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お前にはガッカリだよ!!!

六青先生、お久しぶりの新刊で、本格派ファンタジーになります。
「彷徨編」って事からお察しのように続き物ですが、次巻で完結になるそうです。

で、こちら、めちゃくちゃ評価が難しいお話なんですよね。
えーと、続巻と込みで初めて正当な評価が出来る作品と言うんですかね。多分。
とりあえず今巻ですが、ひたすら痛いし胸がつぶれそうに切ないし、あと攻めに死ぬほど腹が立ちます。
もうマジでこの男、アホなのか?
ただのアホなのか?
女狐にいいように操られて、これほど健気な受けにこの仕打ち。
死んで。
本当に死んで!

まぁそんな感じで、二人のスレ違いがって言うか、攻めの愚行が酷い巻なんですよ。
とりあえずラストで、素晴らしい攻めザマァがきそうな空気を匂わせてますけど。
こいつな、本当に見捨てられて、受けの何倍も何倍も傷付けばいいのに。
後悔の中、寂しく一生を終えればいいのに。
いや、それはそれで受けが不幸だから、一生を受けへの償いに使って生きて欲しいけど。
あっ、だから「贖いの王」か!?

で、内容です。
癒しの民であるルル。
ある日突然に一族を惨殺されて、唯一鳥の姿になって逃げ延びた彼ですが、聖域から離れた事で力を失い瀕死の状態に陥るんですね。
そこを救ってくれたのが、旅の青年であるクラウス。
実は過去にクラウスと出会い、彼が自身の「運命の片翼」だと確信しているルルと、それがルルだと知らずに命の恩人を探しているクラウス。
真実を伝えてクラウスと共に生きる事を望むルルですが、力を無くした鳥の姿では喋る事が出来なくてー・・・と言うものです。

と、こちら、このあらすじでお分かりいただけると思いますが、互いに運命の相手でありながら、意思の疎通が難しいばかりにスレ違ってしまう二人の物語なんですね。
で、最初に本格派ファンタジーと書いた通り、世界観なんかもしっかり作り込まれてますし、壮大なストーリーもとても面白い。
そう、「神」評価で全然おかしくない作品なんですよ。
なんですけど、今巻はとにかく痛いし、攻めのダメさ加減に血管がぶちギレそうに腹が立つ。

いや、そもそもね、最初はとてもほのぼの可愛いんですよ。
瀕死の状態である鳥姿のルルを助けたクラウス。
必死で看病し、元気になると今度は目に入れても痛くない可愛がりよう。
ルルですが、運命の片翼であるクラウスがそばに居る事で回復し、更に人間の姿に戻れたんですよ。
このね、人間姿になったルルとクラウス、二人で旅を続けるパートが、唯一心温まる優しい時間だったよなぁと。

が、ここから急転直下。
その旅の途中で知り合った聖導士と、連れとなる美しい女性・ハダル。
実はこのハダルですが、自身が癒しの民で、あの日出会って命を助けた恩人だと名乗りでる。
で、彼女こそ探していた相手なのだと国に連れ帰り、王妃として迎え入れるクラウス。
そう、クラウスですが、実は運命の相手を探して放浪の旅に出ていた王子だったのです!
二人は皆の祝福の中、結婚式を挙げ、ハダルを妬んで彼女にケガをさせたルルを追い出して、幸せに暮らしましたとさ。
ちゃんちゃん。
みたいな。

えーとね、これ、ハダルと言うのがかなりの女狐なんですよね。
で、彼女に操られ、ルルを誤解するクラウス・・・。
いや、確かに事実だけ見ればルルのやってる事って酷いんですよ。
ハダルに熱いスープをぶっかけ、妊娠中の彼女を階段から突き飛ばして殺そうとした。
でもそれ、全部ハダルに仕組まれた事で、完全に冤罪なんですよね。
冤罪なんだけど、すっかり誤解したクラウスはルルを国外追放にしてしまう・・・。
もうこいつ、ただのアホなのかーーー!?

いや、そんな中でも一生懸命ルルの話を聞こうとしたり、ルルを好きだからこそ、裏切られたとより怒りがわいたんだろうと情状酌量の余地はあるんですよ。まぁ1ミリ程度だけど。
それにしてもな、こう、あまりに酷い。
ルルを助けた時はいい攻めだと思ったのに、お前にはガッカリだよ!!と。

で、ひたすら不憫な受け・ルル。
国外追放された彼ですが、ここからも更に苦難が襲う・・・。
もう、涙無しに読めないですよ。
攻め、マジで死んで!

