Sakura0904さんのマイページ

レビューした作品

エキスパートレビューアー2024

女性Sakura0904さん

レビュー数99

ポイント数498

今年度28位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • 映像
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

低温度でじわじわと

 体の関係から始まるわけではないけれど、落ち着いた大人の雰囲気が終始漂っているような作品でした。酔って邑上に間違えてキスしてしまう本名は恋愛経験豊富な人かと思いきや、生活力はないし、さほど恋愛に手馴れてもいなさそうな可愛げのあるキャラで、最初のイメージとギャップを感じました。それぞれのここが最高!というポイントが私にとってはなくて、あまり萌えられませんでしたが、なあなあな関係性から少しずつ相手を意識して、気付いたらどっぷりハマっているという流れがリアルに描かれていたと思います。

病床から世界を見つめて

◆独裁者グラナダ(表題作)
 才能のある人間が裏で払っていた代償は重いものだった、という物語。一見天から二物も三物も与えられたように見える誰もが羨む人物でも、本当に悩みがないかは本人にしか分からないし、他人からは些細に見えるマイナス点を本人は深刻に考えているかもしれない。だから他人を能天気扱いしたり、安易にあなたは恵まれていると言ったりしないように心がけています。最後の最後に真実を知った中田。でも鳴瀬は、最初から何もかもお見通しでしたね。やはり一般人には辿り着けない、悟った領域にいる人なのかも。糖度が低いので萌えは感じにくかったですが、余韻の残る作品でした。

◆Birthday
 短かったですが、もっとじっくり読みたかったです。それぞれ事故と病気で入院している高校生同士の話。同じ入院でも、持病と突発的な事故では状況が異なります。一緒に退院はできないし、病は体を蝕んでいく。最期の彼の行動力、願い、そして残された彼の変化。切ない一瞬の出会いだったけれど、お互いの人生の一番星になれたんじゃないでしょうか。

確かに特殊な環境下で気付けたこともあった

 コロナ禍真っ最中に描かれた作品ということで、当時の世情が色濃く反映されていました。たった数年前はこんな世の中でしたね。マスクを外せる日が再び来るのかどうか、不安だった。気軽に友人を誘って遠出できないことがストレスだった。飲食店が潰れたり、政府や客の要求に右往左往したりするのを見るのが辛かった。私たち、本当によく耐えました。

 バーを切り盛りする響と、客として通い始めた尚人、そして、バーのオーナー征司。三角関係ではあるけれど、響と征司がお互い深く干渉しない関係性なのは最初から見てとれて、尚人が入ってきてもこれからどうするんだろう、という不安や背徳感は一切ありませんでした。ほぼ恋人だけど、相手が別の人に惚れたらすぐ解放してあげられることを互いに悟っている、ふわふわとした関係性。一方、本人たちもそうだと思うけれど、尚人と響の相性がよいことは初期の段階で直感でき、この2人はそういう仲になるのが自然だろうと思わせてくれるんです。一穂先生の繊細なプロットやキャラ作りに、ymz先生の絵がしっかりハマったからでしょうね。こういう作品は貴重です。コロナ禍の窮屈な日々の中で、あとは2人が収まるべきところに収まるのをただ静かに見守っていたような気持ちでした。読んでいて心地のいい作品でした。

飾らない、宝石みたいな言葉

 ああ、やっぱりこの2人の関係性、まとう空気感が好きだなぁと改めて感じました。今回は千秋の和馬に対する想いの強さが主軸になっていました。留まることなく膨れ上がっていく独占欲。常に自分を見ていてほしいという想い。和馬も同じ態度を見せてくれたら安心できるのかもしれないけれど、千秋から見た和馬はいつも健全で。でも、恋人同士が必ずしも相手に対し同じ愛し方、想い方をする必要はない。和馬の台詞にはっとさせられました。

