他人の苦しみは、周囲の人間には分かりません。
よほどの察してちゃんじゃない限り、周囲に分かるような素振りは見せないものですよね。
特に「イケメン/美人」ともなると恵まれている面ばかりが目について、やっかまれることもあるわけで。
中学から大学まで、ずっと同じ学校に通う足立と橘。
知り合ってからの期間は長いけれど、そこまで親しいわけじゃない。
そんな微妙な距離感ながら、橘にとって足立は因縁の相手でもあって…。
足立がモテモテキャラです。
「ザ・イケメン」という感じではなくて、作画的にはどちらかというと女性的な雰囲気漂う美人に分類されるのかな?
大変申し訳ないことに、作画ではそこまで足立がモテるようには見えません。
ただ目が大きくて、まつ毛も長めに描かれているので、周囲とはちょっち違うなと思える感じ。
「彼氏にしたい!」っていうよりも「愛でたい」っていう感じに見えます。
足立のビジュアルに関してはちょっと置いておいて、中学から大学までずっとこのモテ男が同じ学年にいたら、同性は悲劇ですね。
顔が良いだけじゃなくて、性格も優しいとなると、恋に夢見るお年頃の女子には格好の「理想の王子様」。
おかげさまで橘は中学で初めてできた彼女に、「足立に近付くためのダシに使った」とフラれたことを皮切りに、悉く好きになった女子は「足立が好き」という悲運。
足立が悪いわけじゃない、けど…という気持ちもわからないでもない。
足立が酔った橘を介抱したときに、強引に抱いてもらったことから物語が始まります。
切ないし、もどかしい!
橘目線で始まるので、最初は足立がよく分かりません。
足立を抱いたことで、自分をフってきた女子たちに優越感を得られるというよりも、「足立が自分を好き!?」って方に意識が行っちゃうところも分かるなあ。
それくらい衝撃だったわけで。
足立が一筋縄じゃいかない人物なおかげさまで、拗れに拗れます。
家庭の事情、周囲の目、自分がどう振る舞えばいいのか悩んでいたときに、助けてくれた橘。
回想の橘の行動がイケメンすぎて、惚れないわけがない!んですよね。
橘に彼女ができたとき、自分の思いとは裏腹に、橘と自分の間に溝が出来てしまったとき、どんどん足立の仮面が厚くなっていくのが悲しい。
恨まれていても、そばにいたい。
健気じゃないですか。しあわせになってほしいじゃないですか。
だけど素直になれないんだ…。橘のことを第一に考えてしまうんだ…。
ますます健気でございます。
足立を守りたい橘と、橘を守りたい足立。
思いは同じなのに、すれ違う。じれったい。切ない。どうにかして。
そう思いつつも読み進めると、さらに切ない場面が。
相野先生、わたしたちを切なさで事切れさせるおつもりかと。
ストーリーには満足です。
ストーカーの存在は微妙ではあったけれど、あの子の思いがあったから橘も踏み出せたわけで。
ただやっぱりわたしは足立のビジュアルが気になってしまったんだなあ。
すごくフェミニン過ぎて、女性にモテるように見えない…。
性格的にもわりとおどおどしているような場面が多くて、バイト先での客あしらいの様子もちょこっとしか出て来なかったから、コミュニケーション能力が高い子にも見えにくかったんですよね…。
そこが引っかかってしまったせいで、萌えが削られる結果に。
無念です。
よく見ている国際結婚夫夫のyoutuberが3組います。
その3組ともが、出会いはマッチングアプリだったという(1組は友人の紹介だったかも)事実に、本当にそういうアプリでの出会いが日常的なんだなあとしみじみ思っておりました。
たしか相手もゲイなのか探るところから始めるのは、ハードルが高すぎますね。
さて、この作品。
出会い系マッチングアプリでアポを取った相手が、実は上司でした!っていう設定自体は、そう目新しいものではないけれど、なかなか良いなと思ってました。
先も何となく予測できる展開だけど、面白いなと思ってました。
途中までは。
オープンゲイの桜木は本気の恋愛はしたくないタイプ。
それを耳にして、同じアプリをDLして自主練に勤しむ辺り、黒瀬が可愛い。
しかも黒瀬自体が攻め様っぽくも見える高身長風黒髪イケメンなので、余計に涙ぐましい努力ときめきます。
桜木の方も上司の知らなかった一面に、ぐらぐら心を揺さぶられまくっている様子が楽しくて、「もっとやれー」と思いながら読んでました。
