SS付き電子限定版
前前世からのつながりを現世で辿るお話ですね。
もし梗介が村に引っ越して来なかったらと思うと、やはりなるようになるんだな、本当に良かったとしみじみします。
梗介の元へ子供の姿で絶対に山に入ってはならん!と何度も伝えに来る十六夜。
ずっと山に封印されていて。
今の生を生きてほしいとの十六夜の願いに泣けてきますね。
前前世では若殿と従者で来世では共にと誓って死に別れ、前世では土地神と村の子供として出会いお互いを守るために、十六夜は山に封印され捨は殺されて。
梗介が誰と付き合っても違う、本当に好きな人とまだ出会ってないんだというところや、十六夜や村や山を懐かしくて悲しく思ったり、また不思議な夢を見るようになったり。
梗介が十六夜と空、茜、若葉と再会し楽しく食事を囲み。少なくともちびっ子たちは山では幸せな記憶しかなくて。
封印の解き方を調べ命懸けで梗介は十六夜を解放しようとして…。
いざ無事に転生してみたらみんな同じ村の子供でびっくり!
でもせっかく再会できたのに佳月と梗介はお互い遠慮や引け目やらでギクシャクして。
あの頃のメンバーで森に行きあの頃の思い出を共有して、やっとみんな区切りがついて。
たまに悲しそうな顔をしてた十六夜。梗介はもう彼に求められなくても愛されてなくても、このまま友達でもいいからずっとそばにいるつもりで…。切ない!
からの、やっと二人で本音を打ち明け合い。
やっと同じ時代に生まれて、何も障害もなく、自由に愛し合えて。良かったねえ!
半分以上梗介が前前世や前世を辿ったり封印を解くために奔走したりで、蜜月はちょっぴりですが一気読みでした。二人とも、いや五人とも本当に良かったね!
雑誌掲載作の「月の光の降る森に」と書き下ろしの「輪廻のあとの恋物語」の二つで構成されています。
「月の光の降る森に」は、子ども達が可愛いしなんなら十六夜のデレも可愛いんです。そしてやっと好きになれる人と出会った梗介が、一生懸命に料理を作って運ぶ姿にホッコリします。
なので途中から十六夜の秘密を知って助けようとする所からシリアスになり、やっと封印が解けるかもと駆け付けた時に拙源和尚が現れてからの展開にゾッとするんです。
そしてそこからの展開を読んだ時に既視感を感じたのです。
そう…既に読んでいた作品でした…。小中大豆先生の作品が本棚にあって読んでいない訳ないんです。だからちるちるさんで評価ボタン押すかレビューしてたのに!
そんなに昔の作品でもないのに抜けてました。
こちらハッピーエンドで綺麗にまとまっていますが、ハッピーエンドのその先のお話「輪廻のあとの恋物語」があるのが秀逸なんです。
封印が解けて輪廻の輪に戻って生まれ変わった十六夜と子ども達が抱える心の問題とか、恋人同士になってからも何故にセックスまで二人がたどりつけないかが丁寧に書いてありました。
お互いに思い合っていても相手がいる事で不安になる様子に、ああ十六夜は人間になったんだなぁとしみじみするお話になっていました。
小中大豆先生の作品にはハズレがないです。これってとても凄い事です。
タイトル通り輪廻転生の果ての恋物語です。
父方の故郷に移住した作家の梗介が出会った妖たちとのふれあいや
田舎生活がほのぼのと描かれています。
前世で出会った恋人同士におきた悲劇による別れと再会し恋の成就のためにじれじれする展開は好きです。
そのうえ力をなくして消えてしまいそうな神様と青年という関係でなかなか近づきません。
神様の十六夜は、梗介に前世を思い出すことなく人として幸せに生きてほしいと見守る姿がとても切なかったです。
ケモミミの神様とチビッ子たちはとーっても可愛いくて、転生した今生での幸せを祈りたくなります。
表題作は私が思ったよりもさらっと読み終えてしまいまして。
お話が短い(全体の半分くらい)所為なのかも知れません。
また、小中さんの本ということで期待が大きかったのもあるかも。
面白いと思ったのは同時収録の『輪廻の後の物語』なんです。
『輪廻の恋』というタイトルですが『2人が生まれ変わって何度も巡り合う』のではないのですよ。
梗介の魂は2度生まれ変わっていますが、十六夜は一度だけ。
で、十六夜の生まれ変わりは梗介が27歳の時に起きているのですけれども、0歳児に生まれ変わるのではなく、過去が変わっているのです。
十六夜は十六夜としての記憶と村の住職の息子、佳月としての記憶も併せ持っている、つまり同じ時間に2つの人生を生きていた形になっているんです。
これが大層、目新しかった。
この同時収録作品は、小中さんお得意の『疑似家族もの』。
十六夜だけではなく、ふたつの人生の記憶を持つ空・茜・若葉という3人の子どもたちの戸惑いと、もう既に現実のものではなくなってしまった『十六夜と暮らした過去の記憶』への愛着がとても切なかった。
恋愛の萌えよりも、そちらに涙腺を刺激されました。
大好きな作家さんと大好きな設定…ということで、あらすじも読まずに期待を大にして読みました。
そうしたら…号泣…からの、またまた号泣でした。
読後には放心状態になっちゃって、久しぶりに神作品に出合えたことに嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
こう書いちゃうと、大げさに思われるかもしれません。
でも、相手を想い合うお互いの気持ちが、本当に尊いんです。自己犠牲なんて言葉じゃ表せないくらい、ただ相手の幸せを祈ってるという…。それを、何度も転生する中で繰り返してて。ページが進む毎に、明らかになる過去と現世でもどうにもならない別れに、自分がそこにいるかのような感覚になって涙が止まりませんでした。
…が!そこで終わらないのが、この作品の大好きなところです。苦難を乗り越えた2人の、その後の幸せな様子も見れるのです。おまけに、幸せになりました…で終わらないのも面白かったです。
もちろん、ケモミミやちびっ子は可愛くて癒されるし、攻めや受けのキャラは好青年で大好きだし、2人のやり取りは萌えるし…と、どれもこれもツボでした。