ピピンさんのマイページ

レビューした作品

女性ピピンさん

レビュー数0

ポイント数1

今年度169位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 小冊子
  • GOODS
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

3兄弟のワチャワチャワチャ

楢崎壮太さんの「ねこねこ」シリーズの同人誌。長男編「ねこねこベイビー」のちょっと続きの番外編です。


<ここからあらすじを含みます>

「ねこねこべイビー」のラストで、杏ちゃんの部屋で猫になってしまった珂以(長男・トラ猫)。いきなり杏ちゃんから「帰れ猫谷」と言われてしまいます。まだ猫姿なのに? 珂以は香箱を組んで居座る所存。(香箱とは、猫が全部の脚を身体の下に入れて座るポーズです)実は人間に戻ったら、変身前のラブラブの続きを目論んでいたわけで。でも、杏ちゃんにリュックの中に入れられてしまい……
この同人誌のお話というのは、「ねこねこ3兄弟が一緒におうちに帰る」日常風景に、それぞれのお相手が絡んできて、というたわいないものです。でも、私はねこねこ3兄弟が大好きなので、充分満足です。
「ねこねこベイビー」から、紗以ちゃんが珂以にときどき鉄拳制裁を加える図が見られるようになりました。本書でもそれは変わらず。
「外でポンポン猫になりやがって」と珂以猫の両頬を引っ張ったりします。(猫のほっぺたって、どうやったら摘まめるんだろう?)
厳しい紗以ちゃんも、好き。この3歳違いの兄弟は、いつから立場が逆転したのでしょうかね? 珂以が優しいから、弟に仕返しはしないし、おおらかに許してあげちゃうからかもね。
紗以ちゃんと黒川くんが、猫(珂以と亜以ちゃん)を入れたリュックとバッグを、それぞれ前にかけて運ぶ姿が、赤ちゃんの前抱っこみたいでかわいい。
そして、ラスト近くに善治がちょこっとだけ登場。この時、まだ紗以ちゃんとはつき合ってはおらず。哀れな。
今後の「ねこねこ」シリーズが楽しみです。

丘の上の王子さまはここにいるの

たまたま、2015年に手元にあった小説Chara vol.31をパラパラと流し読み、何気なく読んだ番外短編「まだまだ結婚前夜」(これが凪良ゆうさんの初読みでした)に大爆笑。財布ひっつかんで書店に猛ダッシュし、本編を購入。貪るように笑いながら読んだのが、本書「求愛前夜」です。
この当時は、「求愛前夜」が、「恋愛前夜」のスピンオフで、かつ「おやすみなさい、また明日」にリンクする作品だとは知りませんでした。「恋愛前夜」もすぐ読もうと思ったのですが、「恋愛前夜」のレビューを拝読するに、ヤコ先生の評判があまりよろしくありません。頭の中が「ヤコ先生大好きー」になってしまっていた私は、悲しい思いをするのはイヤだなあと、つい最近まで「恋愛前夜」を読んでいませんでした。(読んでも、ヤコ先生像は変わりませんでした。安堵安堵。)

<ここからネタバレも含みます>


少女漫画界のレジェンド・小嶺ヤコ(本名・山田貞行)は、かわいいものと胸キュンで生きている、オネェである。デビュー以来17年間ヒット作を発表し続け、7回生まれ変わっても遊んで暮らせる資産もある。キュンのためならば生活全般こよなく我がままだが、創作に妥協はしない。
ある日、突然の担当編集者交代に知らせがきた。打ち合わせのオッシャレーなカフェに現れた新担当・貢藤利里は、ヤクザの若頭と見紛う強面で、背後にカケアミを背負わんばかりの凄みのきいた凶悪なオーラを放ってやって来た。
思わず言った、「やだ、怖い」…………