えーと、ただ終盤で、ここから大どんでん返しが来そうなんですよね。
いや本当、久しぶりに対面したルルからのセリフに、凍り付くクラウスに超スカッと!!
ちなみに、癒しの民が奇襲されたあの日の真相だったり、二人が離れていた2年の間に、一体何が起こったのか?
そして、二人の恋の行方はー?
と、ここから見処と萌え満載なんだと思います。
そんなワケでとりあえず、こちらの評価は「萌」で。

続きが気になって死にそうなので、続巻が発売されてからまとめて読んだ方がいいかと思われます。

疲れる

トラックに跳ねられた主人公。
気づいたら、姉の描く漫画の世界に転生していてー・・・と言うお話になります。

こちら、すごく斬新な設定だしメタ的な視点が楽しいんですよね。
えーと、この姉の描く漫画ですが、なんとBLでしかもオメガバースものでして。
で、ごくごく平凡でノンケの主人公ですが、なんと当て馬であるキャラ・ジャスパーと何故か恋愛フラグが立ってしまう。
そう、当て馬救済のスピンオフに自身が巻き込まれそうなのに気付くんですね。
また、それに伴って、ジャスパーのアルファ性に合わせて自身がオメガへと変化している事(しそうな事)にも気付く。

このBLの世界で、果たしてオメガへの変化を止め、またジャスパー(当て馬)とのBL展開を回避する事が出来るのか・・・てな感じでしょうか。

繰り返しになりますが、斬新な設定はとても面白いです。
や、主人公は転生早々に主役キャラに助けられますが、彼の内心でのツッコミが笑えるんですよね。
こう、可愛らしい笑顔で自己紹介して「よろしくね」と言う主役受けキャラに、「知ってる。なんならお前のケツの穴まで知ってる」と(内心で)ツッコミ、こちらも自己紹介する主役攻めキャラには「うん、知ってる。お前のチンコにトーンを貼った」てな具合で。

あと、全体的に勢いがあるというか、パワーが感じられるのも魅力だと思います。
うん。本当に、好みのストーリーだし設定自体も面白いと思うんですよ。
評価が高いんですが、それも素直に納得なのです。
だからこれは完全に好みの問題なんですけど、私は読んでてちょっと疲れると言うか。

そもそも、主人公に対して攻めとなる、物語では当て馬キャラであるジャスパーなんですけど。
こう、まさにツンデレの俺様なんですよね。
彼は好きな子を苛めちゃうってタイプでもあって、それは理解出来るのです。
ちょいちょい見せるデレもとても萌えさせてくれるし。
ただこう、あまりの幼稚さに、若干イラっともしちゃうんですよね。
やたら、オメガのくせに~的な事を言ってるのにも嫌な気分になるし、相手の気持ちや立場を全然思いやらず、勝手に暴走するのもどうなのかなと。

えーと、その最たるものが、自身の婚約者探しの為のパーティーに、主人公を無理矢理連れて行くってヤツなんですけど。
そして皆の前で主人公を婚約者だと勝手に発表しちゃうってエピソードなんですけど。
これ、主人公の言う通り、そもそも恋人ですらないですけど!?
とんだ勘違い暴走野郎じゃないか・・・。

また主人公がですね、気が強くて自分の意見をハッキリ言うタイプなんですよ。
だから、俺様でめちゃくちゃな事ばかり言ってくるジャスパーに対して、ガンガン言い返す。
要は、ケンカップルなんですよね。
で、二人のやりとりと言うのが8割この言い合いでして、だから何だろう・・・。
読んでて、疲れる。

まだこちら1巻でして、終盤でそんな攻めの成長が見られるのですよ。
で、主人公の気持ちも変化し始める。
なので、2巻では萌えが大幅に増える予感がしますが、とりあえずこの巻では「萌」で。

と、そんな感じで個人的にはちょい合わない部分があったんですけど、ドタバタ系のラブコメがお好きで俺様ツンデレ攻めだったり、ケンカップルがお好きな方にはたまらない作品だと思います。
しつこいけど、設定面白いですしね。

ある意味ホラーですよね

「淫夢」「淫具」の関連作になるんですけど、未読でも問題無く読めます。

あらすじですごく気になったので購入しました。

で、こちら、ミステリー&エロスって感じのお話でしょうか。

ゲイである事で、実家から勘当された慎也。
昔から前世の夢を見続ける慎也ですが、サウナで偶然、前世の恋人・アローと同じ星形のアザを持ち彼の記憶も持つヤクザ・柳と出会い、強引に抱かれてしまうんですね
その後、何故かもう一人、同じようにアローの記憶と星形のアザを持つモデル・伊吹とも出逢い、彼と運命的に惹かれあう事に。

果たして、前世が本当に存在していたのか。
そして、二人のうちどちらが本物のアローなのかー?
って感じでしょうか。

こちら、最初にミステリー&エロスって書いたように、ミステリアスだしエロエロなんですよ。
まずこの、ヤクザである柳と言う男が良く分からない。
えーと、かなり強引だし強い執着心みたいのを覗かせてて、ちょい怖いと言うか気持ち悪いんですよね。
で、逆にもう一人のアローである伊吹ですが、こちらはイケメンで穏やかで優しい文句の付け所がない好青年。
主人公である慎也ですが、柳に対して恐怖心を覚える。
そして、伊吹には強烈に惹かれる。

ここに、人助けを趣味としている世捨て人のような男・才が絡み、前世の謎が解き明かされていくと言う案配。

う~ん。
これね、主人公ともども、読者は前世の謎にかなり振り回される事になりますが、それがとても面白いんですよね。
また、再び巡りあって、運命的に惹かれあってと言う、慎也と伊吹のロマンチックな関係がいい。
こう、激しく求めあってみたいな、エロスも充実してますし。
えーと、どちらが本物の恋人か選んで貰おうって事で、3Pもありなんですよ。
ここでの柳のちょい予想外の行動にも、(エロ的に)ドキドキさせられると言うか。
そして、オチがかなり驚きのものなんですよね。
これはね、完全に予想外だし、本当にストーリーとして面白い作品だと思います。

