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エロラブからハードへの神展開でした!

井上さんはペンネームを変えてからラブコメ路線に行くのかなとちょっと残念に思っていたんですが違いました。
「デンパ男とオトメ野郎」はラブコメ度が高かったけれどこれはいつもの井上さんでした。

「ウワサのカレシ」
聡の昔の男マダムタカコが絡んでくるお話でどちらかというとラブコメ。
前回和巳が渡した腕時計が300万円以上するものだと発覚して慌てる聡と、その時計は婚約指輪の代わりだと言う和巳。
相変わらずのかみ合わない会話にぷっとなっていたら、少しずつ不穏な雰囲気に・・・

「溺愛オトコと純愛ヤロウ」
井上ワールドが炸裂していました。
和巳と些細なことで言い争ってしまった聡に、公安の魔の手が忍び寄ります。
自業自得とはいえ公安の罠にはまり川上という男と無理やりセックスさせられてしまう聡。
寸前で攻めの助けが入るというBLのお約束は一切ありません。
ご都合主義は完全にすっ飛ばして聡がモブに凌辱されるという辛い展開に・・・
身も心もボロボロにされてマダムタカコのところにやってきた聡を待っていたのは、デンパです。和巳です。
やっと登場です。遅いよ和巳!
不本意だったとはいえ約束を守れなかったと別れを決意した聡をこれでもかと慰める和巳。やっぱりいい男です。
そしてお互いを許し合うような切なくも濃厚なエッチに突入。
小山田さんの官能的な口絵通りに聡は絶倫和巳にトロトロにされていきます。うっとり~。
そして記念の百回目も迎えます。何がって和巳が数えているあれです。

最後はいちゃラブでほっこり終わりますが、警察ものストーリーがバックボーンとしてありました。
仕事と恋人との狭間で葛藤する和巳の苦悩や、たとえ知ってしまっても何もできない今の自分の立場への怒りが伝わってくるし、恋人と家族を盾に取られて身動きが取れなくなってしまう聡の辛さも切なくて苦しい・・・
警察という組織の暗い部分やそこに属している人たちのがんじがらめな立場みたいなのも見えて、絶対にラブコメ路線だと諦めていたのにいい意味で裏切られました。

もし和巳が感情のままに職務をほっぽり出して聡を助けてしまったら私は萎えたかもしれません。
逆に何が何でも助けなかったから萎えたという人もいると思います。
モブに無理やりどうこうもダメな人は本当にダメだと思うので。
ここは賛否両論で好き嫌いが分かれるなと思いました。
受けが酷い目に遭いがちな井上さんの話が好きな人にはごちそうなんですが、そうじゃない人にはただの毒かもしれません。
「デンパ男とオトメ野郎」のような甘いエロラブだけではないので、同じものを期待するとがっかりするかも。
私には神展開なんですが。
続編が出たら迷わず買うし、ぜひ出してほしいとも思います。
もちろん小山田さんのイラストで!( *´艸`)

絵師買いなら覚悟を決めて読んだほうがいい

小山田さんの美麗なイラストに惹かれて購入。

こ・・・これは・・・
ものすごく読む人を選ぶ内容だと思います。

自傷他傷を繰り返す病み系の受け鉄二と、鉄二の病んだ愛を丸飲みするように受け入れてしまう攻め一鬼。

奪われる不幸と、与えられない不幸は、よりどちらが不幸か――。

冒頭にそう問いかけられますが、鉄二に与えられたのは母の負の愛情なんですね。
何も与えてもらわなかったわけじゃない。
ただ、与えらえたのは負にしか向いていない愛情。
そして父が与えたものは金だけ。わずかな金ではなくけっこうな金額なんです。
だから鉄二は全く何も与えられなかったわけではない。
学校にも行き、生きていく上で必要なものは持っている。
究極のかまってちゃんと言えばそれまでなんですが、病むには充分な生い立ちではあるのです。
一鬼は弱小ヤクザの若頭。しのぎがうまくいってない金回りの悪いヤクザです。
その一鬼は、鉄二と出会い歪んだ愛しか受け入れられない鉄二に愛を与えるんですね。
それも歪んだ愛を望む鉄二に、そのまま歪んだ愛を・・・
たぶん通常のBL展開だとここで一鬼は鉄二を立ち直らせようとするし、鉄二も立ち直ろうと努力するかもしれない。
でも、鉄二はそうじゃない。とことん病んでるんです。
その闇の部分に一鬼がどんどん引きずられていくような、読んでいてそんな感じがして辛かったです。

そして最後には・・・
ああ痛い・・・ものすごく痛い。
股間が痛い・・・ないはずなのに痛くなる(´;ω;`)