 大切な人への寄り添い方はカップルごとに異なるのではなく、1人ひとり違います。相手とまったく同じ気持ちを返せなければ恋人として上手くやっていけない、ということではない。和馬は和馬の精一杯で千秋を愛してくれている。千秋がちゃんとそれに気付いてくれてよかった。セックスの時の主導権の握り方もバランスがとれていて、マンネリとは程遠そうな2人だなぁと。まだまだ見守りたいと思えるカップルです。

父の言動に一喜一憂する娘は可愛い

 前巻ラストで雰囲気的に長可が死ぬことはなさそうだなぁとほとんど心配していませんでしたが、やはりそっちに転ぶことはありませんでした。普段クズっぷりが前面に出ている長可にも親の情は人並みにあることが分かり、香と数百年越しに親子らしく話せる関係性を取り戻せてよかったです。よく考えたら信長に対してあれだけ一途な情を保ち続けた男ですから、実は誰よりも情が深いキャラと言えるのかもしれません。遊園地のエピソードからはまたそれぞれの誤解が渦巻き、誰が得したのか分からない展開へ。最後は謎の男が現れ、またカオスに戻っていくようです。

蘭丸は気付いたのにね

 新入生の正体には驚かされましたが、強い理由には納得しました。ギャグシーン皆無なわけではないけれど、今までで一番シリアスな巻だったんじゃないでしょうか。香の恨みはもっともなものだと思いましたし、それでも尚、長可への娘として慕う気持ちが根底には残っているというのが切ないですね。親子といえど別人格ですから、子供の言動すべてが親の責任だとは思いませんが、子供の不幸は大体親の至らなさが原因だと思いますよ。これを機に何か変わればいいですが。そんなわけでBL要素は少なめです。

フランケンいつでも帰ってきてね

 前巻のラストでも触れられていた李仁の誕生日から始まり、クリスマス、大晦日元旦、バレンタイン、卒業式……と年度終わりのイベントが盛りだくさんな巻でした。あれだけ自信を持っていた蘭丸の李仁へのプレゼントはまさかでしたね。ホストもやっていたくらいなのに対李仁には時々洞察力がまったく働かなくなるのが不思議です(笑)。長可のプレゼントの方が喜ばれていたのはもっと意味が分かりませんでした。葵が蘭丸に渡したチョコがまた特大の誤解を招いたのにも笑いました。

カオルと李仁をくっつけたくなってきた

 新しく登場したバンパイアハンターである芹沢は相当手強そうで、さすがの蘭丸や長可も手を焼くんじゃないかと思いましたが、精神的には長可に負けず劣らずちょろかったですね(笑)。別に蘭丸は彼を騙したわけではなく、本心をありのまま吐き出しただけではあるけれど。キスシーンもなさそうだと思っていたので、坂本が積極的に動いてくれたおかげでやっと少しだけBLらしいシーンを見れてよかったです。この歳になっても周りが誕生日を大いに盛り上げようとしてくれる李仁は本当に恵まれていますね。いい誕生日会になることを祈ります。

憎めない長可

 勘違いのせいではありますが、またまた蘭丸のフェロモンの効かない女性が発覚しましたね。イケメンにふらふらしない女性キャラは好きなので、カオルも葵も華麗に蘭丸を拒絶してくれてスカッとしました(笑)。葵は結局また蘭丸にアタックすることになりそうですが……。途中に挟まれていたモブ女子が自殺しようとしていたところを結果的に長可が踏みとどまらせたシーン、短かったですがよかったです。気性の荒いバンパイアでも本人なりの生死観は持っているようですね。

カオルほんとかっこいい

 長可が十字架に激弱なのには笑いました。しかもその原因がネット情報とは……(笑)。十字をつくることほど簡単なことはないので、バレたら即詰む弱点で現時点で最弱キャラに成り下がってしまったのでは。今更ながらファッションはダサいですし、妙に擦れていないところがあったりして、顔だけはめちゃくちゃいいけど他が全部残念というもったいないキャラですね。嫌いじゃないです。蘭丸の方針の転換は今まで勘違いしていたためにまた逆効果に転びそうで、これからも不毛な無限ループを繰り返していくのだなぁと思いました。