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女性chikakumacoさん

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甘い香りが立ち上りそうな、彼等の微熱を感じて。

作中に出て来る言葉「挙体芳香」。初めて聞く言葉だから調べてしまいましたよ。赤ちゃんがミルクの匂いがするだとか、美人は良い匂いがするだとか。所謂身体から発する香りの事らしい。
身体から誘惑する香りを発する特殊体質のその名も「馨」は、調香の仕事をしている。我知らず周りの人々を夢中にさせてしまう自分の匂いに困惑している馨には、一度匂いをリセットする「0番」を開発する事に余念が無い。そこへ、欧州で調香師として名を馳せている翔生が開発に加わる事になる。鋭い嗅覚を持つ翔生は、馨の甘い匂いに惹かれながらも、理性を失なう事は無い。安心して身を任せた馨は、あんな事やこんな事を許してしまい…、といった、想像の範囲内の展開。さすが、しゅがーぺろぺろ先生、エッチぃです。翔生は探究心で馨の香りを暴きたい。やや乙女思考の馨は、匂いそのものでは無く、初めて自分本体を見て貰えている、などと喜んで身を任せているので、おそらくすれ違い必至。本作ではまだ序盤なので、その辺りのギスギスは、次巻へと持ち越されてしまう。まぁ、仲直りエチするんだろうけどなっ!馨がひたすらグズグズにヤラレてしまうんだろうけどなっ!
日本人はよっぽどワキガでも無い限り、体臭は無いと思う。付けた香水の香りがそのまま香る。コロン、とか。同じ香りが続くトワレでは無く、香水が好きだ。時間と共に香りには変化があり。本作のタイトルにもなっている「ラストノート」で締め括られる。体温の上昇で、変わって行く様も好きだ。香りが時間の経過を現している。

本作はオメガバースでは無いけれど。α が感じる Ω の「甘い香り」というのは、常々ゼラニウムの様な香りでは無いかと思っている。馨がその身体から発する「エッチな匂い」とはどんなものだろう。番外編の「another note」で、コンビニの店員が翔生を見て「雄みエグい」と称しているが、翔生の濃ゆい匂いは、作中にも出て来たムスク(=麝香)だろう。私は匂いフェチでは無いけれど、アロマや香水が好きだ。彼等の香りを想像しながら読むのは楽しい。そして、良い匂いをさせている筈の彼等の事後、どうかイカ臭い匂いじゃ無い事を願っている。そこはファンタジーだからねぇ。馨の匂いがイカ臭いすえた匂いに勝って欲しいなぁ、って思う。

巨人族の花嫁 5 コミック

ITKZ 

コーイチ、賢者となるか。

えーっと、前巻はどこまでだったかな、と読み返すと。
もぅ結構楽々、カイウスの巨根を受け入れてそうなコーイチなのに。割と真面目に励んでいるのは、2人にとって、セックスは、愛を確認し合うもの、という大前提の他に、互いの魔力のバイパスを高め合う様になっているらしい。
これはもしかすると、「奇跡」と呼ばれるご懐妊の兆しなんじゃなかろうか。
そうすれば全てが解決するのに。

緊急招集された王国議会で、コーイチは「花嫁問答」を受ける事になる。
何なの⁈ 禅問答なの⁈ イソップ童話なの⁈
次代の王を継ぐ者として、男花嫁を迎えるカイウスは相応しく無い、という反対派一派に押されて、コーイチは、花嫁の資質を問われるのだ。
はて。この問答が何問あるのかはさておき。
1問目。翼人族のマルテバは、1年孵らない卵を孵して欲しいとコーイチに告ぐ。
隣国ハグバースの王子・マルテバ殿下の悩みにもなっているこの卵の孵化に成功すれば、両国間の友好の証になるだろう。
コーイチは、市井に降りて、翼人族の人々と交流する事で、その糸口を掴もうとするが。
果たして成功するのか。というところで次巻へと続く。