ただこちら、それで何でこの評価なのかですけど。
これ、私にとってはオチがやりきれないと言うか、なんとも物悲しいものだからになるんですけど。

えーと、人間の妄執ってものの恐ろしさにゾッとしちゃうんですよね。
や、業の深さとも言うのかも知れないけど。
また、慎也と伊吹は、果たして本当に幸せなんかなぁとも。
こう、卵が先か鶏が先かになってくるんですけど、二人のその「愛してる」って感情は、本物なんかなぁと。
そう考えると、なんともやりきれない。
ある意味ホラーだよなぁと。
人の心の闇の深さよと、震えあがると言うか。

う~ん。
これな、私の感覚だとハッピーエンドとは言えないんですよね。
後味の悪さと言ったらない。
こう、通好みの姐さんなら面白いと感じる作品の気がしますが、なかなか萌えに昇華するのは難しいですよ。
私にとっては。

あと、ひとつ疑問点。
何で、柳は慎也を抱いたんですかね?
終盤で分かる彼の真意からすると、別に抱く必要は無かったような・・・。
3Pに持ち込んだのは理解出来るけど。
私に読解力が無いから、分からないだけかも知れないけど。

何故みんなトンカツを作るんかなぁ

ほのぼのホッコリ異世界転生ものになります。
プラス、お料理BL。

役人貴族から呪いをかけられて昏倒した事をキッカケに、日本人大学生だった前世の記憶を思い出した平民の子・ケイン。
呪いを解くヒントを見つけようと、王都にやって来たんですね。
王宮で下働きとして雇われた彼ですが、前世の知識を生かして料理を作ると、それが大評判に。
更に王宮で、昼間しか見かけない不思議な豹と仲良くなりますがー・・・と言うものです。

で、この豹が飼われていると言う離宮に向かうと、何故か暮らしていたのは美貌の王太子・リヒトール。
実はリヒトールですが、呪いにより昼間は豹の姿になってしまうんですね。
同じく呪いにより、夜の間だけ猫の姿になってしまうケイン。
昼と夜でスレ違ってしまう二人ですが、互いに惹かれあって・・・と言う流れ。

と、こちら切ないスレ違いの様相をなしたお話ですが、実は印象としてはほのぼの甘々だったりします。
えーと、主人公であるケインですが、前向きでたくましい性格なんですよね。
彼はいわゆる前世チートを使って、王宮で仕事を要領良くこなし、更に素朴そのものだったこの世界の料理に革命を起こす。

また、その美貌と悲劇の境遇に反して、こちらも食いしん坊万歳的なちょい天然が入ってるリヒトール。
何だろう。
彼は人の良いお坊ちゃんと言いますか。
こう、その境遇から世間知らずではあるものの、言動に嫌味が無いし素直な所とか妙に可愛い攻めと言いますか。
最初はケインに胃袋を掴まれて、その後はケインそのものの魅力に捕まってしまう。

まぁそんな感じで、リヒトールの協力なんかも得て、ケインが呪いを解こうと奮闘する。
そこに並行して、(物理的に)スレ違いカップルである二人の恋愛が語られって所でしょうか。

果たして、二人は見事呪いを解き、互いに人間の姿で逢瀬を叶える事が出来るのか・・・。
って感じで。

繰り返しになるんですけど、全体的な印象としてほのぼの甘々で可愛いんですよ。
こう、完全に受けに胃袋を掴まれている、ちょい食いしん坊な攻めの言動が微笑ましいですし、王宮の使用人達もみんないい人。
昼と夜のスレ違いさえ、ちょいギャグ要素が入っていて笑えますし。
あれ、何故あいつは夜になると居ないんだ!?的な。
ほのぼの可愛いお話が好きな方なら、ストレスフリーで読める素敵な作品だと思います。

ただこちら、もうこれは完全に個人の好みの問題なんですけど。
なんかサラッと読めちゃってあまり深みが無いと言うか、特に残るものが無いと言いますか。

えーと、これね、ケインとリヒトールの呪いの意外な関連性とか、驚きの真相とかはあるのです。
ただ、こういう設定だと、互いの正体に気付かない焦れったさとか、それによる心情面でのスレ違いとかが萌えに繋がると思うんですよ。
でも、わりと早い段階でアッサリ互いの正体に気付く。
また、呪いが解ける事自体も、これまたアッサリ解決。
何だろうな。
全て、上手く行き過ぎと言いますか。
てか一国の王がさ、そんな子供騙しの手にアッサリ引っ掛かるか?的な。
王様が5歳とかなら、あり得ると思うけど。
いや、平和な国でいいのかもしれないけど。
でもそのわりには、平民から税を搾り取って王族や貴族は贅を凝らしと、そんなハッピーで呑気な国でも無いよなぁ的な。