全体的に大変おもしろいコメディだと思います。
なによりおもしろいのは、作品中にこれでもかと散りばめられている、王道少女漫画のセオリーです。2014年当時に流行りまくった「壁ドン」はもちろんのこと、「顎クイ」(当時はまだそういう名前が付いていなかったけれど。凪良さん、さすが、ツボを抑えてますね。)も出て参りました。
さて、うっかりそういうシチュになってしまうと、少女漫画界のレジェンドと、実は血液に少女漫画と乙女が流れている編集者の二人は、「ここの王道展開は外してはいけない」と少女漫画的脊髄反射が起こすのです。はてさて、少女漫画のセオリーを現実世界に持ち込もうとすると……、外してしまったり、意外やジャストミートだったり……
喜劇悲劇をくり返し、「おい、おい、やっとまとまったぞ!」感のあるヤコ先生と貢藤の恋。
その一方で、横糸に描かれるのは、ヤコ先生の少女漫画家の、貢藤の編集者の、プロの姿勢です。どっちが上か下かはさておき、二人とも「お仕事するプロとして、オットコ前だなあ!」と思います。

ここで、望みは、二つ。
ヤコ先生と、いとうつぐみ(リンクしている作品「おやすみなさい、また明日」)のコラボが、どのような結実を迎えたのか、ものすごーく知りたいですねえ。
それから、私が凪良ゆう作品を読むきっかけとなった番外編「まだまだ結婚前夜」が、どこかに収録されないかしら? これ、本当におもしろいのです。

知らなかった…!!

よしながふみさんの「きのう何食べた?」の同人誌も3冊目になりました。
「きのう何食べた?」には、2人の夜の事情はまったく描かれていませんので、これらの同人誌はまるで「よく知っているおじさん2人の寝室をのぞいちゃった」ような気がしてしまう恥ずかしさがあります。
これまでの①・②は、ケンジとシロさんがつき合い始めたばかりの初々しいお話(でもエロ)でしたが、今回は11巻の#87の後日談で、同居してからかなり時間が経った頃のお話です。
まえがきに「前回よりいっそうセックス多めの1冊となっております。」の一文に、大いに期待しました。確かに5ページ目からもう突入。しかし! この後、私がクスクス、ゲラゲラと笑うことになろうとは…!

<ここからネタバレを含みます>


本編の#87のお料理以外の内容は、こうです。
シロさんが、ケンジの49歳の誕生日プレゼントに、隠れ家的フランス料理店でのディナーを提案してきます。大喜びのケンジ。更にお店に行くためのスーツもシロさんに買ってもらいました。当日のケンジは、10巻で変えた髪型・短髪の金髪、新品のスーツ、サングラスで、キメキメでございます。お店に入って、
ケンジ「ねえ シロさん 今日の俺達って 周りの人達から どう見えてると思う!?」(ウッキウキ)
シロさん「どっかの暴力団の幹部と その組の顧問弁護士」
と、シロさんの塩対応で終わったのでした。

ではここから、今回の同人誌のあらすじと感想を。
今回は主にケンジ視点です。
シロさんのセッティングは、ディナーの後、
ホテルのラウンジで軽く一杯→このホテルに部屋をとってあるから
と続き、いつにない大人なデートにケンジは驚愕。
さてダブルの部屋に入って、キャーキャー喜ぶケンジに、シロさんは赤面しつつ言ったのでした。
「口さえきかなきゃ 今のお前すごい 俺の好みなのによ!!」
へ?
ええー!? 聞いてないよー!!
「暴力団の幹部」って、そっけなく言ったくせに!
実は、その「暴力団の幹部」風ケンジのヴィジュアルが、シロさんの好みど真ん中だったなんて、本編にも、これまでの同人誌にも出てこなかったよね?
ケンジも、読んでいる私もびっくりサ。
ここから、めくるめく濡れ場に突入するわけですが、シロさんが色っぽくおねだりする、シロさんの憧れシチュ(ケンジも初めて知る)が、ケンジにはかなりハードルが高いものだったのです。
どんどん色っぽく感じていくシロさんと、おねだりに応えながら、でもその内容に戸惑いまくっているケンジのモノローグの、ギャップがおっかしくてたまりませんでした。
結果、私はクスクス笑いが止まらなくなってしまったのです。
なーんだ、シロさん、めっちゃケンジに惚れているんじゃありませんか。
セックス描写は濃かったけれども、ほのぼのしてしまいました。

よしながふみさんは「何か描けるものがあれば」、また冬コミに参加予定だそうです。期待をして待っています。

久々のスルメCD!