もぅ、体格差エチをドンドンヤッてくばっかりの話になって来てたから、少々飽きて来てたんですけど。そういえば、カイウス王子が王位を継ぐ事に反対している一派に、コーイチは何度と無く命を狙われてもいるし。そうこうしている内に、現王であるカイウスの父の命も
尽きそうなんですよね。預言によってコーイチはカイウス王子の花嫁として召喚されたけれども、そもそも男花嫁だと後継者どうするの問題とか、割と解決しなければならない事は山積していて。この2人はエチエチしてばっかりでは無くて、結構忙しくしていたのだった。
翼人族というのが、ほぼ見た目天使!というので、両性具有。そう言えば天使に性別無いという俗説も有った様な。
物語後半、いつも卵を赤ん坊の様に抱いているコーイチはもはや母親の様だし。孵った子供が雛の様にコーイチに懐くと良いなぁ、なんてほのぼのしてしまう。
コーイチは難問を解く賢者花嫁となるのか。
そもそも何か不思議な力でコーイチが懐妊すれば全て解決なんで。
そっちが先か。何処まで続くのー⁈ な、物語に今しばらく付き合おうと思います。
卵の謎知りたいし。

カイウス王子とのエチも、体位を変えて披露。翼人族の性交を真似てみる2人。翼人族は大きな翼があるというので、とか意味付けしてるけど。多分48手的なアレだと思う。今後、そういう意味でも色々ヤッて行きそうな2人である。コーイチがバスケやってて、鍛えられた身体というのもあるけど、引き締まった脚が、その膝下が長いのが、本当にエッチぃなぁって思う。

社畜成果現わる‼︎

セイイチローの努力の成果で、瘴気の元凶である木の周りに結界を張り、根本的な解決を図るという作戦は、一応の目処がつく。
しかし、それは聖女崇拝を教義信仰する派には受け入れ難い事だった。
私は、前巻の終わりでセイイチローが目論んだ事が本巻で一気に解決されると思っていたので、少しビックリする。セイイチローの考えでは、しばらくは、聖女の行なう浄化と共存するやり方であって。これまでと、現在を、否定しているわけでは無い。今後、むやみに異世界から無関係の人たちを勝手に召喚する事なく、平和的にこの世界を護ろうとするものだ。
それでも。聖女信仰のある事で、何らかの利益を得ていたのだろう教会や貴族から激しい反発を喰らう。一転したのは、他ならぬ聖女と奉られていたユアの涙。彼女はちやほやされているだけの娘では無かった。元の世界に帰りたい!と叫ぶ彼女の声に、愕然とする王子。
セイイチローは、ユアは、果たして元の世界に戻れるのか。
一方で。セイイチローは、相変わらず魔素に弱い身体を守る為に、アレシュ様と身体を重ねていたが、実は最後までヤッたのは、死にかけた時の2回だという。抱きしめられている内に、アレシュ様の想いに気付いているセイイチロー。仕事が一段落するまでは、彼の想いに応えられないと思っているが、こうして「効率的」に身体を寄せ合う事を逆手に取って迫ろうとしているのだと、アレシュ様に開き直られてしまう。セイイチローは、意外にも恋の機微に鈍い男では無く。アレシュ様も、意外にも素直に気持ちを吐露する男であった。
あくまでも「効率的」に、身体を守る手段だと割り切っているセイイチローが、愛し合うこと、悦びを感じることとして、アレシュ様に存分に抱かれる日が来ると良いなぁー。

異世界でも社蓄を自認しているセイイチローだが。この世界で、瘴気が起これば、ただ異世界から聖女を召喚すればいいと思っているだけで、他の解決法を考えもしなかった、いわゆる「思考停止」状態に陥っていたことを看破するシーンがある。短いセリフの応酬でそれは終わるが、何度見返しても清々しい。「仕事」をしていると、この「思考停止」状態が如何に無駄で、理不尽な事かとぶち当たる事が多い。
「思考停止」は、一見楽だが、そこからは何も生まれはしないのだと。セイイチローは、作者は、「仕事」のあり方、向き合い方を、改めて示唆してくれる。私は今日、どうだろう。思考停止せずに物事に当たれているかな、なんて。心得も新たに今日も仕事する。そういう意味ではこれも「お仕事BL」かもしれない。

