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萌作品

エキスパートレビューアー2022

女性fandesuさん

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槐を堪能するお話でした

萌えと言う点では「今一発、乗り切れませんでした」というのが正直なところ。
ただ、相変わらずお話は面白かったです。
LOVELOVEしくなくても萌えられる質なので、今回不発だったのは攻め様の弦宇が私のタイプでなかったからなんじゃなかろうかと思っております。

槐方面についてはとても興味深く読んだのですよ。
俯瞰することって恋から最も遠い場所の様な気がするのですよね。
恋に必要なのは良く解ることではなくて情動だと思うので。
でも『見る』ことは『恋すること』の近くにあるのではないかと。
このふたつに掠りながら、逃げずに自分を弦宇に向けて追い込んでいく槐はやたらカッコよかったです。
天使は天使でも裁いちゃったりする方の天使ですよね、槐は。

あ、萌えにブレーキがかかった理由がもうひとつばかりありました。
映画製作の現場が書かれるのですが、その製作方法にちょっと無理を感じまして。
監督までは解る、っていうか「思いっきりデフォルメすればないとは言えないかも」っていう感じなんですけれど、脚本家はぶっ飛び過ぎだと思うんですね……

いや、沙野さんが『役と現実の境目がなくなっていくふたり』を書きたかったのは良く解るんですよ。面白かったですし。

全然想像していたのと違って

表紙イラストに一目ぼれしちゃったんです。
私は元々、奈良画伯のファンなんですけれども、金髪の彼の目力がすごいでしょう?で、出版社あらすじだと眞弘が事故で死ぬはずだから「この写真の『おっとりした感じの坊ちゃん』が眞弘なのだろうか?ただ、金髪と黒髪をどっちが美男か?で比べたら、客観的には金髪が美男なんじゃないの?」という混乱もありまして、読みたくてたまらなくなったんですね。

うん。
この出版社あらすじ、ある意味上手いですよ。
いやいや、想像していたのと全然話が違うんで、結構「やられた~っ!」感がありました。当初「奈良画伯、違うんじゃねーの?」という疑問も、お話が始まってすぐ解決。やはり画伯の『物語に対する解りみの深さ』は揺らいでおりませんでした。

で、お話です。
最初はですね『幽〇白書』的なお話かと思ってたんですよ。
ところが輪廻転生ものでして。
閻魔大王が楊貴妃に産ませた息子である眞弘が晴斗の魂を求めて、何度も何度も生まれ変わるお話なんですよ。
これはね、ちょっと萌え、だったの。
ところがですね、森蘭丸の怨霊が出てきたあたりから自分に合わないお話を選んじまったな感がひたひた参りまして。
……最近のあたしはこの頃の歴史(特に解釈もの)が苦手なんですよ。

逆にですね、本能寺の変の辺りに深い関心をお持ちの姐さま方なら、このお話はどんぴしゃりなんだと思う。先月まで放映していた某大〇ドラマにはまった方とかなら、たぶん私よりも更に笑えるんじゃなかろうかと。

ひとつ付けた『萌』は、そのあたりのお話とは全く関係なく『肉体を失った2人が何もせずただずーっと寄り添っている』部分の描写がかなりグッと来たから。
ふざけっぱなしの樹生さんの文章の中にポンッと入っていたその部分が、なんかやたら恥ずかしくなっちゃうくらい萌えました。

普通っぽい大学生(入学したて)がいる

剣とドラゴンと魔法の世界に飛び込ませてくれるお話も好きですよ。
だけど昨年(2020年の1月末頃からかな)世界がこんな風になっちゃってからは、時折激しく『日常もの』が読みたくなるのですよ。過去の私は『なんでもない様な~』で始まるフレーズをサビ部分に持つ超有名なあの歌をギャグとして歌っていたりしていたのですけれども、あの頃の私はバカだったと思いますよ。幸せというものは本当に何ということもない日常の中にあるんだと今はつくづく思っています。

さて、このお話ですが。
上記出版社あらすじには大切なことが書いてありません。
このお話の受け様、浩太は真澄という幼馴染がいます。ふたりは本当に小さい頃から大学に入学したこの春までずーっと一緒でした。でもね、浩太と真澄が知り合ったのは、庭師である浩太の父が真澄のお屋敷で仕事をしていたから。
そう、2人の保護者の所得格差はとても大きいのです!

けれど、2人の関係に上下はなくて、甘え上手な真澄が、世話焼きでちょっと『おかん』が入っている浩太に甘えて来たという感じ。なので浩太は真澄からの『大学進学を契機に恋人と同棲したいので、祖父が所有しているマンションに一緒に住んでいるということにしてくれ』というお願いを断れません。

BLのお約束通り、このマンション、真澄の従兄の月之宮も祖父から鍵を渡されていて浩太とはちあわせをしてしまいます。そして、過去にちょっとした因縁のある2人が一緒に生活をすることとなって……っていう、非常に安心して読める展開。
うん。でも前述した通り、それがいいのよ。