中盤でCP成立してからが…、わたし的には長かった。
当て馬の匂いを感じさせるのはCP成立前にもあったことだけど、そこは成立前。
自分の思いにケリをつけなきゃ!なんていう切ないすれ違いを助長させてくれる役割を果たしているので、良いスパイスになってます。
だけど成立後の当て馬風味は、必要だったんだろうか?と思ってしまう。
そこまで引っ張る必要がないように感じてしまったんだよなあ。
おかげさまでCP成立辺りまで「萌2かな」と思っていた気持ちが、しおしおと萎んでいってしまいました。
黒瀬の実家の事情も蛇足に感じてしまって、それならふつうに「温泉旅行に来ました!」でいいじゃないかと思ったり。
プロジェクト中に注意力散漫になりたくないから、避けてたっていう黒瀬は、恋愛初心者だとしても、あまりにひとの気持ちを考えていなさすぎて、「エー…」ってなってしまったり。
そこまで引っ張らなければ「萌2」で行けたのに!と思うと残念でなりません。
作画はえろすシーンが結構汁気なので、「お、おう」ってなります。
えろすはちょっと…と言う方はご注意を。
なかなか興味深い話でした。
過去に深く傷ついた大人。
想いだけでは救えない相手がいることを知った少年。
拒絶されたことで、自分を取り繕うのをやめた少年。
恋に胸を躍らせる少年。
自分が受けた傷を治すことも乗り越えることもできずに、ただ同じところをぐるぐる回るだけの大人に対して、子供の方がより真剣に相手と向き合ってます。
まず前提として【淵底の蛇】。
主人公の吉井は養護教諭に片思いする高校2年生。
この子の恋が純粋でキラキラしているように描かれるほど、養護教諭の心の歪みが重く感じられる展開です。
クラスメイトの優等生・菅尾に片思いがバレてからが…、しんどい!
『パブリック・セックス』を読んだときに、なぜここまで歪ませるんだろう?と思ったものですが、そういう人間の黒い部分を描くことをライフワークにされている作家さんなのでしょうか。
養護教諭の浦川が、純粋な想いを打ち砕くやり方がエグすぎて…、怖いです。
そうして続く表題作では、ただひとを好きになっただけなのに、その相手に拒絶以上の衝撃を与えられた吉井が、自分を受け入れてくれる、想ってくれる相手に出会えるストーリー。
それと同時に、蛇のような浦川に心ごと絡め取られた菅尾のその後も描かれています。
断片的に見せられる浦川の過去は、かなりつらいものです。
好きになった相手に、一番きつい方法で拒絶された様子が見て取れます。
だからあのときの自分のように、無邪気に恋する誰かを傷付けたい。
そういう風になってしまうのも仕方ないのかもしれないとも思えます。
この浦川と対照的な存在として登場するのが、転校生の稜です。
彼もまた親友を好きになって、拒絶されたひとり。
ただ拒絶の方法が浦川のように心も体も打ち砕くようなものではなくて、心だけだったのが救いと言っていいのか、前向きに考えられる助けにはなっていたように感じます。
隠すからバレたときに拒絶される、それなら隠さなければいい。
そういう風に強くなった子です。
過去の経験の過酷さは比ではないかもしれないけれど、どちらも好きだった相手からの酷い拒絶を受けた人間。
その後にどう生きていくか、どうやって自分を立て直すか、という面で正反対に向かっていったのが興味深いと言うと語弊があるかも。深読みし甲斐があります。
その2人それぞれに向き合う吉井と菅尾も、大人にならざるを得ないというか、殻を破らざるを得なくて。
吉井は好意を向けてくる稜に対する自分の気持ちを受け入れること。
菅尾は自分が傷ついているから、相手も傷つけるという形でしかひとと深く関われない浦川に、自分の想いをきちんと受け取ってもらうこと。
そうやって、少年たちが少しずつ、前へ進んでいく一方で、浦川だけが取り残されているような感じになるものの、描き下ろしでその結果が見られるのが嬉しい。
重いです。
【淵底の蛇】が重すぎるので、かなり精神的にやられます。
なのでハッピーな結末を迎えても、素直に「萌え!」とは言えないんだよなあ…。
精神面で重めの作品を読みたいときには良いですが、萌えたい!というときには向かない作品かな思います。
タイムスリップ/タイムリープものって、真剣に考えると頭がおかしくなって来ませんか?
