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女性ピピンさん

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悲しい本

下世話にも、まったくの好奇心で、「一度きりの大泉の話」を読み、続けて文庫版「少年の名はジルベール」を読んだ。
両著者、竹宮惠子氏と萩尾望都氏は、私のきらめく少女漫画愛読時代を彩った「24年組」と呼ばれる少女漫画家たちの恒星であった。
私は、どちらかというと、萩尾作品に惹かれた。「ポーの一族」「アメリカンパイ」「11人いる!」等々に夢中になった。

いきなり、まえがきに、最近「大泉時代のことを語ってほしい」「大泉サロンのことをドラマ化したい」との申し出が多く入るようになり、断り続けても納まらず、やむなくこの本を出すのだ、ときた。ネガティブでバッドな方向にいきそうな嫌な予感をさせる始まりである。
誠に失礼ながら、私はふだん漫画家さんが書いた文章の本に、読みやすさを期待しない。これまでの経験で思い込んでいる。
案の定、この本は読みづらかった。自伝や私小説ではなく、児童期から、両親との漫画についての齟齬、20歳でデビュー、竹宮さんと同居した大泉時代(萩尾さんはサロンとは書かない)、その後、の出来事・事象が散らされている。読む方は、時間軸を前進したり後退したりさせられてしまう。「少年の名はジルベール」は竹宮惠子さんの生き方を中心軸にした私小説なので読みやすいのだが、「一度きりの大泉の話」は萩尾望都さんの視点で「誰がどうした」「誰がこうした」と周囲の人間が点描されるのが、読みづらい印象を持たせるのでしょう。
あとがきで、別の方が萩尾望都さんをインタビューし、更に散文形式に再構成したものだとわかった。
嬉しいのは、初期作から「トーマの心臓」の頃までのクロッキーブックと、イケダイクミさん原作の漫画「ハワードさんの新聞広告」の掲載のサービスだ。また、この本は、実名で登場する人々と、作品(には掲載年・掲載誌)に、全部注釈が付いているのが、大変助かった。
(私は城章子さんの漫画が好きだったので、萩尾さんのマネージャーに専業されたと知り、残念だった。)

大泉時代とは、萩尾望都さんと竹宮惠子さんが、大泉の長屋でルームシェアしていた2年間のことである。
ずばり書くと、竹宮惠子さんの「少年の名は~」で、編集者のYさんに言われた「絶対にやめたほうがいい」「一つ屋根の下に作家が2人いるなんて聞いたこともないよ。とんでもない話だ」の予言は、当たったのだった。

青春は残酷だ。
楽しいことはたくさんあった。(事実、漫画家同士の「誰と誰が来た」「誰と話した」「誰にこういう本を勧められた」等々、漫画家同士の交流の記述は「少年の名は~」より多い)いろいろな出来事が昨日のことのように、自分の中で輝く。辛いことだって確かにあった。しかし立てられた爪痕もまた鮮やかだ。
大泉時代の終焉は、萩尾さんの中で、まだ鮮やかな赤い血を流し続けている。「忘れよう、忘れよう」としてきたことを、なぜ詳しく知らぬ人々が、「大泉サロン=少女漫画家のトキワ荘」と持ち上げ、かさぶたをはがそうとするのか?
本書は、怒りがにじみ、悲鳴を上げ、慟哭にむせんでいるようである。
竹宮さんが「少年の名は~」で一行で書いたことを、萩尾さんは考えた。「忘れよう、忘れよう」と思いつつ考えた。「『近寄るな』ということらしい」「私は死体と暮らしている。誰の死体?~大泉の死体です。」……。辛い作業だ。そして関係は絶たれた。