アンダーグラウンドに咲く花は。

佐崎いま先生+高瀬ろく先生のタッグと言えば。煙草の煙に発情する「任侠の男に飼われています。」や、オメガバースを横目に、独自の発情期を設定した「発情期じゃなきゃ殴ってる!」など。とにかくその「トンデモ」設定に毎度驚かされてしまう作家さん。
本作も「淫紋」というので、どんなエチエチ設定なのかと思ったら。
他の作家さんなら。「淫紋」は、特殊体質で。「そういう性質」の男の腹に浮かび上がるもの、というのが定石だけど。こちらは、特殊な刺青で彫ったものだという。媚薬が盛られ、人肌に温まると咲き、発情を誘発する。人為的なのだ。冒頭からもぅ。逆に「トンデモ」である。ヤクザの家に生まれたハルは、敵対する組織に父を殺され、組は解散させられてしまう。囚われたハルは、「淫紋」の様な刺青を入れられて、ウリをさせられるというのだ。
身体検査を担当した、組の闇医者・望月は、店に出す前の手解きと称して、ハルの最初の男になる。ここで。望月は、ハルを気に入って店には出さないでおいてくれるのかと思えば。
風俗店で名を売って、組長の側に行けば父親の復讐が出来る、などとハルを焚きつける。
えっ⁈ アンタ、ハルに他所の男に抱かれまくれって言ってんの⁈ という驚き。
ハルに絆されている望月もまた。組長に復讐をしたいという仄暗い野心があった。
アンダーグラウンドに生きる、男の、ややシリアスな展開。
「復讐」に燃える黒い焔は、彼らを焼き尽くすのか。否。
佐崎いま先生+高瀬ろく先生の描くヤクザは、どこか。返り血を浴びて尚、生臭い匂いを発しない。この設定の中で、非常に穏便に収束する。これもまた両先生らしいと言えばそうなんだろう。残酷に終わらないというのもホッと安心させてくれる「らしさ」だ、と思う。

そして。「攻め」は、必ずと言っていい、いつもの黒髪のイケメンだ。流し目が色っぽくて、ちょっと悪い男。しっかり引き締まった身体の細マッチョ。
「受け」は、可愛いけれど、綺麗めの男。コレはいつも通りでは無いかも。けれど、いつだって「攻め」よりは細いのだ。
望月がハルを溺愛している、その後の話と、描き下ろしに淡い「萌え」を添えて。
エチはあるものの、行為以外のところにこそ、「萌え」があるというのも、また。

人を好きになるって怖くて。嬉しい。

かの映画のタイトルを思い出すが、それとは意味が異なる。「カスタマーベリック」のマーベリックとは、ジェンダーを意味する造語。男とか、女とか、関係無くて。既存のカタチは関係無い、人を好きになる気持ちって、恋って。こういう事だよね!っていうハッピーを、その切なさを、タイトルに込めたのかなぁって。深読みしている。
タイトルにカスタマーと付いてるのは、分かりやすくスピンオフだよ、と。本作は「カスタマスカレード!」の江藤さんご指名の、渋谷くんが主役。私としては、江藤さん同様に男同士のカップルでワケあり風な綾瀬さんを御指名頂きたかったところだが。
渋谷くんも「カスタマスカレード!」本編中に、女の子好きのノンケの筈だが、幼ない頃に近所のお姉さんに無理矢理サレてから、女性が怖くなって苦手になったと話していたので、存分にフラグは立ててあったのだ。というわけで、一見チャラそうでワケありの渋谷くんは、軽そうな新キャラ目黒くんと出逢う。
互いに軽いので、サッサと済ませること済ませるし、付き合う!と宣言もしているのに。
渋谷くんが「キスは本当に好きになった女の子としたい!」などと言うものだから、ワケが分からず傷付いた目黒くんは、キレてしまう。渋谷くんもキスされた事で、目黒くんにキレている。何故。どうして?自ら関係をややこしくしては、拗れ合う2人。
心と心のピュアっピュアのセックスとは何ぞや⁈
綺麗な顔をしているから。近所のお姉さんや男の先輩に群がられて、辟易してきた渋谷くんは、未だ恋を知らない。
そして。恋愛下手あるある。というか、男が言いがちあるある。
渋谷くんは、目黒くんに(自分が)好きになるのはいい。「好きになられるのが怖い。」などと口走ってしまう。これもまた真理。
つまり。目黒くんは渋谷くんを怖がらせない様に、好きになる気持ちをセーブして。
渋谷くんは楽しい筈の永遠の片想いを満喫しようとする。
永遠の片想いや嫉妬に疑心暗鬼になる事の辛さ。そう。いつも受け身で、人に好きになられる事よりも、人を好きになる方がずっと怖くて。その先に嬉しい気持ちもある。
と言う事を、渋谷くんは身を持って知って行くという物語になって行く。
そして。人に依存しがちで、その気持ちを「激重」だとフラレた経験のあるこれまたワケありの目黒くんは、「人に期待しない」事で精神の均衡を保っていたのに。渋谷くんに心乱されてしまうのだ。
「人を好きにならない(様にしている)男」VS「人に好かれたく無い(んだと思いこんでいる)男」
の騒々しいから騒ぎ。
自分の気持ちに気付いて、「好き」を伝えるだけなのに。