久しぶりに、思わず何度も何度もくりかえし聞いてしまう、スルメCDに遭遇してしまいました。
このシリーズの初聞きです。シリーズの4枚目をまず購入したのは、原作で一番好きなエピソードだったからです。
小野友樹さんのチュン太役は大体想像がついていまして、予想通りイメージがぴったりだ、と思いました。
そして、聞く前に謎だったのが、高橋広樹さんの高人役です。
私は、以前より高橋広樹さんを、様々な役柄にすり寄ることが出来、「え、これ同じ声優さんが演じているの?」現象が起こす、カメレオン声優として高く評価しています。でも、どっちかというと、「攻め」の印象が強かったんですよねえ。ですから、チュン太より線の細い、華奢な印象もある高人をどう演じられるのか? 興味津々。
聞いてみて、「なるほど、こうきたか!」
私の高人のイメージとは、やや違っていました。
高橋さんの高人は、あくまでも「5年連続『抱かれたい男第1位』」のラインで、女性にセックスアピールを感じさせてしまう男性キャラのようです。
そういう高人がぁ、チュン太に押し倒されて、よがり泣く、と。
なるほど、これもアリだな!
そして、濡れ場の高橋さんは? おさすがです。私がこれまで演技力グンバツと評価してきた耳は節穴じゃなかったわ。

CDの中身は、チュン太が高人に初めて出会って、本当の恋、本当の欲望、本当の独占欲を、徐々に自分の内側から引きずり出されていく物語なので、前半はチュン太視点のシリアスなドラマです。チュン太と高人の距離が少しずつ縮まっていく芝居が、とても丁寧でいいなと思いました。
惜しむらくは、主役二人が出ずっぱりで、原作にある脇役さんたちのシーンが結構カットされていたことでした。三ツ谷社長が高人を評するところとか、佐々木マネージャーと芸能事務所の女社長の会話とかは、原作で好きなシーンでした。二人を取りまく人々がどういう思いで、それぞれを見ていたのかが、物語に厚みを加えていたと思うのです。まあ、1枚のCDには収まらなかったのでしょうけど。
CDの後半は、ふだんの高人視点に戻り、そしてひたすらエロかったです…
私は、ふだんからBLCDは、濡れ場を突出して聞いていないのですが。
「クライマックスが長いな… 長いよこれ。…もしかしてフル?」 フルでした。
そういえば原作もほぼ1話がまるまる濡れ場でしたっけ。
原作通りとはいえ、長いフルのHシーンを、抑揚と緩急を付けて、聞き飽きないようにできるものなのだなあ。声優さんって、すごいですね。
そして、最後の短編「その後」も、ほぼ濡れ場ばっかりでした。
くり返しますが、このCDは、全体の前部分3分の2がシリアス&センシティブ、後ろ3分の1ががっつりエロです。
私のスルメCDになってしまった理由は、たぶん全体的に軽やかで聞きやすい作りになっているからじゃないでしょうかね。
やっぱり、1も聞いてみて、2・3の購入を検討しようかしら。

描き下ろし小冊子は、甘々キュンキュンでよかったです。

この猫、実は「すげーいいヤツ」だった

本の帯というのは、以前は「おっ!?」と興味を引くだけのものだったが、最近、五割り方ネタバレになっていて「大体わかった。…知りたくなかった……」となっているような気がしているのは、私の気のせいだろうか。
帯の、珂以兄ちゃんにイラストに「攻」印があって、「彼が『マタタビ』のせい!?」と書かれていたので、「知りたいことは大体わかったような気がする」と購入を一瞬躊躇しましたよ。「でも『ねこねこ』シリーズは全部欲しいからなあ」と気を取り直しました。
結果は、やっぱり「買ってよかった」です。