時系列とか条件を考えると、その時点に何度も戻っていくループが起こっているわけで、合わせ鏡に写った物をじーっと奥まで見ているような無限状態に頭がパンクしてしまうのに、そういう作品を読むと必ず考えてしまうんだよなあ。
というわけでこちら、タイムスリップものです。
大学で出会って親しくなって、親友と呼べる間柄になった利久と稜。
7年前、稜からの告白に聞こえなかったふりをしたことを、ずっと後悔し続けている利久に、彼女との結婚の予定を語る稜だったが…。
という始まり。
この作品では2回、タイムスリップが起こります。
1回目は利久。
彼女を紹介された帰り、地下鉄の駅で線路に落ちてしまったひとを助けようとして意識不明の重体になってしまった利久が7年前にタイムスリップ。
告白の日に戻ったことから、そのときの自分の対応を違うものにしようとするも、自分から告白しようとしても声が出ない、文字にも書けないというもどかしい状況。
2回目は稜。
バイク事故に遭った7年前の稜が、現在にタイムスリップします。
生死を彷徨う状態であることがタイムスリップの条件になっていて、自分から過去を変えるようなことは出来ない設定なのですが、これがじっくり考えるとよく分からなくなってきます。
過去に戻った利久は自分からは「好き」と伝えられないけれど、稜の告白にはyesを言えるんです。
それはいいんだけど、告白の場面が明らかに過去の経験と違っていて、何で?ってなる。
稜の告白の時間や方法が過去と違うということは、過去の稜に何らかの影響を与えて、過去を変えたってことだよね?って思ってしまう。
さらに7年後にタイムスリップしてきた過去の稜の記憶も、ちゃんと塗り替えられた告白シーンになってるんだけど、利久の方の記憶は塗り変わってないという。
えーと、説明下手すぎだ。
事故で瀕死の利久、7年前にタイムスリップ→稜の告白に自分も気持ちを伝えて、身も心も結ばれる瞬間に現在に戻る。
この1日の記憶が、7年前の利久にはないんです。
これってタイムスリップじゃなくて、単なる時空を超えた入れ替わりですよね?