あと、主人公は転生者なんですよ。
で、彼が料理を作れば王宮で大評判。
雑用をすれば「おお、そんな画期的な方法が・・・!」みたいのに若干イラっと来ると言うか。
こう、もうちょい転生者ってんなら、それ故の苦労とか逆境が欲しい。
彼はですね、夜になると呪いで猫になっちゃうって事すら、周囲はあたたかく受け入れちゃうんですよ。
ど、どんだけ平和な国民性だと。
でもさ、しつこいけど、貴族や王族が暴利をむさぼってる国で、平民は苦しい生活なんですよ。
そういう国の民って、もっと荒んでるんじゃないかなぁと。
ついでに、転生者と言う転生者、何故みんなそろいもそろってトンカツを作るのよ。
マヨネーズを作るのよ。
天然酵母を作って、ふわふわのパンを焼くのよ・・・。
なんか、トンカツが出てきた時点でゲンナリしちゃうんだけど。
完全に、個人の勝手な感覚だけど。

と、若干合わない部分もあるんですけど、全体的には好みのほのぼの優しいお話でした。

受けが頼りなくて心配になる

あらすじを読んで大変好みだった為、購入です。

引っ越してきたばかりの主人公が、年下の隣人と知り合う。
初めこそ互いにいい印象じゃなかったものの、ひょんな事から行き来し合う仲になり、やがて友人同士に。
彼との友情に心地好さを覚えるものの、ある日突然キスされてー・・・って感じでしょうか。

こちら、あらすじは間違っちゃいませんが、そこから受ける印象と実際の読後感と言うのは若干ズレがある気がするんですよね。
こう、隣人である二人の恋愛がメインじゃなく、主人公が置かれている理不尽な状況の解決部分がだいぶ幅を利かせてると言うか。

そもそもこの主人公・千紘ですが、昔から変な人物に付きまとわれやすく、更に元義父の会社でデザイナーをしてるものの、コネ入社だと周囲から孤立している。
そう、椎崎先生お得意の薄幸系美人受けなのです。
今回、攻めの隣に引っ越してきたのも、ストーカーから逃れる為で。

これね、西宮(攻め)がすごくいい男なのです。
最初こそぶっきらぼうで取っ付きにくいものの、やがて面倒見の良い男前攻めだと分かってくる。
千紘と言うのは、育った環境とその見た目とによって、昔から誤解されたり理不尽な目にあう事が多かったんですよね。
で、それを大事にせず、一人で受け流す事で解決して来た。
西宮がですね、そんな千紘に対して、人を頼る事の大切さを教えるんですよね。
一人で頑張らず誰かを頼れと。
一見、一人で解決するって素晴らしい事だけど、それって誰も信用してないって事でもあると思うのです。
それじゃあ、周りの人間は寂しいよねと。
年下ながらその事が分かってる彼は、めちゃくちゃいい男だと思うんですけど。
実際、頼りにもなりますし。

まぁそんな感じで攻めはとてもいい男ですし、薄幸受けが救われると言うストーリーも素敵だと思います。
ただ若干、引っ掛かる部分もありまして。

えーと、これは完全に個人の勝手な印象だし好みですが、主人公である千紘が、なんか面倒臭いと言うかハッキリ言っちゃうと鬱陶しいんですよね。

彼は職場でその才能とか境遇を妬む後輩から、かなり陰質に粘着されるんですよ。
また、正体の分からないストーカーも飼っている。

これね、大事にしたくないだのどうせ訴えても信じて貰えないだの言って、延々とやられっぱなしなんですよね。
この後輩にも腹が立つけど、いい年してやられっぱなしの主人公にも腹が立つ。
最初は共感して気の毒に思うんですけど、いつまでも続くと逆にイライラして来ちゃうんですよ。
もうちょっと上手く立ち回れんもんかなぁと。
過去の経験から臆病になってるにしても。
なんかこう、自分が我慢してればいいみたいな「いい子ちゃん」ぶりにイラっと来ちゃう。

また、彼は危機管理意識が非常に薄いと言うか。
こういう状況なら、てか状況じゃ無くても、もうちょっと防犯意識を持とうよ!と。
や、ストーカーの正体も分かってない状況なのに、勝手にもう解決したと思い込む。
ついでに「宅配便が来るんだったー」とかって、相手も確認せず不用意に玄関のドアを開けちゃう。
ちょっ、こいつ大丈夫か!?と。
案の定襲われますが、反撃の一つも出来ずに周囲が助けてくれるのを待つだけ。
そこは、蹴りや頭突きの一つもお見舞いしてやろうぜ!と。
なんか、何だろう・・・。
異様に頼りないと言いますか、ふわふわしてて心配になってくると言いますか。

ちなみに、周囲を頼る事の大切さみたいな事を先に書かせていただきましたが。
えーと、それもすごく大切だと思うんですけど、周囲に保護者みたいのが何人も居て、皆で千紘を「可愛い、可愛い」みたいな状況にも、若干違和感と言うか。
だって、27歳の成人男性だし。
周囲がわーっと動いちゃうのはどうなんでしょうね?的な。

まぁそんな感じで、萌える部分もあるんですけど、若干引っ掛かる部分もある。
でも全体的には好みの為「萌」で。

ところで、悪役である千紘の後輩ですが。
見事に嫌なヤツで、出てくるたびに不快感が半端なかったです。
もう、悪意の塊。
ネットだとこういう人ってたまに見掛けますが、それが現実に出てきちゃった感じでしょうか。
彼の存在が、今作の雰囲気をだいぶ悪いものにしちゃってますね。

攻め、優しくて弱いです。

デビュー作が大変好みだった為、発売を楽しみにしていました。
そのデビュー作「運命よりも大切なきみへ ~義兄弟オメガバース~」のスピンオフ作品ですが、単品で問題無く読めます。