これを究極の愛と言っていいのかどうかはわかりません。
甘かったりエロかったりというBLとしての萌え要素はほぼ皆無です。
BLのラブの部分が完全に歪みきっている内容です。
だから小山田さんの表紙がきれいだと絵師買いする人は、覚悟を決めて読んだ方がいいと思います。
冒頭だけでも受けの鉄二が女性とやってるシーンがあったりで、人によっては萎え要素だらけです。
絵師買いならイラストだけ見て本を閉じるという選択もあるかと思います。
それくらいきつい内容なのです・・・

痛い系のBLは平気な方なんですが、痛いの方向性が私とは違っていたので中立という評価にしました。
でも、好きな人にはたまらないくらい萌える内容かもしれません。

追記:
改めて読み返してみてこれは中立じゃないなと思ったので評価変更です。
後からじんわり萌えてきました。これは後引き小説ですね。
さらっと読んだだけじゃだめなやつでした。
じっくり読むと痛さの中に四ノ宮さんの書きたいものがものすごく詰まっています。
もともとこの路線の作家さんなので、甘いのがお好きな方はやっぱり覚悟を決めて読むのがよろしいかと・・・

少し薄味の短編集でした

雑誌に掲載されていた短編集ということで購入。
雑誌はあまり買わないんで・・・
短編だからかもしれないですが、いつもの英田先生のパワーをあまり感じなかったような気が・・・
薄味というか長編で感じるあの濃厚さがないように思いました。

入っていたのは以下三作。

「兄貴とヤス」
これが一番気になっていて、わくわくしながら読んだんですが、あれ?ちょっと違う?
羽鳥がもっとエロくて病んだ男なのかなと思っていました。
淫乱ヤクザ設定の割にあまりギャップ萌えはしなかったです。
英田先生だからダークなヤクザものを期待していたけれど、これはどちらかというと甘エロでした。
羽鳥とヤスのエロは濃いです。淫乱の名に恥じぬエロさはあると思います。
でも、書き下ろしがより甘エロに拍車をかけていて、ヤクザものとしてはちょっと物足りない感じが。
せっかくのヤクザ設定だから、ヤクザとして立っているかっこいい羽鳥の姿が見たかったです。
羽鳥のヤクザとしての負の部分や闇の部分をもっともっと見たかったし、それが見えると羽鳥の淫乱さもより際立ったんじゃないかなぁと思いました。
でも短編だと無理なのかも・・・
やっぱり英田先生のお話は長編でじっくり読みたいと思いました。
それにしても、ヤスがかわいい(*´▽`*)
こういう兄貴一筋のワンコな攻め大好きです。

「一度だけでも」
古い作品みたいです。
妻がいる上司と寝ちゃうという話。
これはあまり萌えなかったです;残念。

「潮騒の褥」
すみません。これは完全に私はダメでした。

きっとスーパー攻めになる!

初めて手にした犬飼先生作品。
小山田先生のイラストに惹かれてというのがあったんですが、想像していたのとちょっと違う……
猟奇的なのもストーカー的なのも変質的なのもばっちこいなんでいけると思ったのに、途中からこれじゃない感が半端なかったのです。
攻めの琉貴がどうも苦手で好きになれず……
子供ならではの行動に頷けるものはあるんですが、その真っ直ぐさを純粋と思うことができないのは大人としての自分の目が澄んでいないからなのかなあ。
いろいろあって留学させられた琉貴と遥は三年後に再開。
いきなりやるか?と思いつつもそこはエロさを堪能させていただきました~。
琉貴はきっとスーパー攻め様になりますね!

全体的に残念感があるのは、たぶんやっぱりショタが苦手だからなのかなと思いました。
これは犬飼先生は全く悪くないです。100%自分が悪いです。

初めて読んだ犬飼先生の作品で「?」はあったものの、書かれる文章は大好きでした!
なので、他の作品を読んでみようと思います。
現代ものは自分はだめでしたけれど、ファンタジー色たっぷりのものだったらいけるかも。

エロい薄い本と苦いペーパー

Jgardenという同人誌のイベントで買ってきました。
「溺愛オトコと純愛ヤロウ」の番外編です。
あとがきによると「溺愛オトコ」から1か月後くらいの話だそうです。
ネタバレはなく幸せいっぱいの柏木と西村がいました。
酔ったノリで買ったディルドでいたしてしまった柏木と、その柏木の秘密を暴いてエロく濃厚に責めまくる西村。
ごちそうさまでした!
「溺愛オトコ」はまだ発売されていませんが、この二人に何があったの?と本編が気になって仕方ないです。

この薄い本を買ったときにペーパーをいただいたのですが、そこにもSSがありまして、それには不穏な空気が漂いまくっていました。
これぞ井上先生だ!という苦みたっぷりのSSです。
ペーパーに続きは同人誌でみたいなことが書かれてあったんですが、このお話は商業で書いてくれると嬉しいです。
ぜひ小山田先生のイラストで楽しみたいです。

