人間は、強い。

そして、三角くんはその強さで、父親と、そしてもう一人の人物を救いに向かいます。冷川さんです。

冷川さんを冷川さんとして成り立たせていたもの。
切なかった。
彼を守っていたものが、「そういう」感情だったことが。
「自分」を守るために、子どもだった冷川さんが身に纏った鎧が。

けれど彼は彼の強さでもって少しずつ克服していたんだなあ…。そして三角くんと出会ったことで、彼は救済されていく。

最後に三角くんが冷川さんに告げるセリフ。
鳥肌が立ちました。
二人は、二人でいてこそ、一つなのかも。ジャンルとしては非BL作品として区分されてはいますが、この関係に名をつけるのであれば「愛」なんじゃないかな、と思いました。

けれど救われたのは冷川さん、先生、英莉可ちゃん、だけではなく、三角くんもだったのだと。彼もまた、冷川さんと出会い、英莉可ちゃん、迎さんたちと出会い、彼は自身の持つ能力の活かし方を知った。知ったことで、恐怖だけではなく様々なことも、知っていく。

最後の最後まで、さまざまな、そして深い愛情を描いた作品でした。
三角くんのお母さんに、心からの敬意を払いたいと思います。

1巻が始まった時、におい系だったことで興味を引かれたことは否めない。
けれど、そこから始まった深いストーリーに最後まで心鷲掴みにされっぱなしの神作品でした。

そして特筆すべきは表紙ではないかと思います。
1巻から並べて拝見すると、その奥深さに驚かされます。

今シリーズは完結を迎えましたが、除霊もの、バディものとして続編が描ける作品ではなかろうかと思っていますので、いつかまた、彼らに逢えることを願っています。