小説家である冬馬。
高校時代の友人で秘かな片想い相手である京介が番を亡くしたと知り、彼に十年ぶりに会いに行くんですね。
再会を喜んでくれる京介ですが、彼が現在無職だと知り、自分の家政婦をしてくれるように頼みますがー・・・と言うものです。

こちら、しっとり繊細に綴られる片想いものって所でしょうか。
二人は高校生で出会いますが、既にその時、京介には許嫁で番う相手がいたんですね。
その為、彼への想いを諦めるしかなかった冬馬。
自分の気持ちに整理をつけようと、京介の前から姿を消した。
そして今回、京介が番を亡くした事で、心配のあまり居てもたってもおられなかった冬馬が駆け付けて・・・と言うのがこの再会劇でして。

これ、前半を冬馬視点、後半を京介視点で綴られる為、二人が如何にしてスレ違ってしまったか、そして彼等の切ない心情と言うのがよく分かるようになっています。
この繊細な心情描写はとても素敵だと思います。
叶わぬ想いに長年苦しんだ挙げ句、ただ優しく京介を見守ってゆこうと穏やかな心境までたどり着いた冬馬の姿が、ほろ苦くも優しくて。
彼はとても優しいんですよね。同時に弱くもあるけど。
こう、京介を傷付ける事が耐えられない。
それが例え自分自身でも。
目の前でヒートを起こした京介を抱いてしまいますが、その事で酷く自分を責める。
好きだからこそ自分を抑えきれなかったワケですが、そんな彼の姿はただただ痛々しいなぁと。

と、そんな感じで切なくほろ苦い片想いやその心情描写はとても萌えるんですが、若干引っ掛かる所。
なんかイマイチ盛り上がりに欠けると言うか、ダラダラっと続いて終了なんですよね。
こう、これだけ長年に渡りスレ違ってたわりには、アッサリ気持ちを通じ合わせて結ばれちゃうと言うか。
拍子抜け感がぬぐえないと言うか。

また繰り返しになりますが、攻め、弱っちいですよね?
やたら姿を消すの、止めろよ。
乙女か。
いや、乙女も好きだけど、ここぞと言う時は決めて!
ついでに受け、何がしたかったんだと。
もっと早く結論にたどり着けば、こうまで拗らせる事は無かった気がする。
まぁ、ガサツな私が、そこの所の繊細な機微を読み取れてないだけの気もするんですけど。

と、そんな感じで萌えるけど、若干引っ掛かる部分もあるんですよね。
ただ、繊細な心情描写をじっくり楽しみたい方には、オススメなんじゃないかと思います。

流されるにも程がある・・・。

架空の砂漠の国・デルアン王国の王族と日本人青年との恋を綴った「アラビアン」シリーズ、第5作目です。
単品で問題無く読めるんですけど、シリーズ中の他キャラがちょこちょこ登場するので、既読だとより面白いと思います。

で、こちら、個人的に大好きなシリーズでして、今作も発売を楽しみにしてたんですよね。
いつもの甘々コメディテイストやロマンチックテイストとは違いややシリアス寄りながら、切なくほろ苦い再会ものとしてとても萌えはしたんですよね。
こう、想いが伝わらないもどかしさみたいな感じで。
ただそんな萌える部分がありつつも、どうにも引っ掛かって仕方ない部分もありと、ちょっと評価が難しい。
や、購入前から元妻の弟と言う攻めの立ち位置に微妙に「ん!?」となりはしたけど、きっとどうしようもない事情があるんだろうと!
きっと、ネタバレで「あっ!」と言わせてくれるのであろうと!
ゆりの先生マジックを期待してたのです。

これね、確かに「あっ!」と言わせてくれたけど、悪い意味ででしたよ。
いや~、ビックリ。
元妻を同じ母親の一人として許せないし、そんな女と結婚してしまった律も許せない。
流されるにも程があるだろ!

いや、う~ん・・・。
元妻に対する好き嫌いで大きく評価が分かれそうな気がするんですけど、個人的にはダメでした。
や、共感出来ちゃう部分もあるから難しいんですけどね。


内容です。
デルアン王国の王女で元妻であるアニーサ。
大手文具メーカー社長令息である律ですが、彼女が亡くなったと聞き、墓参りの為にデルアン王国へとやって来たんですね。
そこで、かつての留学時の友達で、アニーサの弟であるリドワーンとの再会を、恐れつつも待っていた律。
しかし、リドワーンは完全に律を拒絶してー・・・と言うものです。

まずこちら、個人的に一番萌えた部分ですけど。
想い合いながらも、気持ちが伝わらないもどかしさだったりします。

えーと、元々この三人ですが、仲の良い友人だったんですよね。
ロンドン留学時の。
それが日本まで追いかけてきたアニーサの猛プッシュにより、律は彼女と結婚。
そこからなんと半年で、アニーサは突然デルアン王国に帰国。
訳も分からないまま離婚を突きつけられた律ですが、仕方なくそれを受諾した。
ここから4年が経ち、今回のリドワーンとの再会劇となる。

