主人公の千尋Ωは、フェロモンを嗅げばαの「運命の番」を探すことができます。その他、本来では判読できない赤子でもαかどうか分かることもあり、上流階級のα達に崇拝されています。しかし、千尋のせいで別れることになったΩに逆恨みされたり、嫉妬されたりで危険から避けるためにボディーガード・レオαがつくことになり…という話です。
オメガバースで設定はすごく面白いと思います。
なにより興味を惹いたのは、「運命の番」は相性が良い同士という観点からして1人でなく複数いて、その中から、千尋はより良い相手を選んでいるという設定でした。
運命の番でも別れてしまうのはそういうことかとふむふむでした。
なので、作品が拙いとかでなく、ほんと私には合わなかった、正しく「しゅみじゃない」ってことで。もともと聖女信仰や、試す展開も好きじゃない。千尋は女性でもいいんじゃない?と感じられましたし、全体的に暗い印象で、誰も彼もが自分や相手をせせら笑っている雰囲気も苦手でした。
丁寧に書かれていますし、シリアスやメリバ好きで気に入る方には最高の作品ではないでしょうか。ブログでは続編も開始されているようですし、楽しみなのではと思います。
大帝国時代のオメガバース(日華アルファ、通途オメガ、孕器ベータ)が背景の、皇帝と男爵という身分差のある相手の恋愛ストーリーです。
運命の番に出会ったら背中の痣の蕾が花開く―というロマンチックな展開です。オメガの雪哉は素直で好感が持てますし、周囲に反対されても雪哉を愛し守る皇帝小遊仁は格好良いです。
とはいえ、オメガバ作品は飽和状態なので、もう何年もオメガバを読んでからでは、何かはっと惹かれるものが作品に欲しいです。
家族仲良くは微笑ましいですし、兄への横恋慕があったりという出来事は起こりますが、なんか熱が薄いというか…。この作品のここを読んで欲しい!と他の人へ布教するときのアピールポイントが浮かばないです。
引きこもりというのも、単に家で過ごしていたというだけで、引きこもっている間に何かを極めていたというものでもなく。雪哉も小遊仁も通り一遍なキャラという感じでした。ただ、北沢きょう先生のイラストは相変わらず美麗でしたー!
オメガバ初心者が王道1,2冊くらい読んだ後に、和モノとして読むには楽しめるかもと思いました。
タイトルどおり、おとぎ話のようなラブストーリーです。
主人公・雪奈(受け)の視点で進んで行きます。そのため、自分のために豪快にお金を消費させられて嬉しくも申し訳ない気持ち、レイモン(攻め)のハグや挨拶の口への軽いキスで戸惑ってしまう、でも無くなると寂しい。優しく大切に甘やかしてくれるレイモンに惹かれていく感情の起伏がよく伝わってきます。
一方、レイモンの気持ちはいまいち…
。スケッチを拾ってくれた雪奈に恩義は感じるだろうし、初恋の人に似ていて美しい。自社ブランドのイメージモデル(アンジェ)にぴったりだと気付き、髪や服やマナー等とマナー等を学ばせつつ、雪菜に優しく大切に接します。
雪奈は。幸せだけど、不安。そんな気持ちが表面化されたように、二人が出席パーティにレイモンの従兄弟・ラファエルが登場し、アンジェをすることになると話します…。レイモンもそれを否定せず、ショックを受ける雪奈。更に母の素性も言及され、雪奈は家を出て行ってしまいます。
で、しおしおと泣いていると、レイモンが背後から抱きしめて愛をささやきます!
