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表題作たとえ業火に灼かれても

瀬上隆生
30歳,刑事
高倉左季
30歳,准教授,法医学者,監察医

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学近くの公園で、幼なじみが刺殺体で発見された!! 遺体を解剖することになったのは、法医学者で監察医の左季。14年前に渡米し、一年間限定で日本に帰国中の身だ。そしてその事件を担当するのは、幼なじみの刑事──やんちゃな面影を残す、初恋の相手・隆生だった!! こんなにも狭い範囲で、次々と昔の知り合いが繋がるのは偶然なのか…!? 封印したはずの過去と恋が、時を超えて動き出す!!

作品情報

作品名
たとえ業火に灼かれても
著者
水壬楓子 
イラスト
十月 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010743
4

(40)

(21)

萌々

(8)

(4)

中立

(7)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
156
評価数
40
平均
4 / 5
神率
52.5%

レビュー投稿数10

きたか…!

意味ありげなタイトルと表紙絵に、「もしかして、水壬楓子さんに、久しぶりに痛い期が来たかな?」と思いました。以前、ブログかあとがきで、「5年に一度くらいの割りあいで、非常に痛い話が書きたくなることがある」と書いていらしたので。「スキャンダル」しかり、「ラブシーン」しかり。

アメリカで法医学の研究をしていた高倉左季は、1年間の約束で日本の大学に招聘され、14年ぶりに帰国した。そこで、ずっと会っていなかった幼なじみの殺人事件に、接することになり…

痛いというより、非常に重苦しいです。
作中のラブシーンすら、二人の背景と心情がのしかかり、まるで、心臓を圧迫されるように重苦しくてなりません。鈍痛がきますね、これは。
前半で、左季の背負っている過去にガツンとやられ、後半では、事件と過去の謎が解明されていきまたガッツーンとやられました。
これは、ぜひネタバレなしで、その衝撃を味わっていただきたい作品です。

9

サスペンス!

ボリューム満点クライムサスペンス!

攻め・隆生…刑事
受け・左季…監察医 

幼馴染な2人。
左季がアメリカから帰国し、現場で14年ぶりに再会。

かつて左季の実家の寺に集まっていた地域の子供達、左季の両親、こども達の家族…
登場人物多数。

こども時代の和太鼓クラブで一緒だったメンバーが殺されて…忌まわしい過去が蘇る!
みたいな感じ?
あとがきにあった、先生が見返してたドラマはクリミナル・◯インドよね、多分。
読んでる最中に思った。
そう。サイコパス野郎が絡んでくるのだけど。

実はこうなんじゃない?な予想が、私はことごとく外れました。

あくまでBLなので、やはり、読み手としては隆生×左季がうまいこと甘くなるように持っていくよね、と予測したのですが。そうくるんだ!と。
そのあたりの塩梅が絶妙。

事件としての面白みと、BL展開のバランス。

それぞれが抱えて続けていた想いが、ジワジワ切なくて、焦ったくて。

決して甘くはないです。エロも控えめ。
だけど、終わり方というか、まとめ方がすごく良かったと思う。 

余韻の残るラスト、たまらない!

2

面白くて寝不足です

お久しぶりの水壬先生の現代もの。面白かった〜!!
370P超と、文庫ではやや厚みのある本なのですが…
思わずページを捲りたくなる本と言いますか、話が面白くて早く先が読みたくなるような話運びと読めそうで読めない展開に夢中になり、あっという間に読み終えてしまいました。
もうこれはミステリーやサスペンスがお好きなら手に取ってみて!としか言えないです。
精神的に重ための作品や、読み応えありのシリアストーンの作品が読みたい方はぜひ。

14年振りに日本へ帰国した主人公の左季。
監察医・大学の准教授として勤務する彼の視点で語られる物語は序盤から非常に謎めいていて、何かきっと開いていけないパンドラの箱があるのだろうなと思わせられる危うい香りが漂います。
刑事となっていた幼馴染の隆生と再会するも、なぜか左季が再会を心から喜んでいるようには見えないんですよね。
やはり一体過去に何があったんだ?と気になるじゃないですか。
この辺りの塩梅が本当に上手くて唸りました。
あまり焦らしても待ち飽きてしまうし、あっさりと明かしても微妙に入り込み辛い。本当に絶妙に焦らされるんですよ。
焦らされた末に語られる過去に頭を抱え、再会した2人の側で起こる、偶然とは思えないかつての幼馴染達が関わる事件の謎に首を捻る。
すごいです。読みやすいように筋道がすーっと整地されていて、入り込みやすいスムーズさがありながらぐいぐい読ませてくれる濃厚さに魅了されてしまいます。