かつての友人でありながら、律を冷たく拒絶するリドワーン。
アニーサを幸せに出来なかった自分に対して怒りを覚えるのは当然だけど、どうしてもかつてのような関係に戻りたいと切なく望む律。
そんな中、アニーサが遺した子供・アミンの存在を知りますが・・・と言う流れ。

で、果たしてアミンは自分の息子なのか?
そして、リドワーンが頑なに律を拒絶する理由とはー?
と、この謎解き部分が見処になるんじゃないでしょうか。

こちら両視点で進む為、リドワーンが出逢い時から律に強く惹かれていた事、そして律が自分でも気付かぬまま、リドワーンを男として意識していた事が分かります。
律ですが、再会してようやく自身の本当の気持ちに気付き、今度こそ側に居たいと想いを伝えるんですね。
なのにリドワーンは、律の気持ちを一向に信じようとしない。
この、想いが伝わらないもどかしさみたいのがとても丁寧に綴られていて、切なくも萌えちゃうんですよ。

また、同じように愛していたのに、選ばれたのは女性であるアニーサの方。
律の幸せを願う気持ちと抑えきれない恋情の間で苦悩するリドワーンの姿には、胸が苦しくなる。
幸せを願うからこそ想いも伝えず身を引いたリドワーンと、彼はすごくいい男だと思うんですよ。
当時10代なのに。
本当、このへんのスレ違いはね、めちゃくちゃ萌えてしまう。
再会もの好きとしては。

と、こちらすごく萌える部分もあるんですよ。
あるんですけど、同時にどうにもこうにも許せない部分もある。

えーと、このアニーサですが、一見かわいそうなんですよね。
や、元夫が本当に愛してたのは自分の弟と。
このへんに気付いてしまったから別れたんかなぁ的に。

が、そんな悲劇の女性じゃ無かった。
ひたすら自己中な自分勝手女だった。

これね、愛に生きるとか情熱的と言えば聞こえはいいけど、ひたすら自分の気持ちを優先してるだけだよなぁと。
すごく厭らしい。
何より、子供を自身の愛を叶える為の道具として利用する所に、強い嫌悪感を持ってしまう。
これだけ自分勝手で嫌な女でありながら、終盤でいい女風にまとめるのもどうなんかなぁと。
自分でこれだけ引っ掻き回しておきながら、「リドワーンをお願い」って何だよ!?

またね、押されるままアニーサと結婚しちゃった律もどうなのよ・・・。
それで本当に愛してるのはリドワーンって何なのよ。
リドワーン、かわいそう。
思いやりがあって分別もあっただけに、一人で貧乏クジを引いてるリドワーン、めちゃくちゃかわいそう。

まぁそんな感じで、萌える部分とモヤモヤする部分で評価が非常に難しいんですよね。
でも、切ない心情には萌えたので「萌」で。

ほのぼの可愛いより、狂気的で残酷な部分の方が上回る・・・

巻き添えで召喚された元ヤンによる、異世界冒険譚になります。
インタビューを拝見してめちゃくちゃ楽しみにしてました。
いや、主に「性欲過多なエルフ」とか「尻で抱く受けに成長」ってあたりですけど。
「早く入れろよ(挿れろよ)」的なエロ時も男前な受け、ツボなんですよねぇ。

ところで、この可愛らしい表紙とタイトルに反して、内容としてはダークだしちょい重い部分もあるお話なんですよね。
主人公は最初にかなり悲惨な目に遇いますし、この召喚劇の行き着く先と言うのはやるせないとしか言い様が無い。
ほのぼの可愛いファンタジーってよりは、ダークファンタジーと言った方がしっくり来るような。
えーと、ほのぼの癒しの部分もちゃんとあるんですけど、狂気的で残酷な部分の方の印象がより上回っちゃうと言うか。
「生きるとは何ぞや?」と、ちょっと私にはテーマが重すぎるわ・・・。
とりあえず、ほのぼの癒しを求める方は避けた方がよろしいかと思います。

で、内容としては異世界転移もの。
元ヤンの板金工・ライト(光明)ですが、ある日突然、近くにいた高校生四人組と一緒に異世界へと召喚されてしまったんですね。
そこで王の求める「光の神子」では無いと判断されたライトは始末されそうに。
すると、危ない所をエルフの魔術師・グウィンにより救いだされてー・・・と言うものです。

で、このグウィンですが、実は魔術により人々の幸せの為に貢献する慈善団体・メウドゥーイのメンバー。
彼により保護されたライトは、同じくメウドゥーイが保護しているエルフと獣人の子供達と共に隠れ家で過ごす事になって・・・と言う流れです。

まずこちら、このほのぼの子育て部分だったり、二人の恋愛部分がめちゃくちゃ可愛いし癒されるし萌えるんですよ。
グウィンですが、人間ばなれした美貌に責任感が強く思いやりがあって頼りになる言動と、まさにスパダリ!
かと思いきや、エロ時になるとスケベおやじ。
いや、彼に惹かれるライトがですね、ささいな触れ合いからついつい反応しちゃうんですよ。
すると、「私がしてやろう!」みたいな。
なんでそんなにノリノリなのよと。
こう、清らかなエルフそうろうって彼が、スケベおやじみたいになりながらライトにグイグイ行くのが笑えちゃって笑えちゃって。
わりとチョロいライトが可愛いなら、こちらはわりとちゃっかりってグウィンが楽しいのです。
こういうエピソード、好きで好きで仕方ないんだけどー!