浩太くんが『世話好きおかん』で原則良い人なら、月之宮はいわゆる『俺様』。
私、苦手なんですよね、俺様って。だって、頭が悪そうじゃないですか。
でも、月之宮の俺様はそうじゃなかった。
不快じゃない。
どっちかって言うと『不愛想』なんだと思います。おまけに『不器用』。
これが段々かわいく見えてきて。

普通の大学生と普通のスパダリ(笑)が繰り広げる、普通の(悪い意味ではありません!)BL。
読んでいてとてもほっこりしましたです。
幸せは日常の中に。

箱庭ですから

ある意味、伊勢原さんらしいタイトルだなとも思ったりします。
庭が自然の風景を模したものなら、箱庭はその庭を模したもの。
こうくんの風景は決して外に広がって行かないのですね。
で、敢えて「それでもよい」と言っているんだと思います。

正直に書きますが、家から一歩も出ずに近所の本屋に定期的に大量の本を配達させる『子ども』が近所にいたら、私は好奇心が疼きますね。
「どうして?」って思いますもん。
こうくんに関わる人って、みんなそんな感じなんじゃなかろうかと思うんですよ。
で、配達に行った本屋の反町はたまたま見ちゃった顔が、もろに好みだった、と。
まぁ、ある意味、恋なんてそんなもんですよね。

こうくんに対する反町の好意の表し方とか、虐待している父親からこうくんを守ろうとするやり方とか、反町のやっていることはあまり上手く行かなさそう。
でも、そこに「こんな風になったらいいのになぁ」という幼い善意を感じます。
純で稚い、箱庭でのままごとなんだと思うのですよ。
だからハッピーエンドなのに物悲しい気持ちです。

山岳三部作

と、なるのでしょうか?表題作が入って。
ただしこの表題作、尺が短いです。前の2作に比べるとちょっとさらっとしている様な気がするのですよね……ひょっとしたらガッツリと書かれているかもしれないのですが、残念ながら私の方が山岳用語をよく知らないのですよ。『天国に手が届く』と『恋してる、生きていく』では丁寧にご説明いただいたので分かった部分が多かったのですよね。もうちょっと噛んで含める様にヘリでの救助のカッコよさをお教えいただきたかった。だって『良く解らないけどメッチャクチャカッコよさそうな世界がそこにある』感覚だけは共有できたのですよ。
これがやたらめったらもったいないのでした。

同時収録作品は山岳三部作に登場した3カップルが登場するお話なんですけれど。
久々に佐和と小田切に会えたのは嬉しかったのですけれど、ファンサービス的なお話に感じられて「え?ひょっとして山岳関係のお話を書くのはこれでおしまいですか?」と思ってしまいました。
私としては、もっと沢山の山男達のお話が読みたい気持ちです。
多分、この世界を書くのは夕映さんが最適なんだと思うんですね。
ディアプラス文庫さん、是非よろしくお願いいたします。

長いプロローグ

多分、作者さまは長いお話がお得意なのだと思うのです。
で、このお話も『人間の世界の中には昔から狗という一族がいて、それも世界を左右する様な要職についている9つの家系がある』という世界観に基づいた膨大なお話の始まり部分、という感じがしました。
ただ、あとがきに『この世界をもう少し書き続けられますように!』と書かれていますので、続刊が出るかどうかは『この本の売れゆき次第』なのかもしれません。

なので全体が長いプロローグの様でした。
で、これがストレスフリーでするする読める。
上手いんですよ、文章が。
だけどプロローグなので、ドラマティックじゃないのですわ。
主役の2人もあっという間に惹かれ合い出来上がってしまうし、途中に『ランの誘拐』っていう、盛り上げればガンガン盛り上がっちゃうエピソードがあるにもかかわらず、そういうやり方はしないんですもの。

これでね、ある意味「続きが読みたい」気持ちが燃え上がりまして。
だって、せっかく『絶滅していると思われた狼の血をひく若者、おまけにオメガ』とか『狗族の王の息子として生まれ、神の様に美しい見た目を持ちながら王になることをずっと拒絶してきた男』とか『狗の血肉を食すればどんな病気も治ると信じる狂信者の集団』とか『狗族の中の地位争い』とか、もう、喰いつきたくなるエピソードのてんこ盛りなのに、全て書き込まずにさらっと終わっているの。
ってことは、これらは「続きは次巻で」ってことでしょう?

「読みたい読みたい」と思うんですけど、心配なのは「割と地味目なこのお話が売れるのか?」ってことなんです(失礼な発言かな?でも、面白いって思った本でもあんまり読まれなかったりするからなぁ……世の中が小説離れしているし)。

ええっと、前段の『 』内に書いてあることに反応された姐さまがいらっしゃったら、是非お手に取っていただき次巻の発売にお力をお貸しください。

タイトルからして

山藍さんと言いますか山藍先生は耽美小説の大家であらせられます。
ほんわかした部分をすべてそぎ取った様な文章で、情け容赦ないお話を展開してくださるその迫力に、何度も平伏して来たのですが。

……でも、私が山藍先生と言いますか山藍さんのことを好きで好きでたまらないのは、時折、私に向けてスマッシュヒットを飛ばしてくださるからです。
はい、大好物のトンチキ方面に!