<以下、ネタバレを含みます>


一番意外だったのが、家庭の外での猫谷家長男・珂以ちゃんの姿。
これまでのコミックでは、家庭の中で、すぐ振られて落ち込み猫になってばかりのヘタレ野郎のイメージでした。
ところが、大学では常に集団の中心にいて、先んじて「皆、〇〇やろうよ」と声をかけ皆を率いていきます。ムードメーカーで、友達がすごく多く、すばらしいポジティブシンキングで気持ちがいいのです。
まあ雑なところもあり、ときどきまた次男・紗以ちゃんに鉄拳制裁をくらっていますが。でも、すぐ素直に反省して謝ります。
「ねこねこダーリン」では、紗以ちゃんに「メンタルが弱い」と言われていた珂以ちゃんですが、実はすぐ落ち込むけれどすっきりと立ち直りは早いのですね。こういうタイプはむしろ「メンタルが強い」人間なのでは?
その珂以ちゃんが、大学入学まもなく、恋に落ちます。相手は、美少女と見紛うほどのきれいキャラ・杏ちゃん。実は、これまでの珂以ちゃんの失恋相手は、すべて杏ちゃんだったのでした…………
猫に変身する家系というのは、猫谷家くらいのものだと今まで思って読んでいたのだが、案外他にもいることが判明しました。
杏ちゃんが1年以上も、かたくなに壁を築いて珂以ちゃんを振り続ける気持ちは、すごくよくわかるなあ。
でも、結局、その城壁に小さな穴を空けたのは、1年以上もの珂以ちゃんのポジティブシンキングと、振られても立ち直る性格の故なんだね。
それと、マメルリハのマー子とメー子が、女の子だったのはちょっと意外でした。モフモフは男の子だとばかり。…亡くなったシベリアンハスキーのアキが雌だったか!
しかし、三男2冊、次男3冊とこれまでシリーズが出ているので、長男編は1冊だけというのは、ちょっとあっさりかなあ。

「ねこねこ」シリーズはまだ続くそうなので、嬉しいです。

とても便利、だがタイトルはいただけない

例えば、映画「太陽と月に背いて」のヴェルレーヌとランボーのように、実在の人物をモデルとした同性愛を扱ったフィクションはたくさんある。
また、「この歴史上の人物は男性同性愛者だったらしい」と噂には聞くのだが、評伝や伝記では割りとやんわりと扱われていることも多い。
「で、そこんとこは、実際はどうだったのよ?」と、腐女子の私は邪な好奇心を抱いてしまうのだ。そんな時、本書は大変便利である。
西洋史の古代から20世紀までの男性同性愛の史実やエピソードが、ざっくりとわかりやすい文章で書かれている。
取り上げられている主な人物は、
皇帝ネロ、ジル・ド・レ男爵、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、フリードリヒ大王、ルードヴィヒ二世、ヴェルレーヌとランボー、オスカー・ワイルド、ニジンスキー、ジャン・ジュネ、トルーマン・カポーティ等々(かなり割愛した)
最終章は日本。だが、著者が西洋史が専門らしく、たった一章にぎゅっぎゅっと押し籠められている。日本の衆道の歴史を思えば、一章に収まるわけがないと思う。これが実に惜しいところである。
主な人物は、
藤原頼長、世阿弥、大内義隆、伊達政宗等

ところで、私は「ボーイズラブ」は、腐要素がある人が愛好するフィクション群だと思っている。だから、男性同性愛の史実を、実在の人物のノンフィクションを、「ボーイズラブ」という言葉でくくってしまった、本書のタイトルには全く賛成できない。
なんだか、失礼だと思うのだ。
う~ん、う~ん、このタイトルでさえなければなあ。便利な本なんだけどなあ。タイトルを見るたびに、複雑な気分になってしまう。

なんだかわかったような気がします

ここ2・3年私はずっとオメガバースを知りたいと思っていました。
でも、「嫌い」という意見も案外多い。うっかり、私も地雷を踏んだらどうしましょう。
そこで本書です。短編小説7編のみ、これなら地雷があっても軽いかも。
巻頭に、簡単なオメガバースの図がありました。BLだから、6種類じゃなく、3種類だけ覚えればいいのか!
巻末にそれぞれの作家さんの紹介が欲しかったなあと思いました。