また、ストーリーとしてもとても面白いのです。
隠れ家で共に保護されているチビッ子と、ライトを召喚した狂王との意外な接点。

メウドゥーイですが、慈善団体ってよりはレジスタンス組織と言った印象なんですよね。
国や種族の垣根を越えて、よりよい世界の為に彼等は活動している。
そんな彼等の仲間入りをして、共に戦うライトの姿には胸が高鳴ってしまう。
こう、光の神子では無いと始末されそうになった彼が、実は・・・と後々分かってくる事実にも、胸がすく心地と言いますか。
ラブ面でもストーリー面でも、すごく面白いし素敵なお話なんですよ。

ただこちら、個人的にちょい厳しかった所。
えーと、予想外と言うか予想以上のダークさなんですよね。

いや、序盤に主人公が経験する悲惨な出来事から始まり、山場で分かる凄惨な真相ってな具合で。
これね、序盤の主人公の悲惨さなんか、まだまだ可愛いもの。
彼は殺されそうになり、更に野垂れ死にしそうになりと、かなりボロボロになるんですよ。
読んでてめちゃくちゃ痛い。
痛いけど、それでも耐えられないほどでは無いのです。

ただな~。
壺のエピソードあたりで心が折れてきたと言うか。
特に終盤でのエピソードと言うか真相が、あまりに恐ろしいし闇が深いしで震え上がっちゃって。
まさにダークネス!
人の狂気がここまで気持ち悪くてゾッとくるって初めてですよ。
逆に、これを書けるってさすがの実力だとは思うんですけど。
でも、ひたすらやるせないし重いんですよね。
生きるのって、地獄かよ・・・。

ちゃんとハッピーエンドですし、ストーリーとしても素晴らしい。
ただ、この狂気的で残酷な部分だったり、ダークな世界観だったりが読後の印象として強く残っちゃって。
辛い。
読後感がひたすら辛い。
何でもどんと来い!って姐さんなら、深みのあるストーリーで読み応えがあると思います。
でも、表紙やタイトルから甘くてほのぼのしたお話を期待した方は、今一度しっかり内容を吟味した方がいいかと。

ただただ自分のやりたいように暴走してるぞー! 

なんと2年ぶりの新刊になります。待ってましたーーー!!

で、こちら、従兄であり初めての恋人であり、何故か理由も分からず突然捨てられた相手でもある、攻めとの再会ものになるんですよね。

テリオラ公国の国家元首(当時は公世子)・アルマンと日本人留学生である母との間に生まれた彰信。
隠し子として幼少期以降日本で暮らす彼には、忘れられない相手が居るんですね。
それが、幼少期に共に過ごした従兄であり、初恋の相手である公族・クロードでー・・・ってものになります。

で、そんな中、急にテリオラ公国からの迎えが寄越され、強引に祖国に連れて来られた彰信。
なんとそこには、自分を捨てたはずのクロードが待っていて・・・と言う流れ。

こちら、序盤ですが、日本で働き恋人も居て、ごくごく平凡に生活する主人公って所から始まります。
彼はですね、ひと夏で終わったクロードとの恋に未だ囚われたまま。
その為、恋人を作っても上手く関係を築けないまま、毎回終わりを迎えてしまう・・・。

これね、彰信の回想と言う形で、二人の過去が語られるんですよ。

ただただ会える日を楽しみに待った中学生の頃。
イギリスのサマースクールに参加する事で、クロードと共に過ごした高校生の夏。
そして、想いを受け入れて貰えて、天にも昇るような心地だった恋人同士としての時間。

個人的に、こういう「過ぎ去りし過去の思い出」系が大好きな為、萌えるんですよ。
また、ここから、クロードが急に離れた本当の理由。
そして、再会してからもなかなか素直になれない彰信の複雑な心情。
二人の恋愛にお世継ぎ問題が絡む事で、ストーリーとして読み応えのある仕上がりになってると思うんですけど。
素敵な作品だと思います。

が、若干引っ掛かる部分。

えーと、ひのもと先生の書かれる攻めですが、超自己中で器の小さいダメダメ系が多いんですよね。
が、今回は受けへの愛が深い、スパダリ攻め・・・かと思いきや、やっぱり自己中攻め!

や、日本で自分の基盤を持っている彰信をですね、強引にテリオラに連れ去る。
また、父親に対して思い入れも何も無い彼を、事故で死の床にある父親に無理矢理面会させる。
そして、敵だらけの葬儀に参列させ、これまた望みもしないのに正統な国家元首の血筋だと知らしめようとする。

これね、受けは散々振り回されてるんですよね。
また、クロードがここまでするのは、彰信の正当な権利を取り戻す為だろうと私は思っていたのです。
彰信への愛故だと。

が、本当の理由を知ってびっくり。
なんと、彰信と正々堂々と一緒に居る為だった!
そう、隠し子のままでは周囲に邪魔されて引き離されてしまう。
だから、彰信の意思とは関係無く、正統な公族だと正式に承認させようとした!