2020年に笹生那実さんの「薔薇はシュラバで生まれる」が出版された。自作漫画を描きながら、24年組世代の少女漫画家さん達のアシスタントをして回った時期の、その「シュラバ」のエピソード等を連ねたコミックエッセイである。あとがきで、笹生さんは本書のネームをすべての各先生方に送ってチェックしてもらったという。大変な作業だ。が、これでお互い記憶違いのない本が出来る。
漫画家とアシスタント、上下関係だからというのはあるかもしれない。しかし、お互いがまだ生きている人間の登場するノンフィクション作品を書くとき、この姿勢は、とても大切なことだと思った。
これはもしもだ。もしも竹宮惠子さんが「少年の名はジルベール」を書く前に、「自伝に萩尾望都さんのことも含め大泉時代のことを書こうと思う」と、萩尾さん側に一報を入れていれば、萩尾さんは「私のことに関しては一切触れないでください」と伝えられたのではないか。そうしたら、萩尾望都さんはこんな悲しい本を出さずに済んだのではないだろうか。

(このレビューは、竹宮惠子さん「少年の名はジルベール」の私のレビューと、対のつもりで書きました。)

すばらしい青春私小説

下世話にも、まったくの好奇心で、「一度きりの大泉の話」を読み、続けて文庫版「少年の名はジルベール」を読んだ。
両著者、竹宮惠子氏と萩尾望都氏は、私のきらめく少女漫画愛読時代を彩った「24年組」と呼ばれる少女漫画家たちの恒星であった。
誠に失礼ながら、私はふだん漫画家さんが書いた文章の本に、読みやすさを期待しない。これまでの経験で思い込んでいる。

「少年の名はジルベール」の文章はすばらしかった。
事前に、自伝と聞いていたのだが、これはまさしくみごとな青春私小説だ。
そして、また、「これはテレビドラマの話が出ても仕方がない」と思った。
児童期からではなく、漫画家とデビューし、己の甘い見通しから3社の出版社から〆切を迫られるシーンから始まる、この場面の切り取り方はどうだろう。
やがて、その後の折々に意識せずにはいられなくなったライバル(萩尾望都さん)の登場。後にプロデューサーとして共に仕事をしていくことになる親友(増山法恵さん)との出会い。三人が生活するのは、同じ世代の実力者少女漫画家たち(花の24年組)が集って、未来の少女漫画革命を語り合った「大泉サロン」。
やがて、主人公はライフワークと言える作品(「風と木の詩」)の構想を抱くようになる。
そのライフワークに着手するため、主人公が「ファラオの墓」を描きながら、それまでのこだわりや思い込みを投げ捨て、新たな手法や参考になることをなりふり構わず貪欲に手中にしていく様の描写は、スピーディーで息もつかせない。
なんというドラマだろう。
ライフワークに着手する寸前で、青春の物語は終わり、簡単に後日談が語られる。そうなのだ、ドラマは青春の苦しく惑う心に始まり、青春期の終わりに着地する。

私が、花の24年組と言われる漫画家さんたちを意識したのは、山岸凉子さんの「ゆうれい談」からだ。これは、漫画家の仲間内で噂されていた怪談を語った、(発表当時は大変珍しい)エッセイ漫画だ。「ゆうれい談」で一番驚いたのは、私がふだん読んでいた憧れの少女漫画家さんたちが、こんなにも仲良く連絡を取り合ったり、交流し遊んでいる姿だった。びっくりし、ますます憧憬の感を深くした。
「大泉サロン」に、才能ある漫画家たちが集まっていたのは、偶然ではなく、増山法恵さんが厳選していたためと、「少年の名は~」で知った。私の夢は一つ壊れた。それはそうだ、偶然なわけはなかったのだ。
増山法恵さんも、私には長年謎の人だった。時々、お書きになった文章を見ることがあったのだが、その度に、ライター、評論家など肩書が違う。でも、「大泉サロン」には詳しい人。本書で、やっと増山法恵さんがわかった。私が思うに、増山法恵さんは竹宮さんのプロデューサーであり、後の少女漫画評論家の先駆的な方だったのだろう。
不思議なのは、萩尾望都さんの漫画の分析と賞賛が非常に多いのに対し、同居人の萩尾さんとの人間的ふれあいの描写がほとんどないこと。萩尾望都さんがおとなしい人だと書かれていてもだ。この謎は、萩尾望都さんの「一度きりの大泉の話」で明らかになった。
重ねて書くが、本書は、竹宮惠子さんのすばらしい青春私小説である。

(このレビューは、萩尾望都さん「一度きりの大泉の話」の私のレビューと、対のつもりで書きました。)

なんという大サービス!!