気持ち捻れて拗れて。膨大な台詞と、気持ちの吐露。そして、結果的には大団円。
うみこ先生のキャラクターに対する温かさはここにも健在。
ずぷずぷエチも現在。短冊では隠し切れない渋谷くんの渋谷くんが可愛い。

なすがまま。されるがまま。

蒼良は、非モテだったアオハル時代のリベンジとばかりに、どう見ても「受け」なのに、「攻め」然とした真嶋を(性的に)虐めてやろうとしたものの、アッサリ、ガッツリ、されるがまま、戴かれてしまう。もぅ冒頭で読み手側には分かってしまう。真嶋は、相当蒼良を気に入っていて。中学時代も、蒼良が女子に告白する前に、押しの強い自分のイケメンっぷりを活かして、女子達を掻っ攫っていた事。素直になれない真嶋は、そんな風にしか出来なかったのだ。後半には真嶋視点が描かれる事で、それは詳らかになって行く。
問題は、斜め上に思考が飛躍する蒼良の方。ふわふわしたファンタジー小説を書くことを生業としているからか。夢見がちな蒼良は、意固地になって真嶋を抱こうと思っている。
いや、どう見ても君、「受け」だから!!
真嶋を陥落させる事が目的だった筈なのに。いつも気持ち良くイカされてしまう。
そればかりか。真嶋が謎の女に貢いでいるのを気にして、心まで持ってかれてしまうのだ。
真嶋にたかっている、と思われた清楚系ビッチ風の女は、詐欺師では無く。行きがかりで真嶋に助けられ、人道的な好意を受けていただけだった。まぁ、女の方は真嶋にワンチャンあれば、の気持ちは有った様にも思うけど。
真嶋は、困っている子連れの女を気の毒に思っただけ。
しかも、女の顔が蒼良に似ていたから、なんて。真嶋にとってはずっと。蒼良だけが特別だったのだ。
強面の真嶋の恋が実るまで。コミカルに描かれた物語。結局。蒼良は、なすがまま。されるがままに流されて、奪われる。めでたし!
エチ度は作品毎にUPしてる気はしますけど、宝井さき先生の作品では「変態執事から逃げられません!」が一番好き。それを超える作品を待ち望んでます。

