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萌×2作品

女性おラウさん

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別れ話はBLにもってこい

一回別れるストーリーが大好物です。
初読み作家さんでしたが、あらすじだけで購入決定。

結果、存分に満足!
出会いからラブラブ期までを描くのとはまた違う、別れ話ならではの独特の熱の上がり下がり感、切なさがたまりません。

一般的に、物語をエンタメに仕立てるには主人公らが乗り越えるべき「困難」が必要となるのものですよね。
標準的な出会い~両想いまでを描くBLストーリーだとその困難は「仕事のトラブル」「両親など周囲の人が認めてくれない」「悪役もしくは当て馬が登場する」など。
ファンタジーならそれこそ「世界が滅びそう」とか「不治の病にかかって」とか。
それがですね、別れ話BLはですねこの「困難」にあたるものがですね、「別れる」というイベント一つで済むんです。もう超絶シンプル。

ごちゃごちゃした仕事のトラブルとか、ちょっと胸糞悪い悪役とか、辛気臭い病気とかお金の話とかね、ちょっと読むのめんどいなって思う時ありませんか?そういうのがですね、なくても成立するんです。それが別れ話BLの素晴らしさ。
余計なものはいらない。描くのは純粋に二人の関係性のみ。

だからこそ、要約しちゃえば、ただの「カップルの痴話ゲンカ」なんですけどね。
4年くらい付き合った美容師と小説家が、すれ違ってきて、美容師の尽くんから別れを切り出したんだけど、桐生くんは別れたつもりはないようで……?みたいな話。

でも、「もう別れる」って言うまでに重ねた二人のアレコレ、言った瞬間の頭の中、言ってからじわじわ募るモヤモヤ……
別れた後からお互い相手のことを四六時中思い出して頭がいっぱいになる感じ。
片想いのときとはまた違うぐるぐる感。
明快な解決方法として別れを選んだはずの尽くんが、余計割り切れなくなり右往左往している姿、相手がまだ自分に気がある様子を拒んでいない感じ
どれもこれも人間らしくて可愛い。
別れる前提でのラストデートなんて、逆に最高の思い出にしようみたいなエッジが効いていてロマンティック。
価値観を認め合う、二人の絆を深めあうっていう流れもカッコイイ。

ただし、最重要事項をお忘れなく。
これがBLであり、絶対的にメインで描かれている二人は最後にハピエンラブラブになるという大前提の上に成り立っているということ。
これらがあるから安心して二人を眺められるし、キュンキュンできるのです。

この種の話で万が一、ハピエンにならず結局グダグダ別れていたらマジで時間の無駄と感じちゃうかも。

そういう意味で、本当BLと別れ話ってすっごく相性が良いと思うんですけどね。
絶対くっつくとわかっている二人を出会わせるのも良いけど、絶対ヨリが戻るとわかっている二人を別れさせるのも最高ですよ。

脚色は最低限。二人の人間模様だけでぐるぐるキュンキュンさせる王道の別れ話BL。
この手の作品もファンももっと増えないかなー。

半音ズレた独特なコミュニケーション

両片想いセフレすれ違い設定のオフィスラブコメ。
さぞかし焦れ焦れのキュンキュンかと思いきや……何かコレ絶妙に違う!!
確かにクスっと笑えてエロくて引き込まれるんだけど、滑らかさに欠けた独特の読み心地……。

多分この作品、設定(セフレだけど両片想い、お互い本当は付き合いたいと思っている)とゴール(お互いの気持ちを確認し合ってやっと恋人になれる)は超王道なのに対して、それに向かうストーリーの刻み方(すれ違い方、距離の縮め方)が結構こぶしの効いたマイナー調なんですよ。

多くの作品では「あっ、確かにそんな理由があったら、そんな思いを抱えていたらすれ違うよね」と読者にもわかりやすい素直なロジックで胸キュン演出を盛り上げてくるのですが、