本音を言うと、事件部分があまりにも面白かったものですから、2人が体を交わすシーンに関してはいらなかったかな…なんて思ってしまったりもしたのです。ちょっと作品全体の雰囲気とは合っていないかも。
精神的な重みは強く伝わって来るので悩ましいところ。
ただ、トータルで自然とこちらの評価になりました。
この結びは個人的には非常に好み。面白かったです。

1

法医学教室の事件ファイル

タイトル通りです。

某テレビ局の法医学教室の事件ファイルのようなストーリーです。("サキ"という主人公の名前も一緒で驚きました 笑)ちょっと違うのは、自分も事件に関わる当事者だということでしょうか。

昔起きた誘拐事件や失踪事件や自分の両親の死が、14年経った現在起きている連続殺人事件と誘拐事件に深く絡み合っています。

過去にトラウマを抱える法医学者の左季は、両親の死をきっかけにアメリカにいましたが、日本に戻ってきました。そこで出会ったのは、刑事になった幼馴染みの隆生。
小さな恋心を抱いていた相手である隆生と出会い静かな胸の高鳴りを覚える左季でしたが、彼を含めた過去の両親の死を想起させる人たちとの出会いに、左季のトラウマになっている悍ましい事件の謎が一つずつ解き明かされていきます。


えっとですね。法医学者と刑事とのBLをうひゃうひゃ楽しもうと思っていた私ですが、ガッツリ法医学教室の事件ファイルでして…しかも、人がバッタバッタ死んでいきます。過去も含め…。そりゃトラウマにもなるよなって左季に同情してしまいました。

事件ものあるある。意外なあの人が犯人パターンです。事件解明の終盤…確かに見応えありました。普通に2時間ドラマの事件もので出しても違和感ないです。なので、BLの部分が薄くなるのは仕方ないかもですが、そこが私には物足りなかったです。ちょいちょい2人のBLぽいやりとりあるけど、基本は事件のことです。しかも結構エグい内容ですから、BLは脳みそのどっかに追いやられがちでした(笑)

犯人判明を含めての細かい評価は盛大なネタバレに繋がるので控えますが、少しばかりスッキリとしない部分もありました。でも先生のあとがきに、アメリカの犯罪ドラマにハマっていたとの言及があったので、なるほどな。と思いました。
私も昔アメリカのCSI(科学捜査ファイル)ドラマに熱を上げていたことがありまして…日本の科学捜査ものと違うのは事件が必ずしもスッキリと解決しないことです。しかも闇に葬る系もあって、それがでもまたリアルなんです。日本の事件解決ドラマは必ず誰かにバレる、1から10まで全貌解明されちゃうので、キレイな締めくくりで終わります。
この作品に多少なりともスッキリしないところ(心に秘めて終わり系の)があるのは、先生が海外のドラマに影響を受けたからなのかなって思いました。


推理ものとか事件ものが好きな方は、好きだと思います。私はそれメインで楽しもうと思って購入したわけじゃなかったので、楽しむ以前の問題でした(^^;
事件の全貌的には超濃厚です。面白いけど、左季と隆生のBLをガッツリ楽しみたい方には、もっとBL要素くれーってなるかも知れません。


事件パート…神
BLパート…萌1
間をとって、萌2にしました。

13

そう来たか!と驚き

水壬楓子先生の作品を読むのは2020年の「装うアルファ、種付けのオメガ ~財閥オメガバース~」以来になります。
この先生初めてのオメガバ作品が凄く良かったんです。

そして今回の作品は現代物で刑事と監察医のお話なのでとても期待してました。
やはりベテラン作家さまなので構成力と文章力は間違いなく素晴らしかったです。読ませてくれました。

左季がアメリカから帰国して日本の大学で准教授で監察医になった事から、幼馴染みで刑事の隆生と再会したのをキッカケに、左季の周りで殺人事件が起こるのです。

被害者が幼馴染みだった事から左季の記憶と後悔が揺さぶられてとなります。
左季の周りに昔馴染みが集まったのは偶然なのか?それとも仕組まれた事なのか?…その辺りが面白くてですね、サスペンス映画を観ているようでした。

左季の後悔はどんなことなのかは直ぐに分かるのですが、黒幕が周到過ぎて終盤まで誰かに搾る事ができませんでした。

もうね、ネタバレ無しに楽しんで欲しいのでこれ以上は書けないです。www
最後の怒涛の展開に驚きました。そう来たか!と。最後まで読むと「たとえ業火に灼かれても」のタイトルの意味が分かると思います。

お互いに昔から想いあってて、でも相手のことを思うなら諦めずにはいられなかった恋。
左季視点しかありませんが、再会してからもお互いを思う気持ちに激萌間違いなしです。
でも、お話の展開上LOVE的なものは最後の最後にチョロっとしかありません。

お話の面白さ的には神ですが、BL的には萌2でしたので評価もそうさせていただきました。

9

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