静寂と静謐と。

加東セツコ先生の作品の、白と黒。コントラストの効いた絵は、緊張感を煽る。
絵は静謐なまでにひたひたと静かで。
確か2作品ほど前は、ホラーめいているらしく、ビビリーの私は手に取れなかった。
本作は記憶喪失というミステリーめいた展開。
リーマンの生雲は、事故で頭を強く打った衝撃で、部分的な記憶障害となる。
一人暮らしの部屋に染み付いている、恋人が居たらしい痕跡。
自分に懐いている会社の部下、事故以前にも頭痛の治療をしていた医師。
イケメンの管理人。この3人の中に果たして恋人は居るのか。
何故、恋人は生雲の窮地に見舞いにも来ないのか。
白と黒のコントラストは、読み手側に異常な緊張感を強いる。
「恋人だけが思い出せない」のでは無い。
自分に関わる恋人以外の人も思い出せないのだ。コレはズルい。
私は最初、生雲がとんだクソビッチで、3人もの恋人がいるのかと思ってしまったよ。
実際には、生雲が隙だらけのせいで、ウッカリ後輩に唇を奪われてしまう、とか。
『合意を確認されたら拒絶していた。』と思っているのに、流されて管理人に身体を許してしまってたり、とか。
ビッチの素養がアリアリなのだ。大体、仕事を助けて貰ったお礼がしたいのなら、外で食事をご馳走すれば良かっただけの事。何故、部屋に招き入れる事がお礼なのか。元々特別な好意を抱いているだろう後輩が、その気を出しても仕方がないだろう。
思い出せないという不安から、優しくしてくれる主治医が恋人なのかと、その気持ちを疑ってみたり。
何なら事故なのに、親戚に連絡もせず、甲斐甲斐しく世話を焼く課長も生雲に気があるのかと疑ってしまったよ。
子供の頃に両親を亡くし、面倒をみてくれていた叔父に、生雲は淡い思慕を抱いていたんだろう。年上の男が好きだというのは、それが発端なのだと匂わせてもいる。
真相を暴くというよりも、なし崩し的に真相は解明される。
日名川は余裕のあるフリをしていたつもり、だったみたいだけど。
生雲から父親の様に頼られる事も、恋人らしく甘やかせる事も。両方の役割でありたかったという熱烈な気持ちを「描き下ろし番外編」で明かしている。
では何故。意地を張って素知らぬフリをしていたのか。よく辛抱していたな。
生雲は、男の庇護欲を我知らず掻き立てるのだという。
やっぱりビッチの素養はアリアリなのだ。

加東先生の絵は、これ見よがしに局部を描いたりはしない。覆い被さる身体だけだ。
それでも。生雲は何だかエロいし。管理人もエロい。清潔感ある医師もめちゃくちゃエロい。やっぱり全員とお手合わせして頂きたかったなぁ。

これで完結してしまうなんて!

思うに。全ての回収が済んではいないんですよ!(哀しみ。)
もっと、もっと、と楽しみにしていたんです。
絵の粗さに言及されていた方もいたかと思うんですが、私としては、この硬さというか、
ギクシャク感は、コレはこれでアリ!だったのですが。結末を急いだ為か。硬いというよりも、その粗雑さが目についてしまいました。

1巻の終わり、飲み過ぎて酔ってしまったジュンヤは、ダリウス騎士団長に押し倒されてしまう。
しかし、ヤリチンだと言われたダリウスも、ジュンヤに本気なせいか。大事にしたいと思ったのか。抜き合いで終わる夜。いやー、ここで純潔を散らされてしまうと、ジュンヤは神子でなくなってしまいますからね!そう、水の浄化を行なう神子は処女である筈なのだ。
異世界召喚に巻き込まれてしまったジュンヤこそが本物の神子。
折りしも、神子だと見込まれていたアユムに浄化の力が無いことに気付いた神殿は、ジュンヤを攫って、貯水池の瘴気を浄化をさせる。ジュンヤこそが本物の神子だと認めた大司教は、ジュンヤに謝罪するが、ジュンヤはアユムの立場を慮って、自分は浄化は行なうが、あくまでも影に徹して、アユムを神子としてこのまま立てておいて欲しいと伝える。
良くある召喚モノと違い、力の無いアユムも天真爛漫な男の子。神子の立場にしがみ付く様な卑怯な子では無い。そして後に、アユムにも浄化以外の「創造の力」が発動する事になる。残念ながら希望していたBL的逆ハーにはならなかったアユムだが、異世界に来てからずっと側に居たアリアーシュと恋仲になり、ひとりの人と恋をするという大事な事に気付く。
神子であるジュンヤこそが逆ハーエンドのモテモテになる。
貯水池でジュンヤと神官が見た「穢れ」は、それで終わったわけでは無い。ジュンヤは王子や騎士団長、神官に守られながら浄化の旅に出る。というところで物語は終わる。
えええー⁈
「穢れ」は故意に作られた「呪い」だと言う。一体誰が?何の為に⁈とか。
現王は、アユムを神子だと信じていたので、ジュンヤを敵視していたが、実はジュンヤが神子だと知ってどう思ったのか。とか。
大体、男好きでアユムにセクハラかましてた現王は、アユムが処女だと思ってたから触る程度で済んでたと思うけど。勝手に裏切られたと思って報復するか、これ幸いと襲うかしそうなものだけど、2巻ではさっぱり登場しないので、動向も分からず。