この作品の場合はタイトルに「口下手」とあるように、すれ違い理由は「言葉の表現方法とタイミングが悪いから」に終始します。
このこだわりの演出がね、良くも悪くもすごい独特のリズムと読感を生んでいて。
グッと納得させられる口下手具合もあれば、いやそれはさすがに……という斜め上というか、非常識で不自然というか、強引で無理やりだなと思うような対話もチラホラあり……。

歌で言うとまさにオンチって感じですかね。
しょっちゅう半音ズレてるし、微妙にリズムや節が違うけど、なんとなく味はあるし、多分他の人には再現できないやつ。

なので読んでいて、ストレートに気持ちいい!頭使わない!スカッとする!っという印象はありません。
書き込みや情報量も多いし、ん?ん?ん?なんかバグった?今のセリフはこのキャラ的には冗談で言ったの?本気?わからん……と脳に負荷がかかる瞬間も多々ありました。
あらすじから王道をイメージしちゃうとなおさらね。

とはいえ、そんな読みにくさを含めても総合的に惹きつけられる作品であることは間違いないです。
やっぱり他と違うって大事。
それに名前が最後の最後に出て来るところはかなりオシャレ。

個性は残しつつ、あとほんの少しだけ、ピッチを整えて読み手側に寄り添ってくれたら爆発的に好きになっちゃいそうな作風でした。惜しい!

春夏4度の甲子園出場した男子っていう細かすぎるバックグラウンドが好き

スピンオフ作品ではありますが、単体で問題なく楽しめます。

幼馴染・両片想い・再開・すれ違いの定番BL要素に
野球選手×スポーツメーカー社員というスポ根風・熱血爽快世界観の組み合わせ。

このバランス感覚がとても良い作品。

一歩間違えると、野球要素いらなくね?みたいな、有名人×平凡リーマンのBLに落ち着きかねない設定。それを、一輝の小中高プロまでの詳細なバックグラウンド、身体の使い方、スパイクやインソールのこだわり、プロテインドリンク補給、シーズン順位結果など細かな描写があるおかげで、野球歴ガッツリな男の子感をしっかり楽しめます。
少年漫画風の演出、三白眼で迫力あるキレ顔も好みですね。
かと言って、野球・スポーツに全フリしているわけでもなく、試合結果に命を懸けているわけでもなく、ラブの優先割合が高いのも、BL作品として文句なしの優秀さ。

この系統のBL、ありそうで実はあんまりない。
じっくり観察してもらうとわかるのですが、キャラの良さ、セリフ回し、筋肉や野球のデティールを表現する画力、寸止めHを始めとする小さなピークと飽きさせない構成、コミカルなテンポ感、雰囲気と臨場感あるエロシーンなどなど、とにかく細かなマンガ技術の上に成り立っている作品なんですね。
みんなが真似して量産できるパターンになり得ないんですよ。

それをサラッと実現させてしまう猫野先生のすごさ。
全く違和感なく物語に引き込まれます。
わりとお互い好き好きオーラが出ているのに、意外にすんなりまとまらない感じも良い。
初恋拗らせ同士による緊張と緩和が楽しい~。
ちょうど1冊に収まるボリューム感もベストだったかなと。

ちょっと個性的だったのは、ラスト。野球界の多様性を訴え、同性婚ハッピーエンド・良い話ダナアという句読点感が強かった所ですかね。
10年前までは~みたいな社会変革のメッセージ性が果たして必要だったのかなという疑問はややあり。
偏見とか社会制度を乗り越えて幸せになりましたっていうピークの持って行き方と、それまでの単細胞執着無茶振り契約のファンタジー感が微妙にずれてるかなー、唐突かなーとは思っちゃいましたね。
でもやっぱりマンガがお上手なので、違和感と言えるほどではなく、それはそれでって感じもしました。

総じると、やっぱり良作ですね。
タイトルもわかりやすいし、各種演出も奇を衒わず読者ファーストなのでたくさんの人が楽しめると思います。

スピン元作品の「マウンティングが止まらない同期のセフレ事情」はもう少しリーマン・コメディ要素強めですが、今作を読んで気になったら是非に。