<ここからネタバレを含みます>



「復讐するは×××にあり」 水樹ミアさん  画:街子マドカさん
ベータの大学生の麻倉渉は、ある日医師から「あなたは、オメガになったんです」と告げられる。「アルファと濃密な接触をしませんでしたか?」―――――麻倉の頭に思い浮かぶのはただ一人・親友だった阿賀裕星だ…………
トップバッターが、いきなり、潜在的にオメガの因子を持ったベータのお話、という変化球!
でも、大学生同士の恋愛もので、読後感はさわやかにハピエンでした。

「ダ・ヴィンチとサライ~愛に繋がれた獣」 玉木ゆらさん  画:古藤嗣己さん
タイトル通り、実在の人物・レオナルド・ダ・ヴィンチと、彼の生涯で最も長く生活を共にしたサライ(小悪魔)と呼ばれた少年ジャコモのお話です。このジャコモも、ダ・ヴィンチの愛人だったのではないか、と言われている実在の人物ですが、歴史的に確証はないようです。手近にあったダ・ヴィンチについての本を引きながら、お話を読みました。
本書の中では、このお話が一番好きです。でも、最もイレギュラーかもしれません。
なにしろ、オメガバースの「オメガ」という言葉すら一言も出てきません。
ジャコモは、実は大人になると発情期がくる人種で、父親から生まれた。彼は、いつかやってくる自分の発情期をこの上もなく恐れていた…………
まあ、当然ダ・ヴィンチが相手になるわけなのですが。史実上の経緯や結果がわかっていても、ぐいぐい読ませます。
ダ・ヴィンチの包容力が泣ける。
しかし、ジャコモは10歳の時に、38歳のダ・ヴィンチの弟子(実質は弟子ではない)になっているので、年の差は28歳。すごい年の差カップルになるなー……、ま、いっか。
ちなみに、史実上、ジャコモが出産した、ということはなかったようです。

「牙なし狼と自由な蝶の恋物語」 はるの紗帆さん  画:中森さん
このお話はちょっと予定調和かな、と思いました。結末以外は、意外性がない展開に思えました。
王様がいるとか、軍隊に入っていたとかの描写があるので、架空の国の物語なのでしょう。
お話のほとんどが、主人公二人の会話で進んでいるので、「できそこないのアルファだから、大切にされず、軍隊に入れられた」とか、「王様の相手をさせられるために養い家に追われている」という展開が、他のキャラがほとんど出てこないので客観的にわからなかったです。私は「これ本当の話なのかなあ。主人公たちの思い込みという結末になるんじゃないかなあ」という疑いが最後まで晴れませんでした。

「淫溺」 かわい恋さん  画:月輝さん
オメガが支配する国・レム公国に、アルファが支配する国・シアヴェシュ王国の士官・ナルサスは、他のアルファの士官たちとともに捕えられた。奴隷の日々が待っている。レム公国の公子キアルは、ナルサスを自分の種馬に指名した…………
エロいです。発情期を迎えた二人の濡れ場が、エロい、エロい。
実は、かわいい初恋物語、という意外なオチでした。オメガの方がアルファより優位に立っているというお話は、7編中これだけです。

「火竜王と召喚された番」 秋山みち花さん  画:高世ナオキさん
キャラはタイトルの通りで、異世界トリップものです。
竜の世界の唯一のアルファであり王であるライムントと、現代日本から召喚された希少なオメガ・神谷キリの物語。
短編にしては、竜の世界の世界観がわかりやすくよく書けているな、と思いました。
オメガバースの設定だと、お話はやはりファンタジーや架空の世界の物語になりがちなのかな。
クライマックスの濡れ場に、なんと!〇〇が登場したのには、驚きました。(物語のキモだと思うので、あえて伏せます)

「アオイトリ」 木原音瀬さん  画:峰島なわこさん
一応、現代日本。会社員の河内健太郎はオメガだが、普通のオメガに比べて発情期が軽く抑制剤もよく効き、ほぼ普通に近い生活を送っていた。彼は主治医より「そのようなオメガは35歳まで性経験がないと、発情期が無くなる研究報告がある」と聞き、35歳まで童貞を貫く決意をする。ところが…………
なんといっていいのか…。さすがに木原さん、凄まじい。
河内を襲う数々の出来事に、「オメガって、不憫で不幸だな」と戦慄せずにはいられません。
どうしても、オメガの自分を認められない河内。オメガであることを認め、そばにある愛(ちょっと怖い愛だけど)を受け入れられれば、「幸せ」になれそうなのにねえ。
はっ! タイトルの「アオイトリ」って…!