「恋するインテリジェンス」8巻の全プレ「4種ペーパー」が届きました。
なんという大サービス!!
本来のペーパー4種に加えて、おまけが2枚。
そして…ふるふるふるふる……5枚が濡れ場だった! ああ、心の鼻血がヤバい。コミックス化の際は、全部修正が入るだろうから、やっぱり応募してよかったです。

<ここからネタバレありです>
というわけで、1枚ずつ感想というかツッコミを。

001と002 外務省編 聖前蕗壬央×桃月鼓之「国内にいるときは国内にいるときでハードな二人の日常」
ああ、濃い…
そしてラストで落とす。わはは…
桃月(と聖前)の海外任務が多い理由は、秋草室長の憐みだったり…するわけないか!

003:外務省編 供威嵩平×黒瀬准「続・供威黒瀬のバディ訓練日誌(8巻描きおろしの1時間後)」
例の手錠抜け課題の続きです。
黒瀬は、このまま開発されちゃう方が早そうだ。

004:外務省編 武笠亮吾×深津秀一「色任務のための手錠抜け課題 武笠深津の場合」
さすが、武笠です。
金に飽かして、1課題のためにここまでする! 甲斐はあったようです。

おまけ:外務省編 蔵本憲造×白戸嘉文「色任務のための手錠抜け課題 蔵本白戸の場合」
なんと! 蔵本×白戸の訓練が見られようとは!
…白戸、やればできる子だった、別の意味で。
白戸のアップは美しいなあ。

おまけ002:外務省編 郷土太基×藤野香瑞貴「実は将来の素質ありあり」
このSSを読んで、2021年「リンクス7月号」からの小冊子全プレ企画『華麗なる来栖家の系譜』の、ヒントを得た気分です。郷土のとある一面を知りました。

こんな心があったなんて!

「きのう何食べた?」の同人誌も、ついに5冊目。
一般誌がオリジナルの作品の作家さん自身が、そのBLの同人誌を自ら出してくださるだけでも奇跡なのに、コンスタントに出してくださって。もう5冊目! よしながふみさんへ向けて五体投地しよう。
しかも「次は冬コミ」との予告の記述が… ああ、ありがたやありがたや。

さて、「ケンジとシロさん⑤」は、7巻の#56と8巻の#57の間のお話です。と、前書きにありました。
「ケンジとシロさん」③・④より過去のお話になるので、ケンジは黒髪で、シロさんはまだ40代。
7巻の#56のお話は、弁護士事務所に突然やってきた繁忙期のお話。シロさんの勤務する弁護士事務所に、大手企業の倒産などなど激務の仕事が重なりました。(シロさんの弁護士事務所の大ボス・大先生は、企業の倒産や破産、債務整理などの、オーソリティーの弁護士さんらしいです。ごめんなさい、筆者は、難しい言葉はよくわかっていません。表現などが違っていたらすみませんです)シロさんは、泊まり込みやら徹夜やらで、自宅の夕飯を作る暇なんかありません。すれ違いで、ケンジは寂しい一人めしが続く。日が経ってついにキレたケンジ、禁断のカロリーたっぷりデミグラスソースのオムライスを作り出し…
8巻の#57は、シロさんの約1ヶ月の繁忙期が終わり、やっと二人のすれ違いは終わり、一緒にごはんが食べられるようになりました。シロさんは、佳代子さんの娘・ミチルさんの出産祝いのセレクトに悩み始めます。ここで到来ものの生ガキが…

というお話です。


<ここからネタバレが入ります。ご注意を>

ところが、いきなり冒頭で#50(シロさん実家でお年始の回)の後のお話があるのでした。
これが!
ええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?
こんな心境の変化があったの!?
こんな重要なエピソードを、よしながふみさんは、本編に描くおつもりがないの!?
萌えた…
冒頭7頁で萌え死んだ…
でも、いくらなんでも、こんなキモは、レビューに「ネタバレあり」でも書けないわ!! ごめんなさい!!!
同人誌読んでね。

