生嶋美弥さんのレビュー一覧

愛される人 コミック

生嶋美弥 

秘めたる花

岩田天涯と篠原カヲルの関係は、
単純に男女のそれに置き換えられる
ものだろうか?

否。

そう断ずる事が出来る関係性なら、
何も残るまい。
そして、何かは確実に残っている
様に見受けられる。

同時収録作は篠原カヲルの書生・
野山広太とその友人花屋敷竜虎の
物語。そして、時代の断絶と再生の
物語。あたかも版元の後日を予見
しているかの様な。

4

約束の丘 コミック

生嶋美弥 

時代の隅で

激動の時代の中で、それでもひたむきに
生きようとする若者達。
彼等は確かに「もののふ」だった。

「そして春の月」シリーズ第三集。
同時収録作はパラレル学園もの。

0

想われ人 コミック

生嶋美弥 

それは決して人事ではなく

作中で展開される文学論議は相変わらず一々
胸に刺さりますね。
ボーイズラブと言う分野の存在意義にひやりと
切っ先を向けられている様で。偶然の一致と
言えばそれまでなのでしょうが。

肉体的な立ち位置では岩田天涯は抱く側で
篠原カヲルは抱かれる側です。
しかし、精神面では二人の位置は逆転して
います。それこそこの作品世界の魅力なの
ではあるまいか、と。

2

散らない花 コミック

生嶋美弥 

漢なればこそ

愛する側も漢であれば、愛される側もまた漢。
漢同士であるからこそ、直向さ加減が抑えきれず
ぶつかる事とて時にある。

静かなうねりを見せる「そして春の月」続刊。
同時収録作はパラレル学園もの。

1

人でなしの恋 コミック

生嶋美弥 

誰を縛る鎖ぞ

岩田天涯の篠原カヲルへの執心は独占欲の様に見えて、
実は何かに対する崇拝なのではないか、とふと垣間見える
一瞬がある。
そう。人でなしが恋しい男に執着しているのではない。
人でなしと自らを責めている男が、恋しい男の中に救いを
見出したいと無意識に願っているのだ。

文士同士の恋模様を描くシリーズ、端緒であります。

3

いとおしい人 コミック

生嶋美弥 

双頭の切っ先

作品を作るという事は、単純な生産作業ではなく、
また放出作業ではない。
時に自らの骨肉を削って分身を生み出す、そう言う
過程だ。
岩田天涯がそう言う文士であるからこそ、篠原カヲルは
彼を赦し、受け入れてしまうのだろう。

一読者として一寸怖くなったのは、その創作と言う事に
対しての問い掛けが、そのままボーイズラブと言う
ジャンルにも(無意識の内に)向けられているのでは
ないかと…

3

運命の人 コミック

生嶋美弥 

抑えきれず

先ず誤解なき様に。
表紙の人達は表題作の人達ではありません。
同時収録作『双葉高校演劇部』の幼馴染な
美人部長・北原光(受)と強面脚本家・村上
征二(攻)です。

表題作の二人は受の卒業後から付き合いを
始めますが、その関係のあり方は作品表題
とは裏腹、としか言い様が無いかと。
それもまた運命なのでしょうけど。

表題作以外は…抑えきれない思いが暴走
していたとしても概ねハ…

1

天と地と風と そして春の月 コミック

生嶋美弥 

そして絆は残った

時代は残酷な程確実に流れ行く。
その中で、心の絆は不変だった。
愛かどうかは明言できないけれど、
同じ明日を見つめる者同士の絆は、
確かに残った。

新釈新撰組物語最終巻。
同時収録は学園パラレル者完結編。
ある意味本編よりも受が素直。

1

そして春の月 コミック

生嶋美弥 

新釈新撰組

一言で言えば
「大義名分に依存していない新撰組の物語」
です。
そもそも抱かれるきっかけが人斬りの後の
ショック療法的なものなのですから。

それでも、確かに何かの絆はあったのです。

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