あれ、やっぱりめちゃくちゃ自己中じゃね?と。
いや、これはこれで執着攻め好きとして滾る部分もあるんですけど、全然彰信の意思を尊重せず、自分の勝手な考えで暴走してるってどうなの?と。

振り回されてる彰信、可哀想。
そのせいで危険な目に遇いまくって、マジで可哀想と。

しかも普段なら、ここから攻めザマァが待ってるのです。
でも今回は、自分の為じゃなくて受けの為に暴走した攻めなので、ザマァは無し。
なんかね、クロードにはちょっと反省して欲しい部分が多々あるんですけど。

と、そんな感じで若干引っ掛かる部分はありつつも、再会10年愛ものとして素敵なお話でした。
でもクロードは、やっぱりちゃんと反省して。

ちょっとやりきれない

「誘淫オメガ ~ハニーポット・オペレーション~」続編になります。
season2となってる通り完全な続きものなので、ご注意下さい。

で、こちら、オメガ性自体を利用して囮捜査官として活躍する主人公・瓜生と、前作でそんな彼と公私共にパートナーとなった上司・司波による、警察ものでありオメガバース作品になります。
前作が大変好みだった為、発売をめちゃくちゃ楽しみにしてたんですよね。
で、実際お話もラブ面もすごく面白かったんですよ。

えーと、今回の捜査対象が「聖サリエル精神医学専門大学」。
学費無料の奨学制度を設けて社会的弱者たるΩ学生を受け入れる一方、学生の不審死が続く。
そこで、学生達の謎の死を探る為、瓜生が学生と偽って潜入しー・・・と言う流れ。

続編と言いますと、前作から主役二人の関係が更に進化するというか、深まる所が見処だと思うんですけど。
今回、既に二人は恋人同士。
で、個人的に一番心に響いた部分なんですけど、司波の瓜生への信頼でして。

瓜生ですが、前作に引き続き強い信念を持つ熱い男なんですよ。
彼が囮捜査官になった理由ですが、一人でも多くのオメガを救う為なんですよね。
今回もかなり危険な状況に置かれますが、そんな時でもその信念の元、決して諦めずに立ち向かう。

で、そんな無鉄砲とも言える瓜生をですね、学園の外からサポートする司波。
いやね、危険と分かっても思うがままに行動させ、見守り続けるって、司波の素晴らしい胆力に感嘆と言いますか。
こう、捜査官である瓜生を、彼は誰より信頼してるし何より深く理解してるんですよね。
これは、前作では見られ無かった。
いや、見られたけど、更に厚くなった。
本当、警察ものとしても恋人同士である二人のラブ面でも、めちゃくちゃ面白いし何よりすごくすごく萌えた。
素晴らしい作品だと思います。

で、何でこの評価なのかですが。

いや、いやね、前作に引き続き、オメガが相当悲惨なんですよ。
前作に引き続きと言うか、より悲惨。

えーと、この学園内では「ボトム」と言う最下層のオメガが一人決められてるんですよね。
ボトムになるとアルファのエリート学生から教師から好きに犯され、弄ばれ・・・って感じで。
要は、エリートや他のオメガ学生の為の生け贄的存在になるんですけど。

で、潜入捜査で瓜生はボトムの存在を知り、更にこれまで不審死を遂げた学生が皆ボトムだったと突き止める。

これね、お話としてはめちゃくちゃ面白いのですが、とにかくそのボトムが虐げられる描写が残酷過ぎて、もうゴリゴリ心を削られちゃって。

瓜生の同室者が前任者の退学によりボトムに選ばれますが、複数で犯され、心への傷だけじゃなく、身体にもひどい傷を負いって感じで。
アソコに花火を突っ込んでヤケドとか、止めてくれよ・・・。
学園から抑制剤として支給される薬自体も避妊薬と媚薬のカクテルとか、それで最終的には廃人とか、止めてくれよ・・・。
そこまでガッツリ描写されてるワケでは無いですが、サラリと書かれてるとも言い難いんですよね。
なんと言うか、読んでて本当に痛い。
彼等の末路まで、救いがない。
主人公である瓜生自体も、かなり痛い目に遭いますしね。
麻酔してあげて。
せめて、せめて止血してあげて。
瓜生じゃなくて私が悲鳴を上げそうになったよ

いや、う~ん?
前作の被害者ですが、読者とは直接関わりが無かった為、まだよかったんですよ。
でも今回の被害者は瓜生の友人として笑い怒りと、しっかり私の中で生きたキャラになっちゃってた。
だから、彼がよってたかって玩具にされてるのがこんなに辛いんだと思うんですけど。

まぁそんな感じで、お話としてもラブとしても本当に面白いし萌えるんですけど、オメガのキャラに対する悲惨すぎる描写で精神を殺られたので「萌」で。
ただ、今現在の私の状態がちょい弱ってるから無理だっただけで、元気に満ち溢れてる状態ならまず「神」にしたと思います。

そんなワケで、すごく面白いお話ではあるんですけど、弱ってる方や疲れてる方は避けた方がよろしいかと。
私もちょっと今、眠れないくらいショックとダメージを受けてるんですけど、また元気になったらじっくり読み直して楽しもうと思います。

それにしても、オメガを人間扱いしてないのが学園だけじゃなく、救おうとする警察側もってところが皮肉すぎて目眩がしますね。
学園はオメガの生徒を、警察は瓜生(囮捜査官)を完全なモノ扱い。
だから、彼等がこれほど悲惨な目にあう。
泣ける。