で、さて、7巻の#56の繁忙期が終わった日のお話です。
やーっと二人ごはん。
そして、久しぶりにシタいけどシタいけど、多忙で疲れ果てているシロさんを誘っていいのかしらいいのかしら、なケンジがかわいい!
そこからの、濡れ場もかわいい! 濃くて長尺だけど、お互いを思い遣る二人がかわいいのです。
ああ、癒される…

「きのう何食べた?」を、ケンジとシロさんの恋愛の変遷という視点ででも読んでいる読者さんには、必読の同人誌です。特に冒頭はとっても大事!!!!
超オススメです。

イチャイチャアマアマラブラブが読みたかった

「イチャイチャアマアマラブラブが読みたーい」熱が、私に発生。
己が荒んだ気分か、コロナ禍の閉塞感のせいか、「とにかく何も考えずにイチャイチャアマアマラブラブが読みたいんじゃあ!」と、心が叫ぶのでした。
そこで購入。
単行本では初読み作家さんです。(アンソロジーで短編を以前読んだことがありました。)

<ここからネタバレを含みます>



……よかった… 私の今の需要にぴったんこ!
イチャイチャアマアマラブラブに浸れましたよお。
コミカライズ版は以前読んだのですが、期待通り。いやもっと濃かった…

オメガバース作品です。
オメガの千明は、元保育士のハウスキーパー。家事代行サービス会社から、「急遽のピンチヒッター」として、一時的にアルファの家庭に派遣されます。「発情期を終えて間もないから大丈夫だろう」と。向かった大神家には、狼そのものの容姿のハイブリッドアルファ(先祖返りの狼人)の気難しい主人・大神と、幼く可愛い子どもたちが3人も。元保育士で子ども好きの千明は張り切りますが、仕事中なぜか突然イレギュラーな発情期が起こり…

作者さんのあとがきに、「『変身しない』獣人が攻め」とあり、「あ! 人狼ものは数多くあれど、大概、人間から狼に変身するもんな」と気づきました。
つまり、体格大きくたくましい攻めが、常にモフモフなのです。しっぽもあります。
たくましい胸に縋っても、そこはモフモフ暖かい。なにこれ? ギャップ萌え?
気難し気な大神ですが、詳しくは書きませんが、実は中身が結構可愛い。
そして、濡れ場が、実に、濃く、エロかった!
コミカライズ版もエロかったけど、2倍くらいエロかった。
なにしろコミカライズ版では、諸般の都合により白抜きにされていたトコが、文字でがっつりと描写されているのです! (どこが?なのかは読んでください)
お話は全体的に、予定調和ではあるのですが、今の荒んだ心の私は意外性を求めていないのです。「こうなったら、はい、こうでしょう!」と、ぴったりピースがはまるのが快感。
安心して読めます。
そして、可愛い挿絵が多いのが、すごくいい!
続編が出ているそうなので、即購入決定です。

blanc #2 コミック

中村明日美子 

外壁

1・2巻まとめて。
blancとは、フランス語で「白」。
フランスの刺しゅう糸の会社DMC社では、白blancの刺しゅう糸は1種類だけしか出していない。他の手芸用品会社は、青みがかったような白やアイボリーに近い白も展開しているのに、「我がDMC社の究極の白はこれだけです」と言っているようで、私はかねてより勝手に清々しく感じている。
「blanc」というタイトルで想起したのは、まずこれであった。閑話休題。
それにしても、紅茶の一滴でも落としたら、どん底まで落ち込みそうな装幀である。ふだんはカバー必須ですな。
タイトルから、まだ20歳になったばかりの「まだ若く白い」彼らが描かれるのかと想像した。が、違った。
2巻を読んで、「その白であったか」と、得心した。

前作「O.B.」を読んで、草壁と佐条の二人は「稀に見る奇蹟の二人なんだな」と思った。外の世界に何もぶつかっていなかったからである。
「O.B.」で、他の2カップルは、外との問題に何かしら悩んでいた。ハラセン・空乃組は、ハラセンが親へカミングアウトをすべきか悩み、空乃はそんなハラセンに寄り添おうと悩む。有坂先生・響組は、もっとすさまじく、響は両親とはほぼ絶縁状態らしい。有坂は自責の念から、娘にカミングアウトしてしまい号泣され泣き叫ばれる。(その後、娘とは和解するが)
「O.B.」の中では、草壁・佐条組だけが、二人だけでのけんかはあれど、お互い二人しかなかった。