想いが通じ合ったと思っている稜と、聞こえないふりをした利久は、条件的に同時に存在し得ないのに、どういうこと?と思ってしまいました。
ああ、だめだ。この話、筋を通そうとすると通らないことが多すぎて、その点を追求しようとするとものすごく長いレビューって言うより、検証になってしまう。
辻褄が合わないことが多い上に、バイク事故に遭った稜が利久のことだけ忘れるという大きなイベントまで盛り込まれているから、細かいことが気になる派の方は考えすぎて萌えが削られる可能性があります。
終わり良ければ全て良しなんだけど、釈然としない何かが残る。
そんな作品でした。
思わせぶりな含みがたくさんあるストーリー。
表題作と同時収録で、必要な情報はある程度得られます。
ただその情報ですっきりするか、もやっと感が残るかは、読者の性格次第かなと思う1冊。
生き別れになった弟を探している孤児院育ちの三葉(みつは)。
彼にとって「故郷」と呼べるのは、孤児院のある町だけ。
数年ぶりにそこへ帰って来た三葉が出会った少年は…。
探している弟と同じ名前で呼ばれる「ナナ」でした。
冒頭部分の視点でやや混乱しますが、1ページ目はナナ目線、三葉登場シーンから三葉目線です。
表題作は火事で名簿が焼けたせいで、行方知れずになっている弟を探す旅の途中で、どうしてもほうっておけないナナに出会った三葉と、同じように孤児として育ったものの、名前すらなく、拾ってくれたひとももう亡くなって、天涯孤独になったナナの話です。
これがすごく匂わせてくるんですよ。
まず、孤児院の火事というキーワードに呼応するかのように出てくる、火を怖がるナナのエピソード。
足に残る火傷の痕が古いものだから、「おや?これは…」って思わせます。
だけど名前の時点で、「名無し」の「ナナ」という名付けの由来から、まあ、別人なんだろうなという察しもつく。
いろいろな情報が錯綜していると言うか。
唯一の肉親を探し出したい三葉の気持ちは分かるけど、あてどなく探しても見つからないよなあ、と思う。
どこからか情報を得ているみたいだけど、具体的な捜索方法は不明です。
ナナの方も拾ってくれたオーナーが亡くなったことは分かる。
でもオーナーとナナの絆がどんなものだったかははっきりと分からない。
亡くなる瞬間まで、ナナのことを気にかけてくれたオーナーの年齢も分からなければ、親子みたいな環境だったのか、恋人のようになっていたのかも分かりません。
ただ分かるのは、ナナがベッドで寝たがらないことと、不眠症ということ。
あとオーナー亡き後だとは思うけど、適当な相手と寝るのを繰り返していたということくらい。
不眠症に悩まされていたのに、このひとのそばだと眠れるというエピソードはそう珍しくもないけど、それ以前にナナが不眠症になった理由がよく分からないから何とも言えないんです。
オーナーが生きていた頃はいつも一緒に寝ていたから、オーナーがいなくなったつらさから?とか、いろいろ想像はするものの、正解がないからスッキリしません。
同時収録を挟んだあとの、三葉とナナのその後もよく分からない。
免許の更新で北海道に行く三葉が、ナナをある島に置いていくのですが、その島の人々と三葉の関係もよく分からない。
分からないこと尽くしだけど、とりあえず天涯孤独な2人が寄り添って生きることに決めたのは分かる、という感じで、白黒ハッキリ!派には厳しいストーリー展開です。
同時収録は弟のナナオの話。
ナナオ(七音)は養子になって、血のつながらない弟と両親と4人家族で暮らしています。
そんな中、三葉の書いた旅行記を弟の部屋で見つけたナナオは、その本に興味を持って…という流れで、三葉とナナオが繋がるかと思いきや、うーむ。
そこはナナオの選択に意味があるので良いのですが、ナナオの知り合いの男性(カツヤ)がよく分かりません。
この人、ナナオよりもずいぶん年上に見えるけど、どういうつながり?出会い系?
好きな人はいるけど、その人への気持ちを断ち切るために別の人と…という空気は感じますが、はっきりとは描かれていないので、ここももやる。
いろいろもやります。
そこが良い!という方もいらっしゃると思うけれど、スッキリハッキリ解決!とか、出てきた情報はしっかり処理して!という方には、なかなか厳しい作品かと思います。
なかなかヘヴィーな1冊なので、気軽に読み返せずにいました。
でも今回、本腰入れて本棚整理中で、とにかく持っているコミックスは片っ端からレビューを入れていくと決めたからには読み返さねば。
ルームシェア相手を探していた西野と、往復5時間かけて通学している真木。
友人を介して知り合った2人が、一緒に暮らして、仲良くなって…。
居心地の良い関係ってありますよね。
もう完全に「友情!」っていう間柄で、どろどろした感情なんて入り込む隙もないような。
そういう関係を壊したくない西野と、西野を好きになってしまった真木。
気持ちのズレから来る温度差に戸惑うものの、どうにか元の関係に戻そうとする西野が…、はっきり言ってうざい。
「元の関係」に拘るけれど、徐々に自分の中に真木への執着がどんどん湧いてきて、それが隠せない状態になってるのに、拘る。
でも「元の関係」に戻るということは、居心地が良いのは西野だけで、真木にとってはずっと気持ちを抑え込まなければいけないという拷問が続くわけで…。
そういう「人の気持ち」が分からなすぎる加減が歴代1位です。
もう、読んでてイライラ。
自分の気持ちばっかりで、キイイイイってなります。
さらに真木の元カレ・柴崎がまためんどくさい。
結局誰しも、自分に好意のある人間をそばに置いておきたいものなんだろうなあ。
ギリギリのところで曖昧にしつつも、自分の都合だけで寂しさを埋めてもらうのに利用したいだけ。
しかもこのひと、ものすごいお金持ちっぽいんだけど、今年19になる真木とどこで知り合ったの?って思ってしまう。
少なくともちゃんとつきあっていたのは半年前。
ということは、大学入学前くらいに疎遠になったって考えると、ほんとにどこで出会ったの?って思うんだよなあ。
東京まで片道2時間半って、関東地方でもはずれの方じゃないだろうか?