ドラマチックではあるのですが…レイモンは雪奈を好きになったのはいつだったんだか…ずっと優しかったんで一目惚れだったのか。結局アンジェは二人ですることになったけれど、その辺りモヤモヤはなかったのかとかぼんやり思いました。叔母さんと和解できたのは良かったですー。
5話+後日談のストーリー仕立てです。
一話で主人公が記憶喪失になり、2話・3話・4話で恋人候補3人(後輩、主治医、管理人)のターンがあり、5話で恋人判明となっています。後日談で主人公の正体?判明もあって起承承承転結という流れでした。
扉絵が主人公→後輩→主治医→管理人→主人公となってるのも面白いですし、2話→3話→4話と進むにつれて頬の絆創膏の大きさが小さくなっていて回想(絆創膏なし)と違いが分かりやすいのもすごく良い。こういう細かい部分が描かれてるのとても好きです。
恋人候補3人全員と性交渉があったわけでなく、かといって恋人だけというわけでもないというバランスも好みでした。
最後の最後で、主人公がどうにも怪しげで危うげだったり、課長や伯父さんに親切にされた理由が判明してすごく納得でした。元々コマの間の取り方や雰囲気が好きな作者様でしたがまたひとつ好きな作品ができました。
小説「希望のフィオレ」の世界に転生した主人公ジョシュアが、推しの大公ノクティスと幸せになろうと頑張る話です。
小説の強制力とかあるのかなと思ったのですが、それは余り感じませんでした。
健気なジョシュアも、キス未遂を腕立て伏せで誤魔化そうとするノクティスも面白かったです。
軽そうなジョシュアですが、実は余命が決まっているとか切ない裏事情が隠されています。その辺りで二面性があるというか。ジョシュア目線でストーリーが進むのですが、張り切る→落ち込む→元気出す、陽気→悲しむと感情の起伏が目まぐるしくて、1冊通してはちょっと読むのに疲れるかなぁという印象もあります。でも楽しかったです。
ネット掲載を読んでいた者からすると(現在は閉じられてますが)、続きが読めるのかとワクワク期待していたところ、ここまでなのかい!特典カートでなく、本書にも収録した後日談SSが欲しかったよ!という気持ちです。可愛らしいイラストがついたのは嬉しかったですけど。電子書籍には限定特典とかあるのかなぁ。
両思いになった、というところでおしまいで、まだあれこれ解決できてないと思うので、続きが出るなら読みたいでーす。
購入した当時の帯に、「水鏡の向こうのもうひとつの物語」として、六青みつみ「偽りの王子と黒鋼の騎士」イラスト:Cielが紹介されていて新鮮でした。
そういえば、護衛騎士と王子という組み合わせも、序盤の水鏡が願いのために運命を変えるという展開も同じでした。でも、その後の展開は、当たり前ですがだいぶ違います。
護衛騎士ルスキーフが王子リエトに命かけても良いと尽くしていたことにより、両片想いなんだなとうっすらと感じさせるところからスタート。ルスキーフがリエトを引き留めるシーン、とっても良かった。
運命が変わって奴隷となったリエトですが、ルスキーフに王子と気づいて愛されて…願い事が叶ったと幸せな気持ちになったのは束の間。実は…という展開がミステリっぽくて良かったです。こういう展開大好きだぁ!
ただ主人公がモブに犯されたという話があるので苦手な方はご注意ください。
北沢きょうのイラストも美麗でした。首に剣をつきつけるルスキーフと、最後の笑むルスキーフとの違いが素敵。カバーイラスト案集が3つ収録されてるのも嬉しいです。
なお「偽りの王子と黒鋼の騎士」は2020年にイラスト:稲荷家房之介で発売を発見しました。
(読みやすさを考慮して全文敬称略。失礼しました)
すごく良くできたストーリーでした!
主人公が酷い対応をされるのも単純でない理由がありましたし、兄弟2組とも葛藤や悩みがあり、それを克服しようと行動するのも良かったです。
最後まで読むと、表紙や人物紹介のイラストにも納得でした。
どちらが王になるかも、どちらが誰と結婚するかも、まだ決まってないという終わり方も、単純にカップルになるより印象的で意外性があり良かったです。
ただ、個人的に相手の王子二人とも萌えを感じなかったのがちょっと残念。
二人とも格好良い場面も優しい場面もあるのですが、主人公のシュリの頑張りに対するといまひとつ足りないですし、弟リュカも終盤光ってたし、親友コンラートも健気に頑張ってたし。
それもこのエンディングに向けての、誰か一人を贔屓することなくみんな頑張ったよ!という狙いなら凄い作品だなと思いました。BLで読むと萌えを求めてしまいますが、他のジャンルでも読んでみたいと思った作者でした。