「heat capacity」 水壬楓子さん  画:へらへらさん
一応、現代日本らしい。
国を牛耳る五大財閥、上流社会、御曹司、秘密の高級娼館に君臨するオメガの女王(男性です)…、なんだかわくわくするものがたくさん出てくるぞ。これは王道路線か!?
一応王道っぽくて、最終的には幸せな恋物語でした。
でもな、〇〇〇〇〇〇型抑制器は、王道じゃないと思う。
攻め、自分のがモデルかい!? それをずーっと受けに使わせていたんだね……おいおい。ま、二人が幸せならいいのだけど… 私はいいんだけどさ…

7作読んで、私にもようやくオメガバースがわかったような気がしてきました。
嫌悪派の理由もなんとなく。Hシーンでオメガのそれが「濡れる」というのが、描写によっては男女もののそれっぽく読めちゃうのが一因じゃないかな? また男性の妊娠・出産がダメな腐女子も多いみたいだしね。
よい教科書になりました。これからは恐れずオメガバース作品を読もうと思います。

ピカレスクロマンとは?

あー、おもしろかった! すべての謎が解けて、ラストシーンにニンマリして読み終わりました。

タイトルを見ると、えーと、つまりぃ
宮廷絵師で暗殺者である登場人物と、子爵で泥棒である登場人物が出てきて、恋愛するんですか?
→その通りです。
………………
だけだったら、ちゃぶ台ひっくり返して暴れるところです。
幸いそれだけではありませんでした。
当然、恋愛を縦糸に、
横糸は、近世ヨーロッパ風の架空の国の宮廷陰謀劇&ピカレスクロマンであります。
<以下、ネタバレがあります。>



オーリことオーレリは、貴族たちの家々を転々として仕事をする肖像画家であるが、実は法では裁けない悪辣な貴族を密かに弑する暗殺者であった。かつて、オーリは家族亡きあと悲惨な生活の末、ついには男娼宿に売られた。そこから、オーリを見つけ出し救い出してくれたのが、異母兄・アシルである。
守衛隊長官であるアシルのためなら、オーリは何でもする。それがたとえ暗殺であっても…
ある晩、クレモンテル伯爵の館でのパーティーの裏で、オーリは伯爵を始末することになっていた。しかし。彼は既に何者かに殺されていた。
守衛隊の捜査の中、平民の画家に過ぎないオーリは、アリバイを証明する手立てがなく追い詰められた。そこへ
「ああ…、私が一緒だったんだ」
と、ある男が声をあげた。クライン・モンシャル子爵。「ベッドの中で」と。……
その後、オーリは肖像画家としてクラインの館に入り込み(クラインはオーリを自分の元におびき寄せ)、クラインの肖像画が出来るまで「かりそめの恋人」の関係を結びつつ、双方からクレモンテル伯爵殺人事件から始まる謎に迫っていきます。そして、ついには王家の秘密にまで…

水壬さんのこういうタイプの小説は、登場人物を描かれているそのまま受け取っては、後でひっくり返されるんですよねえ。「この人は実は?」「この人は実は?」と探り探り…。しかも今回の本は受け攻めの交互視点。事件の謎の予想を立てるのが難しかったです。
実際、私の予想は大はずれでした。
でも、最後のどんでん返しでは、すっきりしましたけど。
実は、私の一番の大はずれは、「アシル兄ちゃんはきっと悪い奴だ」と思っていたこと。だって、せっかく地獄から救い出した異母弟・オーリに、身体を使わせたり、暗殺なんかさせているんですもの。きっと、オーリをうまく甘い言葉でだまして、汚い仕事をさせているに違いないわ!
……でも、
アシル、本当にいい人でした。
なんか納得がいきません。本当にいい兄なら、弟にそんなことさせんなよ。
「それは、実はね!」なーんて、アシル兄ちゃん側の事情とか秘密とかで、続編が出ないかな。