そんなところに住んでいる高校生が、明らかに1年目じゃない社会人っぽい柴崎の片想いの相手(ノンケ)まで知ってるって、ほんとにどういう繋がり?
相手が真木のお兄さんだったとかなら分かるけど、そういう情報はなく。
細かいところも気になるし、主人公も苦手。
でもかろうじて萌えたのは、真木がしっかり意思表示できる子だったからです。
ノンケとゲイの壁。
男を好きになった気持ちを受け入れられない複雑な心境。
友達じゃだめなのか?と土壇場までごべたい気持ち。
そういうごちゃごちゃしたものを描き切った素晴らしい作品ではあるのですが、西野の赤面率が高過ぎて、「もう落ちてるのに、なぜ抗う!?」という気持ちが大きくなってしまうんだよなあ。
もっと西野が赤面せずに無邪気だったら、素直に萌えたのかもしれません。
2000年以前に描かれた作品も収録されているので、作画の振り幅が結構あります。
【純情と不埒】 萌2
親友のサトシから「宮澤先輩が好き」と打ち明けられた浩人。
男同士という以前に、浩人はナオ(宮澤)を抱いたばかりで…。
いやー、この話、ものっすごーーーーくその後が気になりませんか?
完全に当て馬になってしまったと言うか、思いがけず間に入って行ってしまった形になったサトシが、今後2人にどう接していくのかが気になって仕方ない!
【pretender】 中立
まどろっこしいと思っちゃいかんのだろうなと思いつつ、まどろっこしいと思ってしまう。
ずるいゲイと、勇敢な元ノンケのDK同士の話です。
ゲイの方の子がもだもだもだもだしていて、元ノンケが気の毒になります。
短気な人には向かない短編。
【瞳に鮮やかな緑】 萌
「変人」と専らの噂の園田を毛虫から守ってから、すっかり懐かれてしまった高宮。
髪を切って、周囲からすっかりイケメン扱いになった園田に、貢ぎに貢がれまくることに違和感を覚えて…という話。
園田がストーカー気質でちょっと怖い部分もあるけど、見ようによってはスパダリと言えなくもない。
スパダリって超有能なストーカーだったのか!と気付いた作品。
【セカンドラブ】 萌2
記憶力には自信のある榛野が、小学校の同窓会で見かけた見知らぬ顔。
久々の再会で榛野に謝らなければいけないほど、上永は過去に一体何をしたのか?
次第に解けていく記憶と今の気持ちが、ちょっとミステリー風味を交えて描かれた作品です。
全てを知った榛野のモノローグが秀逸なので、ぜひ読んでほしい!