過去に何かがあって、(親が側室と不仲とか言ってたアレ?)恋を諦めていたエリアス王子は、すっかりジュンヤの虜。
エリアス王子は、ジュンヤを神子として処女のままにしておかなければならないというので、口淫させる。
ノンケの筈のジュンヤは、エリアス王子のキスで乱されてつい。王子の王子を口へ。
何と。浄化後の疲労は、エロく欲しがり、それで快復する仕組みらしい。処女なのに危なかっしいシステムである。神子を庇護する者の精気なら良いそうなので、ジュンヤを護りたい男共にとってはウハウハである。
私としてはエリアス王子と結ばれて欲しかったところだが、ダリウスも諦めてはいない。
ツンデレの神官マテリオの心にも火が点りそうだし。騎士団の面々もきっと皆んなジュンヤが好きだよね!心優しき侍従のエルビスとのエピソードも欲しいところだし。
ジュンヤがモテてモテてモテる!イベントをそれぞれもっと楽しみたかったです。
全然足りない‼︎
短いエピソードを連ねた番外編が32ページもあるのは嬉しいけれど、それぞれ、「部下の教育に苦労するラドクルドと、ダリウスの悪影響ぶりに苦労するエルビスとの苦労性同志の友情」とか。「元の世界の漢字を書いて喜ばれるエピソード」とか、「ジュンヤの乱れ姿が可愛いと言い合い、マウントを取り合う王子と騎士団長」とか、他愛の無いものばかり。
浄化が終わり、いよいよ処女喪失のジュンヤ!とか。浄化にまつわる色々な問題を解決して、タイトル通りこの世界でジュンヤが「自立を目指す」ところまで見てみたかったです。

お人好しは美味しく頂かれてしまいました。

タイトルがもぅ。BL界で連綿と続いた出オチ感満載。何だったら結末だって分かっている。逆に言うならこの王道過ぎるテーマを如何に楽しませてくれるのか?という期待しか無い。うふふな展開を楽しみに読む。
お人好しを絵に描いたような彩くんは、うっかり行き倒れたのを啓斗先生に助けられ、色んなところを触診された挙句、結構な所まで許してしまう。ホンットにスピード展開。これはレディコミだってTLだって、男性向けエロにだって。良くあるものだ。そこでハタと私は気付く。なし崩し的にヤラレてしまう事に悦びを感じる、というファンタジーを信じている男が一定数いる事を。女性性にとっては恐怖でしか無い事を、「女は無理やりヤラレてしまう事が好き。」と信じているバカがいるという事は、こういう漫画の刷り込みに依るところが大きいらしい。なので。男同士、というのは理に適っていて、もはや説得力しか無いのだ。(屁理屈)と、言うわけで。彩くんは哀れ、定石通り、啓斗先生を好きになってしまう。自分の、主に身体を悦ばせてくれる啓斗先生を想って、いそいそと準備まで始めてしまう。
啓斗先生が実家の大病院を出て、小さなクリニックを経営しているのは、家族にゲイバレしたからだと思っていたが、そうでも無く。単に家族と折り合いが悪かったから。父が倒れたというので、大病院の為に、啓斗先生を家に戻そうとする兄に、彩くんは脅されたり、説得されたりするものの。それ程の大ごとにならずに一応の解決と相成る。
この兄と啓斗先生が対峙する121ページの下のコマ。クリニックの受付前に居る2人の兄寄りに「受付」の「受」が見えるのが可笑しい。もしスピンオフがあるのなら、兄は確実に「受け」なんだろう。

