刑事さんが攻めですが推理やサスペンスな展開はほぼなくてオカルトチックな不思議現象が中心です。
写真から亡くなった被害者の無念や最後の状況が聞こえることから、刑事に捜査協力をすることになった薬剤師の青年が主役です。
舞台は信州の田舎の村
高齢者の多くなった村で自然豊かで静かな土地で薬草を育て薬剤を処方する孤独な青年 貴文
たまに捜査協力のために東京からやってくる刑事 大瀧とのひと時のふれあいだけが慰めで
慕ってくる年下の幼馴染や信頼できる先輩との交流のほかは静かな時の流れの中での生活です
望んでもいないのに与えられた能力に戸惑いながらも人助けのために使いながら
それを与えただろう神か妖か得体の知れない存在を恨みつつもどうすることもできない
孤独の中で大瀧に対する感情が自覚できないまま大き育ちいつしか失いたくないと思うようになっていきます。
体の飢えを満たす存在から心を潤す大切な相手となったとき、相手もそう思ってくれるとは思わずいつか切れて行く関係に悲しくは思っても求めることも失わずに済む努力もせずなすがままに流れに身を任せこのままこの地で一人死んでいくと思っているところが哀しいです。
こんな能力はいらないと思ったときに最後に愛する人を助けることができて、力は消えそれでもお前が必要だと言ってくれる人ができてよかった。
遠恋が寂しい時があっても待つことが幸せだと思えるようになって短い逢瀬を楽しむことができる二人の末長い幸せを祈りたくなりました。
突然異世界に来てしまった大学生の竜一 19歳。
巨大ドラゴンに喰われそうになり大慌てし、それが人型に変化したら「定められたつがいだ」「たくさん子を作ろう」と熱烈な求愛に困惑するところが出会いの場面です。
龍王様は優しく思いやりのあるお方なのですが、人とは異なる常識の王族で話の通じないところでイラっとはきてもなんだか憎めない。
竜一はいきなり違う世界に連れてこられて番え、子を産めと言われても覚悟ができないと猶予をもらうことに。
竜一の言動に一喜一憂する王様が可哀想にもなりそろそろ逆プロポーズしてあげなよと、背中を押したくなりました。
王とは言っても洞窟や山の小屋暮らしの庶民派。
全く王族らしいきらびやかさもなく、移動は荷車です。
ちょっと大きい村長さんって感じでしょうか。
個人的な好みからいえば、異世界の王といえばゴージャスな婚礼や王宮など想像してしまったので好みとちょっと違ったかなという気はしました。
理由もわからず転移してしまうのでも神様のミスでもない、自ら望んで行った異世界でほのぼのとした日々を送りゆっくり恋が生まれて行く物語です。
福引で当たった賞品として転移してしまうなんてはじめて読みました。
旅行気分で異世界を楽しめるし、またいつでも帰れると思えばお気楽なもんだなあとは思ったのですが…
主人公が動物に囲まれ野菜作りを楽しんでいる描写に、何処かの森や島で暮らしつつ生活を整えたり趣味を充実させたりするゲームのようで、和むといえば和むのですがなかなかボーイズがラブする展開にならずもうそろそろ進めませんかと問いかけたくもなりました。
次巻はちょっと進んで変化もありそうなので楽しみです。
複雑な家庭環境の中ゲイを自覚した高校生の入江くんが近所のお兄さんに恋をして想いを叶えるまでの物語。
お相手は大学生の深水。
入江くんが深水に対して始めは見かけるだけで幸せだとふわふわした気持ちになったり、近所のよしみで家庭教師をしてもらってウキウキドキドキなひと時を過ごす少年の気持ちに胸キュンです。
年下攻めは余り好みではないのですが、成就する可能性はなくても告白してけじめをつけたいという健気な思いに応援気持ちで読み進めました。
告白に対して深水は、弟のように可愛がっている生徒として好意はあるけれど、ゲイじゃないからという理由でフルところから恋愛感情が生まれ両思いになって行く過程がよく描かれていると思いました。
自分に恋愛感情を持つ相手を前にして服を脱いだり、眠っている時なら何してもいいなんて悪魔か?試してるのか?と深水がちょっと憎らしく思ってしまうくらいには入江くんを気に入ってしまったので深水の感情が傾いてくると嬉しくなりました。
入江くんには、こんな年上の面倒な人によくぞ一途に想いを持ち続け手に入れたものだと感心しつつ祝福を送りたい気分です。