【君のいちばんになりたい】 萌
意地っ張りくんと、一途だけど詰めが甘いDK。
ここまで長いこと好きだったなら、もっと頑張れ!と思ってしまうけど、もっと頑張っちゃうと話が全く違う方向に行ってしまうんだな…。
フラれたと思ってすぐ彼女作るキャラは、好きになれないんだよなあ。
収録順がなあ…。
一番最後に、一番古い作品を載せることで読後感が良くない方に左右されてしまう気がします。
最後の2つの順番が逆なら、もっとしあわせな気分で読み終えることができるのになあ、と思わずにはいられません。
ビジュアルは好き。
だけど性格が…というところで、いつも萌え切れない作品。
何とか萌えたくて読み返すこと7回目記念に、レビューを。
【wonderful days】(3話) 中立
高校からの友人で、大学生になった今はルームメイト。
外国の血が入った目を引く容姿でモデルもこなすレイと、ゲイなのにこちらも目を引く容姿でいつも合コンのダシにされる慎吾。
高1のとき、初めて自分がゲイであることを打ち明けられた慎吾にとって、レイは特別な存在だけど、いつ見ても違う女の子を連れているレイにとっては…?という話。
ツンデレ、だめなんだ…。
ツンデレにもいろいろ種類があるけれど、一番苦手なタイプのツンデレかもしれません。
強がるけど、相手を目の前にしたら赤面して気持ちがだだ漏れ。
このパターンが一番厳しい。
こういう子を目の前にした途端に、「受けも!プライドを!持つべし!」っていうわたしの潜在意識下にある「プライド至上主義」がめきめきと頭角を現してしまうんだよなあ…。萌えたかった…。
女遊びし放題でやってきたレイと、レイへの気持ちを自覚してからずーーーーっと貞操を守り続けてきた慎吾じゃレベルが違うのは分かるけど…、レイも自覚してからは必死に慎吾を追いかけてはいるけど、根底に「俺のことを健気に思い続けてきたコイツ」っていう優越感がチラチラ見えるのが嫌なんだ…。
言われて気付くのもアレだし、何だろうなあ、贅沢言い過ぎ?
あと慎吾の性格に中盤から急に「コミュ障」が付け足されたのも、「え?」って思う。
コミュ障で自分に自信がない子が合コンの客寄せは無理でしょう。
こういう取ってつけた「お前だけ」演出も苦手。
作画は好きだし、イケメン×美人という最高の素材を前に萌えることのできない自分を呪いたい気持ちで、毎回いっぱいになるんだな…。
【guilt】 萌2
半年前、元ルームメイトと元彼女にダブルで裏切られたシュウ。
傷心のシュウを家に住ませてくれた先輩。
そんな先輩が片想いしているバイト先のお客の永澤さん。
シュウが失くした手帳を拾ってくれたヒロセさん。
この4人が奇妙に絡まって進すストーリー。
大体予想がつくかと思いますが、こういうの、萌えるんだよなあ。
恋と恩の板挟みで、誰かのために自分が身を引けば…みたいな流れ、たまりません。
ただ毎回思うのは、結局ヒロセの本名はどっち?ということです。
同時収録はいつ見ても萌えます。
なので手放せない。
いつか表題作でも萌える人間になりたいものです。
年下攻めっていいですな。
背伸びして「(受けを)守ってあげたい」って頑張ってる姿が愛おしい。
【チャオチャオバンビーノ】 萌
出会いは12才と19才。
美少女にしか見えない優太と、塾でバイトしている大学生の要。
優太から滲み出る「攻め感」がすごい。
ファーストコンタクトでは要が優太を助けるけど、1年経って逆になっていく構図も良いです。
7才差だけど、イケメンくんに成長した優太の姿も見られるので満足。
【ハニーシトロン】 萌
優太の親友、マコとケイの話。
部活もクラスもバラバラ、塾だけが唯一の接点だったのに、ケイが「塾を辞めさせられるかもしれない」と言ったことから、マコが自分の抱えるモヤモヤに向き合うという流れ。
「好き」という感情はよく分からないけど、一緒にいたい、一緒にいるのが楽しいという気持ちはある。
どうして一緒にいたいのか、どうして一緒だと楽しいのか。
ピュアです。