「blanc」は、彼らが初めて、外の壁を感じ、悩み、苦しむ物語だ。
佐条が、大学受験模試会場への電車の中で過呼吸のような発作を起こしてしまう癖がついてしまった程、高校受験で家族をがっかりさせることを恐れていた理由は、父親がこういう人だったからなのかもしれない、と思った。
初めて外壁にぶち当たり、自分たちの関係に、外を巻き込み、関わっていく。それは、それでも、揺らぎないものがあったからこそ。
その揺らぎないものが何であるかを、彼らの物語をずっと読んできた私は、だからこそ知っているわけで。そのことに感動と愛しさを覚えた。

ところで、「卒業生 春」で、草壁が佐条のお母さんに贈ったCDが、シュガー・ベイブ(山下達郎らがいたロックバンド)だったことが、わかって感激した。お母さんの世代を考えてのシュガー・ベイブ! それにしてもシュガー・ベイブ! なんと通好みの洒落たセレクト! 思わず「Down Townへくりだそう~♪」と口ずさんじゃったわ。

3兄弟のワチャワチャワチャ

楢崎壮太さんの「ねこねこ」シリーズの同人誌。長男編「ねこねこベイビー」のちょっと続きの番外編です。


<ここからあらすじを含みます>

「ねこねこべイビー」のラストで、杏ちゃんの部屋で猫になってしまった珂以(長男・トラ猫)。いきなり杏ちゃんから「帰れ猫谷」と言われてしまいます。まだ猫姿なのに? 珂以は香箱を組んで居座る所存。(香箱とは、猫が全部の脚を身体の下に入れて座るポーズです)実は人間に戻ったら、変身前のラブラブの続きを目論んでいたわけで。でも、杏ちゃんにリュックの中に入れられてしまい……
この同人誌のお話というのは、「ねこねこ3兄弟が一緒におうちに帰る」日常風景に、それぞれのお相手が絡んできて、というたわいないものです。でも、私はねこねこ3兄弟が大好きなので、充分満足です。
「ねこねこベイビー」から、紗以ちゃんが珂以にときどき鉄拳制裁を加える図が見られるようになりました。本書でもそれは変わらず。
「外でポンポン猫になりやがって」と珂以猫の両頬を引っ張ったりします。(猫のほっぺたって、どうやったら摘まめるんだろう?)
厳しい紗以ちゃんも、好き。この3歳違いの兄弟は、いつから立場が逆転したのでしょうかね? 珂以が優しいから、弟に仕返しはしないし、おおらかに許してあげちゃうからかもね。
紗以ちゃんと黒川くんが、猫(珂以と亜以ちゃん)を入れたリュックとバッグを、それぞれ前にかけて運ぶ姿が、赤ちゃんの前抱っこみたいでかわいい。
そして、ラスト近くに善治がちょこっとだけ登場。この時、まだ紗以ちゃんとはつき合ってはおらず。哀れな。
今後の「ねこねこ」シリーズが楽しみです。

丘の上の王子さまはここにいるの

たまたま、2015年に手元にあった小説Chara vol.31をパラパラと流し読み、何気なく読んだ番外短編「まだまだ結婚前夜」(これが凪良ゆうさんの初読みでした)に大爆笑。財布ひっつかんで書店に猛ダッシュし、本編を購入。貪るように笑いながら読んだのが、本書「求愛前夜」です。
この当時は、「求愛前夜」が、「恋愛前夜」のスピンオフで、かつ「おやすみなさい、また明日」にリンクする作品だとは知りませんでした。「恋愛前夜」もすぐ読もうと思ったのですが、「恋愛前夜」のレビューを拝読するに、ヤコ先生の評判があまりよろしくありません。頭の中が「ヤコ先生大好きー」になってしまっていた私は、悲しい思いをするのはイヤだなあと、つい最近まで「恋愛前夜」を読んでいませんでした。(読んでも、ヤコ先生像は変わりませんでした。安堵安堵。)