本書は、悪漢が主人公であるピカレスクロマンの形なのでしょう。
読了直後は気にならなかったのですが、時間が経つにつれだんだんじわじわと、私はオーリの暗殺者という立ち位置に抵抗感を覚えてきました。
なーぜか、私はクラインが泥棒をしていくのはかまわないくせに、オーリが対象が悪人とはいえ暗殺者として殺人を重ねていくらしいことには、抵抗があるのです。
やっぱり、クラインの方には、義賊であるらしい描写があるから許せるのかなあ。

2編とも、続きをお待ちしております

和泉桂さんと木原音瀬さんの、商業作品の続編や番外の同人誌の存在は、以前より知っていました。が、まさかこのお二人が、合同で「ユーリ!!! on ICE」の二次創作同人誌を出そうとは! 想像のまったく外です。しかもオンリーイベント合わせで!? 熱意のほどが知れるというものです。
早速購入し、拝読いたしました。
この同人誌のカップリングは2編両方とも、勇利×ヴィクトルです。
これは、私の想定とは逆カップリングになりますが、私は好きな作家さんならかまわず読むので、ま、いいことにしましょう。
作品の共通テーマは、たぶん「神様」。言わずと知れたフィギュアスケート界のリビングレジェンド・ヴィクトルのことです。

<以下、ネタバレがあります。ご注意ください>


○木原音瀬さん「神さまとエロス」
読了後の第一の感想は、「続きはっ!?」でした。
また、読み進むうち「これはこれは…!」と思いました。フィギュアスケート界の背景、技の種類・描写の書き込みがすごいのです。私は、フィギュアスケートは全然詳しくないので、出てくる用語のほとんどがわからず、ニュアンスで読みました。
木原さんは、相当フィギュアスケートに詳しい? いや大好きなんじゃ…?
あとがきを読むと、果たしてそうであるらしいです。
物語は、アニメ第1話に出てくる世界選手権から、勇利のフリープログラムを作っている最中のおそらく長谷津での夏まで。ヴィクトル視点です。
世界選手権を5連覇したものの、選手としての行き詰まりを感じて、突破口が見いだせない、ヴィクトル。彼は、グランプリファイナルのバンケットで、日本人選手・勝生勇利が酒に酔っていきなり「俺のコーチになって!」と懇願してきたとき、ワッと胸が沸き立つ思いがした。以来、ずっと勇利からの正式オファーを待っている。しかし、その連絡は一向に来ない。春になり、ヴィクトルは、リンクメイトから、勇利が自分の先シーズンのフリープログラムを滑って動画サイトにアップしていると知らされて……
勇利からの正式オファーを待ち続け、焦れるヴィクトル。
勇利の動画の存在を知ったものの、見るに見られず、1昼夜悶々としたあげく、ようやく見るヴィクトル。
可愛い…! そして、かわいそうです。
勇利よ、君はいかにヴィクトルを振り回したことか!
ヴィクトルが、勇利をジュニア時代から着目していたというのは、なかなか興味深い説ですね。
物語は、ヴィクトルのいたずらめいたキスに、勇利が思わぬ反撃で攻勢に転じて~…… と終わる。えっ? 終わる。終わる。まさかここで終わり!?
「続きは!? この後、2人の関係はどうなるの? どう深まっていくの? 続編カモン!!!」な気持ち。
木原さん、お待ちしています。