トントンと進んで行くので、それ程の山場も無し。技師で、モサ男の守矢さんは実はイケメン!とかいうエピソードも無く。イケおじ看護師の佐伯さんも活躍する事も無く。
啓斗先生と彩くんだけで物語は終わる。
彩くんの乳首に一目惚れしたという啓斗先生は、迷う事なく彩くんの全てを好きになっている。そもそも乳首にそれ程のこだわりは無さそうな。啓斗先生のいい身体に小粒な乳首、という方が萌。
修正は肝心のところがホワホワ白抜き。なので、啓斗先生の啓斗先生はとっても大きく見えます。

人を愛する物語。

民族BL、堂々の完結編。
表紙のルーイが幸せそうで嬉しい。良かったね、ルーイ。
ここに至る物語をまた最初から読み返して、物語世界に没入する。
大きな事件は覚えているものの、この「世界観」に浸るにはやはり。一巻からの一気読みは欠かせない。というか。「狼は恋に啼く」から連なるサーガをまた読み返さずにはいられない。
運命に翻弄されながら、温かく、時には激しく。交わされて来た愛の叙情詩。彼等の民族としての歴史。生きて行く術を。麗しい文化を記した絵と共に味わう幸せ。
終わってしまう事の寂しさ。

ルーイの母国、と言っても「半陰陽」と蔑まれたルーイは、ほぼ幽閉されていた記憶しか無い。西の国と開戦した「狼の国」は、アズラクを生きたまま引き渡す事と引き換えに休戦となる。休戦の報告を受けたゼスは、帰途、敵に襲われ、重傷を負う。ううっ。せっかく休戦したのに。無傷で帰って欲しかった。その傷は、永遠にゼスの顔に遺り、左眼は失明する。
だが。命は取り留めたのだ。共に生きたいと願うルーイの願い。ゼスのルーイへの想いの強さの為か。
そのどさくさに紛れ、2人の結婚を認めていなかった父王は崩御する。政務を取り仕切っていた兄、ハシの采配で、旧い因習に囚われていた「狼の国」は、文化を継承しながらも新しい国を目指して行くと誓い、ゼスとルーイ、ユルールも新国王を支えて生きて行く。
という一応の「めでたし!」で終わる。
何かと傲慢で、気味が悪い悪役、「西の国」ザハブ王が成敗されたり、死んだりする事が無く。そこはモヤる。勧善懲悪はここには無い。「西の国」は揺るが無い大国のまま。
ルーイのトラウマになっていた兄・アズラクもまた、愛の為に生きていた事を知り、彼は「西の国」に引き渡される事も無く、生きて逃れている。まぁ、アズラクも可哀想だったから、それは良いんだけど。
ザバブが何ともなって無い、というのが如何ともし難い。
もしそれを描くなら、とてつも無い大作になってしまうだろう。完結編がパタパタと片付けられてしまったかの様な寂しさは残る。
それに。狼の末裔と言われる王族の周りに常に侍っていた狼達の描写が少ないのも寂しい。
もふもふと大きな体躯をした狼達は、常に彼等の守護の様だったのだから。

「半陰陽」と呼ばれて、子を成せるのかどうかもわからない、と言われたルーイは無事に子供を授かる。下世話な事を言ってしまうと、体位的にはBLのソレっぽいんだけど。ゼスはソッチにも挿れたのかね?という疑問は残る。
子供はルーイに瓜二つなのも、少し寂しい。ルーイの子には王位継承権は低くても、サヤに分かりやすいゼス要素はあって欲しかった。

「限定版小冊子」は、「狼は恋に啼く」や「狼は花の馨り」他、に収録された1ページ漫画を収録しているので、既刊を遡りたい気持ちになるのは必至。ループ読み。
「描き下ろし」には、ルーイの従者で、アズラクを生きて逃したマルジャのその後のある日。誰に傅く事も無く、全くの自由になった彼のその後にも幸あれ。