<ここからネタバレも含みます>


少女漫画界のレジェンド・小嶺ヤコ(本名・山田貞行)は、かわいいものと胸キュンで生きている、オネェである。デビュー以来17年間ヒット作を発表し続け、7回生まれ変わっても遊んで暮らせる資産もある。キュンのためならば生活全般こよなく我がままだが、創作に妥協はしない。
ある日、突然の担当編集者交代に知らせがきた。打ち合わせのオッシャレーなカフェに現れた新担当・貢藤利里は、ヤクザの若頭と見紛う強面で、背後にカケアミを背負わんばかりの凄みのきいた凶悪なオーラを放ってやって来た。
思わず言った、「やだ、怖い」…………

全体的に大変おもしろいコメディだと思います。
なによりおもしろいのは、作品中にこれでもかと散りばめられている、王道少女漫画のセオリーです。2014年当時に流行りまくった「壁ドン」はもちろんのこと、「顎クイ」(当時はまだそういう名前が付いていなかったけれど。凪良さん、さすが、ツボを抑えてますね。)も出て参りました。
さて、うっかりそういうシチュになってしまうと、少女漫画界のレジェンドと、実は血液に少女漫画と乙女が流れている編集者の二人は、「ここの王道展開は外してはいけない」と少女漫画的脊髄反射が起こすのです。はてさて、少女漫画のセオリーを現実世界に持ち込もうとすると……、外してしまったり、意外やジャストミートだったり……
喜劇悲劇をくり返し、「おい、おい、やっとまとまったぞ!」感のあるヤコ先生と貢藤の恋。
その一方で、横糸に描かれるのは、ヤコ先生の少女漫画家の、貢藤の編集者の、プロの姿勢です。どっちが上か下かはさておき、二人とも「お仕事するプロとして、オットコ前だなあ!」と思います。

ここで、望みは、二つ。
ヤコ先生と、いとうつぐみ(リンクしている作品「おやすみなさい、また明日」)のコラボが、どのような結実を迎えたのか、ものすごーく知りたいですねえ。
それから、私が凪良ゆう作品を読むきっかけとなった番外編「まだまだ結婚前夜」が、どこかに収録されないかしら? これ、本当におもしろいのです。

知らなかった…!!

よしながふみさんの「きのう何食べた?」の同人誌も3冊目になりました。
「きのう何食べた?」には、2人の夜の事情はまったく描かれていませんので、これらの同人誌はまるで「よく知っているおじさん2人の寝室をのぞいちゃった」ような気がしてしまう恥ずかしさがあります。
これまでの①・②は、ケンジとシロさんがつき合い始めたばかりの初々しいお話(でもエロ)でしたが、今回は11巻の#87の後日談で、同居してからかなり時間が経った頃のお話です。
まえがきに「前回よりいっそうセックス多めの1冊となっております。」の一文に、大いに期待しました。確かに5ページ目からもう突入。しかし! この後、私がクスクス、ゲラゲラと笑うことになろうとは…!

<ここからネタバレを含みます>


本編の#87のお料理以外の内容は、こうです。
シロさんが、ケンジの49歳の誕生日プレゼントに、隠れ家的フランス料理店でのディナーを提案してきます。大喜びのケンジ。更にお店に行くためのスーツもシロさんに買ってもらいました。当日のケンジは、10巻で変えた髪型・短髪の金髪、新品のスーツ、サングラスで、キメキメでございます。お店に入って、
ケンジ「ねえ シロさん 今日の俺達って 周りの人達から どう見えてると思う!?」(ウッキウキ)
シロさん「どっかの暴力団の幹部と その組の顧問弁護士」
と、シロさんの塩対応で終わったのでした。