○和泉桂さん「神様のいない森」
勝生勇利の心の中には、思索の森がある。彼はときどきその森にひょいと迷い込む。思索の森の奥深くに棲んでいる神様、それはヴィクトル・ニキフォルフだ。彼が勇利のコーチをするようになって、シュールな日常が始まった……
冒頭で、「たぶん、勇利の思索の森の神様・ヴィクトルが、森から出てくるのだろうな」と想像したのですが、お楽しみは過程と着地点です。
こちらの物語は、ヴィクトルが勇利のコーチをやるようになった春の終わりから、グランプリファイナルのバンケットの後まで。お話は、原作アニメのシーンの行間を縫うように進みます。
勇利とヴィクトルの両視点です。
アニメを全話見た視聴者からすると、実はこの二人のすれ違いっぷりは、最初のボタンの掛け違いからずっと始まっていると知れているのですが。このお話でも、本人たちはすれ違いに気づいていません。
勇利はヴィクトルを「常に自分をびっくりさせてくれる人」だと思っているし、ヴィクトルは勇利を「サプライズの塊」と心の内で評します。小説だと、同じ頁内に文字で対で記されて、笑いを誘えるのがいいなと思います。
勇利が、気をとられていた自分の中の思索の森についてかたくなに語ろうとせず、ヴィクトルと
「言って」
「嫌です」
「言いなさい」
「嫌だ」…~
と、言い争いをするところが好きです。とてもらしい感じ。そして、仲直りが、目玉焼きの食べ方で!
こちらのお話も…、次を期待せずにはいられない含みを持たせた終わり方。ぜひ続きをお願いいたします!

二次創作の、2人の作者の合同誌とは、おもしろいものだなと思いました。
同じ勇利×ヴィクトルの物語2編なのですが、まるで4人の話を読んでいるようでした。

ヨシュア、可愛いよ、ヨシュア!

英田サキさんがずいぶん久しぶりに、商業番外の同人誌を製作、J.GARDEN41で販売するとのこと。どうか通販がありますように。
と、続報を待っていた私に、悲報が届きました。
私の大好きなDEADLOCKシリーズのロブ×ヨシュアのSSは、当日配布の無料ペーパーのみに登場とな! ああ、なんとかペーパーを入手する方法はないものか?
……結果として、通販で購入した同人誌「LOVE NEST」に添付していただけました。ありがたかったです。
いの一番にペーパーのSS「アルパカより可愛い恋人」を読みました。
「? ? ? …これは何かの続きなのではないだろうか?」
実は、本編同人誌「LOVE NEST」収録の「アイシテル」(ディック×ユウト)のお話の、ロブ×ヨシュア側の挿話だったのです。本編を読まないとわからない仕掛けなのでした。


今回はペーパーなので、遠慮なくネタバレ行きまーす。

……突然ディックに1週間のアブダビ出張が決まってしまったユウト、非番の日にロブの家に遊びに行きます。
「寂しいだろ?」とユウトを慰めるロブは、「寂しいと死んじゃうアルパカ」の話をします。
ロブ「ひとりだと寂しくて死んじゃうアルパカって、たまらなくキュンとこない? もう最高じゃないか」
ユウト「別に最高だとは思わない」
そして、仕事から帰宅した、ヨシュアにも、
ヨシュア「別になりませんが」
と言われてしまうのでした。
それでもくじけないロブ。
ロブ「もしヨシュアに『ロブがいないと寂しくて死んじゃう』って言われたら、心筋梗塞で倒れちゃうよ」
ヨシュア「ロブ。私は絶対にそんなことは言いません」
と、ここまでが『アイシテル』の中のお話。
『アルパカより可愛い恋人』
ユウトが帰ったあと、キッチンに難しい顔で入ってきたヨシュア、
「私は間違っていました」
なんのことかわからないロブに、ヨシュアは、話はアルパカの件で、人生は長いので「ロブがいないと寂しくて死んじゃう」と絶対に言わないとは断言できない、と言って赤面するのです。そして…… ヨシュアは、やにさがったロブに、まんまと「ロブがいないと寂しくて死んじゃう」を言う練習をさせられてしまうのでした。さて……

ヨシュア、可愛いよ、ヨシュア!
「ロブがいないと寂しくて死んじゃう」なんて台詞、ロブにとっては最高の殺し文句なのに、それにまーったく気づかずに、極めて大真面目に復唱するなんて! 君は本当にスウィーティ(ロブ談)だとも。
この二人はこの後は特に大きな山坂も無く、甘々な砂を吐きそうな新婚生活を展開していくのでしょうか? 私はそれで全然かまいませんとも。
さて、私はアルパカが「寂しいと死んじゃう」動物とは知りませんでした。読了後、即ネットで調べたのは言うまでもありません。