心理描写が丁寧なので、初々しさにきゅんきゅんします。
【ステディゴーイング】【スウィングオーバー】【後日談】 萌
再び優太と要の話です。
告白→ステップアップという流れ。
優太がカッコいいんだけど…、この子、まだ中2…。
14才と21才なんだよなあと思ったら、素直に萌えることができぬ…。
しかも要の妹・ミサオ(18)が登場することで、要は焼きもち焼かないけど、こっちは何だかソワーっとした気持ちになるんだよんだよなあ。
まあ、18才(おそらく大学1年生)はいくら美少年でも中2の子を恋愛対象として見ないだろうけど、2人の距離の近さに不必要にモヤモヤ。
優太の人たらしっぷりを感じるせいかもしれませぬ。
【Brand new Wednesday】(3話) 萌
こちらも中2×大学生。
優太もそうなんだけどカナが全然中2に見えないので、そこを意識しなければ、「中学生相手はちょっと…」という方でも案外すんなり受け入れられると思います。
身長が伸び出したことでモテ始めたカナ(中2)は、まだ恋が分からない。
分からないけど、家庭教師の悟のことを考えると…、という、初恋の自覚と、年の差ゆえの大人の分別の話です。
作画だけ見てると高校2年生と大学生に見えるので、そこまで違和感はないんだけど、ふとした瞬間に引き戻される「中2」という現実が、萌えを萎えさせる…。
なぜ、中学生だったんだろうか…。
今はいろいろあって中学生同士ならOKだけど、中学生と大人っていうのは出版されなくなっているのか、見かけませんね。
初対面が小学生〜中学生でも、成就するのは18才過ぎてからとか。
青少年的な条例の問題なのでしょうか。
スパダリ風でも、体だけ大きくても、中学生は中学生と思ってしまう方は、萌え切れないかもしれません。
漫研の名前って、その学校ごとに違うものなんだなあ。
わたしの母校ではCIC(コミックイラストクラブ)という名前でした。
校舎の屋上にあった部室が軽音部の隣だったので、ドアに貼られた裸の男性が抱き合うイラストに、いつも「おお…おう」と思っていたものです。
あれから数十年。
まさか自分が率先して裸の男性が絡み合う作品を読みまくっているとは思いませんでした。
【SMCへようこそ】(4話)
全編通して内輪でワーワー感に溢れてます。
こういう作品読むと時代を感じざるを得ません。
中学生のときに行った高校の文化祭で、漫研部員の素晴らしい作品に出会った飛巴里(ひばり)。
その部員に近付きたくて、猛勉強の末、入学してみると…。
SMC(誠条高校漫画クラブ)の部室では、学園のアイドルと生徒会長がいちゃこら。
憧れの人はとんでもない暴君でした、という流れ。
黒髪眼鏡+小柄だけど強気な主人公が、一筋縄じゃいかない面々を相手に奮闘するというストーリー。
憧れの人・千年が「面白い」から「可愛い」になって「好き」と思うまでがかなりあっさりなので、気付いたら溺愛系になっているものの、本気なのかよくわからないまま、ところどころで本気っぽい様子を見せるので、「ああ、本気なんだ?」という感じ。
最初の段階で学園のアイドル(高3)、憧れの人(高3)、生徒会長(高2)と書いてあったのですが、卒業式が来ても誰も卒業しない感じでした。
【Mana -hatta scrapper】
『マンハッタン恋物語』で描かれている4組の中で、一応メインと言えるCP、有名財閥の会長のロック×花屋の店員・ダイヤモンドの出会い編。
あちらでもダイヤモンドが女性にしか見えませんでしたが、今回ハロウィンでウェディングドレスを着ているので、ますます女性。
こう言う場合、攻めは女性的な男性だから好意を持てたのかな?と思ってしまうんだなあ。
【早春物語】
肺を患って田舎で療養するイツキ(18)の元へやって来た、遠い親戚の子供・草太(11)。
草太に振り回されつつも、絆ができていくという話。
これ、草太が大人になってからの話が読んでみたかったです。
こういう時代があって、その後の作品へと変わっていったのだな、と天禅先生の歴史を知るには良い作品集です。