ではここから、今回の同人誌のあらすじと感想を。
今回は主にケンジ視点です。
シロさんのセッティングは、ディナーの後、
ホテルのラウンジで軽く一杯→このホテルに部屋をとってあるから
と続き、いつにない大人なデートにケンジは驚愕。
さてダブルの部屋に入って、キャーキャー喜ぶケンジに、シロさんは赤面しつつ言ったのでした。
「口さえきかなきゃ 今のお前すごい 俺の好みなのによ!!」
へ?
ええー!? 聞いてないよー!!
「暴力団の幹部」って、そっけなく言ったくせに!
実は、その「暴力団の幹部」風ケンジのヴィジュアルが、シロさんの好みど真ん中だったなんて、本編にも、これまでの同人誌にも出てこなかったよね?
ケンジも、読んでいる私もびっくりサ。
ここから、めくるめく濡れ場に突入するわけですが、シロさんが色っぽくおねだりする、シロさんの憧れシチュ(ケンジも初めて知る)が、ケンジにはかなりハードルが高いものだったのです。
どんどん色っぽく感じていくシロさんと、おねだりに応えながら、でもその内容に戸惑いまくっているケンジのモノローグの、ギャップがおっかしくてたまりませんでした。
結果、私はクスクス笑いが止まらなくなってしまったのです。
なーんだ、シロさん、めっちゃケンジに惚れているんじゃありませんか。
セックス描写は濃かったけれども、ほのぼのしてしまいました。

よしながふみさんは「何か描けるものがあれば」、また冬コミに参加予定だそうです。期待をして待っています。

久々のスルメCD!

久しぶりに、思わず何度も何度もくりかえし聞いてしまう、スルメCDに遭遇してしまいました。
このシリーズの初聞きです。シリーズの4枚目をまず購入したのは、原作で一番好きなエピソードだったからです。
小野友樹さんのチュン太役は大体想像がついていまして、予想通りイメージがぴったりだ、と思いました。
そして、聞く前に謎だったのが、高橋広樹さんの高人役です。
私は、以前より高橋広樹さんを、様々な役柄にすり寄ることが出来、「え、これ同じ声優さんが演じているの?」現象が起こす、カメレオン声優として高く評価しています。でも、どっちかというと、「攻め」の印象が強かったんですよねえ。ですから、チュン太より線の細い、華奢な印象もある高人をどう演じられるのか? 興味津々。
聞いてみて、「なるほど、こうきたか!」
私の高人のイメージとは、やや違っていました。
高橋さんの高人は、あくまでも「5年連続『抱かれたい男第1位』」のラインで、女性にセックスアピールを感じさせてしまう男性キャラのようです。
そういう高人がぁ、チュン太に押し倒されて、よがり泣く、と。
なるほど、これもアリだな!
そして、濡れ場の高橋さんは? おさすがです。私がこれまで演技力グンバツと評価してきた耳は節穴じゃなかったわ。

CDの中身は、チュン太が高人に初めて出会って、本当の恋、本当の欲望、本当の独占欲を、徐々に自分の内側から引きずり出されていく物語なので、前半はチュン太視点のシリアスなドラマです。チュン太と高人の距離が少しずつ縮まっていく芝居が、とても丁寧でいいなと思いました。
惜しむらくは、主役二人が出ずっぱりで、原作にある脇役さんたちのシーンが結構カットされていたことでした。三ツ谷社長が高人を評するところとか、佐々木マネージャーと芸能事務所の女社長の会話とかは、原作で好きなシーンでした。二人を取りまく人々がどういう思いで、それぞれを見ていたのかが、物語に厚みを加えていたと思うのです。まあ、1枚のCDには収まらなかったのでしょうけど。
CDの後半は、ふだんの高人視点に戻り、そしてひたすらエロかったです…
私は、ふだんからBLCDは、濡れ場を突出して聞いていないのですが。
「クライマックスが長いな… 長いよこれ。…もしかしてフル?」 フルでした。
そういえば原作もほぼ1話がまるまる濡れ場でしたっけ。
原作通りとはいえ、長いフルのHシーンを、抑揚と緩急を付けて、聞き飽きないようにできるものなのだなあ。声優さんって、すごいですね。
そして、最後の短編「その後」も、ほぼ濡れ場ばっかりでした。
くり返しますが、このCDは、全体の前部分3分の2がシリアス&センシティブ、後ろ3分の1ががっつりエロです。
私のスルメCDになってしまった理由は、たぶん全体的に軽やかで聞きやすい作りになっているからじゃないでしょうかね。
やっぱり、1も聞いてみて、2・3の購入を検討しようかしら。

描き下ろし小冊子は、甘々キュンキュンでよかったです。