2007年6月刊行のアンソロジー『エロとじ♥』掲載作品のこのお話、もうタイトルからしてぶっ飛んでいらっしゃいますが、内容もかなり明後日の方向にぶっ飛んでいます。
お医者さんごっこですよ!
それも肛門科の!
読めばわかりますが、この肛門科のお医者さんごっこって、実は産婦人科(実際は産夫人科なんだけど)のお医者さんごっこでもあるという訳の分からなさぶり(精一杯褒めています)。

この「あり得ないでしょ、こんな(笑)」というシュチュエーションを『冷笑の方向に行かせず読ませ続ける熱さ』っていうのがピカ一なんですよ、山藍さんのトンチキって。
途中で感じる様々な矛盾も「そんな些細なことっ!」とぶっ飛ばす、その強さがとても素敵で、そんでもって笑っちゃうんです。

あ、でも私スカ(浣腸プレイあり)ではないのとで萌えはそれほどでも。
あと『脅迫して無理矢理』が苦手な方はだめかもしれません。
こちらはラストまで読むと「へぇ~っ」があって、お話のイメージがガラッと変わりますが。

ちょっともやもや……

BLの世界だけではなく、小説そのものを読む人が減っているとのこと。
文字萌え、特に好みの文体に激しい萌えを感じる私としては、このような時代に新しく作家になられる方のご本は出来るだけ読みたいし、是非応援させていただきたいと思っております。

なので「めっちゃおもしろかったー!」と書かないのは心苦しくて。
ただですね、どうも私、呪詛話が苦手なのですよ。霊的なものってそもそも理屈では何ともならないことですよね?それが理屈っぽい私と合わないんだと思うんですよ。『もの〇け姫』とかですら文句つけたい部分があったりすんで。
なのでこの世界がお好きな方の評価とは大きく違ってくると思うんですね。

もうひとつ、もやもやした所があるんです。
こちらのお話の攻め様である妖狐の焔には、出版社あらすじにある様に妻がいたんですね。で、この妻、鈴蘭は起承転結の『起』の部分で呪詛返しの犠牲になって命を落としてしまうんですよ。
この書かれようがね、ちょっとすっきりしなかったんですわ。

そもそも焔と呪術師の雪華は幼少の頃から好き合っていて、完全なる『両片思い』状況なんですね。そこにある障害は『種族の違い』、特に呪術師とそれに仕える妖狐という、身分と言うか立場と言うか、その問題なんですけど。
でもこれ、ハードルとしてはそれほど高くないと思うのですよ。実際に最終的には、その部分には何の変化もないまま、障害を飛び越えますし。

そうなって来ると、なんかこの鈴蘭ちゃんが『障害のかさ上げ』のために登場した様にも見えちゃったんです……いや、そんな風に感じるのは私の底意地の悪さの所為だとも思うんですけどね。でもですね「主従の悲恋をえがくのはもっと色々な方法があると思うんだけど、なんであえて結婚を選んだのかなー?」と……

焔の祝言直前に桜の花の散る下で雪華が想いを打ち明けるシーンや、豊饒祭により春の訪れを知った雪の精霊たちが空へ帰って行くシーンなど、とても美しい光景が想像できる描写があちらこちらにありまして、そういう部分はとても好きなんですよ。
ごく普通の青春ものとかお書きいただけないでしょうか?次作にでも。

謎解きよりLOVE寄り

神香さんがあとがきに書かれている様に『LOVE寄り、ミステリはそこそこ』。
このお2人がお好きな方にはたまらなかったのではなかろうかと思います。
私は特にクレイトンがね、雪都を可愛がりたくて仕方ないのに、なかなか思う様にならないし、出来ない感じが「うふふふふ、かあいい」と思ったりしました。

でも、実は前作で私がグッと惹かれたのはミステリ部分なのですよ。「お、ハ〇カワ?」なんて思って楽しくなっちゃいましたし。
今回は謎解き部分のボリュームが少ないせいか、あまりあっちこっちに振り回されないまま犯人の告白が始まっちゃったので、ちょっと寂しい……いや、BLなんだから、この方が普通なのかもしれないんですが。

クレイトンの『FBI丸出しのアメリカン』な感じと雪都の『米国人から見たジャパニーズビューティーってこんななのかも』と思っちゃうキャラクターは、大層楽しめました。

すごく素直です

BLにはよくあることなのですが、あまりにも攻めさんがすんなり恋におちてしまっているので(当然の如く受けさんはその事実に気づいていない状態が長く続く訳ですが)最初の方を読んでいる時には「この恋愛フラグが最初っからおっ立っている感じは芝居をぶっているのであって、鼓太郎くんは騙されるのではないの?優しいふりをしているけど実は季史は闇の密売人かなんかで、鼓太郎を暗黒サーカスとかに売り飛ばして見世物にしようとしているんじゃないの?」などという阿保な妄想が頭を過ったりしましたが、決してそんな事にはならず看板の通り一途で可愛らしいお話でした。

こういうお話は安心して読める一方、素直でピュアなので、へそ曲がりの私はちょっと物足りない感じもしちゃいました。「もう少し、仕事が忙しくて弱っている時に読めばよかったかも」と思っています。