何から何まで??な話・・・

井上先生の小説は大好きで、今は自分的一押しの作家さんなんですが・・・
何だかこれはちょっと違う。
井上先生らしさが一切ない感じがしました。
受けの藤崎にも攻めの玖珂にも全く感情移入ができない。
これ本当に井上先生が書いたの?って思うくらい。
いつものぞくぞくするような痛さもなければ、男同士という感じのあのエロさもない。
強姦した側とされた側が反省と許しの果てに・・・というストーリーは別に悪くないのに、キャラがぜんぜん生きていないんです。
レイプから始まる話なのにドロドロした部分もなく、無理やり綺麗にまとめました感がいっぱいで、ちっとも楽しめない。
何で?ルビー文庫仕様だから?
好き作家さんなだけに残念すぎる作品です。

それとこれは本当に自分の個人的な好き嫌いなんで好きな方には申し訳ないんですが・・・
北沢先生のイラストがストーリーにぜんぜん合ってない;
どうして北沢先生チョイス?

何から何まで??ばかりの一冊でした。

いおかさんらしい男×男

ひさしぶりにいおかさんの本を読みました。
警察系、バディものがお得意なんで楽しみに……

いおかさんらしく受け攻めともに男っぽいです。
会話が男ですね。
受けが女っぽくないのがいおかさんのお話のいいところ。
今回もいい感じに「男」でした。

見た目ハデ男と懐でっかいな男。
男×男ですが、エロエロしさはほぼないです。
恋愛あっさり。事件も案外あっさり。
淡々と話が進むのはいつものいおかさんだなーと思いました。
さくっと読みやすかったです。

ちょっと残念だったのがイラスト……
カワイチハルさんは嫌いではないのですが、外見が派手な御厨がなんというか……
昭和テイストというか。今風じゃないというか。
お話に合ってるといえば合ってるんですが、ちょっと微妙な感じでした。

高円寺は高円寺

久しぶりの『淫らシリーズ』です。
待っていました!
このシリーズも長いですよね。
ずっと追いかけていますがいつか終わりがくるんだろうか、なんて。

今回の『淫ら』は火事の影響で高円寺の記憶が二十年前に遡ってしまうと言うお話。
16歳なんですよね。16歳。高校生まで遡ってしまうんですよ。
言動が新鮮でかわいい!
若返るとこんな雰囲気になるんですね、高円寺。
ふだんはオヤジだけど。
でも16歳でも高円寺は高円寺だし、三バカはあいかわらずの仲良しでした。

気持ちだけ若返ってしまった高円寺への遠宮の態度もなかなか。
それにしても、いきなり「おまえ誰?」なんて言われたら胸ぐら掴みたくもなりますよね。
相手の頭の中が16歳だろうが、ゲイの自覚がなかろうが思わず上に乗りたくなりますよね。

本編にエロラブは薄いです。
後ろに短編がふたつ入っていますが、エロラブはそちらでという感じなのかな。
ストーリーもラブもいつもの愁堂れなさんのクオリティと雰囲気なので安心して読めました。

BLのLOVEが無いBL

痛い。痛い。とにかく痛い。
BLでここまで痛くしなくてもと思うくらい痛くて怖い。
怖いんですよストーカーが。
たぶん作者さんが一番力を入れて書いているんじゃないかと思うくらいストーカーの描写が怖い。
甘さがほとんど無いBLです。BLのLOVEの部分がどこかに飛んでいってます。
でも好きなんですね。
槙島と奥村の繋がりはいつ切れてもおかしくない状態で、お互いそれをどこかでわかっていながら微妙な関係を続けているところが、読んでいていヒリヒリする。
ものすごくビターなBLです。
甘いBL好きにはオススメできませんが、苦み走ったものがお好きな方にはいいんじゃないでしょうか。

今までのイメージぶっ飛びですよ!

新人賞受賞作品となっていてええ今頃?とびっくりです。
改名したら新人扱いなのかな。

改名されても作品の持ち味は今までと変わりなくでした。
相変わらずキャラがいいです。この方はキャラを作るのが上手いですよね。
警察ものは得意なのかな。仕事描写もいつも通り細かいです。

受けは強気なオトメ35歳。攻めは天然ちゃんの32歳。
年上受けなんですが、オトメの柏木がかっこいい。あれ?オトメだよね?
オトメだけれど攻めにガンガンのっかります。誘います。襲います。
攻めの西村はハイスペックイケメン。なのに完全に世間からズレた天然ボケ。
ボケて脅して口説きまくります。
何なんだこの二人!三十過ぎてるのにかわいすぎる!

コミカルだけれど、ちょっとシリアスな展開もあるのかと匂わせていて、ときどきキュンとなる。そしてエロいところはちゃんとエロい。
井上さんてデビュー作の痛い描写のイメージが強かったんですが、こういうのも書くんですね。
今までのイメージがぶっ飛びました。

あとがきによると続編もあるとか。
小山田さんのイラストもイメージぴったりだし、ぜひシリーズ化希望!